Rest of EFU's Life

SCP-2521


目覚めるとそこは道端だった。昨日は飲みすぎたのかな?それにしては体は至って健康だけど。少し、肌寒い。今って冬なのか?思い出せない。というかここはどこだ?住み慣れた街ではなさそうだけど。これは家に帰るのが大変そうだ。財布すら持っていない。

さっきまで悪夢を見ていた。どこかの研究室で何かを喋らされて、次の瞬間には黒い影みたいな大男……いや、アレの性別はわからないし、人間かもわからないけど、そんなものに連れ去られる夢だった。生々しい夢だった。

その夢しか思い出すことは出来なかった。


「やはり、いくらDクラス職員が足りないといっても、ホームレスに手を出すというのは如何なものかと……」

下っ端の研究員は眉間に皺を寄せながら、上級研究員に訴えかける。

「倫理委員会もそれには納得しているから問題ないよ。それに、このことはだいぶ前に決定したわけで。」

「まあそうですが、少なくともほぼ被験者が消失することがわかっている実験に何の罪も犯していない人間を徴用する必要はないのでしょうか……9384はまだ未解明な点が多いですし実験自体が無意味であるとは思いませんが……」

「無意味ではないよ。GPSと小型端末を使ってやつに連れ去られた先を解明することがメインの目的ということは計画書にも書いてある。それに人体にやつの入れ墨を彫るというのに関しても前例は見られないんじゃないかな?」

「そうですが……」

上級研究員は席を立ち上がり、ドアへと向かっていった。

「大多数を守るには多少の不道徳にも目を瞑るべきだよ」

そう言って上級研究員は部屋を後にした。


目が覚めてから、街を歩きまわっていると警察に補導されてしまった。事情を話すと一時的な寝食が可能な施設に送ると言われ、その時はほっとしていた。しかし、そこは想定していたような場所ではなかった。

施設は実験を行うような場所に見え、自分が寝泊りをする場所も宿泊施設というよりは刑務所に近い形だった。生活を共にする人々もそのような者ばかりだった。また時折、彼らの内の何人かが職員によってどこかへ連れていかれる。そして多くの場合、彼らは帰ってこない。故に、その時に抵抗をする者も少なくなかった。

そして、俺はここで”D-53162”と呼ばれていた。


実験室に2人のDクラス職員が投入された。隣の部屋では二人の研究員が待機をしている。

「片方は殺人犯だが、タトゥーの心得があるらしい。もう片方は住む場所だけでなく、戸籍も記憶も失くしたホームレスだってさ。ただでさえ気の毒な経歴なのに、ここで死んじゃうとはねえ」

不真面目そうな研究員が隣に座っている研究員に話している。

「実験中の私語は慎め。それに姿が消えた後だって死ぬかどうかはわからない」

「どうだか」

「そろそろ始めよう。マイクのスイッチを入れてくれ」

研究員が手元のスイッチを入れるとDクラス職員のいる実験室のスピーカーが薄くボーっと鳴り始めた。そして、不真面目そうな研究員がマイクに向かって話し始める。

「只今より、実験を開始する。こちらから指示を出すから、D-12891はD-53162にそこにある道具を使って指示通りの特徴のタトゥーを彫ってくれ。そちらから要求があれば、既に言った指示をもう一度言うことも可能だ。では、実験を開始する」

スピーカーから聞こえる指示の通りにタトゥーがD-53162に彫られていった。


部屋から無理矢理、連行されて実験が始まったが、内容はよくわからない形のタトゥーを彫られるというものだった。これは魔術的なものなのだろうか?この施設はなんとなく如何わしいものを研究している場所だとは思っていたが、これからどうなるかの予想がまるでつかない。


下書き終わり


アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 全ての財団職員は原田宏美氏へのあらゆる手段による接触を禁止されます。

説明: SCP-XXX-JPは2002年7月5日に財団データベースに不明な人物により不明な手段で追加された報告書エントリであり、現在表示されている報告書そのものです。

SCP-XXX-JPには出現した時点で特別収容プロトコル(以下、SCP-XXX-JP-A)のみが記載されていました。このSCP-XXX-JP-Aの項の削除、編集は不可能であり、同様にSCP-XXX-JP自体の削除も不可能です。SCP-XXX-JP、及びその他の媒体においてSCP-XXX-JPの収容方針に関する内容を記録することは不可能です。

SCP-XXX-JP-Aに従わなかった場合、SCP-XXX-JP収容に関わる財団職員はSCP-XXX-JP-Aが強制的に想起されます。このことと前述した異常性により、SCP-XXX-JPの収容はSCP-XXX-JP-Aに従うものとされています。

SCP-XXX-JP-Aの内容は不定期に変化します。しかし、その内容は原田宏美氏(氏に関する情報は別紙XXX-423を参照)、もしくは氏が被害を受けていたストーカー事件に関するもののみでした。

補遺: 以下は、過去のSCP-XXX-JP-Aの抜粋です。また本来の文章で検閲されていない箇所も資料的価値が無い、もしくは検閲されるべきであると判断された場合は検閲が施されます。

2002年7月5日からの抜粋

特別収容プロトコル: 財団は[削除済み]在住の原田宏美氏が被害を受けているつきまとい行為を防止するために、原田氏、及びつきまといを行なっていると見られる[削除済み]在住の████氏、またその周辺の監視、調査を行います。この際、必要であれば周辺の警察機関との連携も認められます。

2003年2月13日からの抜粋

特別収容プロトコル: 財団は原田宏美氏が被害を受けているつきまとい行為を防止するために、つきまとい行為を行っている████氏が原田氏に接近することを防ぎます。これに並行して、████氏の原田氏に対する行為が違法であるとされる根拠の調査を行い、発見された場合には原田氏、及びその家族に提示します。

原田氏の精神的なストレスケアのために月に1度、財団職員が原田氏の自宅を訪問します。

2003年7月24日からの抜粋

特別収容プロトコル: 財団は原田宏美氏が被害を受けているつきまとい行為を防止するため、████氏が原田氏に接近することを防ぎます。この際、██氏に対して、自身の行動が監視、制御されていることを気付かれないように行ってください。██氏が暴力行為、性的行為、破壊行為を行おうとした場合はその行為を行った証拠を記録し、警察に連携を要請します。

原田氏が████氏と[削除済み]の関係であるという情報は否定されます。必要であれば、主張を行っている人物に対しての低レベルの記憶処理が認められます。原田氏の精神的なストレスケアのために月に1度、財団職員が原田氏の自宅を訪問します。

2005年5月6日からの抜粋

特別収容プロトコル: 財団は原田氏が████氏と[削除済み]の関係であるという情報を可能な限り抑制します。その際、記憶処理を用いることは推奨されませんが、原田氏とは知人の関係になく、情報を拡散しようとする人物に悪意があることが明らかな場合、低レベルの記憶処理剤の使用が許可されます。

原田氏の精神的なストレスケアのために2ヵ月に1度、財団職員が原田氏に対して電子メールを用いて対話を行います。

補遺: 現在のSCP-XXX-JP-Aを実行するのに必要なコストを鑑み、SCP-XXX-JP収容チームは大幅に減員されました。