count number

実験用標的XXX号

評価: 0+x

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは財団の実験資産として管理されます。利用の際は、実験の3日前までに資産管理課に予約申請をしてください。

SCP-XXX-JPに対し、“冷戦の終結”、“東西ドイツの統合”、殊に“ベルリンの壁の崩壊”について、なんらかの手段で伝達してはなりません。

SCP-XXX-JPは通常の五感では感知できません。そのため、このオブジェクトに関わる者は心霊感知能2級資格以上を持つ技能者であるか、それを代替する器械技術に対する十分な操作技能の保持者であることが義務付けられます。

一般市民に対しては汎用対心霊カバーストーリーの流布によって隠蔽を施します。SCP-XXX-JPは出現地域より移動せず、またほとんどの一般市民の心霊感知能ではSCP-XXX-JPを感知できないため、これ以上の隠蔽工作は不要です。ただし、SCP-XXX-JP出現地域の多くが人口密集地にある為、SCP-XXX-JPに対する実験時には、実験者である財団職員、及び実験それ自体に対する必要十分な隠蔽を施す必要があります。

説明: SCP-XXX-JPは19██年█月█日より、ドイツ連邦共和国1ベルリンのエリア-XXX-Wにて観測が始まったTypeⅡの心霊実体です。SCP-XXX-JPは生前の最期の行動と思しき動作を再現した後に消滅します。また、不定の期間2の後に再度出現し、同様の行動を取った後に消滅する過程を繰り返します。ベルリンの他地域にて同様の心霊実体の出現が確認されたため、本実体群は以後、発見順に採番管理されています。

SCP-XXX-JPは周囲の環境に反応せず、観測者の取るあらゆる行動に対しても反応を示しません。観察者に対して能動的な行動を取りません。このため、観測者に対する危険性は極めて低いと判定されています。また、一旦消滅しても再度出現する特性から、霊体に対する破壊試験を含む様々な試験において、安全かつ再利用が容易な実験対象として活用されています。

 
SCP-XXX-JP観察記録(一部)

ナンバー: SCP-XXX-JP-1
 
出現地域: エリア-XXX-W-1
 
行動内容: 出現後、エリア-XXX-W-1に流れる運河を東岸から西岸に向けて泳ぎはじめる。数メートル泳いだところで背後を振り返り、両手を頭上に上げる。直後に肢体が脱力し下流に流されたところで消滅する。

ナンバー: SCP-XXX-JP-53
 
出現地域: エリア-XXX-W-53
 
行動内容: エリア-XXX-W-53の上空、約10メートル地点に直立状態で出現する。上半身を屈めた状態で何かを跨ぎ超えるような動作をしたのち、再び直立状態に戻ろうとしたところで自由落下する。接地後、消滅する。

ナンバー: SCP-XXX-JP-103
 
出現地域: エリア-XXX-W-103
 
行動内容: エリア-XXX-W-103の東部に出現し、西に向かって約10メートル走ったところで転倒。2度、痙攣した後に消滅する。

 
インシデント記録XXX-JP-1 - 日付2009/11/9

当日はSCP-XXX-JP-25を対象に財団の新型対霊装備開発試験が行われていた。実験担当者はD. B████主任研究員(以下“B主任”)とアシスタントのE. F████████研究員(以下“F研究員”)。


(SCP-XXX-JP-25が再出現する)
 
B主任: SCP-XXX-JP-25の再出現を確認。第16度目の新型対霊装備の射撃試験を行う。パラメーターはB16。
 
(SCP-XXX-JP-25が走り出す。時折、背後を気にして振り返る素振りを見せる)
 
B主任: 射撃開始。
 
(B主任の撃った対霊銃弾がSCP-XXX-JP-25の左腰部、背部中央、右肩に着弾する。着弾個所の霊体は大きく欠損する。SCP-XXX-JP-25はその影響を感じさせず走り続ける)
 
B主任: 命中。評価は画像解析にて行う。撮れたな?
 
F研究員: はい。
 
(SCP-XXX-JP-25が転倒し、消滅する)
 
B主任: 第17度目の射撃試験に向け、SCP-XXX-JP-25の次の再出現まで待機。パラメーターはB17。
 
F研究員: しかし、主任、本日は時間の方がもう限界かと。
 
(時刻は午後5時を過ぎていた。当日は午後6時よりベルリンの壁崩壊20周年を祝う式典が市内各地で催される予定であり、実験地であるエリア-XXX-W-25の周辺にもすでに人通りが増えてきていた)
 
B主任: カバーで何とかならんのか?
 
F研究員: 今日は人出が多すぎます。隠蔽工作自体が注目を集めかねません。
 
B主任: そうか。そうだな。では撤収。
 
F研究員: 了解しました。
 
(SCP-XXX-JP-25が再出現する。先ほどの射撃で負った欠損は見られない)
 
F研究員: (溜息をつく)再開しますか?
 
B主任: いや、良い。今日ぐらい幽霊にも休ませてやろうじゃないか。
 
F研究員: ベルリンの壁崩壊、20周年ですもんね。
 
(SCP-XXX-JP-25が走り出そうとした姿勢で動きを止める。B主任とF研究員は互いを向いて話をしているため、異状に気が付かない)
 
F研究員: 壁は崩れて、ドイツは統合され、もう東も西もない。今日はドイツ中からここに人が集まりますよ。
 
B主任: ドイツどころか、アメリカやロシア、世界中からだ。冷戦も遠くなりにけりだな。
 
F研究員: もう、誰でも、どこへでも行けますからね。
 
(突然、F研究員がSCP-XXX-JP-25の方を振り向く。当人の証言によると、この時SCP-XXX-JP-25の「なぜ」という声を聞いたとのこと。B主任には聞こえておらず、機械的記録にも音声は残されていない)
 
F研究員: 主任!
 
(B主任がSCP-XXX-JP-25を振り返る。SCP-XXX-JP-25はB主任とF研究員に向かって走り出している)
 
B主任: パラメーターB17、発砲。
 
(B主任の射撃によりSCP-XXX-JP-25の右大腿部、右脇腹、右肩の霊体が欠損するが、SCP-XXX-JP-25はその影響を感じさせず、B主任とF研究員に向かって走り続ける。時速は約30キロメートル程度)
 
SCP-XXX-JP-25: なぜ、今まで教えてくれなかった!
 
(これは機械的記録に残された唯一のSCP-XXX-JPの声である。B主任、F研究員にもこの声は聞こえていた)
 
B主任: パラメーターB17、発砲。
 
(B主任の再度の射撃がSCP-XXX-JP-25の鳩尾、喉、頭部に命中し、当該部位を欠損させる。SCP-XXX-JP-25の走行速度に変化はないが、B主任の眼前まで到達すると立ち止まる)
 
(SCP-XXX-JP-25は約10秒ほどそのまま立ち尽くしていたが、ゆっくりと回れ右をしたあと、西の方角へ向けて移動を始める。時速は約4キロメートル程度)
 
(B主任がSCP-XXX-JP-25の背に向けて照準する。2秒間その体勢を保持するが、発砲せず、その後照準を外す)
 
(SCP-XXX-JP-25の進行は止まらず、エリア-XXX-W-25を横断して消滅する)
 
B主任: 本日の試験を終了する。


調査の結果、F研究員が微弱ながら無自覚なテレパス能力を保持していることが判明しており、これが本事案に何らかの影響をもたらした可能性があるとされています。
 
本実験の終了後、SCP-XXX-JP-25の再出現に備え、エリア-XXX-W-25は機動部隊ミュー-13 ("ゴーストバスターズ")の監視下に入りました。しかし、監視開始より5年間再出現はなされず、SCP-XXX-JP-25は恒久的に消滅したと判断されたために監視は解かれました。これはSCP-XXX-JPの唯一の消滅事例であり、これをもってインシデント記録XXX-JP-1として指定されました。

 
補遺: インシデント記録XXX-JP-1にて実験されていた対霊体装備は、その後も実験開発が続けられた結果、現在のType11対霊体小銃弾として財団制式装備となっています。当銃弾には、ゴースト・ストッピングパワーが無いことに注意してください。