アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: KeterSafe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-3はそれぞれ4基の非物質変位無効装置(nPDN)を装着した無形実体用真空房に収容されます。収容室内部の監視は対認識災害処置を施した警備職員によって行い、3時間ごとに人員を交代してください。収容室外部にSCP-XXX-JP-Aの出現が確認された場合は直ちに削剥し焼却処分してください。SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険度物品庫に収容してください。回収されたSCP-XXX-JP-Bおよび文書は同サイトの低危険度物品ロッカーに保管されます。職員はSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Bを自由に実験、研究することが許可されていますが霊体への使用にはレベル3以上の職員の承認が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは不明な原理により発電を行う装置です。SCP-XXX-JPは本体部とそれに取り付けられた3本のシリンダーによって構成されます。本体内部は279個の部品で構成されており、その65%の部品において不明な原理と未知の合金の使用がみられます。本体部の上部に存在する操作パネルには「電源」と記されたロッカースイッチ、1~3の数字がふられたトグルスイッチ3個、赤い押しボタン、用途不明の計器類が配置されています。操作パネルの右下には「試作03号04号」と手書きで表記されたビニルテープが貼り付けられています。
本体部に取り付けられたシリンダーは高さ2m程の金属製の円筒で、前面にガラス窓のついた扉と上部に赤いランプが配置されています。収容時点でシリンダーのうち1本には側面に40cmにわたる亀裂が生じています。シリンダーは未知の合金で構成されており、成分の一部として鉛、錫、人骨、[データ削除]が検出されています。シリンダーには全面にわたって8cm×20cmの札(SCP-XXX-JP-B)が乱雑に貼付されています。1本のシリンダーに貼付されたSCP-XXX-JP-Bの枚数は108枚です。SCP-XXX-JP-Bは複数の図形が描画されており、1枚を除く全てのSCP-XXX-JP-Bにおいて正確に一致します。SCP-XXX-JP-Bのうちシリンダーの亀裂部分に貼付された1枚において描画された図形に他のSCP-XXX-JP-Bとの微細な差異が確認されています。SCP-XXX-JP-Bが貼付された物質は霊体による物質の透過を妨げその動きを緩慢化させることが実験により判明しています。
破損していないシリンダー内部にはそれぞれ1体ずつ霊的実体(SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2)が収納されています。この他にSCP-XXX-JP収容時にエージェントを襲撃した個体(SCP-XXX-JP-3)が確認されています。全ての霊体は事案XXX-JPにおいて消失しました。
確認された霊的実体霊的実体 | 特徴 |
---|---|
SCP-XXX-JP-1 | シリンダーに収容された中年男性の霊的実体。全身に無数の裂傷がみられ大量の血液が付着している。常に苦しんでいるように見え、こちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-2 | シリンダーに収容された中年女性の霊的実体。全身に無数の裂傷がみられ大量の血液が付着している。常に苦しんでいるように見え、こちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-3 | シリンダーに収容されていない少年の霊的実体。視界に入った人物に対して無差別に攻撃を行う。他の霊的実体と同様に全身に裂傷と出血が見られる。「呪う」「殺す」といった攻撃的で単純な単語を発するのみでこちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-3が叫び声をあげた時、その周囲の平面上に血液で書かれた文字(SCP-XXX-JP-A)が出現することがあります。SCP-XXX-JP-Aは1文字ずつ出現し血液は即座に凝血します。これらは非常に強力な認識災害を齎す為文章の正確な内容は判明していません。SCP-XXX-JP-Aを視認した人物は一様に「鬼が自分の体を細かく切り刻む」という幻覚を訴え苦悶します。この鬼に関しては1本角と赤い肌、両手に刃物を持っているという共通項が報告されています。この認識災害は視認したSCP-XXX-JP-Aの文字数に比例して深刻化し、██文字以上の視認はショック死を引き起こします。血液を平面から削り取りSCP-XXX-JP-Aの内容を判読不能にすることで対象の異常性は失われます。事案XXX-JPでの霊体の消失に伴いSCP-XXX-JP-Aの異常性の消失が確認されました。SCP-XXX-JP-Aの大半は脈絡の無い攻撃的な単語の羅列で構成されます。
確認されたSCP-XXX-JP-Aの一部
殺ス呪ウ俺ノ許サナイ
恐怖死ネ[判読不能]ロス
切リ刻ム痛ミ死ネ
[判読不能]絶[判読不能]
死ネ味ワエ喰イチギル
周辺住民への調査によりこれらの霊体は19██年前に殺害された稲川夫妻とその息子の外見に一致していると判明しました。住民への聴取では一様に「稲川家の息子が鉈切鬼の祠を壊した為に祟りにあって一家惨殺された」という証言が得られています。"鉈切鬼"は[編集済]村の伝承に登場する存在です。伝承上の"鉈切鬼"は山の神であり、両手の鉈を用いて罪人を切り刻むとされています。"鉈切鬼"は[編集済]山に存在する祠で祀られています。警察内部のエージェントにより稲川一家の死亡時の記録の調査が行われましたが事件に関する記録は発見されていません。
SCP-XXX-JPはシリンダー内部に霊的実体を収容することで発電機として使用することができます。操作パネルの電源を入れた状態でトグルスイッチをONにすることで対応したシリンダー上部のランプが点灯します。その状態で赤いボタンを押すことで発電が開始されます。この時シリンダーに収容されている霊的実体は非常に強い苦痛を受けます。発電量はシリンダーに収容されている霊的実体によって変動し、その条件は不明です。また、同一の霊的実体に対するSCP-XXX-JPの連続使用では発電量の低下が確認されています。
SCP-XXX-JPの使用は霊的実体に対し非常に強い苦痛を齎すことから、これが霊的実体の収容態度の悪化に繋がるのは火を見るより明らかである。霊的実体に対する実験を申請する場合はその点に留意するように。 — ██博士
収容記録XXX-JP: SCP-XXX-JPは[編集済]村の██ ██氏の住宅で発見されました。幽霊が出る家として噂されていたことがフィールドエージェントの興味を引き[編集済]村での調査が行われました。本部への報告の後エージェント・██による家屋内部への探索が行われましたが、建物全体の壁、天井、床に大量のSCP-XXX-JP-Aが存在した為エージェント・██は暴露し死亡しました。その後複数の応援部隊が派遣されましたがSCP-XXX-JP-Aへの暴露と突如出現したSCP-XXX-JP-3の攻撃により収容は難航しました。最終的に██人の職員が犠牲となりました。霊的実体の封じ込め作業の完了後に建物内の探索が行われました。居間でショック死してた用途不明の機器を装備している男性2名の遺体、トイレ内で餓死した██氏の遺体が発見されています。2名の男性の遺体の身元は判明していません。██氏の遺体には右腕部に爪で裂かれた様な傷がある他に異常性は確認されていません。トイレ内部の天井、壁、床にはSCP-XXX-JP-Bが大量に貼付されていました。この他にSCP-XXX-JP付近では複数の文書が回収されましたが、その全てにおいてSCP-XXX-JP-Aが出現していたため判読作業は難航しました。
事案XXX-JP - 19██/██/██: 収容下の霊的実体3体が同時に叫び声をあげ消失しました。霊的実体が叫び出したのと同時刻、[編集済]村で住人へのクラスB記憶処理が行われていました。霊的実体が消失した時刻と記憶処理の完了した時刻が一致していることからこれらの事象には関連が疑われます。また、霊的実体の消失に伴いSCP-XXX-JP-Aは異常性を失ったため██氏宅で回収された文書の解読が行われました。
収容室内部で確認されたSCP-XXX-JP-A
引き裂く殺す死ネヤメロ
殺スヤメロ呪ウ死ネ
ヤメロ切り刻む呪イ殺スヤメロ
ヤメロ殺スヤメロ呪ヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロ殺スヤメロヤメロ
ヤメ忘レルナヤメロヤメ
俺ハ誰ダ
文書001
霊障変換式発電機試作4号
基本機能は従来型と同じく霊体が霊障を発現するために放出した霊子を発電に利用しています。カプセル内部に霊子振動を送ることによって霊子の放出を促す機能を追加しました。カプセルには霊体を封じる機能が無いので結界機能は別途に用意してください。
追記:使用後の霊体は凶暴化するので処理する際は駆除班に連絡を!
文書004
以下は██氏宅で回収された██氏の手記と思われる文書からの抜粋です。
日付19██/██/██
内容: 霊子発電プロジェクトの拠点を[編集済]村に移した。閉鎖的な環境に加えて"鉈切鬼"伝説という土着信仰があったのも都合が良い。今回の実験では人間から発生する霊体ではなく完全な人工霊体の生成が目標となる。
日付19██/██/██
内容: 実験に使用する霊媒と御札を受け取りに隣県の業者を訪ねた。結界札400枚、対霊障札5枚、霊媒の藁人形5体を受け取った。未来の新エネルギー開発には不似合いな代物だが効果は折り紙付きだ。
日付19██/██/██
内容: 稲川 ██氏との交渉に成功したため計画を実行に移す。予め金で丸め込んだ駐在の██と共謀し"稲川一家惨殺事件"をでっち上げた。稲川氏らには大金を渡して他県に住居も用意している。
日付19██/██/██
内容: 村の住人に「稲川家の息子が山の祠を壊したせいで祟りにあった」という噂を流した。稲川一家の凄惨な最期のイメージを住人に刷り込む。稲川宅で高濃度の霊子反応と第1度霊障を確認。下地は整った。次の段階へ進む。
日付19██/██/██
内容: 予め採取しておいた稲川一家の毛髪と藁人形を用いて人工霊体の生成を開始。霊体に自我が発生する前に装置に投入した。顕界に霊子が固定された事を確認。純粋な恐怖のイメージのみによる人工霊体の生成に成功した。
日付19██/██/██
内容: 3体の霊体による発電を開始。発電量は不安定なもののおおよそ当初の想定通りの数値だ。人工霊体が天然の霊体と同等の有用性を持つ事が証明された。霊子がまだ不安定なため完全な固定を待つ。
日付19██/██/██
内容: 噂が村全体に広がった時点で発電量がピークを示した。人間の認識が霊子を顕界に固定させるという仮説通りの結果だ。しかし実用化する上で人間のイメージという曖昧な要素をどう処理するかが課題か。信仰がイメージの誘導に有意である事が証明されたことから次は宗教の利用を視野に入れる。
日付19██/██/██
内容: 長時間運転の実験中に装置周辺で第2度霊障を確認。装置を点検したところ第3カプセルの側面に亀裂が入っている。どうやら結界札の1枚に不具合があるようだ。予備の結界札を貼り付けて応急処置とした。本部に連絡し技師の派遣を要請。あのババア不良品売り付けやがったな。
日付19██/██/██
内容: 悪寒で目が覚める。第3カプセルの亀裂が広がり中の霊体3号が逃げ出していた。周辺の壁には第4度霊障が出現している。チラッと見ただけで酷い頭痛と吐き気だ。懐の対霊障札のうち3枚が消し炭になった。本部に連絡を取り駆除班の派遣も要請した。霊体3号は一体何処に行っ[文章はここで途切れており██氏のものと見られる血痕が付着している。]
補遺1: 文書の解読により得られた情報から稲川 ██氏に関する再調査が行われました。調査の結果稲川一家は生存しており[編集済]に移住していた事が判明しています。
インタビュー記録003 - 19██/██/██
対象: 稲川 ██氏
インタビュアー: エージェント・██
<再生開始>
エージェント・██: インタビューを開始します。それでは稲川さん、当時の事を話していただけますか。
稲川氏: はい。当時私は東京で起業に失敗して多額の借金を背負いました。それで家も売りに出すことになって、親族を頼って[編集済]村まで家族で越して来たんです。空き家の1件を譲り受けてそこに住みました。いくら働いても借金の返済は追い付かず、一家心中というのが頭を過ぎった頃にあの人が話を持ちかけて来ました。
エージェント・██: ██ ██氏ですね?
稲川氏: はい、そうです。彼は私に借金を肩代わりするから協力してくれないかと提案してきたんです。
エージェント・██: ██氏の提案を怪しいとは感じませんでしたか?
稲川氏: 正直最初聞いた時は何か良からぬ事の…犯罪の片棒を担がされているのではないかとも思いました。しかし私達にはそんな余裕も無くて藁にもすがる思いで飛びついてしまいました。
エージェント・██: なるほど。では██氏の提案の内容について教えてください。
稲川氏: それが思ったより単純な内容でしたよ。「金と家を用意するので村から出て行ってくれ。そしたら二度と[編集済]村に戻ってくるな。村の人間とももう関わるな。電話もだ。」といった感じです。正直怪しかったですよ。貰った金に釣り合わない。
エージェント・██: それから██氏から連絡等は?
稲川氏: ありません。本当にこんな事で大金を貰って良かったのかって聞いてみようかとも思ったりしたんですけどね。██さんも[編集済]村の住人ですから、こちらから連絡を取ることはしませんでした。
エージェント・██: [編集済]村の住人との連絡はしませんでしたか。
稲川氏: 連絡は一切取ってませんよ。金も既に貰っていましたし。ただ親族へは連絡したいと██さんに申し出たんですけどね。でもそれはこちらでやっておくから必要ないって言われて。
エージェント・██: それではあなた達一家が死亡した事になっていたのも知らなかったと?
稲川氏: ええ、さっきその事を聞かされた時はそりゃもう驚きましたよ。しかも何です、一家惨殺事件ですって?ご存知の通り私らはまだピンピンしてるのに。
エージェント・██: では次に██氏について知っている事をどんな些細なことでも良いので教えてください。
稲川氏: うーん…あんまり分かりませんね。あの人が村に越してきた時に一言二言挨拶した程度で。
エージェント・██: 分かりました。インタビューは以上です。ご協力ありがとうございました。
稲川氏: それであのう。
エージェント・██: 何でしょう?
稲川氏: 私は何か罪に問われたりするんでしょうか?
エージェント・██: すみません。それに関しては私共の方ではなんとも。
稲川氏: …そうですか。
<再生終了>
補遺2: ██ ██氏は霊的実体に関する高度な知識と技術を持っていたとみられ、その素性や所属組織の調査が行われていますが現在も有益な情報は得られていません。
現在閲覧している報告書は19██年██月██日時点のアーカイブです。最新の情報については現行のバージョンを参照してください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-3はそれぞれ4基の非物質変位無効装置(nPDN)を装着した無形実体用真空房に収容されます。収容室内部の監視は対認識災害処置を施した警備職員によって行い、3時間ごとに人員を交代してください。収容室外部にSCP-XXX-JP-Aの出現が確認された場合は直ちに削剥し焼却処分してください。
説明: SCP-XXX-JPは未知の技術により構成された装置です。SCP-XXX-JPは本体部とそれに取り付けられた3本のシリンダーによって構成されます。本体内部はおよそ200個の部品で構成されています。本体部の上部に存在する操作パネルには「電源」と記されたロッカースイッチ、1~3の数字がふられたトグルスイッチ3個、赤い押しボタン、用途不明の計器類が配置されています。操作パネルの右下には「試作03号04号」と手書きで表記されたビニルテープが貼り付けられています。
本体部に取り付けられたシリンダーは高さ2m程の金属製の円筒で前面にガラス窓のついた扉と上部に赤いランプが配置されています。収容時点でシリンダーのうち1本には側面に40cmにわたる亀裂が生じていました。シリンダーは未知の合金で構成されています。シリンダーには全面にわたって8cm×20cmの札(SCP-XXX-JP-B)が乱雑に貼付されています。1本のシリンダーに貼付されたSCP-XXX-JP-Bの枚数は108枚です。SCP-XXX-JP-Bには複数の図形が描画されており、これらの図形は全てのSCP-XXX-JP-Bにおいて正確に一致します。
破損していないシリンダー内部にはそれぞれ1体ずつ霊的実体(SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2)が収納されています。この他にSCP-XXX-JP収容時にエージェントを襲撃した個体(SCP-XXX-JP-3)が確認されています。
確認された霊的実体霊的実体 | 特徴 |
---|---|
SCP-XXX-JP-1 | シリンダーに収容された中年男性の霊的実体。全身に無数の裂傷がみられ大量の血液が付着している。常に苦しんでいるように見え、こちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-2 | シリンダーに収容された中年女性の霊的実体。全身に無数の裂傷がみられ大量の血液が付着している。常に苦しんでいるように見え、こちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-3 | シリンダーに収容されていない少年のクラスV霊的実体。視界に入った人物に対して無差別に攻撃を行う。他の霊的実体と同様に全身に裂傷と出血が見られる。「呪う」「殺す」といった攻撃的で単純な単語を発するのみでこちらの呼び掛けには反応しない。 |
SCP-XXX-JP-3が叫び声をあげた時、その周囲の平面上に血液で書かれた文字(SCP-XXX-JP-A)が出現することがあります。SCP-XXX-JP-Aは1文字ずつ出現し血液は即座に凝血します。これらは非常に強力な認識災害を齎す為文章の正確な内容は判明していません。SCP-XXX-JP-Aを視認した人物は一様に「鬼が自分の体を細かく切り刻む」という幻覚を訴え苦悶します。この鬼に関しては1本角と赤い肌、両手に刃物を持っているという共通項が報告されています。この認識災害は視認したSCP-XXX-JP-Aの文字数に比例して深刻化し、██文字以上の視認はショック死を引き起こします。血液を平面から削り取りSCP-XXX-JP-Aの内容を判読不能にすることで対象の異常性は失われます。これを含むSCP-XXX-JP-3の特徴をSCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2も同様に有する可能性を考慮し、シリンダーの開放は現在保留されています。
周辺住民への調査によりこれらの霊体は19██年前に殺害された稲川夫妻とその息子の外見に一致していると判明しました。住民への調査では一様に「稲川家の息子が鉈切鬼の祠を壊した為に祟りにあって一家惨殺された」という証言が得られています。"鉈切鬼"は[編集済]村の伝承に登場する存在です。伝承上の"鉈切鬼"は山の神であり、両手の鉈を用いて罪人を切り刻むとされています。"鉈切鬼"は[編集済]山に存在する祠で祀られています。警察内部のエージェントにより稲川一家の死亡時の記録の調査が行われましたが事件に関する記録は発見されていません。
収容記録XXX-JP: SCP-XXX-JPは[編集済]村の██ ██氏の住宅で発見されました。幽霊が出る家として噂されていたことがフィールドエージェントの興味を引き[編集済]村での調査が行われました。本部への報告の後エージェント・██による家屋内部への探索が行われましたが、建物全体の壁、天井、床に大量のSCP-XXX-JP-Aが存在した為エージェント・██は暴露し死亡しました。その後複数の応援部隊が派遣されましたがSCP-XXX-JP-Aへの暴露と突如出現したSCP-XXX-JP-3の攻撃により収容は難航しました。最終的に██人の職員が犠牲となりました。霊的実体の封じ込め作業の完了後に建物内の探索が行われました。その際に1階のトイレ内で餓死した██氏の遺体が発見されています。右腕部に爪で裂かれた様な傷がある他に遺体に異常性は確認されていません。トイレ内部の天井、壁、床にはSCP-XXX-JP-Bが大量に貼付されていました。この他にSCP-XXX-JP付近では大量の文書が回収されましたが、その全てにおいてSCP-XXX-JP-Aが出現しているため判読は困難な状態です。
追記19██/██/██: 収容下の霊的実体3体が同時に叫び声をあげ消失しました。霊的実体が叫び出したのと同時刻、[編集済]村で住人へのクラスB記憶処理が行われていました。霊的実体が消失した時刻と記憶処理の完了した時刻が一致していることからこれらの事象には関連が疑われます。また、霊的実体の消失に伴いSCP-XXX-JP-Aは異常性を失ったため██氏宅で回収された文書の解読が行われています。
この報告書にはアーカイブされた古いバージョンが存在します。19██年██月██日以前の報告書についてはアーカイブを参照してください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険度物品庫に収容してください。回収されたSCP-XXX-JP-Bおよび文書は同サイトの低危険度物品ロッカーに収容してください。職員はSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Bを自由に実験、研究することが許可されていますが霊体への使用にはレベル3以上の職員の承認が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは不明な原理により発電を行う装置です。SCP-XXX-JPは本体部とそれに取り付けられた3本のシリンダーによって構成されます。反対内部は279個の部品で構成されており、その65%の部品において不明な原理と未知の合金の使用がみられます。本体部の上部に存在する操作パネルには「電源」と記されたロッカースイッチ、1~3の数字がふられたトグルスイッチ3個、赤い押しボタン、用途不明の計器類が配置されています。操作パネルの右下には「試作03号04号」と手書きで表記されたビニルテープが貼り付けられています。
本体部に取り付けられたシリンダーは高さ2m程の金属製の円筒で、前面にガラス窓のついた扉と上部に赤いランプが配置されています。収容時点でシリンダーのうち1本には側面に40cmにわたる亀裂が生じています。シリンダーは未知の合金で構成されており、成分の一部として鉛、錫、人骨、[データ削除]が検出されています。シリンダーには全面にわたって8cm×20cmの札(SCP-XXX-JP-B)が乱雑に貼付されています。1本のシリンダーに貼付されたSCP-XXX-JP-Bの枚数は108枚です。SCP-XXX-JP-Bは複数の図形が描画されており、1枚を除く全てのSCP-XXX-JP-Bにおいて正確に一致します。SCP-XXX-JP-Bのうちシリンダーの亀裂部分に貼付された1枚において描画された図形に他のSCP-XXX-JP-Bとの微細な差異が確認されています。SCP-XXX-JP-Bが貼付された物質は霊体による物質の透過を妨げその動きを緩慢化させることが実験により判明しています。
破損していないシリンダー内部にはそれぞれ1体ずつ霊的実体(SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2)が収納されていました。この他にSCP-XXX-JP収容時にエージェントを襲撃した個体(SCP-XXX-JP-3)が確認されています。これらの霊的実体は全て19██年██月██日に消失しました。霊的実体に付随する異常現象として血によって書かれた文字(SCP-XXX-JP-A)の出現も確認されましたが現在はその全てが異常性を失っています。霊的実体に関する詳細はアーカイブされた報告書を参照してください。
周辺住民への調査によりこれらの霊体は19██年前に殺害された稲川夫妻とその息子の外見に一致していると判明しました。住民への聴取では一様に「稲川家の息子が鉈切鬼の祠を壊した為に祟りにあって一家惨殺された」という証言が得られています。"鉈切鬼"は[編集済]村の伝承に登場する存在です。伝承上の"鉈切鬼"は山の神であり、両手の鉈を用いて罪人を切り刻むとされています。"鉈切鬼"は[編集済]山に存在する祠で祀られています。警察内部のエージェントにより稲川一家の死亡時の記録の調査が行われましたが事件に関する記録は発見されていません。
SCP-XXX-JPはシリンダー内部に霊的実体を収容することで発電機として使用することができます。操作パネルの電源を入れた状態でトグルスイッチをONにすることで対応したシリンダー上部のランプが点灯します。その状態で赤いボタンを押すことで発電が開始されます。この時シリンダーに収容されている霊的実体は非常に強い苦痛を受けます。発電量はシリンダーに収容されている霊的実体によって変動し、その条件は不明です。また、同一の霊的実体に対するSCP-XXX-JPの連続使用では発電量の低下が確認されています。
SCP-XXX-JPの使用は霊的実体に対し非常に強い苦痛を齎すことから、これが霊的実体の収容態度の悪化に繋がるのは火を見るより明らかである。霊的実体に対する実験を申請する場合はその点に留意するように。 - ██博士
SCP-XXX-JP-Aの文章: 異常性の消失後に解読されたSCP-XXX-JP-Aの一部です。確認された文章の大半は脈絡の無い攻撃的な単語か"鉈切鬼"伝説の一節からの引用で構成されています。
██氏宅で確認されたSCP-XXX-JP-A
僕ガ感ジタ
恐怖ヲ
痛ミヲ
[判読不能]ヲ
オ前ラモ味ワエ
収容室内部で確認されたSCP-XXX-JP-A
勝手ニ[判読不能]テ
勝手ニ殺シテ
最後ハ忘レルノカ
回収された文書001: 以下は██氏宅で回収された██氏の手記と思われる文書からの抜粋です。
日付19██/██/██
内容: 霊子発電プロジェクトの拠点を[編集済]村に移した。閉鎖的な環境に加えて"鉈切鬼"伝説という土着信仰があったのも都合が良い。今回の実験では人間から発生する霊体ではなく完全な人工霊体の生成が目標となる。
日付19██/██/██
内容: 実験に使用する霊媒と御札を受け取りに隣県の業者を訪ねた。結界札400枚、対霊障札5枚、霊媒の藁人形5体を受け取った。未来の新エネルギー開発には不似合いな代物だが効果は折り紙付きだ。
日付19██/██/██
内容: 稲川 ██氏との交渉に成功したため計画を実行に移す。予め金で丸め込んだ駐在の██と共謀し"稲川一家惨殺事件"をでっち上げた。実際の稲川氏らには大金を渡して他県に住居も用意している。
日付19██/██/██
内容: 村の住人に「稲川家の息子が山の祠を壊したせいで祟りにあった」という噂を流した。稲川一家の凄惨な最期というイメージを住人に刷り込んでいく。下地は整った。次の段階へ進む。
日付19██/██/██
内容: 予め採取しておいた稲川一家の毛髪を藁人形に詰めてカプセルに放り込む。藁人形が青い炎を上げて燃え始めた。カプセルを満たした煙が3時間かけて人型になる。顕界に霊子が固着した事を確認。純粋な恐怖のイメージのみによる人工霊体の生成に成功した。
日付19██/██/██
内容: 3体の霊体による発電を開始。発電量は不安定なもののおおよそ当初の想定通りの数値だ。人工霊体が天然の霊体と同等の有用性を持つ事が証明された。霊子がまだ不安定なため完全な固着を待つ。
日付19██/██/██
内容: 噂が村全体に広がった時点で発電量がピークを示した。人間の認識が霊子を顕界に固着するという仮説通りの結果だ。しかし実用化する上で人間の認識という曖昧な要素をどう処理するかが課題か。信仰がイメージの誘導に有意である事が証明されたことから次は宗教の利用を視野に入れるか。
日付19██/██/██
内容: 長時間運転の実験中に装置周辺で第1度霊障を確認。装置を点検したところ第3カプセルの側面に亀裂が入っている。どうやら結界札の1枚に不具合があるようだ。予備の結界札を貼り付けて応急処置とした。本部に連絡し技師の派遣を要請。あのババア不良品売り付けやがったな。
日付19██/██/██
内容: 悪寒で目が覚める。第3カプセルの亀裂が広がり中の霊体3号が逃げ出していた。周辺の壁には第4度霊障が出現している。チラッと見ただけで酷い頭痛と吐き気だ。懐の対霊障札のうち3枚が消し炭になった。本部に連絡を取り駆除班の派遣も要請した。霊体3号は一体何処に行っ[文章はここで途切れており██氏のものと見られる血痕が付着している。]
補遺1: 文書の解読により得られた情報から稲川 ██氏に関する再調査が行われました。調査の結果稲川一家は生存しており[編集済]に移住していた事が判明しています。
インタビュー記録003 - 19██/██/██
対象: 稲川 ██氏
インタビュアー: エージェント・██
<再生開始>
エージェント・██: インタビューを開始します。それでは稲川さん、当時の事を話していただけますか。
稲川氏: はい。当時私は東京で起業に失敗して多額の借金を背負いました。それで家も売りに出すことになって、親族を頼って[編集済]村まで家族で越して来たんです。空き家の1件を譲り受けてそこに住みました。いくら働いても借金の返済は追い付かず、一家心中というのが頭を過ぎった頃にあの人が話を持ちかけて来ました。
エージェント・██: ██ ██氏ですね?
稲川氏: はい、そうです。彼は私に借金を肩代わりするから協力してくれないかと提案してきたんです。
エージェント・██: ██氏の提案を怪しいとは感じませんでしたか?
稲川氏: 正直最初聞いた時は何か良からぬ事の…犯罪の片棒を担がされているのではないかとも思いました。しかし私達にはそんな余裕も無くて藁にもすがる思いで飛びついてしまいました。
エージェント・██: なるほど。では██氏の提案した協力して欲しい事の内容を教えてください。
稲川氏: それが思ったより単純な内容でしたよ。「金と家を用意するので村から出て行ってくれ。そしたら二度と[編集済]村に戻ってくるな。村の人間とももう関わるな。電話もだ。」とだけ。正直怪しかったですよ。貰った金に釣り合わない。
エージェント・██: それから██氏から連絡等は?
稲川氏: ありません。
エージェント・██: ██氏について知っている事をどんな些細なことでも良いので教えてください。
稲川氏: うーん…あんまり分かりませんね。数ヶ月前にあの人が越してきた時に一言二言挨拶した程度で。
エージェント・██: 分かりました。インタビューは以上です。ご協力ありがとうございました。
稲川氏: それであのう。
エージェント・██: 何でしょう?
稲川氏: 私は何か罪に問われたりするんでしょうか?
エージェント・██: すみません。それに関しては私共の方ではなんとも。
稲川氏: …そうですか。
<再生終了>
補遺2: ██ ██氏は霊的実体に関する高度な知識と技術を持っていたとみられ、その素性や所属していた組織の調査が行われていますが現在も有益な情報は得られていません。