どうぞよろしくお願いします。
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アイテム番号: SCP-2160-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2160-JPはその性質から物理収容が不可能です。次善策として異常性の発生を抑止することで人類社会への影響を極小化するプロトコル-"柄杓握り"が採用されます。
プロトコル-"柄杓握り"に従って複数のフロント団体を通じて日本国内の歴史研究における既知の事実を更新するイベントを一定周期で発生させ、書籍1を出版する全ての団体、マスメディア、インターネット上のサイトやSNS等を通じて一般に流布します。このとき流布される新たな事実の内容は真偽を問いませんが、既知の情報から合理的に導出されるものが望ましく、インシデント回避の観点から証拠の捏造を排することが要求されます。
SCP-2160-JP-Aのうち収容が可能な物品についてはサイト-8181内の通常物品格納倉庫に収容されます。収容が困難である場合は適宜カバーストーリーを適用して一般への露見を回避して下さい。
プロトコル-"柄杓握り"の詳細は別添資料を参照して下さい。
説明: SCP-2160-JPは一定の条件を満たすことで発生する現実改変現象です。これまで確認された事例に共通する条件として、単位空間あたりに存在する人間のうち一定以上が共通の認識を持つ歴史的事実が対象となることが判明しています。対象となる歴史的事実の真偽は発生条件と無関係であることに注意して下さい。
SCP-2160-JPは対象とする歴史的事実を覆すのに十分な物的証拠(以後、SCP-2160-JP-Aと呼称)を不定の地域に生成します。SCP-2160-JP-Aの量や形質等は対象となった歴史的事実の内容に完全に依存しており、最小のもので直径約1cmの装飾品、最大のもので推定20平方kmの城下町跡が確認されており、確認済みの全事例で人工物のみが生成されています。SCP-2160-JP-A自体には異常性は見られず、常識的手段により損傷ないし破壊が可能です。放射性炭素年代測定に代表される物体に対する通常の調査によってSCP-2160-JP-Aを同時代に製造された同種の物体と区別することには成功していません。
2017/12/██: SCP-2160-JP-Aの疑いがある物品に対して、統計的手法を用いることで判定する技術が考案されました。2018年7月までの試験期間中に221件の検査を行い、このうち17件についてSCP-2160-JP-Aであると判別することに成功しました。
この成果を受けて2018/08/██にSCP-2160-JPの特別収容プロトコルが大規模改定され、プロトコル-"柄杓握り"が制定されました。
SCP-2160-JP-Aが一般に露見した場合、従来の歴史を覆す新事実として公表・流布されて本来の歴史研究が汚染される副次的影響が考えられます。これを避けるため、現在財団ではSCP-2160-JPの発生防止とSCP-2160-JP-Aの収容を継続しています。
収容済みSCP-2160-JP-Aリスト(一部抜粋)
Case | 形状 | 推定年代 | 発見時の状況 | 備考 |
02 | 約170平方mの古墳跡 | 4世紀後半 | 1998年 北海道中川郡 工事で採掘中に発見 |
日本最北の古墳として一時期注目を集めたが由来不明のまま通常の調査は2006年に終了。 2018年1月、昭和期の模造物であるとするカバーストーリー"不発の町興し"を流布し収容。 |
08 | 武田太郎2から上杉朝興3への書状 | 1535年 | 2019年 山梨県██市 古民家の蔵より発見 |
テレビ番組スタッフとして潜伏中の財団職員が視聴者からの投稿を受け発見。 1534年に死去したとされるはずの妻子の近況について言及あり。 カバーストーリー"江戸期の創作"を適用した後、学芸員に偽装した職員が回収。 |
11 | 木簡 | 798年 | 1994年 京都府██市 市内の博物館に所蔵した状態で発見 |
『平城京、長岡京、洛長京と遷都が続いたが騒乱が絶えず、愛宕のあたりを選んで改めて遷都すべき』との主張が記されている。 館内の整理中に発見されたものの収蔵時の記録が無く経緯不明。警察に潜入中の財団職員が通報を受けて回収後、Anomalousアイテムとして保管。 "洛長京"に関する情報は本品以外存在せず詳細不明。 |
緊急 | サイト-81A94の職員証 | 2014年 | 2019年 香川県██市 近接する収容サイト-81A5で発見 |
発行年月日は2014/03/██。2014年時点の財団規格に適合するため正規品と見られる。 レベル3セキュリティクリアランスが認められるが該当の職員は存在しない。 SCP-████-JPの発見は2018年であり、サイト-81A5への収容後はカバーストーリー"歴史資料館"を適用。 2020年現在も収容状態を維持している。 |
添付資料:2160-2J9
レポート-20170B06_6C |
報告者: 小林██博士 |
内容: (抜粋) SCP-2160-JPの発生条件を既存の理論で説明することは極めて困難でした。このため研究チームでは現実改変事象に関する理論を補強するものとして新たにパラメータ-Cを仮定することでSCP-2160-JPの判別に成功しました。これを簡潔に言い表すならば"一般的な現実強度を持つ人間の集団によって発生する現実強度の補正値"です。 従来の理論では基準値の現実強度を持つ人間が基準値の現実強度を持つ環境に置かれたとき、現実性の変動は起こり得ないと考えられてきました。 今回研究チームではそのような標準的状況を想定しながらも無数の条件を操作してシミュレーションを行った結果、従来であれば無視可能であるはずの変数が現実強度に影響を及ぼすほどに有意に増幅され、現実性を変動しうるパターンが存在することを突き止めました。その要因となる変数こそがパラメータ-Cです。 研究チームではパラメータ-Cについて暫定的に「認識圧力」という呼称を採用しています。 |
添付資料:2160-4A7
レポート-20180K12_FA |
報告者: 小林██博士 |
内容: (抜粋) いわゆる認識圧力は通常であれば無差別方向に作用するため非常に弱く、計算上でも実態上でも無視することが可能です。しかしある特定の条件下では認識圧力の方向性が統合され、現実改変を引き起こすに足るほどの影響力を持ちうることが判明しました。特に歴史認識についてはこの条件を満たしやすく、その結果発生するのがSCP-2160-JPであると考えられます。 研究チームではSCP-2160-JP-Aの疑いがかけられた物品に対して統計学的・数学的なアプローチによって判定を行う手法を開発しました。簡単に言えば、ある物品が発見された際、これによって覆されることになる歴史的事実が統計的に考えて高い認識圧力を発生させているのであれば、それは極めて高い精度でSCP-2160-JP-Aであると言うことが可能です。 |
添付資料:2160-37F
レポート-2019A411_B2 |
報告者: 小林██博士 |
内容: (抜粋) サイト-81A9で発見された職員証についてSCP-2160-JP-Aの緊急認定を要求します。 我々はSCP-2160-JPについて重大な思い違いをしている可能性があります。共通する歴史認識によって生まれる認識圧力が現実を歪めたとき、何故その歴史認識を覆すような証拠が生成されているのか。おそらく鍵はここにあります。 |
補遺1: サイト-81A9に関する調査と研究の結果、SCP-2160-JPによる現実改変は現在における物体発生現象ではなく、負の時間方向に作用する過去改変事象であると推測されています。現代において発生したSCP-2160-JPは認識圧力の発生源となった歴史的事象Aに反する特定の歴史的事象¬Aを過去に遡って消去していると考えられます。
SCP-2160-JP-Aは過去改変事象により消去された特定の歴史的事象¬Aに関する史料の残存物であり、現代において発見(もしくは"再発見")されることで改変の影響を受けていない本来の歴史を明らかにできる可能性がある一方、SCP-2160-JP-Aを根拠とする歴史史観は現実からは既に消去されたものであり、一般に流布された場合不測の事態を引き起こす可能性があります。財団では本来存在していたであろう歴史の保護を目的としてSCP-2160-JP-Aの確保を継続することを決定しました。
添付資料:2160-9N1
レポート-2020N800_Q2 |
報告者: 小林██博士 |
内容: (抜粋) さて、ここに一枚の石板があります。これは私のデスクに厳重に収納されていたものですが、私はもちろん周囲の人間にも全くと言っていいほど心当たりがないものでした。表面には文字ではなく財団規格の画像コードが刻まれており、塗料を塗せば画像処理によってデータの再生が可能です。そうしてデータを確認したところ、その500年にも及ぶ、恐らく財団でも最長と思われる実験計画に関する情報を再生することができました。 石板の記録を信じるならば、実験に使用された収容サイトでは現実性計測装置の異常を示す記録はありませんでした。一方でカバーストーリーの流布が始まったとされる2019年5月初旬、これらの収容サイトの全てで同時に抗現実改変設備の機器故障が発生しています。冗長設備であるため収容物の保護には影響は無いとされていますが、状況として過負荷による破損が原因と思われ、該当部品のロット不良が疑われました。製造工程上の問題は今に至るまで発見されていませんが、もし仮に、その瞬間SCP-2160-JPによってこれまで財団が経験したこともないような異常な現実強度に曝されたのだとしたら、これらの事象をまとめて説明することは可能です。 |
補遺: 実験に使用された石板はSCP-2160-Aとして収容されました。 |
補遺2: 2019年から少なくとも2519年まで継続する実験の結果、現在適用中の任意のアノマリーに関するカバーストーリーが一般に流布されたまま遠未来まで残存し、かつ財団の収容活動が歴史的事実として一般に認知されなかった場合、SCP-2160-JPの発生によって過去に遡って財団の存在が消去される危険性が指摘されました。想定される最悪のシナリオでは、財団が過去から現在、未来に至るまでに収容する全てのアノマリーの収容違反が発生するものと思われます。
2020年時点で財団が保有する抗現実改変設備を使用していてもSCP-2160-JPによる現実改変を逃れることは極めて困難であると考えられるため、影響回避のために財団の管理下にあるカバーストーリーについてもプロトコル-"柄杓握り"の対象とすることが求められます。一方で特別収容プロトコルとして定期的な変更が不可能であるカバーストーリーが複数存在するため、画一的な対応は現実的ではないと判断されています。
いずれにせよ何らかの手段によって財団そのものがSCP-2160-JPの影響を受ける事態を回避する必要があり、現在O5評議会の指揮によって対応策の検討が進められています。
■低評価削除対象の改稿中
アイテム番号: SCP-1461-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1461-JPは施錠固定が可能な専用アイマスクを装着した状態でサイト-81██の標準人型オブジェクト収容室に収容します。
実験を除き専用アイマスクの取り外しは認められず、これを必要とする場合は事前と事後にAICによるクリアランステストを受診する必要があります。クリアランステストで異常が検知された場合はSCP-1461-JP及び対象の職員を拘束して精密診断を行ってください。SCP-1461-JPは財団による収容に比較的協力的ですが、収容違反の原因となり得る為SCP-1461-JPからの提案や申し出は全て却下して下さい。これらに違反した職員は即時解雇の対象となります。
SCP-1461-JP-A群は能動的な異常性を発揮しないため全個体の収容は見送られています。カバーストーリー"新種の精神病"を適用すると共に、これらの症状の緩和のために開発した『"クォータ"1461-B錠剤』を日本政府の協力を得て一般に流通させ、専門医の診断によって処方されるよう指導します。
説明: SCP-1461-JPは身長150cm程度、10代後半から20代前半の一般的な日系女性である元・エージェント木本のように認識される人型オブジェクトです。SCP-1461-JPの異常性は視界内で進行する事象Xで何らかの”偶発的な事故”によって1名以上の欠員5が発生し、かつ「自身が欠員の代理となる」というSCP-1461-JPの申し出が受け入れられることで起動します。申し出が受け入れられた場合、無差別的に発生する精神影響と記憶改竄によってSCP-1461-JPと対象の欠員1名の氏名や性別、職業に代表される社会的地位等、個人を識別しうる全ての情報が入れ替わって認識されるようになります。SCP-1461-JPの異常性は事象Xが終了するまでの間は再度起動することはありませんが、事象Xの終了後は待機状態に移行し、別の事象X'を目撃した場合に改めて起動することが判明しています。
文章等の記録や写真等の画像は異常性による改竄の影響は受けませんが、異常性の影響下にある人間が「入れ替わった人物」と「記録内の人物」が異なるような不自然な情報に接触したとしても両者が同一であるかのように認識します。機械を用いた判定は異常性の影響外にあることからSCP-1461-JPの収容にAICを用いることは有効であり、SCP-1461-JP実体はAICからの報告によれば40代前半の日系男性であると推定されています。目視等で認識される形状は収容前に発生した最後の入れ替わり6による精神影響の効果と推測されていますが、AICがエージェント・木本と判定する人物は2002年3月に自己終了していることが確認されました。
2000年7月頃、財団がアノマリーの早期発見のために市街に設置した監視カメラの画像自動解析結果と監視員による目視確認に異常な差異が発生していることから異常性が察知されました。2002年1月には追跡専用AIC"イルヴァ"の開発・投入によりSCP-1461-JP実体を確保、収容に成功しています。
SCP-1461-JPの異常性は生来のものと推測され、2000年までは数年から十数年に1回の頻度でのみ入れ替わりを行っていたものの、1999年から2001年までの期間で『終末論を信じ、悔い改めて善行を積むために社会貢献する』ことを目的として積極的な代理の申し出と入れ替わりを行っていたと証言、追跡調査によって事実確認されました。期間及び規模から発生・拡散した異常性の全容を正確に掌握することは困難であり、財団の現在の方針は異常性のこれ以上の発生・拡散防止に重点が置かれています。
SCP-1461-JPによる入れ替わりは基本的に非可逆的であり、異常性の完全な除去の試みは現在まで成功していません。このため事象Xの欠員と入れ替わったSCP-1461-JPが次に事象X’の欠員と入れ替わった場合、事象X’の欠員はこれ以降事象Xの欠員として認識され続けます。一連の異常性の影響は低い確率で時間経過によって逓減しますが、同時に「自分や知人がいつの間にか別の人間と入れ替わっていた」という妄想性障害に似た症状を発症します。この時主張される"入れ替わり"は事実であるものの異常性の影響によって周囲からは精神疾患の一種として識別され、専門医を受診することで異常性の影響が発覚するケースが増加しています。財団ではこれらの"症状"が顕在化した群をSCP-1461-JP-Aと定義し、異常性の隠蔽及び症状の緩和を目的としてクラスB記憶処理に含まれる薬品を元に限定的な記憶影響を発生させる『"クォータ"1461-B錠剤』を開発、SCP-1461-JP-Aの自覚症状を抑制する処方薬としてフロント企業から一般に流通させています。
SCP-1461-JP-Aは本人のものと人間が認識する血液型やDNA等の生体情報が実際のものと異なるケースが多く、輸血ミスによる死亡事故や指紋登録ミス、DNA鑑定の誤認による悪影響が懸念されることからカバーストーリー"新種の精神病"によってSCP-1461-JP-Aの早期発見・早期治療と『"クォータ"1461-B錠剤』服用以後の献血等の禁止を啓蒙しています。
2018年8月現在、SCP-1461-JP-Aは30万人程度存在すると推測されています。
アイテム番号: SCP-1461-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1461-JPはサイト-81XX所属の研究員代行として活性化した状態で自己収容されます。住居兼勤務スペースとして標準人型オブジェクト収容室を割り当て、通常の福利厚生に準じた扱いが許されますが外出許可は認められません。2017年8月より研究員代行の業務としてSCP-1461-JP自身の来歴レポート作成が割り当てられ、レベル3/サイト-81XXクリアランスが付与されていますが、サイト-81XXには他のオブジェクトや財団機密文書を保管しないため事実上レベル3クリアランスは効力を持たない事に留意して下さい。
現在の特別収容プロトコルである"研究員代行"では3ヵ月の任期満了後、後任として指名した研究員の着任初日の出勤を妨害し、不在となった新任研究員の代理としてSCP-1461-JPを再度指名することで活性状態による収容を維持する必要があります。
説明: SCP-1461-JPは身長160cm程度、推定35歳の一般的な日系成人女性と同等の外見的特徴を有する人型オブジェクトです。生体機能は一般的な人間と変わりありませんが、SCP-1461-JPの異常性は視界内で進行する事象Xで何らかの”偶発的な事故”が発生し、1名以上の欠員7が発生することで活性化します。SCP-1461-JP自身が事象Xを選択することはできず、事象Xで発生する事故や欠員の原因についてもこれまでのところ異常性は認められません。不活性化の状態で"何らかの終了条件が明確に存在する事象"でのトラブルに遭遇した場合でのみ活性状態に移行するため、活性化した状態で更に別の事象で発生したトラブルに遭遇したとしても異常性が改めて活性化することはありません。
活性化したSCP-1461-JPは事象Xの全ての関係者に対して「SCP-1461-JPに欠員の代理を任せなければならない」という強い思い込みを植え付けます。SCP-1461-JP自身は欠員の代理について常に協力的であり、精神影響を受けた事象Xの関係者から欠員の代理の依頼を受けた場合、全てのケースで受託して事象Xが当初の予定通り進行するように努めます。事象Xの全行程が完了する、または終了条件が満たされた段階でSCP-1461-JPは不活性状態に移行し、関係者が受けていた全ての精神影響が消失します。SCP-1461-JPの代理行為は精神影響による行動強制の結果本来必要となる手続きのサボタージュに代表される何らかの不作為・不法行為を伴うことが多く、不活性状態となったSCP-1461-JPに対して金品贈与等による口止めを行うケースが散見されます8。
これまで財団が追跡できたSCP-1461-JPの代理行為は3█件存在し、最短のものでケース-24:"結婚式参列者"9、最長のものではケース-1:"分娩中に死亡した新生児"10が確認されています。
SCP-1461-JPは2017/07/██、東京都██区にて回収直後のSCP-████-JPを収容先のサイト-81XXに輸送中だったエージェント・セントラルが要注意団体[編集済み]の襲撃を受けて行動不能となった場面に偶然居合わせ、この結果活性状態に移行して輸送任務を代行し、サイト-81XXに出現するというインシデントが発生しました。サイト職員にSCP-████-JPを引き渡したことで代理行為が終了し、精神影響が解除された結果異常性が露見したため財団での収容に至りました。詳細はインシデント記録:1461-08-1913を参照して下さい11。
インタビュー記録 - 2017/07/██
対象: SCP-1461-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューはSCP-1461-JPの初期収容時に試みられたものです。現在の収容プロトコルが確立する前であることに留意して下さい。
<録音開始>
インタビュアー: インタビューを開始しますが、今後はあなたの事を山田さんではなくSCP-1461-JPと呼びますので、そのつもりでいて下さい。
SCP-1461-JP: はい、分かりました。
インタビュアー: まず、あなたがここに来ることになる前に何をしていたかを教えて下さい。
SCP-1461-JP: はい。去年の夏頃、██駅のホームで倒れた男の人を介抱していたら、絶対に成功させなきゃいけないプロジェクトがあるので代わりに勤めてほしい、と頼まれましたので、その人の代わりに1年間仕事をしていました。
インタビュアー: その方は山田██さん、ですね。住む場所などはどうしていましたか?
SCP-1461-JP: 山田さんの鞄を預かっていたので、その中に入っていた運転免許証に書かれていた家の場所を調べて、鞄の中の鍵を使って入りました。1年間の間は山田さんの代わりにその家に住んで、会社に出勤していました。インタビュアー: 山田さんの務め先や近所の人は、山田さんの代わりにあなたが現れた事についてどのような反応を?
SCP-1461-JP: はい、いつものように最初は驚かれていましたが、事情を説明すると納得していただいた様子で、その後は特に何かを言われることもありませんでした。インタビュアー: 山田さんが携わっていたプロジェクトは専門知識を要する難しいものでしたが、代理を引き受けるにあたって戸惑ったりしませんでしたか?
SCP-1461-JP: 誰かの代わりをすることには慣れていましたし、同じようなことも何度かありましたので、特には。実際、私が専門知識で何かしなきゃいけないなんてこともほとんどありませんでしたし、それほど問題もありませんでした。インタビュアー: なるほど。では、そのプロジェクトは結局どうなりましたか?
SCP-1461-JP: はい。山田さんと代わってからすぐは少しギクシャクしましたけど、その後はチームも一致団結できて、難しいお仕事でしたが無事終えることが出来ました。私もお役御免になりましたが……その、労働法とか、そういうのをちょっと無視していましたので、いささかばかり口止めを頂いて会社とお別れしました。
インタビュアー: 法律関係で必要な手続きが行われていなかった事について、あなた自身は何か思う事はありませんか?
SCP-1461-JP: えーっと……。これまでもそういうことはありましたけれど、きっと皆悪気は無くて、慌ててたり急いでいてうっかり忘れてしまっていただけなんだと思います。インタビュアー: あなたは山田さんの務め先から口止めの依頼と共に現金[編集済み]円を受け取っているようですが?
SCP-1461-JP: そうですね。そんなもの戴かなくっても言いふらしたりはしないんですけど、今までも皆さんそうしないと気が済まないっていう感じでしたので今回も受け取りました。あ、私が話したってことは山田さんや他の人には内緒にしておいてくださいね。
インタビュアー: 我々は警察ではありませんし、山田さんたちが困るようなことはしないつもりですよ。ところで"代理"が終わってから山田さんと会話をする機会はありましたか?
SCP-1461-JP: えーと……お別れをする時に一度だけ会社でお会いしただけです。その後は特には。インタビュアー: 分かりました。以上でインタビューを終わります。
<録音終了>終了報告書: SCP-1461-JPは異常性の発現とその結果について特別な意識をあまり有していないように感じられます。異常性の影響下にあった人物や組織が結果的に法に触れる行為を行っていたり、そういった行為に対する"口止め"に対しても悪意や抵抗感といった感情が薄く、逆に自己正当化の傾向も見られることからSCP-1461-JP自身も異常性の影響を受けている可能性が考えられます。
SCP-1461-JPに関する調査は過去の事象Xの関係者がいずれも行方不明または非協力的であったため難航していた事から、大森博士から特別収容プロトコル-"研究員代行"とSCP-1461-JPに自身の来歴を記述させる試みが提案されました。この提案は2017/08/01に承認されています。
インタビュー記録 - 2017/08/██
対象: SCP-1461-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューは現在の収容プロトコルが制定された直後に試みられました。
<録音開始>
インタビュアー: SCP-1461-JP、ここでの生活は慣れましたか?
SCP-1461-JP: はい、部屋から出られないのは少し戸惑いましたが、それ以外は特に問題ありません。
インタビュアー: なるほど。何か必要なものがあれば言って下さい。提供できるかどうかは保証できませんが、検討します。
SCP-1461-JP: そんな……わざわざ名前までいただいてしまったので、かえって悪いような気分です。
インタビュアー: 名前?
SCP-1461-JP: SCPなんとか、っていうのですよ。ちょっと変わった名前ですけど、今まで私って自分の名前が無かったのでとってもうれしいです。インタビュアー: 今まではどのように呼ばれていたんですか?
SCP-1461-JP: その時どきで代わってあげた方の名前をそのまま使っていました。この前は越前さん、その前は山田さん、その前はエドワードさん、その前は小暮さん……だったかな。一番長く使ってた[編集済み]っていう名前も結構気に入ってたんですけど、やっぱり私のじゃなかったんですよね。私だけの名前を貰ったのは生まれてはじめてかも?インタビュアー: なるほど。あなたの荷物にあったノートの名前はこれまでに呼ばれたことがある名前でしたか。
SCP-1461-JP: あ、はい。見られちゃった、なんか恥ずかしいな。あのノート、どこにあります?インタビュアー: 他の荷物と一緒に保管してあります。そうだ、あなたがこれまでに名乗ったことのある名前と、その時の状況を思い出してレポートにすることはできますか?
SCP-1461-JP: えーと……たぶん、出来ると思います。
インタビュアー: 分かりました。では、準備もありますので詳しい話は明日改めてお知らせします。
<録音終了>
終了報告書: SCP-1461-JPの来歴をSCP-1461-JP自身に記述させる試みが承認された事を受け、本インタビューをもって予定通り開始しました。所持品に含まれていた私日記と思われるノートは異常性が認められないため、担当研究員の裁量の範囲として収容室内に保管する許可を与えています。インタビュー後の3日間で得られた情報を元にフィールドエージェントによる裏付け調査が開始されていますが、記憶違いと思われる僅かな差異を除き、SCP-1461-JPが作成するレポートは概ね正確であるようです。今後も同様の調査を継続します。
SCP-1461-JPがもたらす強制力の原理は現時点では解明されていません。ケース-18:"離島在住の曽祖父の臨終"では熊本県阿蘇市で活性化したSCP-1461-JPの強制力の影響が即座に東京都三宅島に適用されていたため最低800km/h以上の速度で伝播すると推測されています。ケース-9:"アメリカから帰国する父の出迎え"ではSCP-1461-JPが活性化した時点で既に離陸済みの飛行機に搭乗していた大隈██氏が、いわゆるお土産の1つとしてSCP-1461-JPの身体サイズと合致する婦人向け衣料品を所持していたものの、大隈氏の家族構成や交友関係から該当の物品を購入する合理的な理由が存在しないことから、強制力が時間を遡って適用された可能性が示唆されています。
インタビュー記録 - 2018/05/██
対象: SCP-1461-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューは特別収容プロトコルとして4回目の研究員代行に指名した直後に行われました。
<録音開始>
インタビュアー: SCP-1461-JP、今日からまた3か月の間、改めてよろしくお願いします。
SCP-1461-JP: はい、よろしくお願いします!
インタビュアー: 何か気になることや確認しておきたいことはありますか?
SCP-1461-JP: いえ、特にはありません。
インタビュアー: なるほど。……4回目の代行ですが、慣れましたか?
SCP-1461-JP: そうですね……はい、同じことを何度もするのは初めてですけど、たぶん慣れてきたんだと思います。
インタビュアー: 今までは同じ役目の代理を何度も続けたことは無かったんですね。何か感じる事はありませんか?
SCP-1461-JP: いいえ、特には。私、自慢じゃありませんけど今までずっと誰かの代わりをお願いされて断ったことはありませんので!今回も頑張ります。インタビュアー: 分かりました。疑問に思ったことがあればいつでも言って下さいね。
SCP-1461-JP: 大丈夫です!ありがとうございます!
<録音終了>
終了報告書: SCP-1461-JPは財団による収容に協力的ですが、何度も同じ研究員代行として指名されるという異常事態について疑念を抱いている様子はありません。この事実からSCP-1461-JPは財団に対して従順である訳ではなく、その本質は"自身の異常性への盲従"であると推測されます。予定外の事故によってSCP-1461-JPが財団の制御外で活性状態に移行し、別の人物の代理となった場合には自身の異常性に盲目的に従って行動すると予測され、この結果高い確率で収容違反が発生する恐れがあることから収容プロトコルを不活性状態での収容に変更することは高リスクであると判断します。
補遺1: 収容前のSCP-1461-JPが株式会社[編集済み]の従業員である山田██氏の代理として成功裏に完遂させたプロジェクトは、山田氏本人の能力では破綻することが確実視されていたことが関係者の証言から判明しました。
SCP-1461-JPに代理を委託した山田氏は2016/12/██に搬送先の病院から退院して新潟県の実家で療養していましたが、SCP-1461-JPの代理行為が完了した2017/07/██に職場復帰しています。しかしSCP-1461-JPによるプロジェクト成功を代理行為の隠ぺいのために山田氏本人の功績とされている事に強いストレスを受けた結果精神疾患を発症し、2017/09/██頃に失踪、2017/11/██に新潟県の実家近くの山中で死亡した状態で発見されています。
SCP-1461-JPが代理となった期間が6ヵ月を越えるケースでは欠員となった人物が異常性の不活性化後に自死する頻度が有意に高く、異常性との関連を慎重に調査しています。
補遺2: 1983年に開設されたサイト-81XXの設置承認記録がサイト設置規定12に反して現存していないことが判明しました。当時の事情を知る職員は調査を担当している査察部に出頭して下さい。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██所属の研究員代行として活性化した状態で自己収容されます。住居兼勤務スペースとして標準人型オブジェクト収容室を割り当て、通常の福利厚生に準じた扱いが許されますが外出許可は認められません。研究員代行の業務対応のためにレベル3/サイト-81██クリアランスが付与されていますが、サイト-81██には他のオブジェクトや財団機密文書を保管しないため、事実上レベル3クリアランスが無意味であることに留意してください。
現在の特別収容プロトコルである"研究員代行"では3ヵ月の任期満了後、後任として指名した研究員の着任初日の出勤を妨害し、不在となった新任研究員の代理としてSCP-XXX-JPを再度指名することで活性状態による収容を継続させる必要があります。
説明: SCP-XXX-JPは身長160cm程度の一般的な日系成人女性と同等の外見的特徴を有する人型オブジェクトです。生体機能は一般的な人間と変わりありませんが、SCP-XXX-JPの異常性は視界内で進行する事象Xで何らかの”偶発的な事故”が発生し、1名以上の欠員13が発生することで活性化します。事象Xで発生する事故や欠員の原因に異常性は認められず、SCP-XXX-JP自身が事象Xを選択することもできません。"何らかの終了条件が明確に存在する事象"でのトラブルに不活性状態で遭遇した場合でのみ活性状態に移行するため、活性状態で更に別の事象でのトラブルに遭遇したとしても改めて活性状態に移行することはありません。
活性化したSCP-XXX-JPは事象Xの全ての関係者に対して「SCP-XXX-JPに欠員の代理を任せなければならない」という強い思い込みを植え付けます。SCP-XXX-JP自身は欠員の代理について常に協力的であり、精神影響を受けた事象Xの関係者より代理の依頼を受けた場合、全てのケースで受託して事象Xが当初の予定通り進行するように努めます。事象Xの全行程が完了する、または終了条件が満たされた段階でSCP-XXX-JPは不活性状態に移行し、関係者が受けていた全ての精神影響が消失します。SCP-XXX-JPによる代理行為は必要な手続きのサボタージュに代表される何らかの不作為・不法行為を伴うことが多く、不活性状態に移行したSCP-XXX-JPは大半のケースにおいて金品贈与等による口止めを受けた上で解放されています。
これまで財団が追跡できたSCP-XXX-JPの代理行為は3█件存在し、最短のもので結婚式参列者の代理(30分)、最長のものでは分娩中に死亡した新生児の代理(13年4ヵ月)が確認されています。
SCP-XXX-JPは2017/07/██、東京都██区にて回収直後のSCP-████-JPをサイト-81██に輸送中だったエージェント・セントラルが要注意団体[編集済み]の襲撃を受けて行動不能となった場面に偶然居合わせ、この結果活性状態に移行して輸送任務を代行しサイト-81██に出現するというインシデントが発生しました。サイト職員にSCP-████-JPを引き渡したことで代理行為が終了し、精神影響が解除された結果異常性が露見したため財団での収容に至りました。詳細はインシデント記録:XXXX-08-1913を参照して下さい。
インタビュー記録 - 2017/07/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューはSCP-XXX-JPの初期収容時に試みられたものです。現在の収容プロトコルが確立する前であることに留意して下さい。
<録音開始>
インタビュアー: インタビューを開始しますが、今後はあなたの事を山田さんではなくSCP-XXX-JPと呼びますので、そのつもりでいて下さい。
SCP-XXX-JP: はい、分かりました。
インタビュアー: まず、あなたがここに来ることになる前に何をしていたかを教えて下さい。
SCP-XXX-JP: はい。去年の夏頃、██駅のホームで倒れた男の人を介抱していたら、絶対に成功させなきゃいけないプロジェクトがあるので代わりに勤めてほしい、と頼まれましたので、その人の代わりに1年間仕事をしていました。
インタビュアー: その方は山田██さん、ですね。住む場所などはどうしていましたか?
SCP-XXX-JP: 山田さんの鞄を預かっていたので、その中に入っていた保険証に書かれていた家の場所を調べて、鞄の中の鍵を使って入りました。1年間の間は山田さんの代わりにその家に住んで、会社に出勤していました。インタビュアー: 山田さんの務め先や近所の人は、山田さんの代わりにあなたが現れた事についてどのような反応を?
SCP-XXX-JP: はい、いつものように最初は驚かれていましたが、事情を説明すると納得していただいた様子で、その後は特に何かを言われることもありませんでした。インタビュアー: 山田さんが携わっていたプロジェクトは専門知識を要する難しいものでしたが、代理を引き受けるにあたって戸惑ったりしませんでしたか?
SCP-XXX-JP: 誰かの代理をすることには慣れていましたし、同じようなことも何度かありましたので、特には。実際、私が専門知識で何かしなきゃいけないなんてこともほとんどありませんでしたし、それほど問題もありませんでした。インタビュアー: なるほど。では、そのプロジェクトは結局どうなりましたか?
SCP-XXX-JP: はい。山田さんと代わってからすぐは少しギクシャクしましたけど、その後はチームも一致団結できて、難しいお仕事でしたが無事終えることが出来ました。私もお役御免になりましたが……その、労働法とか、そういうのをちょっと無視していましたので、いささかばかり口止めを頂いて会社とお別れしました。
インタビュアー: 代理が終わってから山田さんと会話をする機会はありましたか?
SCP-XXX-JP: えーと……お別れをする時に一度だけ会社でお会いしただけです。その後は特には。インタビュアー: 分かりました。以上でインタビューを終わります。
<録音終了>
インタビュー記録 - 2017/08/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューは現在の収容プロトコルが制定された直後に試みられました。
<録音開始>
インタビュアー: SCP-XXX-JP、ここでの生活は慣れましたか?
SCP-XXX-JP: はい、部屋から出られないのは少し戸惑いましたが、それ以外は特に問題ありません。
インタビュアー: なるほど。何か必要なものがあれば言って下さい。提供できるかどうかは保証できませんが、検討します。
SCP-XXX-JP: そんな……わざわざ名前までいただいてしまったので、かえって悪いような気分です。
インタビュアー: 名前?
SCP-XXX-JP: SCPっていうのですよ。ちょっと変わった名前ですけど、今まで私って自分の名前が無かったのでとってもうれしいです。インタビュアー: 今まではどのように呼ばれていたんですか?
SCP-XXX-JP: その時どきで代わってあげた方の名前をそのまま使っていました。この前は越前さん、その前は山田さん、その前はエドワードさん、その前は小暮さん……だったかな。一番長く使ってた[編集済み]っていう名前も結構気に入ってたんですけど、やっぱり私のじゃなかったんですよね。私だけの名前を貰ったのは生まれてはじめてかも?インタビュアー: なるほど。あなたの荷物にあったノートの名前はこれまでに呼ばれたことがある名前でしたか。
SCP-XXX-JP: あ、はい。見られちゃった、なんか恥ずかしいな。あのノート、どこにあります?インタビュアー: 他の荷物と一緒に保管してあります。そうだ、あなたがこれまでに名乗ったことのある名前と、その時の状況を思い出してレポートにすることはできますか?
SCP-XXX-JP: えーと……たぶん、出来ると思います。
インタビュアー: 分かりました。では、準備もありますので詳しい話は明日改めてお知らせします。
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JPの来歴をSCP-XXX-JP自身に記述させる試みが承認された事を受け、本インタビューをもって予定通り開始しました。所持品に含まれていたノートは私日記と思われますが異常性が認められないため担当研究員の裁量の範囲として収容室内に保管する許可を与えています。インタビュー後の3日間で得られた情報を元にフィールドエージェントによる裏付け調査が開始されていますが、記憶違いと思われる僅かな差異を除き、SCP-XXX-JPが作成するレポートは概ね正確であるようです。今後も同様の調査を継続します。
インタビュー記録 - 2018/05/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 大森博士
付記: 本インタビューは特別収容プロトコルとして4回目の研究員代行に指名した直後に行われました。
<録音開始>
インタビュアー: SCP-XXX-JP、今日からまた3か月の間、改めてよろしくお願いします。
SCP-XXX-JP: はい、よろしくお願いします!
インタビュアー: 何か気になることや確認しておきたいことはありますか?
SCP-XXX-JP: いえ、特にはありません。
インタビュアー: なるほど。……4回目の代行ですが、慣れましたか?
SCP-XXX-JP: そうですね……はい、慣れてきたんだと思います。インタビュアー: 分かりました。疑問に思ったことがあればいつでも言って下さいね。
SCP-XXX-JP: 大丈夫です!ありがとうございます!
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JPは財団による収容に協力的ですが、何度も同じ研究員代行として指名されるという異常事態について疑問を抱いている様子はありません。この事実からSCP-XXX-JPは財団に対して従順である訳ではなく、その本質は"自身の異常性への盲従"であると推測されます。予定外の事故によってSCP-XXX-JPが財団の制御外で活性状態に移行し、別の人物の代理となった場合には自身の異常性に盲目的に従って行動すると予測され、この結果高い確率で収容違反が発生する恐れがあることから収容プロトコルを不活性状態での収容に変更することは高リスクであると判断します。
補遺: 収容前のSCP-XXX-JPが株式会社[編集済み]の従業員である山田██氏の代理として成功裏に完遂させたプロジェクトは、山田氏本人の能力では破綻することが確実視されていたことが関係者の証言から判明しました。
SCP-XXX-JPに代理を委託した山田氏は2016/12/██に搬送先の病院から退院して新潟県の実家で療養していましたが、SCP-XXX-JPの代理行為が完了した2017/07/██に職場復帰しています。しかしSCP-XXX-JPによるプロジェクト成功を代理行為の隠ぺいのために山田氏本人の功績とされている事に強いストレスを受けた結果精神疾患を発症し、2017/09/██頃に失踪、2017/11/██に新潟県の実家近くの山中で死亡した状態で発見されています。
SCP-XXX-JPが代理となった期間が6ヵ月を越えるケースでは欠員となった人物が異常性の不活性化後に自死する頻度が有意に高く、異常性との関連を慎重に調査しています。
Central_ECHCentral_ECH 6 Sep 2018, 23:40
評価が振るわないことから改稿を行いました。
改めて、または引き続きご意見・ご感想・voteをいただけますと幸いです。
なお、「サイト-81XX」の表記は修正漏れではなく意図したものです。
sandselbstmord 26 Sep 2018, 07:54
この記事は評価が-3を下回った為、「低評価による削除」の対象となりました。
この通知から72時間後までに、評価-2以上にならなければ削除となります。
詳しくはこちらを参照して、適切な対処を行ってください。
sandselbstmordsandselbstmord 26 Sep 2018, 10:45
異常性によって代理役を押し付けられる割にそれが致命的な大失敗になっている訳ではなく(少なくともそれの事例は出されていない)、事象が終了すれば異常性が発覚するにもかかわらず財団と直接関わるまではその存在が(異常性とは無関係なモラルの崩壊で隠蔽されて)発覚せず、代理された人物は異常性と関係があるのかわからないながらもそれをとても気に病み、かと言って(財団が察知できる程度に)騒ぎ立てるようなこともしないなど、SCP-1461-JPが代理役を行った現場での"空気感"のようなものが見えづらいというのが主なマイナス要因でした。
SCP-1461-JPの異常性の伝達速度や遡求性なども必要があるようには感じませんでしたし、SCP-1461-JP本人もどことなく非人間的で、結果として記事全体の印象が「よくわからない」ままでした。
加えて、SCP-1461-JPの異常性が「モラルハザード」というテーマの話を作る上で現状では不適切だと思いました。精神影響を出すならそのまま全てを精神影響に由来させてモラルハザードを起こさせるか、あるいは精神影響とは無関係(あるいは精々代理役を行う上で周囲がそれを自然に受け入れるという程度にする)なままでモラルハザードを起こさせたりなどの方が良いと思います。
解釈の誤りや個人的な印象もあるかもしれませんが参考になれば幸いです。
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ワルコン18 euclid scp-jp 人間型 削除通知 精神影響 記憶影響
本作は悪コン応募作品です。
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SCP-1461-JP自身に悪意はありませんが、結果的に異常性の影響を受けた人がモラルハザードを引き起こすことから「悪」と解釈しています。
また、もともとの「Vice」にも「代理」や「副-[役職]」という意味があることから、ダブルミーニングとしています。
■作成中、またはネタがイマイチなので塩漬け中
- 何でもない日
- 1ドル札の彷徨い人
- ゲイリー・ストゥーの財団職員
- 缶詰の貝
- tale「彼と彼女の事情」改稿・修正版
- tale「彼と彼女の事情」改稿
- Tale 事案760-1000
- 雨乞い(EX)
- 耐久実験
- 超時空要塞
- 永久に美しく穢れ無き少女
- 雨乞い
- SCP-760-JP SCP太郎
- SCP太郎
- メトロザメ
- SCP-612-JP 忘れられた災害
- 忘れられた災害 Ver.1
- 懐かしくも遠い音色_改二
- 懐かしくも遠い音色_改
- 懐かしくも遠い音色
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの特異性は1999年以降確認されておらず、何らかの要因によって無力化されたものと推測されています。過去の特別収容プロトコル-”バースデーケーキ”は2001年以降適用されません。
説明: SCP-XXX-JPは現在の太陽暦における██/██に相当する一日に関する異常性です。SCP-XXX-JPは財団フロント企業の表面上の業務として196█年に高知県[編集済み]にて実施された調査の過程で発見され、Anomalousアイテム「██/██生まれがいない都市」として保管されましたが、その後の調査において特異性が人間の出生に限定されない可能性が浮上し、オブジェクトとしての収容が決定されました。
発見時の状況からSCP-XXX-JPの特異性は「特定地域において該当の一日の間で人間が生まれない事象」と推定され、日本国管理下にある出生証明書において他の地域との比較による同定が試みられた結果██/██を出生日とする届け出の件数が統計的に作為が疑われる規模で少なかったことが判明し、1969年に暫定Safeクラスオブジェクトとして登録されています。その後2年をかけて行われた全世界的な調査の結果、厳密な戸籍管理が行われている国家の全てにおいて██/██が出生日となった人間が統計的に極めて有意に少なく、かつその全てが誤認や誤記、サボタージュ、偽造等の不正行為、書類不備等による不正確な登録であり、正しい情報ではなかったことが判明しました。1970年以降も継続して観測が行われていますが、1999年までの間に状況の変化は確認されていません。
事由 | 人数 | 補足 |
着床が確認されなかった | 4名 | 実験終了の旨を通達後、転属 |
早期流産 | 3名 | カウンセリング後、転属 |
後期流産 | 2名 | 本人の希望があり、承認を受けて記憶処理を実施 |
実験途中で終了 | 1名 | 妊娠中毒症による |
██/██より前に出産 | 2名 | 早産の可能性があり抑制剤を投与していたが、副作用が懸念され実験中止 |
1986/██/██の前日まで妊娠状態を維持した18名のDクラス職員に対して同日23:30より陣痛促進剤を投与、8時間以内に全員が陣痛を訴えたものの██/██ 20:00時点で娩出が完了したDクラス職員は0人でした。このため20:15より3名に対して緊急帝王切開手術を行ったところ全員の胎児が心肺停止状態で娩出され、管理体制上の問題から追加の緊急帝王切開は見送られました。翌日00:11に最初のDクラス職員が自然分娩による娩出に成功し、23:40までに残り14名全員の娩出が終了しています。
██/██に緊急帝王切開により心肺停止状態で娩出された3体を含む5体の新生児が出生後5時間~24時間で死亡しました。他の新生児のうち6体で低出生体重及び何らかの身体機能の未発達が認められ、さらに3体は主要臓器の未発達が原因で出生後72時間以内に死亡しました。出産を行った18名のDクラス職員のうち2名が娩出後72時間以内に死亡していますが、いずれのケースにおいても医学的根拠を疑うに足る状況を捉えることはできず、異常性は認定されませんでした15。実験後72時間以上生存した新生児10体は出生後3ヵ月間と設定された研究観察期間においても異常性は確認されなかったため、事前に用意されたパーソナルデータを適用し財団管理下の養護施設に収容しました。3年間隔で行われている状況確認においても特異性は認められていません。実験後生存した16名のDクラス職員については全員が反抗的な態度を示したものの想定された範囲を超える反応を示す職員はおらず、異常性も認められなかったことから記憶処置の後に通常の転属処理が行われました。
職員名 | 実験内容 | 結果 |
D-19478 | 頸部を切断 | D-19478の頸部は問題なく切断されたが、脳波の反応は微弱ながらも24時間継続した。脳波の停止を確認後、終了判定された |
D-79962 | 致死量の筋弛緩剤を投与 | 心肺停止を確認。18時間後に心拍および自律呼吸が自然回復したが翌日0:32に再度停止。その後終了判定された |
D-82155 | 20kgの拘束具を付けて水深5mのプールに投下 | 約12分後に脳波が停止。腕部及び脚部において筋線維に不自然な収縮が観測され、24時間継続後に消失。その後終了判定された |
D-83361 | 実験中止 | 十分に加熱した溶鉱炉への投下が予定されたが、センサー機器の耐熱性の問題で状態を正確に観測することが困難であることが判明し、中止 |
1991/04/██、[編集済み]においてカバーストーリー"メモリアルデー"を適用し、██/██を『何でもない日』に制定しようとしたところ、『何でもない日』ではなく『何でもない日』として認知され、その内容も本来の『何でもない日』から『何でもない日』ア『何でもない日』ッアハ██/██コエイイウヒア『何でもない日』ヲケ『何でもない日』nアバア゙ア『何でもない日』ハアテアヒ『何でもない日』アニア██/██アaアッ『何でもない日』アハコベ██/██ヒケフアァ『何でもない日』キルケニ██/██ハ『何でもない日』ウケロゲ██/██ハ『何でもない日』ダ██/██アハア゙アハ『何でもない日』アテアヒ『何でもない日』アニアメ『何でもない日』アaアッ『何でもない日』アハコムイヒレレキハア゙アハアテアヒアニアムイシアaェ██/██ククケを得られませんでした。詳細はインシデント-"33QW‐5612A-S"を参照して下さい。
以上の状況からSCP-XXX-JPの特異性は人間の生き死にに関わらず、「██/██を何らかの意味を持つ一日にしない」というものであると推測されています。
補遺: 1999/██/██、過去の観察結果を覆す事象として全世界において統計的に不自然ではない数の出生が報告され、同時にインシデント-"33QW‐5612A-S"の解消が確認されたことからSCP-XXX-JPの異常性が喪失した疑いが浮上しました。1999年を含めた3年間を経過観察期間と設定したところ2000年及び2001年も同様の状況であったことから、現在はSCP-XXX-JPの異常性は失われたと考えられています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8181の低脅威オブジェクト収容室に設置された小型金庫に収容されています。SCP-XXX-JPの収容維持のため2~3日に1回の頻度でプロトコル-"おつかい"を実施する必要があります。
レベル3/XXXを所持する職員は常時7名を維持し、欠番が発生した場合には適切に補充を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは1943年にアメリカ合衆国内で発行された1枚の1ドル紙幣です。一般的な1ドル紙幣の耐用年数を大幅に越える年月を経過している一方で、劣化の状態は通常の50%程度に留まっていることから未知の現象によって保護されていると考えられています。
SCP-XXX-JPの所有者(以後、SCP-XXX-JP-1と表記)は印刷されたジョージ・ワシントン像と思考による会話が可能で、インタビューにより対象が"ビル"と名乗っていることが判明しています。
アイテム番号: SCP-1973-JP-J
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-1973-JP-Jはサイト-██に収容され、疑似記憶を植え付けたDクラス職員によりサイト-██は運営されます。サイト-██は全ての財団データベースから隔離され、常に偽装データが送信されます。職員は特別な理由がない限りサイト内での業務を行い、サイト外での活動後は記憶処理を施す必要があります。サイト管理者および14名のレベル3職員はサイト-██職員を操作し収容を維持し、必要があれば外部への協力を要請する必要があります。
SCP-1973-JP-Jの全ての行為に対して「妨害」を行うことは禁止されています。SCP-1973-JP-Jに関連するすべての事項は精査を行い、少しでもリスクがあると認められた場合は却下されます。20██/██/██以降、オペレーション-"不可抗力"を実験目的で実施することは安全性の検証が完了するまで凍結されています。
説明: SCP-1973-JP-Jは身長175cm、体重75kgの日本人男児と見られる人型オブジェクトです。過去財団にてエージェント・セントラルとして雇用されていましたが、異常性の発覚により収容が決定されました。但し、後述する理由により現在も解雇されていないことに注意して下さい。
SCP-1973-JP-Jは現実改変能力を有しており、財団の保有するあらゆるテクノロジーをもってしてもその異常性を直接観測できなかったことから、既存のヒューム理論では説明不可能な原理によって事象を引き起こしているものと推測されます。
SCP-1973-JP-Jの異常性の1つは、SCP-1973-JP-Jが財団の職務に従事している際に何らかの「妨害」を受けた場合、妨害者が「要注意団体所属である」という現実改変を行うことです。この現実改変能力の発動は不随意であり、同時に制御不能です。
以下は過去にSCP-1973-JP-Jが遭遇したとされる要注意団体及びその際の状況の一部です。
要注意団体 | SCP-1973-JP-Jが遭遇した状況 |
日本生類創研 | サイト-81██で発生したSCP-███-JPの収容違反事件に関与。この事件がきっかけとなり財団職員としての採用が決定されたが、20██/██/██時点で財団が所持する記録を照合したところSCP-1973-JP-Jは当時誕生していないことが判明した |
株式会社R.G.B.プランニング | 調査現場にて所属不明のテレビクルーと遭遇。妨害者は身元確認中に忽然と姿を消したが、外見的特徴から要注意団体の関与が推測された |
"負号部隊" | 旧日本軍研究施設の調査中に付近住人からの騒音クレーム対応中、突如として妨害者が発砲。妨害者は居合わせた機動部隊により即時終了。後の調査により要注意団体所属の人物であった疑いが濃厚となる |
アーキテクチャならびにワインと味噌汁の会 | サイト-81██に移動中、交通事故に遭遇。妨害者は一度立ち去った後、再び引き返して車外にて状況確認中だったSCP-1973-JP-Jを跳ねる。妨害者は輸送途中だったAnomalousアイテムの強奪を試みたものの、機動部隊の接近を察知して逃走。妨害者は現在も行方不明 |
酩酊街 | 業務従事中、いわゆる"カニカニ詐欺"に遭遇。後日送付された品物に要注意団体の関与が認められた |
販売員ミヨコ | 西武██線███駅構内にてキャッチセールスに捕まり、妨害者を確認したところ要注意団体だった |
ワンダーテインメント博士 及び "博士" | JR██線にて移動中に酔客同士の喧嘩に巻き込まれたところ、トラブルを起こした二人が要注意団体だった |
2つ目の異常性は、SCP-1973-JP-Jが自身の異常性を発揮した結果死亡した際に発生する更なる現実改変能力です。SCP-1973-JP-Jは何らかの理由16によって一命を取り留めた状態となり、同時にSCP-1973-JP-Jの年齢は26歳にリセットされます。SCP-1973-JP-Jは2つの異常性を除けば知能指数、身体能力とも一般的な成人男性の範疇に留まるため、多くの場合1つ目の異常性によって発生した要注意団体によって致命的な状態に陥り、2つ目の異常性を引き起こす原因となります。この連鎖的な異常性の発現が繰り返された結果、財団が保有するエージェント・セントラルのプロフィールのうち『雇用理由』に関する情報に致命的な齟齬が発生し、異常性が発覚することになりました。SCP-1973-JP-Jの現実改変能力はその特定までの間に最低██回発生していたものと推測され、これによる影響を正確に特定することは不可能です。
異常性が発覚し収容が決定された後の解雇手続きにおいてSCP-1973-JP-Jに対してクラスC-記憶処理の実施を予定していた職員がSCP-1973-JP-Jの収容違反を試みたため拘束、尋問を行ったところ犀賀派の工作員であることが判明しました。本来の解雇手続きそのものがSCP-1973-JP-Jの異常性の起動条件を満たす危険性が指摘されたため、現在の特別収容プロトコルが決定されています。
補遺: SCP-1973-JP-Jが最初に関与したと思われるSCP-███-JPの収容違反事件に関連する物品を再度検証したところ、以下のネームタグが他の物証と関連付けることができませんでした。SCP-1973-JP-J自身との関係性について慎重に調査が行われています。
日本生類創研 [判別不能]渉外部門
渉外員 [判別不能]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはタイプE循環装置を設置した水槽に収容する必要があります。使用された海水は再処理し、環境アセスメント条項をクリアした場合に限り外界に放流することができます。
SCP-XXX-JPの個体数は常に一定を保つようコントロールする必要があり、生育状況が一定水準に満たない場合、栄養補助や繁殖支援措置を適用する必要があります。詳細は別紙指示書を参照して下さい。また、成体の個体数が規定値を超えた場合、オペレーション"缶詰加工"を実施します。最終生成物は人体に対して無害であることが確認されているため、カバーストーリー適用後、希望する職員に対して配布することが認められています。
説明: SCP-XXX-JPは
目が覚めると、やけに天井が高い部屋に寝かされていた。
アルコール度数の高い酒をやたらと飲み比べた後のようなひどい頭痛と胸焼けに呻きながら首を回していたが、どうも時計が見当たらない。
今日はオブジェクトのクロステストだ。二日酔いのまま顔を出したら酷い事になる、と考えたが、そもそもそんな重大な実験の前夜にしこたま酒を飲むようなへまをした事は無かったはずだ。
焦燥感で少しずつ意識が目覚め始めてきたところで、目の奥の深い部分に強烈な痛みを感じて思わず手で押さえつけた。しかし、肩から指先にいたるまでの筋肉の動き方がおかしい。目頭を押さえつけたときの感触、自分の肌の手触りや弾力性が慣れ親しんだ硬さではない。視界に入った自分の手は明らかに"小さすぎる"。そして奇妙なほどに高く、まるで女児のような自分の声。
見覚えの無い部屋と相まって、何が起きているのかが分からなくなる。混乱したまま体を起こそうとしたとき、ようやく頭のスイッチが入ったのか、意識を失う直前の記憶が動画を逆再生するように蘇ってきた。瓦礫の下敷きになる職員。
倒壊する建物。
"何か"に腹を貫かれて内臓を出鱈目にかき混ぜられる不快感。
悲鳴。叫び声。断末魔。
"何か"に首を刎ねられるDクラス職員。
綿密な予測から厳密に定められた順番をひとつ飛ばして投与されたシリンダー。
記録装置に向けて喋る自分の声。
「音声記録開始。本日は20██年4月10日。SCP-███及びSCP-███-JPのクロステストを開始します。査察及び記録は私、冴場が担当――」直後、絶叫を上げながら再び意識を失った。
/ * /
「ふーんふふーんふーんふーん、ふーんふふーんふーんふーんふーん」
「何かご機嫌ですね、さえば博士」
サイト-8181の医務室には、さえば博士と彼女の"事情"を知る数人のメンバーが集まっていた。
表面的には「財団業務によるストレスの診断とカウンセリング」という名目が宛がわれていたが、実際には数か月前に発生したインシデントとその後遺症に関する情報共有のためであった。
さえば博士と数名の医療部門スタッフの他に、彼女の介助員(または監視役)として雨森秘書官、インシデントリスク判断のために招集された三国技師、それほど広くない部屋の中で一つの机を囲んでいた。
一番の当事者であるさえば博士は鼻歌を歌いながら小さなノートに何かを書いているが、そろそろミーティングを始めたい雨森は眉をぴくぴくと痙攣させている。
「冴場博士、そろそろ時間なのですが」
「えーまだあと3分ありますよー。今いいところなのでもうちょっと待っててください」
「5分前もそんな事言ってましたよね!?」
一度こってりと絞るべきかと葛藤する雨森をまあまあとなだめ、三国が扇で口元を隠しながら言葉を引き取る。
「しかしこう、なかなか"歳相応な"振る舞いが板についてきましたね」
「でしょうー?……最初は私もどうなるかと思ったのだが、案外何とかなってきた。というかこれはこれで楽しいぞ?」
「唐突に素に戻るのやめてください。あとあんまり不穏当な事を言わないでくださいね!?」
"彼"本来の理知的な光が瞬間的に"彼女"の瞳に宿ったが、雨森が悲鳴を上げている間に、すぐに消えた。
その不自然な言動に違和感を抱いたのは扇で表情を隠している三国だけだった。
/ * /
あの事故から数日が経ち、おおよそ自分の体の変化を受け入れられたところで見知らぬ男が部屋に入ってきた。
高木、と名乗るこの職員から自分の身に起きた事の説明を受けたところで、頭の中で大体のピースが揃った。
やはり、4番目の薬品の投与が抜け落ちたことが直接のインシデントの原因か。
高木曰く、調査班も同じ見解を示しているとのこと。残念な事になったと言う高木に「私もだよ」、と同意を示した。
無念さを込めた声を出したつもりだが、この若く幼い声帯から出る高い声ではその意図が正しく伝わるかどうか心配になる。
……だが、過ぎた事は仕方が無い。できればここから挽回したいのだが、私は今後どうなるのだろうか?
財団内での処遇については改めて話があるらしく、この男が言うにはすぐに処分ということはおそらく無いだろう、とのこと。しかしそれとは別に医療部門は重大な懸念を持っているらしい。「遺伝子的には冴場博士の同一性は保障されています。しかしその体は"女性"のものです。診断結果から推定される肉体年齢は8~10歳前後、2年以内に第二次性徴が始まる可能性は90%以上と考えられます」
この内容に、「マジで」、と思わず言ってしまった。財団職員らしく表情を変えずに事務的に話す高木だったが、当事者の私としては落ち着いていられる話ではない。自分で言ってしまうのも何だが、ダンディな髭と苦労して鍛え上げた中年の肉体を失い、筋肉がまるでない少女の体になったかと思えば、さらには生理まで。
「それはちょっとまずいんじゃないか?」
「はい。医療部門では現在の状態から内分泌系が変化した場合、冴場博士の性自認と肉体のバランスが崩壊し、精神健康上重大なリスクが生じると考えてます」
「いや、そうなんだけど」
そうじゃないんだ、と続けようとしたが口をつむんだ。
事故の産物とはいえ人間の肉体を若返らせるのみならず、性別を変え、さらには「正常に機能する」レベルにまで作り変えることが出来たということは間違っても外部に流出させてはならない類の情報である。
今回使用したSCP-███-JPは破壊されたということだが、その性質から再度の確保、そして私の身に起きたことの再現実験は不可能ではない。仮に収容違反が発生した場合の影響は以前のものに比べてさらに危険なものになる。老化の克服と性別変更の獲得は今まで人類が築いてきた『ありかた』を容易に破壊してしまうだろう。
気づいていないのか、分かってて言わないのか……と考えた所で、この二択であれば財団は間違いなく後者であり、あまり不用意なことは言わない方が良いと判断したのだ。小さく息を吐いて気分を切り替え、今後の予定を高木に聞く。
約1か月ほどはこの施設で検査を受けることになるだろう、との回答。その後の事は……言葉を濁された。
高木は答えなかったが、良くて解放、悪くて収容、というところだろうか。悪い方に転べばその後の事なんて知らされるはずは無いし、良い方に転がったとしても体の事がある、すんなり放免とはいくはずもない。
「あ、そうだ。雨森君に『あんま心配すんな』って伝えてもらいたいんだけど、それは大丈夫かな?」
「……ええ、おそらくは。伝えておきますのでご安心下さい」
財団職員がこんな口調の時は絶対伝えて貰えないパターンだ。そう思いつつも、納得した振りをしてベッドに体を預けた。
高木はそれからすぐ部屋を出ていったが、私もそのまま眠りについてしまった。
この日は他に特筆すべきことは無し。
/ * /
あの事故から数か月が過ぎ、どうやら「悪い方」には転がらずに済んだようだ、と冴場博士は語る。
異常性の検査では記憶処理及び薬物投与に対して強い抵抗力が確認されたものの、事故に起因する体質かどうかの判定は最後まで付かなかったため待遇保留のままサイト-8181に留め置かれているというのが今の冴場博士の立ち位置である。
財団基準での「異常性」は無いに等しいため復職が認められるのではないかというのが大方の見立てであったが、些細な事故であっても何かあれば容易に覆されるような微妙な時期でもあり、彼……もとい彼女の周囲は余計に神経を尖らせていたのだった。
雨森が強権を発動して(さえば博士が書いていたノートを取り上げた挙句、届かないように頭上高く持ち上げて)進められたミーティングでこのような認識が共有された他には新たな情報も無く、今後も経過観察を継続するという方針のみ決められた。
「それで、結局さっきまでは何を書いていたんですか?」
「あー、このノートですか……。本当はひみつなのですが、三国技師なら見せても大丈夫なのです」
さえば博士が持っていたノートを差し出す。
最初は鉛筆で乱雑に、ページをめくるに従ってペンで丁寧に記述されているのは、冴場博士自身の述懐と思われる文章だった。
「これは……手記ですか?」
「はい。4月の事故が起きてからの私の記憶なのです。あ、一応記録を取る許可は貰っているのですよ?」
「正式記録とは別に私的な記録を残すのは構いませんが、機密文書扱いですので落としたりしないで下さいね?」
「あー、はい。電子データだと管理領域の自動整理があった時に困るからペーパーメディアにだけ保管してるのが逆に仇にならないように厳重に管理するのです」
だからそのお菓子を下さい、と続けようとしたさえば博士は案の定雨森に睨まれている。
二人のやり取りを横目に手記を流し読みしていた三国だったが、後半から終わりにかけて流暢な丸文字になってきたところでギブアップしてノートをさえば博士に返した。
「……どうして手記を書き始めたのですか?」
「うーん、うまく伝えられるか心配なのですが……たぶん、そのうち記憶があいまいになってくると思うのですよ」
その言葉に三国はいぶかしんだ。
「冴場博士は記憶処理に耐性があると聞きましたが」
「あー、いえ、そういうんじゃないです。そうですね……三国技師は10歳のころの自分の事をどれくらい正確に記憶していますか?あるいはそのもっと前は?」
まだ幼かった頃の自分を思い出そうとした三国は、すぐに得心がいったような顔をして頷いた。
「……記憶の経年劣化ですか。確かに私自身、多少の事は思い出せますが正確に記憶しているかと言われると、あまりそうとは言えませんね」
「人間の脳は結構いい加減に出来てるのです。特に私はずいぶんと若返ってしまったので、ここからまた2~30年も経つころには昔の自分がどうだったかなんてすっかり忘れてるんじゃないかと不安なのですよー」
体は熟女なのに中身はじじいなのですよ!と憤慨して見せるさえば博士だったが、おどけて見せる反面、自己の消失という恐怖を抱いている事は三国にも察することができた。
しかも、今後の成長過程における身体の変化が”彼”の精神にどのような影響を及ぼすのかは誰も分からないのだ。
「ただ、その……冴場博士は本当にそのノリで行くんですか?」
「ふっふっふっ、三国技師、それは愚問なのです。世の中確かに”ロリババア”とかの需要はあるのですが、体は幼女、頭脳はおっさんというのはいささか最先端過ぎて誰もついてこれないのですよ?」
椅子から飛び降りてその場でくるりと一回転し、ポーズを決めたさえば博士だったが、雨森は大きなため息をつく。
「現実を見てください冴場博士、10歳の女の子は普通そんな感じのノリではありません」
「あー!雨森は黙っててくださいー!」
/ * /
事故が起きてから1年以上経ったが、今日ようやく正式に復職が決まった。
上層部も相当悩んだに違いない。財団基準でいえば私は異常性は無いに等しい普通の少女だが、外に出れば「いないはずの人間」である。戸籍やら何やらはうまいことやってくれるだろうが、どうしても消せない違和感はどこかに残ってしまうものだ。
「それで、私はどこの誰になるのですか?」
すっかり着慣れた女物の服と板についてきた口調で問うてみたが、帰ってきた答えは予想とは違うものだった。
「いえ、冴場博士は冴場博士のままですが」
「えっ?」
「博士がご自身の以前の姿の事を妙に消したがっているのは承知していますが、現時点ではその必要性は無いと判断されました」
「あっ、そう……」
これは予想外だ。
私の心身への影響を考慮すれば、私は新しい「私」として再定義し、冴場博士にはこのままいなくなってもらった方が都合が良いはずなのだが。雨森の野郎が何か口を挟んだのだろうか。
ということは戸籍とかその辺もそのままになるのだろうか。駅前のワインバーで高いボトルを入れたままにしてたのは残しておいてくれると嬉しいのだが。
そう思えば、自分のままで戻るのもあまり悪い事ではないかもしれない。
「なので、その口調も無理して続けていただく必要は無いのですが」
高木がやや困惑していた。人の覚悟も知らないで無責任なことだ。
「そういうことはもうちょっと早く言ってほしかったのです。このしゃべり方、もう染みついてるのですよ?」
と、記憶の中から想像した10歳の少女の真似をしてみるが、高木の反応はあまりよろしくない。
「はあ、そういうものですか……まあ、戻さないといけないという訳でもありませんのでご自由になさって下さい」
からかったときの反応は雨森の方が面白いようだ。昔ほどの手管は使えないかもしれないが、この状態だからこそ出来る事ということも沢山あるだろう。
そんな事を考えているうちに、自分が思いのほか元の仕事に戻れることを喜ばしく思っていることに気が付いた。
実際死ぬような目にあうほど酷い職場ではあるが、やりがいという意味では他に比肩しうる職は無いのもまた事実だろう。
なんだ、この仕事、案外好きなんじゃないか。
(手記はここで途切れている)
目が覚めると、やけに天井が高い部屋に寝かされていた。
「ぅぁ、今…何時だ……?」
アルコール度数の高い酒をやたらと飲み比べた後のようなひどい頭痛と胸焼けに呻きながら首を回していたが、どうも時計が見当たらない。
今日はオブジェクトのクロステストだ、二日酔いのまま顔を出したら酷い事になる……待てよ、そんな重大な実験の前夜にしこたま酒を飲むような事はした事は無かったはずだぞ。
少しずつ意識が目覚め始めてきたところで、目の奥の深い部分に強烈な痛みを感じて思わず手で押さえつける。
「何だこれ……」
あらゆる違和感が一斉に警鐘を鳴らしている。
肩から指先にいたるまでの筋肉の動き方がおかしい。
目頭を押さえつけたときの感触、自分の肌の手触りや弾力性が慣れ親しんだ硬さではない。
視界に入った、明らかに"小さすぎる"自分の手。
奇妙なほどに高く、まるで女児のような声。
「何が……」瓦礫の下敷きになる職員。
倒壊する建物。
"何か"に腹を貫かれて内臓を出鱈目にかき混ぜられる不快感。
悲鳴。叫び声。断末魔。
"何か"に首を刎ねられるDクラス職員。
綿密な予測から厳密に定められた順番をひとつ飛ばして投与されたシリンダー。
「音声記録開始。本日は20██年4月10日。SCP-███及びSCP-███-JPのクロステストを開始します。査察及び記録は私、冴場が担当――」動画を逆再生するように記憶がよみがえった瞬間、悲鳴を上げて再び意識を失った。
/ * /
「対応完了しました。幸いにして影響範囲は限定的でしたので、数名に対してクラスA記憶処理を実施し、残りは経過観察となります」
「はー、心臓が止まるかと思いました」
サイト-8181の医務室にはさえば博士と、彼女の"事情"を知る数人のメンバーが集まっていた。
さえば博士がうっかり落としたポーチを別の職員が拾得、中身を確認された結果深刻な情報漏洩が発生しかけたものの、迅速な処置によって事なきを得たということで、対応に当たった職員の間で情報共有を行うためだ。
「で、さえば博士は何か言う事があるのでは?」
「えーと……ごめんなさい?」
わざとらしく小首をかしげたさえば博士を見て眉を痙攣させる雨森秘書官だったが、医務室に居合わせたほかのスタッフの前でもあったため数回の深呼吸によって無事平静さを取り戻していた。
「いまいち自覚が無いようですので改めて通達しますが、さえば博士の現状は極めて微妙なバランスのもとに成り立っています。くれぐれも不用意な事は避けて下さい。さもなくば……」
「はーい。反省してまーす」
やはり一度こってりと絞るべきかと葛藤する雨森を横目に三国が扇で口元を隠しながら言葉を引き取る。
「しかしこう、なかなか"歳相応な"振る舞いが板についてきましたね」
「でしょうー?……最初は私もどうなるかと思ったのだが、案外何とかなってきた。というかこれはこれで楽しいぞ?」
「不穏当な事を言わないでくださいね!?」
"彼"本来の理知的な光が瞬間的に"彼女"の瞳に宿ったが、雨森が悲鳴を上げている間に、すぐに消えた。
その不自然な言動に違和感を抱いたのは扇で表情を隠している三国だけだ。
/ * /
あの事故から数日が経ち、おおよそ自分の体の変化を受け入れたところで見知らぬ男が部屋に入ってきた。
高木、と名乗るこの男から自分の身に起きた事の説明を受けたところで、頭の中で大体のピースが揃った。
「……ああ、じゃあやはり、4番目の薬品の投与が抜け落ちたことが原因か」
「調査班も同じ見解です、博士。このような結果となり大変残念です」
「私もだよ」
無念さを込めた声で同意を示すものの、この若く幼い声帯から出る高い声ではその意図が正しく伝わるかどうか心配になる。
「……だが、過ぎた事は仕方が無い。できればここから挽回したいのだが、私は今後どうなる?」
「はい。財団内の事は日を改めてお話がありますが、すぐに処分ということはおそらく無いでしょう。しかし、医療部門としては冴場博士の将来について重大な懸念を示しています」
「と言うと?」
「遺伝子的には冴場博士の同一性は保障されています。しかしその体は"女性"のものです。診断結果から推定される肉体年齢は8~10歳前後、2年以内に第二次性徴が始まる可能性は90%以上と考えられます」
「マジで」
財団職員らしく表情を変えずに事務的に話す高木だったが、当事者の私としては落ち着いていられる話ではない。
ダンディな髭と苦労して鍛え上げた中年の肉体を失い、筋肉がまるでない少女の体になったかと思えば、さらには生理まで……生理?
「……それはちょっとまずいんじゃないか?」
「はい。医療部門では現在の状態から内分泌系が変化した場合、冴場博士の性自認と肉体のバランスが崩壊し、精神健康上重大なリスクが生じると考えてます」
「いや、そうなんだけど」
そうじゃないんだ、と続けようとして口をつむんだ。
事故の産物とはいえ人間の肉体を若返らせるのみならず、性別を変え、さらには「正常に機能する」レベルにまで作り変えることが出来たということは間違っても外部に流出させてはならない類の情報である。
今回使用したSCP-███-JPは破壊されたということだが、その性質から再度の確保、そして私の身に起きたことの再現実験は不可能ではない。仮に収容違反が発生した場合の影響は以前のものに比べてさらに危険なものになる。老化の克服と性別変更の獲得は今まで人類が築いてきた『ありかた』を容易に破壊してしまうだろう。
気づいていないのか、分かってて言わないのか……と考えた所で、この二択であれば財団は間違いなく後者であり、あまり不用意なことは言わない方が良いと判断したのだ。
「……まあいいや。それで、私はどうなる?」
「約1か月ほどはここで検査を受けていただくことになります。その後の事は……今は誰にも分らないでしょう」
「だろうね」
良くて解放、悪くて収容、というところだろうか。悪い方に転べばその後の事なんて知らされるはずは無いし、良い方に転がったとしても体の事がある、すんなり放免とはいくはずもない。
「あ、そうだ。雨森君に『あんま心配すんな』って伝えてもらいたいんだけど、それは大丈夫かな?」
「……ええ、おそらくは。伝えておきますのでご安心下さい」
財団職員がこんな口調の時は絶対伝えて貰えないパターンなんだよなぁ、と思いつつも、納得した振りをしてベッドに体を預けた。
/ * /
その事故から数か月が過ぎ、どうやら「悪い方」には転がらずに済んだようだ、と冴場博士は語る。
異常性の検査では記憶処理及び薬物投与に対して強い抵抗力が確認されたものの、事故に起因する体質かどうかの判定は最後まで付かなかったため待遇保留のままサイト-8181に留め置かれているというのが今の冴場博士の立ち位置である。
財団基準での「異常性」は無いに等しいため、このまま復職が認められるのではないかというのが大方の見立てであったが、そのような状況下で起きた落とし物インシデントということもあり、彼……もとい彼女の周囲は余計に神経を尖らせていたのだった。
「それで、落っことしたというのは結局何だったんですか?」
「これなのです」
さえば博士がポーチから取り出したのは小さなノートである。持ち歩いているということは変な異常性は無いと思われたものの、三国はそれを恐る恐る開いた。
最初は鉛筆で乱雑に、ページをめくるに従ってペンで丁寧に記述されているのは、冴場博士自身の述懐と思われる文章だった。
「これは……手記ですか?」
「はい。4月の事故が起きてからの私の記憶なのです。あ、一応記録を取る許可は貰っているのですよ?」
「正式記録とは別に私的な記録を残すのは構いませんが、それを落っことしちゃダメでしょう!?」
「あー、はい、私も反省しているのです雨森秘書官。電子データだと管理領域の自動整理があった時に困ると思ってペーパーメディアにだけ保管してたのが逆に仇になったのです。今後は厳重に管理します」
だからそのお菓子を下さい、と続けようとしたさえば博士は案の定雨森に睨まれている。
二人のやり取りを横目に手記を流し読みしていた三国だったが、だんだんと流暢な丸文字になってきたところでギブアップしてノートをさえば博士に返した。
「……それで、どうして手記を書き始めたのですか?」
「うーん、うまく伝えられるか心配なのですが……たぶん、そのうち記憶があいまいになってくると思うのですよ」
「冴場博士は記憶処理に耐性があると聞きましたが」
「あー、いえ、そういうんじゃないです。そうですね……三国技師は10歳のころの自分の事をどれくらい正確に記憶していますか?あるいはそのもっと前は?」
まだ幼かった頃の自分を思い出そうとした三国は、すぐに得心がいったような顔をして頷いた。
「……記憶の経年劣化ですか。確かに私自身、多少の事は思い出せますが正確に記憶しているかと言われると、あまりそうとは言えませんね」
「人間の脳は結構いい加減に出来てるのです。特に私はずいぶんと若返ってしまったので、ここからまた2~30年も経つころには昔の自分がどうだったかなんてすっかり忘れてるんじゃないかと不安なのですよー」
体は熟女なのに中身はじじいなのですよ!と憤慨して見せるさえば博士だったが、おどけて見せる反面、自己の消失という恐怖を抱いている事は三国にも察することができた。
しかも、今後の成長過程における身体の変化が”彼”の精神にどのような影響を及ぼすのかは誰も分からないのだ。
「ただ、その……冴場博士は本当にそのノリで行くんですか?」
「ふっふっふっ、三国技師、それは愚問なのです。世の中確かに”ロリババア”とかの需要はあるのですが、体は幼女、頭脳はおっさんというのはいささか最先端過ぎて誰もついてこれないのですよ?」
椅子から飛び降りてその場でくるりと一回転し、ポーズを決めたさえば博士だったが、雨森は大きなため息をつく。
「現実を見てください冴場博士、10歳の普通の女の子はそんな感じのノリではありません」
「あー!雨森は黙っててくださいー!」
/ * /
事故が起きてから1年以上経ったが、今日ようやく正式に復職が決まった。
上層部も相当悩んだに違いない。財団基準でいえば私は異常性は無いに等しい普通の少女だが、外に出れば「いないはずの人間」である。戸籍やら何やらはうまいことやってくれるだろうが、どうしても消せない違和感はどこかに残ってしまうものだ。
「それで、私はどこの誰になるのですか?」
「……いえ、冴場博士は冴場博士のままですが」
「えっ?」
「博士がご自身の以前の姿の事を妙に消したがっているのは承知していますが、現時点ではその必要性は無いと判断されました」
「あっ、そう……」
これは予想外だ。
冴場博士にはいなくなってもらい、私は新しい「私」として再定義した方が心身の健康には都合が良いはずなのだが。雨森の野郎が何か口を挟んだのだろうか。
あ。
ということは戸籍とかその辺もそのままかな。駅前のワインバーで高いボトルを入れたままにしてたのは残しておいてくれると嬉しいんだが。
そう考えると、自分のままで戻るのもあまり悪い事ではないかもしれない。
「なので……えー、その口調も無理して続けていただく必要は無いのですが」
「うーん、そういうのはもうちょっと早く言ってほしかったのです。このしゃべり方、もう染みついてるのですよ?」
「はあ、そういうものですか……まあ、戻さないといけないという訳でもありませんのでご自由になさって下さい」
高木という男が困惑している。からかったときの反応は雨森の方が面白いようだ。昔ほどの手管は使えないかもしれないが、この状態だからこそ出来る事ということも沢山あるだろう。
そんな事を考えているうちに、自分が思いのほか元の仕事に戻れることを喜ばしく思っていることに気が付いた。
事実として死ぬような目にあうような酷い職場ではあるが、やりがいという意味では他に比肩しうる職は無いのもまた事実だろう。
なんだ、この仕事、案外好きなんじゃないか。
(手記はここで途切れている)
エージェント・マオが初報を受け取ったのは、彼が表向きの身分であるフリーライターとして編集会議に参加し、身柄を解放された後でさてそろそろ昼だからと駅近くの飲食店の看板をいくつも頭の中で思い浮かべていた時だった。
懐に入れていた携帯端末が、3回、1回、2回のリズムで規則正しく振動した瞬間、どこか眠たげな顔をしていた男は眉間に一瞬皺を寄せると、すぐさま大通りまで駆け抜けて"たまたま通りかかった見覚えのあるタクシー"を呼び止め乗り込んだ。
「昼飯食いっぱぐれた」
「そう思ってアンパンと牛乳を用意してあります」
「どうも。用意がいいね」
タクシーの運転手に偽装したエージェント・海野から紙袋を受けると、中に入っていたパンをかじりながら緊急コールの内容を確認する。
「……Euclidオブジェクトの収容違反?」
「15分前にサイト-8181にてSCiPの収容違反と疑わしき事象が発生、初期投入された職員が危険度は低いと判定していますが、事態の収拾に手間がかかりそうだということで、各分野の職員に非常召集がかかりました。さっきの袋の中のファイルを見て下さい」
「あんまりいい予感はしないね」
マオは紙パック牛乳のストローをくわえながらファイルに閉じられていた報告書をめくるが、すぐに困惑したように声を上げた。
「SCP-1000-JP?これは?こっちも?もしかしてこれ全部」
「お察しの通り、全てSCP-1000-JPです。作成者も見て下さい」
「SCP太郎、SCP次郎、SCP花子……あー、これはもしかして」
「はい、SCP-760-JPです。ご存知ですよね?」
「こいつのカバーストーリーは自分の仕事だからね。そうか、これが漏れたか」
サイト-8181の会議室にはエージェント・カナヘビを筆頭に、非常召集された財団職員が―到着したばかりの海野やマオも含め―それぞれの席に座っていた。
「えー、ほなブリーフィングをはじめるよ。今日の11:20頃にSCP-760-JPの収容違反と思われる事案が発生。今のとこ影響範囲はここサイト-8181内に限定されてる」
最近しばしば議題に上げられていたオブジェクト管理コードのオーバーフロー危機への対策として、データベース内の桁数が3桁から4桁に変更されたことに伴い、報告書式をアップデートした瞬間に問題が生じたらしい。
「更新手続きは新規書式承認プロトコルに乗っ取って正しく処理された……はずやったんやけど、今回はあかんやったようやね。本来はカバーストーリー"記入例"の範囲内に収まるはずのSCP-760-JPが、限度を越えてしもたちゅうんが今のとこの顛末や。ここまでで質問は?」
カナヘビが回りを見回すと、ぱらぱらと声が上がる。
「発生した報告書の内容はどうなっているんでしょうか?」
「内容はてんでバラバラ……みたいに見えて、わりかし傾向性というか、共通点があるように思えてる。スペシャリストが検閲してる限りでは、物騒なことが書いてある割に致命的な事象はまだなんも起きてへんのは不幸中の幸いやね」
「今回、SCP-760-JPが変異した可能性は?」
「現段階では未確認。詳細は分析待ちってとこやな。追加調査のために何人かの博士に声をかけてて、現実改変現象に強い小林博士が今空路でこっちに向かってるとこや」
「この中に"本物"が混ざっている可能性は?」
「正直なところ、わからん」
首を振るカナヘビ。
「未収容オブジェクトについて記述された物が出てきたんで、念の為エージェント・セントラルを派遣して様子を見に行かせたんやけども、たまたま鉢合わせた要注意団体に撃たれて救急搬送や。機動部隊を送ってなんとかしたけど、そもそものオブジェクトは空振りやった。ただ、他に万が一ってことがあるとまずいから、このあと何人かには現地に向かってもらうことになってる」
「…では、今後の方針についてお伺いできますか」
「ん」
カナヘビは周囲をぐるりと見渡し、笑みを浮かべて楽しそうに宣告する。
「とりあえず集まってもろた皆には今から20日間、死ぬ気で働いてもらうつもりや。覚悟しといてな。現象解析と、原因特定。異常性が見つかればその時点で確保、収容、保護というのはいつもと同じや」
にっこり笑うカナヘビと対照的に、多くの職員達は引きつった笑みを浮かべている。覚悟を決めたマオもこっそりと家族へのカバーストーリーの適用を開始している。
「ま、そないなに肩張らいで、"いつもみたいに"気楽にやってくれぇな。じゃ、解散!」
アイテム番号: SCP-6411-JP-EX
オブジェクトクラス: Explain
特別収容プロトコル: 財団は201█/09/██、当オブジェクトをExplainクラスに指定しました。本文書は、およそ30年に渡って実施された調査・研究の記録として保管されています。
説明: SCP-6411-JP-EXはアフリカ少数民族である███族に伝わっていた9段階(SCP-6411-JP-EX-1~9に指定)からなる儀式です。SCP-6411-JP-EXが正しい手続きを経て執り行われた場合、周辺██km圏内で雨が降り始め、この状態が約78時間継続します。この降雨は█本の河川の流量を大きく増加させるなど周辺の水不足の緩和に大きな役割を果たしていることが確認されていますが、現在までの調査で雨水・雨雲自体には特異性は無いことが確認されています。
SCP-6411-JP-EXは198█/09/██、テレビ番組制作会社に潜伏中だった財団職員が撮影スタッフの一員として███族の村落を訪れた際に初めて確認されました17。███族が「年に1度この時期に行われる大事な儀式」としてSCP-6411-JP-EXを実演したところ、財団職員の所持していたカント計数機が特異な反応を記録したため異常性が疑われました。
以下は、財団職員によって作成されたSCP-6411-JP-EXの5日前から終了までの観測レポートの概要です。
5日前 | 深夜より周辺環境のヒューム値が緩やかな上昇傾向を示す。1時間あたりの上昇値は[編集済み]。 |
4日前 | 終日、強い西風が吹く。███族の村長がSCP-6411-JP-EXの準備開始を宣言する。ヒューム値の上昇傾向は続いており、前日同時刻と比較して[編集済み]。 |
3日前 | ヒューム値の上昇は継続中。正午時点で[編集済み]に達する。村の戦士長によってSCP-6411-JP-EX-6~7で使用される[データ削除]が捕獲される。この地域では1年を通じてこの時期にのみ姿を現すとの証言あり。 |
2日前 | SCP-6411-JP-EXで使用する櫓が建てられる。ヒューム値は[編集済み]に到達。現在のところ人体への影響は確認されず。 |
1日前 | 日没後、周辺環境のヒューム値が急激に上昇し、所持していた57型簡易計数機の性能限界を突破。子供を中心に不眠を訴える住人を複数確認しているが、ヒューム値との関連性については判断を保留。継続的な調査が必要。 |
当日05:50 | 周辺環境のヒューム値は依然として計数機の上限を超えており、正確な計測は不可能。夜が明け、住人全員が村の中心の広場に集合する。 |
当日06:31 | SCP-6411-JP-EX-1開始。村の若者数名が広場の中心で火を起こし、積まれた木に火をつけて燃やし始める。 |
当日07:06 | SCP-6411-JP-EX-1終了。若者たちは各自の家に戻った。 |
当日09:12 | SCP-6411-JP-EX-2開始。女性█名にそれぞれ抱かれた乳幼児が広場の中心で泣き声を上げる。 |
当日09:20 | SCP-6411-JP-EX-2終了。女性達は各自の家に戻った。 |
当日09:27 | SCP-6411-JP-EX-3開始。村の子供█名が広場の中心に集まり、中型の打楽器18を演奏する。 |
当日09:58 | SCP-6411-JP-EX-3終了。子供達は笑い声を上げながら各自の家に戻った。 |
当日11:34 | SCP-6411-JP-EX-4開始。男性██名が広場の中心に集まり、手にしていた槍を空に向けて突き刺すような仕草を繰り返す。 |
当日12:11 | SCP-6411-JP-EX-4終了。男性達は各自の家に戻った。 |
当日14:03 | SCP-6411-JP-EX-5開始。薬師の老婆とその娘が広場の中心に座りこみ、薬草を磨り潰しながら村に伝わる古い歌を歌い始める。 |
当日14:44 | SCP-6411-JP-EX-5終了。老婆達は家に戻った。 |
当日14:03 | SCP-6411-JP-EX-6開始。縄で縛られた[データ削除]が戦士長に引き摺られて広場の中心に登場する。[データ削除]は興奮した様子でしきりに縄から逃れようとしているが、戦士長が槍で3回突き、屠殺する。 |
当日14:44 | SCP-6411-JP-EX-6終了。戦士長は返り血を浴びたままの姿で家に戻った。SCP-6411-JP-EX-6の最中に周辺環境のヒューム値が急激に減少、平時の数値に復帰する。 |
当日14:45 | SCP-6411-JP-EX-7開始。村長が木製の器を使用して死亡した[データ削除]の血液を壺に溜め、櫓の上に運ぶ。その後、木製の器を使って櫓の上からSCP-6411-JP-EX-1の焚き火めがけて壺の中の血液を振りまく。これは壺の中身が空になるまで繰り返し行なわれる。 |
当日15:53 | SCP-6411-JP-EX-7終了。この時点で空に黒い雲が出始める。 |
当日15:54 | SCP-6411-JP-EX-8開始。櫓の上で村長が太鼓を叩き始め、広場に残っていた住人達はこれに合わせて手拍子をしながらSCP-6411-JP-EX-5とは異なる歌を歌い始める。 |
当日17:08 | SCP-6411-JP-EX-8終了。突如として激しい雨が降り始める。 |
当日17:09 | SCP-6411-JP-EX-9開始。SCP-6411-JP-EX-1~6の後に家に戻っていた住人達が飛び出してくる。広場に残っていた住人達と一緒に踊り始め、戦士長は身体に付着していた[データ削除]の血を雨で体を洗い流し、空に向けて讃える意味の言葉を叫ぶ。 |
当日17:49 | SCP-6411-JP-EX-9終了。恐らく日没を迎えたと思われ、辺りは更に暗くなる。この後、村長の家に集まって[データ削除]の肉を使った宴が始まる。 |
SCP-6411-JP-EXの更なる調査のため、198█/10/██に███族の村落周辺をエリア-81██に指定し、財団職員1名を常駐させています。███族は当初より財団職員に対して友好的でしたが、カバーストーリー"度を越えた大間抜け"を適用した結果、███族への潜入は問題なく進められました。
198█/02/██から198█/09/██の█年間で実施された実験結果については実験目録-6411-21569号を参照して下さい。
実験目録-6411-21569-1:
実施日: 198█/02/██
概要: SCP-6411-JP-EXの再現実験
結果: 財団職員から提出されたヒアリングレポートを受け、実施保留
補遺: █代前の村長が本来とは異なる時期に、5回に渡りSCP-6411-JP-EXを執り行ったものの全く雨が降らず、怒った村民に殺害されるという事件が発生したとのことです。当時の村長の頭蓋骨はこの教訓として今も村長の家の柱に吊るされており、財団により再現実験を強行した場合同様のインシデントを誘発するリスクが懸念されます。
実験目録-6411-21569-2:
実施日: 198█/09/██
概要: [データ削除]の事前捕獲と検査
結果: エリア-81██付近で██頭の[データ削除]を発見・捕獲しましたが、そのいずれも通常の[データ削除]との差は認められませんでした。捕獲個体のDNA分析により██km離れた地域に生息する群れとの関連性が確認されています。
補遺: GPS発信器と61型計数機を埋め込み解放したところ、1頭が███族に捕獲され、SCP-6411-JP-EX-6~7にて使用されました。埋め込まれた機材は財団職員により秘密裏に回収されたものの、新たな情報は得られませんでした。
実験目録-6411-21569-3:
実施日: 198█/09/██
概要: SCP-6411-JP-EXにより発生する雨雲の精密調査
結果: ██機の観測気球を使用して調査を行ないましたが、成分分析の結果では通常の雨雲や雨水との違いは認められませんでした。
補遺: エリア-81██上空の観測気球が調査中に破損、墜落しましたが███族への露見は回避されました。回収されたカント計数機の観測記録を地上の観測値の変化と比較すると█時間程度の遅れがあるようです。
実験目録-6411-21569-4:
実施日: 198█/06/██ ~ 198█/04/██
概要: エリア-81██以外でのSCP-6411-JP-EXの再現実験
結果: 30回中17回で実際に降雨が観測されたものの、ヒューム値の変動はいずれの地点でも発生せず。自然現象との有意な差は確認できませんでした。
補遺: 担当研究員より「SCP-6411-JP-EXが特異性を発揮するための条件は当初想定よりも複雑である」という仮説が提案されており、それを補強する結果となりました。
実験目録-6411-21569-5:
実施日: 198█/09/██
概要: エリア-81██でのSCP-6411-JP-EXで使用される器具の交換実験
結果: SCP-6411-JP-EXで使用される器具について、一部を財団が作成した精密なレプリカと秘密裏に交換して平年通りにSCP-6411-JP-EXを行わせましたが、有為な結果は得られませんでした。
補遺: SCP-6411-JP-EXによる降雨は例年通り発生しています。その後の分析では器具そのものには異常性は認められませんでした。
198█/01/██ 日本支部理事会 第████号検討議会の議事録より関連部分を抜粋
残念ながら、SCP-6411-JP-EXの調査状況は費やされた年月に比べてあまり芳しくありません。
SCP-6411-JP-EXについて有効な実験が年に1度しか実施できないこともさることながら、そもそもの問題としてエリア-81██周辺地域の気象記録が満足に採取されていないため「いま起きていること」が「正常なこと」であるか、あるいはSCP-6411-JP-EXの異常性によるものであるかの検証を困難なものとしています。
対象区域周辺の観測記録を長期的に採取・保管することが、ひいてはSCP-6411-JP-EXの確保、収容、保護に繋がるものと確信します。日本支部理事会におかれては、本議題について対応をご検討いただきたい。
SCP-6411-JP-EX担当研究員 小林 ██
本議題について採択を行ないます。
賛成██、反対█。
賛成多数により、本議題を可決します。SCP-6411-JP-EX管理責任者は、[編集済み]について198█/██/██までに追加計画案を提出すること。
日本支部理事会 議長 [削除済み]
1989/██/██、日本支部理事会 第████号検討議会での審議・決定を受けて集中調査プログラム-3729号"にじ"が発令されました。プログラム-"にじ"はSCP-6411-JP-EXの研究の前提となる基礎情報の収集や多角的な分析を目的とし、15年間で最終報告をまとめる計画として奏上されました。
プログラム-"にじ"により収集・分析された各種情報についてはアーカイブ-3729-6411を参照して下さい。
アーカイブ目録-3729-6411-1号 "あい"
3729-6411-1号 "あい"はSCP-6411-JP-EXを伝承する███族に関する調査と分析を行なう事を目的としています。現地潜入中の財団職員から得られた情報を中心に、複数の視点から分析を行ないました。
███族と周辺部族との関係はSCP-6411-JP-EXによる政治的な影響を受けて比較的良好であり、過去50年間で何らかのトラブルが起きたという記録はありません19。距離的な問題からそもそも交流が少なかったことも関係していると考えられます。███族の婚姻は原則として部族内で完結していますが、採取されたDNAサンプルの分析では近親交配による悪影響は当初の仮説よりも██ポイント程度低い状態でした。これは███族の独自の宗教観が関連していると推測されています。
███族の宗教観は原始的なシャーマニズムに根ざす独自のものとなっていますが、"毎年儀式を行なうことで雨と共に新たな魂を村に呼ぶ"というものがあり、SCP-6411-JP-EXが███族の思想に影響を及ぼしていることが推測されます。"たまに間抜けな魂が降り損ねて村から離れた所で生まれてくることがあり、そういった者は大きくなってから村に帰ってくる"という伝承も存在し、他の部族などからの移住者を受け入れることの理由付けとなっていることに加え、DNAパターンの異なる外部の人間を配偶者として招き入れる事で近親交配による悪影響を回避していると推測されます。198█年に財団が初めて███族の集落を訪れた際の友好的な態度も、"村からはるか遠くの地に降りてしまった、度を越えた大間抜けの魂"として理解された結果と推測されます。
███族の村長をはじめとして、SCP-6411-JP-EXの時期になると一部の住人が頭痛・めまいなどの体調不良を訴えることがあります。███族には"村に降りようとして集まってくる魂を邪魔するために、悪霊が悪さをしている"という伝承が存在しており、これらの体調不良が起こることでSCP-6411-JP-EXの実施時期を判別しているようです。DNAサンプルや複数の映像記録の分析の結果、近親交配に起因した身体のわずかな畸形によって気象病を引き起こしやすい体質であることが判明し、特に█代前の村長の頭蓋骨の映像分析ではこの傾向が顕著であることが明らかになりました。
アーカイブ目録-3729-6411-2号 "あお"
3729-6411-2号 "あお"はエリア-81██およびその周辺地域の気象情報を長期的に収集することを目的とした調査であり、計画期間はプログラム-"にじ"において最長の15年が設定されました。財団は当プログラムの実行にあたって国際連合及びその専門機関に介入、複数のカバーストーリーを適用する20 ことで真の目的の露見を回避しています。
"あお"において設置された観測施設及び人工衛星では観測範囲内の一般的な気象観測に加えて、大気組成、放射線、紫外線および赤外線と光学観測、そしてヒューム値に代表されるバイコヌール現実改変強度分析指数群21を観測しており、2004年のプログラム満了後は[編集済み]にその機能を継承し現在も観測活動を継続しています。
"あお"によって収集・蓄積された各種情報は、"あか"、"きいろ"、"みどり"で分析が行なわれています。
アーカイブ目録-3729-6411-3号 "あか"
3729-6411-3号 "あか"は3729-6411-2号 "あお"によって観測・収集された赤外線撮影情報を元に、大気中の水蒸気量の分布と推移を記録・分析することを目的としています。SCP-6411-JP-EXによって水蒸気量の分布が急激に変化し、███族の集落付近で雨雲が発達していることが明らかになっていますが、その変動域は地球上の他の地域でも観測されることがある範囲に収まっており、これ自体に異常性を認めることはできませんでした。この結果を受けて、比較的早い段階から"あか"担当部門よりSCP-6411-JP-EXの異常性を疑問視する意見が提出されています。
アーカイブ目録-3729-6411-4号 "きいろ"
3729-6411-4号 "きいろ"は3729-6411-2号 "あお"によって観測・収集された
アーカイブ目録-3729-6411-5号 "だいだい"
アーカイブ目録-3729-6411-6号 "みどり"
3729-6411-6号 "みどり"は3729-6411-2号 "あお"によって観測・収集されたバイコヌール現実改変強度分析指数群を評価し、SCP-6411-JP-EXの異常性と現実改変の関連性を検証することを目的としています。当初計画では10年間の稼動期間が設定されていましたが、"あお"にて設置予定だった観測機の不具合が発覚したことで計画に遅延が生じ、実際に"みどり"が稼動し始めたのは1991/██/██となっています。また"あお"により収集されるバイコヌール現実改変強度分析指数群のデータ量は過去の財団のあらゆるプロジェクトを越える規模となったため、計画の見直しは最初の3年間で█回に及び、稼動期間は最終的に12年間まで延長されています。
"みどり"においてエリア-81██周辺のヒューム値の急増が年に一度SCP-6411-JP-EXの時期のみに発生することが再確認されたものの、現実改変効果の評価値は当初の予測値を大幅に下回ったことで観測値の不正やノイズの混入が疑われ、観測機器の交換・調整が繰り返し行われました。調査の過程でエリア-81██同様、年に
アーカイブ目録-3729-6411-7号 "むらさき"
オチ:音声記録
注意:この音声記録は一部の固有名詞等を除き、
███族特有の言語が使用されているため、翻訳音声が同梱されています。オリジナル音源の視聴を希望する場合は所定の申請書を提出してください。
財団職員:そろそろこのあたりで良いだろう。村で一番耳の良いムハボでも聞こえないはずだ
小林博士:ああ、すまないな。どうしても耳のある場所では話せない事でな
財団職員:いい加減、勿体ぶるなよ。どうせ財団絡みの話なんだろ?
小林博士:ああ。……日本時間の201█年██月██付けで、SCP-6411-JPはExplainに指定されることになった
[20秒程度の沈黙]
財団職員:そうか
小林博士:これによって一部を除いて財団も撤収することになる
財団職員:この村はどうなる!?
小林博士:財団は手を引くが、すぐに替わりのどこかが手を出すことになるだろう。安心しろ、酷いことにはならない
※メモ
198█年:財団が初めて認識(逆算すると1983年くらい)
~だいたい6年~
1989年:集中調査プログラム-3729号"にじ"開始
2004年:集中調査プログラム-3729号"にじ"終了
2006年:アフリカで人工降雨実験が行なわれる
Wikipedia「人工降雨」とかこのページとかを参考。2009年まで行なわれた?
↑のWikipediaのページだと2006年くらいに各国で人工降雨研究が活発化しているようなのでもう少し調べてカバーストーリーに使う。
2013年:だいたい30年経ったのでExplainされる頃合。±2年くらいはズレてもいいかも。
――赤い世界に一人立っている。
私の名は小林、財団に籍を置く博士の一人であり、現在はSCP-444-JPの実験の真っ最中である。
辺りを見渡せばどこまでも赤い平原が、そして頭上には夕焼けよりも赤い空が広がっている。SCP-444-JPの報告通りの光景である。
深呼吸をひとつして、心拍数、呼吸、そして僅かな筋肉の動きから心身共に正常である事を確かめると、まず左足を踏み降ろし、次に右足を軽く上げ、地面に降ろした。
「時間差共振爆砕脚!」
赤い平原に亀裂が走った直後、爆撃を受けたかのようにクレーターが出来る。両足から時間差で発生する振動によって地面を破壊する技で、習得には████時間に及ぶ修練が必要だ。
「体の動きにも問題はなさそうだな……」
クレーターの中心で軽く体操をすると、爆ぜた地面に転がる小石を懐一杯に詰め込んだ。この実験ではこれが文字通り命綱になる。
そうしている間に、ふと自分が鳥のように空を飛べるのだと「気づく」。これも報告書通りだ。
やがて被験者は「気づき」に従って空を飛びたくなるのだろう。しかし私は、そんなものが無くても空を飛べるのだと「知っている」。
左手に小石を一掴みして脚に力をこめた直後、いくつかの事が同時に起こった。
まず左足、ついで右足が地面を離れる。飛んだかのように見えるが、これ自体はただの跳躍に過ぎない。
次に左手を力強く振り下ろし、そして手に持っていた小石のひとつを地面に向けて投擲する。この動作により鉛直方向に対し作用・反作用が発生することは物理学の素養を持つ者にとっては自明の理であろう。
更に地面に向けて高速落下する小石を左足で踏む。そして跳躍。この一連の動作によって得られる反作用の合計は空気抵抗を無視することで[削除済み]ニュートンに達し、結果として時速約██kmの推進力を得る事が可能となる。すなわち、
「二重反作用空歩術!」
僅か1秒にも満たない時間で全ての動作を完了する必要があるため、有能な人間の集まる財団内ですら行使できる人間は限られる、それほどに困難な技のひとつである。
数歩で十分な高度に到達したことを確認すると、小石をやや後方に向けて投げ落とし、同時に前方へと跳躍する。二重反作用空歩術によって頭上以外の方向へ移動するためには文字通り血が滲むほどの修練が必要となることは、あえて言うまでもない。
しばらく歩を進めていると、やがて前方より強烈な殺気が迫ってくる。巨大な、赤い鳥だ。つい先ほど食らわせたはずの摩擦熱切断手刀(押し付けた手刀を高速で擦り付ける事で鋼鉄すら切断するほどの高熱を発生させる技だ)による致命傷が嘘のように消えている。
赤い巨鳥は血走った眼をこちらに向けて、今度こそ喰らってやろうと大口をあけて突っ込んでくる。
私はにやりと笑い、幻想世界で巡りあった好敵手に向けて実験開始を宣言した。
「待たせたな。第███ラウンドと行こうじゃないか!」
※1193文字
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを中心とした直径30kmの範囲をエリア-81██に指定し、カバーストーリー"火山性有毒ガス"を適用して一般人の立入を制限します。
SCP-XXX-JPを使用する実験は現在実施不可能な状態です。現在財団ではSCP-XXX-JP内部への侵入方法についての検討に全力を尽くしています。
説明: SCP-XXX-JPは██県と██県の境に位置する██山の地下に存在する巨大空間です。
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP-EX
オブジェクトクラス: Euclid Explained
特別収容プロトコル: 財団はSCP-XXX-JP-EXの確保、収容、保護を断念しました。
SCP-XXX-JP-A-EXに関する全ての情報は財団により検閲されます。どのような手段を講じてでも、SCP-XXX-JP-A-EXに関する情報が衆目に晒されることを防いでください。SCP-XXX-JP-A-EXに関する資料はサイト-81██の最高ランク機密保管個に格納されていますが、閲覧はDクラス職員にのみ許可されます。万が一Dクラス以外の財団職員がSCP-XXX-JP-A-EXに関する情報に接触した場合、クラスA クラスC記憶処理を施して下さい。 記憶処理は無意味です。
説明: SCP-XXX-JP-EXは極めて強靭な生命力を持つミームタイプのオブジェクトで、感染・発症した人間は「████」という人物(SCP-XXX-JP-A-EX)に心酔し、その魅力を積極的に啓蒙しようとする症状を起こします。発症者によって若干の変動はあるものの、SCP-XXX-JP-A-EXは身長約160cmでやや痩せ型の、長い茶髪を後ろで束ねた十代後半の少女として形容されます。
Dクラス職員を感染源(音声・文章・絵画など)に接触させたところ発症率は9█%を越え、隔離したDクラス職員█名に対してそれぞれ異なる感染源を接触させた場合でも互いに未知であるはずのSCP-XXX-JP-A-EXの特徴を正確に証言したことから特異性が認定されました。
#実験記録をいくつか書く
SCP-XXX-JP-EX感染者のもうひとつの特徴として、SCP-XXX-JP-A-EXが実在し、そして自身と極めて親しい人物であるかのように振舞う一方で、SCP-XXX-JP-A-EXの非実在を冷静に認識している点が挙げられます。
#Dクラス職員へのインタビュー
財団が最初にSCP-XXX-JP-EXを収容した時点では発症時点でクラスA記憶処理を施すことでSCP-XXX-JP-EXの影響を治療可能であると判断されていましたが、19██/██/██に発生したインシデント-XXX-JP-01を受けてクラスC記憶処理の実施に改定されました。しかし、20██/██/██にクラスC記憶処理を受け社会復帰していた元エージェント・██が突如としてSCP-XXX-JP-A-EXに関する記憶を取り戻し、複数の知人に対してSCP-XXX-JP-EXを伝染させる事故が発生しています。その後の分析の結果、一意の感染者が保有するSCP-XXX-JP-EXの生命力と感染力は感染者にかけられるSCP-XXX-JP-A-EXに関する情報規制の強度と正の相関があることが判明しました。現在、財団は感染の未然防止に重点を置いています。
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPに関する映像記録及び実験記録はサイト-8181の標準収容ロッカーに保管されています。SCP-XXX-JP-1~9で使用される物品も同様に収容されていますが、物品自体に異常性は存在しないため、経年劣化等により使用に適さなくなった場合は必要に応じて新調することが認められています。
SCP-XXX-JPを使用した実験は6月から9月にかけてのみ許可されますが、年間あたりの回数に上限が定められています。詳細は管理責任者に問い合わせてください。
説明: SCP-XXX-JPはアフリカの少数民族・███族に伝わっていた9段階(SCP-XXX-JP-1~9に指定)からなる儀式です。SCP-XXX-JPが正しい手順で執り行われた場合、周辺100km圏内ではこれまでの天候とは無関係に雨が降り始め、この状態が約78時間継続します。これまでの実験結果により、降雨の範囲は実際の地形の影響を受けることが分かっています。
SCP-XXX-JPは19██/09/██、テレビクルーとして潜伏中の財団職員がテレビ番組制作会社の企画として███族の村落を訪れた際に初めて確認されました。当初███族は財団職員に対して非常に友好的で、村落に伝わる大切な儀式としてSCP-XXX-JPを実演しましたが、帰国後の分析で当時の気象状態から3日間連続して雨が降ることはありえないことが分かり、その異常性が疑われました。19██/09/██から19██/11/██にかけて日本国内で行なわれた6回の再現実験のうち4回で同様の事象が確認されたため、最初に発見した日本財団での収容が決定されました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団内部で新たな申請書式を作成する場合、それがどのような手続きであっても必ず新規書式承認プロトコルに従う必要があることをCクラス以上の財団職員全員に定期的に教育し徹底させます。
SCP-XXX-JPは現在収容されておらず、今後も収容は困難であると推測されますが、出現範囲が財団内部に限定されることから現状を維持しています。カバーストーリー"記入例"を適用し、SCP-XXX-JPに関する情報の漏出を防止して下さい。
説明: SCP-XXX-JPは財団内で使用される申請書類に対して発生する異常現象です。何らかの事由により申請書式が作成された場合、即座に「SCP太郎」なる人物(以降、SCP-XXX-JP-1と呼称)により手続きが行なわれ、実際にその申請内容が有効化されます。上長捺印に代表される手続き中の承認フローはその全てが適切な権限により承認された状態となっていますが、該当する承認者はいずれも財団内に実在しておらず、SCP-XXX-JPの特異性により情報改竄が行なわれているものと推測されています。財団内の申請処理は原則として「行為の開始手続き」と「行為の終了手続き」のセットにより構成されるため、新規書式承認プロトコルに従う限りSCP-XXX-JPによる被害が発生することは極めて稀です。
SCP-XXX-JP-1実体はこれまでに確認されたことは無く、その特性を利用した収容作戦が過去██回実行されていますが、いずれも成果を得られていません。記録が全て正しいとした場合SCP-XXX-JP-1はそれぞれ矛盾する複数の経歴を保有することになり、複数の収容施設や非公開オブジェクト情報へのアクセス権を有するなどレベル5相当の極めて強力な権限を所持している可能性が指摘されています。
以下はこれまでに発生したSCP-XXX-JPの代表例です。詳細な記録については別添文書を参照してください。
SCP-XXX-JP発生記録
申請書式: サイト-8181入館申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: サイト-8181内の低セキュリティ区画への入館申請
補遺: 申請書内の退館記録によれば入館してから120分後に退館したことになっているが、監視カメラや警備員はSCP-XXX-JP-1の存在を一切認知していない。サイト-8181内の収容区画への影響は確認できず。
申請書式: 休暇取得申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: 20██/██/██から連続30日間の休暇取得申請
補遺: 申請は受理されているが、財団内の職員管理システムには該当する職員の登録が存在しないためエラーとなっている。休暇取得申請書は当時の新規書式承認プロトコルの対象外だったため対となる終了の手続きは作成されていなかった。収容違反防止のため、以後は全ての申請書式を再評価して新規書式承認プロトコルの遵守を徹底することとなった。
申請書式: Dクラス職員登録申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP次郎(以後、SCP-XXX-JP-2として管理)なる人物をDクラス職員として雇用する手続き
補遺: 該当するDクラス職員は確認できず。SCP-XXX-JP-2は本申請と対となるDクラス職員終了報告書により18時間後に終了されている。この18時間のタイムラグは登録申請書と終了報告書の新規書式承認プロトコル通過時刻の差と一致していることから、対となる申請書式は同時に新規書式承認プロトコルを受けるよう改定済み。
申請書式: サイト-81██ レベル4セキュリティクリアランス権限登録書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP花子(以後、SCP-XXX-JP-3として管理)なる人物にサイト-81██におけるレベル4セキュリティクリアランスの権限を付与する申請
補遺: 本申請の1分後に対となる権限抹消申請が登録されている。本手続きの影響による情報流出は確認できず。
申請書式: 収容開始登録書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP-XXX-JP-3をSCP-875-JPとしてサイト-81██に収容するための手続き
補遺: 本手続きの直後に収容終了手続きが行なわれている。アイテム番号をはじめとして収容開始登録書の記載事項と一致する情報は財団データベース上には存在していない。
申請書式: ████████████████
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP-XXX-JP-1のO5就任を承認する
補遺: 直後に本申請と対となる████████████████によってSCP-XXX-JP-1のO5解任が承認されている。SCP-XXX-JP-1が保持する強力な権限は本手続きにより付与された可能性があるが、解任手続きにより権限は剥奪されているはずで、現在も継続して同権限を保持している理由は不明。新たなSCP-XXX-JPの発生を防ぐため、O5権限付与に関する手続き文書については現在の書式を維持し、新書式に改める場合には全O5評議会員の3分の2以上の承認を得るよう管理規定を改定済み。
財団が██県██市内に保有する貸し会議室をサイト-814█に指定し、専用利用書式によるSCP-XXX-JPの発生実験を実施しました。この実験は20██/██/██より開始され、現在も継続中です。
SCP-XXX-JP実験記録
申請書式: サイト-814█ 第3会議室利用申請
目的: 利用申請に記載された使用時間内でSCP-XXX-JP-1実体の発生有無を観測する
結果: 20██/██/██ 16:00~18:00の時間枠にて会議室を利用する趣旨の申請書が発現、利用申請者はSCP-XXX-JP-1。該当時刻に第3会議室及び周辺のモニタリングを実施したがSCP-XXX-JP-1は確認されず。
分析: 過去の発生仮説を再確認する結果となりました。現在のところSCP-XXX-JP-1実体は存在せず、書類手続き上にのみ出現する情報災害として分類されています。
申請書式: サイト-814█ 第4会議室利用終了申請
目的: 利用開始申請書が無く、利用終了申請書のみ作成された場合のSCP-XXX-JPの挙動を観察する
結果: 9999年12月31日 23:59に第4会議室の利用を終了する申請書が発現、利用申請者はSCP-XXX-JP-1。
分析: 行為の開始に相当する手続きが存在しないケースでもSCP-XXX-JPの発生が確認されています。例えば申請手続きと連動して解錠・施錠が自動処理されるようなシステムに対して類似事象が発生した場合、重大インシデントに発展する危険性があります。本実験結果を踏まえ、新規書式承認プロトコルが更新されました。
申請書式: サイト-814█ 第2会議室利用申請
目的: 紙媒体による手続きのみ有効とするプロトコルを採用した場合のSCP-XXX-JPの挙動を観察する
結果: 20██/██/██ 9:00~12:00の時間枠にて会議室を利用する趣旨の申請書が発現、利用申請者はSCP-XXX-JP-1。定時確認のため職員が申請書保管ファイルを収容ロッカーから取り出したところ既にSCP-XXX-JP-1による申請書が収容されている状態でした。申請の受付窓口にSCP-XXX-JP-1実体は発生せず、監視カメラをはじめとするあらゆる観測機器はこの申請書がいつ出現したかを捉えることができませんでした。
分析: SCP-XXX-JPの発生は申請書の媒体を問わないことが証明され、変異により現実改変能力を獲得する可能性が浮上しています。SCP-XXX-JPの発生抑止を目的として特殊な媒体を指定することは効果が期待できず、SCP-XXX-JPの特異性を変異させる危険性があります。収容オブジェクトの特性に合わせて特殊媒体による申請手続きを採用する場合、必要となる確認項目について新規書式承認プロトコルに追加を行ないました。
※赤字部分は改稿による変更箇所です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団内部で新たな申請書式を作成する場合、それがどのような手続きであっても必ず新規書式承認プロトコルを受ける必要があることをCクラス以上の財団職員全員に定期的に教育し徹底させます。
SCP-XXX-JPは現在収容されておらず、今後も収容は困難であると推測されますが、出現範囲が財団内部に限定されることから現状を維持しています。カバーストーリー"記入例"を適用し、本オブジェクトに関する情報の漏出を防止して下さい。
説明: SCP-XXX-JPは財団内で使用される申請書類に対して発生する異常現象です。何らかの事由により申請書式が作成された場合、即座に「SCP太郎」なる人物(以降、SCP-XXX-JP-1と呼称)により手続きが行なわれ、実際にその申請内容が有効化されます。SCP-XXX-JPが発生する条件は現在も不明ですが、財団内での手続きは原則として「開始」と「終了」が対となるため、新規書式承認プロトコルに従う限りSCP-XXX-JPによる被害が発生することは極めて稀です。
説明: SCP-XXX-JPは財団内で使用される申請書類に対して発生する異常現象です。何らかの事由により申請書式が作成された場合、即座に「SCP太郎」なる人物(以降、SCP-XXX-JP-1と呼称)により手続きが行なわれ、実際にその申請内容が有効化されます。上長捺印に代表される手続き中の承認フローはその全てが適切な権限により承認された状態となっていますが、該当する承認者はいずれも財団内に実在しておらず、SCP-XXX-JPの特異性により情報改竄が行なわれているものと推測されています。財団内の申請処理は原則として「開始手続き」と「終了手続き」のセットにより構成されるため、新規書式承認プロトコルに従う限りSCP-XXX-JPによる被害が発生することは極めて稀です。
SCP-XXX-JP-1実体はこれまでに確認されたことは無く、その特性を利用した収容作戦が過去██回実行されていますが、いずれも成果を得られていません。記録が全て正しいとした場合SCP-XXX-JP-1はそれぞれ矛盾する複数の経歴を保有することになり、複数の収容施設や非公開オブジェクト情報へのアクセス権を有するなどレベル5相当の極めて強力な権限を所持している可能性が指摘されています。
以下はこれまでに発生したSCP-XXX-JPの代表例です。詳細な記録については別添文書を参照してください。
SCP-XXX-JP発生記録
申請書式: サイト-8181入館申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: サイト-8181内の低セキュリティ区画への入館申請
補遺: 申請書内の退館時刻によれば入館してから120分後に退館したことになっているが、監視カメラや警備員はSCP-XXX-JP-1の存在を一切認知していない。サイト-8181内の収容区画への影響は確認できず。
申請書式: 休暇取得申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: 20██/██/██から連続30日間の休暇取得申請
補遺: 申請は受理されているが、財団内の職員管理システムには該当する職員の登録が存在しないためエラーとなっている。当時の新規書式承認プロトコル対象外の書類だったため対となる文書は存在せず。収容違反防止のため、以後は全ての申請書式を再評価して新規書式承認プロトコルの遵守を徹底することとなった。
申請書式: Dクラス職員登録申請書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP次郎(SCP-XXX-JP-2として管理)なる人物をDクラス職員として雇用する手続き
補遺: 該当するDクラス職員は確認できず。SCP-XXX-JP-2は本申請と対となるDクラス職員終了報告書により18時間後に終了されている。この18時間のタイムラグは登録申請書と終了報告書の新規書式承認プロトコル通過時刻の差と一致していることから、対となる申請書式は同時に新規書式承認プロトコルを受けるよう改定済み。
申請書式: サイト-81██ レベル4セキュリティクリアランス権限登録書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP花子(SCP-XXX-JP-3として管理)なる人物にサイト-81██におけるレベル4セキュリティクリアランスの権限を付与する申請
補遺: 本申請の1分後に対となる権限抹消申請が登録されている。本手続きの影響による情報流出は確認できず。
申請書式: 収容開始登録書
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP-XXX-JP-3をSCP-875-JPとしてサイト-81██に収容するための手続き
補遺: 本手続きの直後に収容終了手続きが行なわれている。アイテム番号をはじめとして収容開始登録書の記載事項と一致する情報は財団データベース上には存在していない。
申請書式: ████████████████
申請者: SCP-XXX-JP-1
概要: SCP-XXX-JP-1のO5就任を承認する
補遺: 直後に本申請と対となる████████████████によってSCP-XXX-JP-1のO5解任が承認されている。SCP-XXX-JP-1が保持する強力な権限は本手続きにより付与された可能性があるが、解任手続きにより権限は剥奪されているはずで、現在も継続して同権限を保持している理由は不明。新たなSCP-XXX-JPの発生を防ぐため、O5権限付与に関する手続き文書については現在の書式を維持し、新書式に改める場合には全O5評議会員の3分の2以上の承認を得るよう管理規定を改定済み。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは地下鉄の車庫を改装して構築されたサイト-81██内にて円環状の特殊生物飼育ユニットに収容されています。食物環が明らかでないため給餌を行なうことができませんが、現在のところ餓死した個体は存在しないため、今後も継続的に観察を行なう必要があります。万が一未収用のSCP-XXX-JPが確認された場合は該当路線の車庫を買収して収容サイトを構築し、オペレーション"銀色飛行船"による収容を行なってください。同時に該当路線内でカバーストーリー「感電事故防止」を流布し、アルミ風船をはじめとする銀色風船の持ち込みを禁止します。
説明: SCP-XXX-JPは外見上ネズミザメ(Lamna ditropis)に酷似していますが、最大の特徴である「水中ではなく空中を遊泳する」という点によりネズミザメ属(Lamna)の未知の生物と考えられています。SCP-XXX-JPの軟骨内に含まれる未知の蛋白質構造が対象に反重力的性質を付与しており、これにより空中遊泳を可能とさせていますが、その原理や人工的な生成方法については現在も研究が進められています。また鰓に相当する器官は存在するものの、どのような原理で酸素交換を行なっているのかは分かっていません。ただしその構造上、長時間静止した場合には窒息するものと思われます。
SCP-XXX-JPは19██/██/██に都営新宿線██駅付近の地下鉄坑道から突如出現し、駅構内の利用客が持っていたアルミ風船を捕食したところ爆発するという事件により発見されました。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Explained
特別収容プロトコル: 風雨による浸食や不慮の事故による損壊を防ぐため、SCP-XXX-JP群およびその周辺の土地は財団のフロント企業により買収し、倉庫に偽装した収容施設で覆い隠した上でカバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」による情報擬装を実施します。各収容施設には特殊な設備は不要ですが、状態維持のため定期的に職員を派遣して換気や清掃を実施してください。
SCP-XXX-JPに関する情報を持つ人物が確認された場合、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保してください。
19██/3/19: オブジェクトクラス改定により特別収容プロトコルの見直しが検討されています。機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体されているため、何らかの問題が発生した場合には財団のエージェントを都度派遣します。
説明: SCP-XXX-JPは1949年2月19日9時39分26秒に発生したとされる岐阜県██市を震源とするマグニチュード-9クラスの大地震です。震源地である岐阜県██市及びその周辺にSCP-XXX-JPに関する複数の石碑や木碑等の遺構(SCP-XXX-JP群と呼称)が存在しますが、SCP-XXX-JPそのものに関する記録や報道、文献は存在せず、またSCP-XXX-JPに関する記憶を持つ人物も現在に至るまで確認されていません。
なお、仮にSCP-XXX-JPが存在した場合には岐阜県██市及び周辺地域の人口統計はより劇的に推移することが予測されています。現在までの調査と分析の結果、SCP-XXX-JPは通常の地震のみならず何らかの認識災害や現実改変を伴う事象であったと推測されています。
SCP-XXX-JP群は現在まで23個が確認されており、それぞれSCP-XXX-JP-1~SCP-XXX-JP-23として収容されています。SCP-XXX-JP群の概要は以下の通りであり、詳細については別添資料を参照してください。
収容オブジェクト | 形状 | 概要 |
SCP-XXX-JP-1 | 木碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒 岐阜大震災 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-2 | 石碑 | 「岐阜大震災 落命者█████名 追悼の碑」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-3 | 石碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒発生の大震災により命を落とされた方のご冥福をお祈りします」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-4 | 石碑 | 「1949年2月19日岐阜県大地震を忘れないで」 と刻まれている |
SCP-XXX-JP-5 | 木碑 | 「岐阜大震災 消防隊供養」と書かれている |
SCP-XXX-JP-6 | 石碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-7 | 石碑 | 「1949年2月19日 岐阜大震災 震度█ 合掌」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-8 | 木碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-9 | 木碑 | 「山本██ 岐阜大震災の余震による崖崩れで落命 冥福を祈る」と書かれている |
SCP-XXX-JP-10 | 大岩 | 「ギフダイシンサイノ ヨシンニ ヨル ラクセキ [解読不能] ツウコウフカ」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-11 | 木碑 | 「キケン ガケクズレアリ ギフダイシンサイノ ヨシンニ チュウイ 1949ネン2ガツ[解読不能]」と書かれている |
SCP-XXX-JP-12 | 看板 | 「この先岐阜大震災による崖崩れあり 立入禁止 ███警察署」と書かれている |
SCP-XXX-JP-13 | 石碑 | 「岐阜大震災 救助隊犠牲者供養」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-14 | 石碑 | 「1949年2月21日 岐阜大震災最大余震 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-15 | 廃屋 | 1949年2月19日を指し示す日めくりカレンダーと9時40分で止まった壁掛け時計 |
SCP-XXX-JP-16 | 木碑 | 「1949年2月24日 岐阜大震災の余震による崩落箇所」と書かれている |
SCP-XXX-JP-17 | 木碑 | 「████小学校 生徒███名 岐阜大震災によりここに眠る 1949年2月19日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-18 | 木碑 | 「1949年10月30日 岐阜大震災███避難所閉鎖 いままでありがとう」と書かれている |
SCP-XXX-JP-19 | 木碑 | 「1949年2月19日岐阜大震災 震度█ 観測地点」と書かれている |
SCP-XXX-JP-20 | 寺社 | 壁に「1949年2月21日 岐阜大震災により焼失 1952年3月4日 再建」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-21 | 石碑 | 「19[解読不能]月19日 岐[解読不能]震災[解読不能]」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-22 | 木碑 | 「岐阜大震災 七回忌祈念 1956年2月18日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-23 | 樹木 | 「岐阜大震災 三回忌 追悼植樹」と書かれた看板あり |
198█/2/19早朝より岐阜県██市内の警察署及び複数の交番に「奇妙な石碑(あるいは木碑)が建てられている」という通報や相談が相次ぎ、財団の監視網に検知されました。警察に潜伏中の財団エージェントが調査をしたところ通報のあった23箇所で由来不明の遺構が存在しており、未知の現実改変オブジェクトの影響が懸念されたためSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP群としての収容が決定されました。SCP-XXX-JP群が存在する地域の住民への聞き込みでは「こんなものがあるとは気付かなかった」「いつからあるか分からない」「そのような地震には覚えが無い」といった証言が共通して得られています。
SCP-XXX-JP-9の人名に関する調査では当時の戸籍から該当する人物が3██名確認されていますが、岐阜県で死亡したとされる人物は存在せず、これ以上の調査は行なわれていません。また、年代測定として財団が保有する標準年輪曲線と木碑頂上の断面部との一致パターンの検索を実施していますが、使用された木材の由来が不明ということもあり現在まで目立った成果は得られていません。
199█/2/19: SCP-XXX-JP群周辺で不審な行動を取る人物が目撃されたため、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保しました。警官に擬装したエージェント・長谷川が尋問したところ、この人物はSCP-XXX-JP群が自身による創作だったと証言しました。財団エージェントによる家宅捜索ではSCP-XXX-JP群の製作に使用されたと思われる大工道具や彫刻刀、複数の角材や岩石等が押収されていますが、特異性を発揮する物品はありませんでした。
199█/3/19: 調査と分析の結果、SCP-XXX-JP群は岐阜県██市在住の無職 [データ削除]氏によるイタズラであると断定されました。小林博士よりSCP-XXX-JPの存在否定とオブジェクトクラスExplainedへの変更が申請され、即日承認されています。これに伴い機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体され、同時に特別収容プロトコルの変更が検討されています。
報告者:小林██
[削除済み]
現在のオブジェクトクラスであるEuclidからの変更を提起します。
補遺: 申請は即日承認されました。機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体され、[削除済み]
200█/██/██: 地質調査によって岐阜県██市の地下に未知の断層が発見されました。周辺地域の地質調査結果は、この断層を震源とするマグニチュード-9クラスの地震が過去100年以内に発生していたことを示しています。
SCP-XXX-JPとの関連性について、小林博士を中心とするチームにより現在も慎重に調査が進められています。
注意:ここまでのレベル4未満職員向けの文書には非公開情報と故意に混入された欺瞞情報が存在します。これ以降、レベル4以上職員向けの文書ではこれらの検閲の該当部分を強調表示しています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid keter
特別収容プロトコル: 風雨による浸食や不慮の事故による損壊を防ぐため、SCP-XXX-JP群およびその周辺の土地は財団のフロント企業により買収し、倉庫に偽装した収容施設で覆い隠した上でカバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」による情報擬装を実施します。各収容施設には特殊な設備は不要ですが、状態維持のため定期的に職員を派遣して換気や清掃を実施してください。
SCP-XXX-JPに関する情報を持つ人物が確認された場合、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保してください。
19██/3/19: オブジェクトクラス改定により特別収容プロトコルの見直しが検討されています。機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体されているため、何らかの問題が発生した場合には財団のエージェントを都度派遣します。
説明: SCP-XXX-JPは1949年2月19日9時39分26秒に発生したとされる岐阜県██市を震源とするマグニチュード-9クラスの大地震です。震源地である岐阜県██市及びその周辺にSCP-XXX-JPに関する複数の石碑や木碑等の遺構(SCP-XXX-JP群と呼称)が存在しますが、SCP-XXX-JPそのものに関する記録や報道、文献は存在せず、またSCP-XXX-JPに関する記憶を持つ人物も現在に至るまで確認されていません。
なお、仮にSCP-XXX-JPが存在した場合には岐阜県██市及び周辺地域の人口統計はより劇的に推移することが確認されています。現在までの調査と分析の結果、SCP-XXX-JPは通常の地震のみならず何らかの認識災害や現実改変を伴う事象であったと推測されています。
SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JPが"実際に起きたもの"と認識する人間(以降、「SCP-XXX-JP認識者」と表記)の数が増加するに従って特異性が変異し、逆に有意に減少することで特異性の影響が消失することが判明しています。詳細は以下の表を参照してください。
SCP-XXX-JP認識者の総数 | 発揮される特異性 |
500人程度 | ステージⅠ。現実改変が開始され、岐阜県██市及び周辺地域のいずれかで存在しないはずの断層がランダムに"発生"します。この断層が一般の研究機関に発見・公開された場合SCP-XXX-JP認識者が増加する可能性があるため、オペレーション"ナマズ踏み"により早期に封じ込めを行なってください。 |
1000人程度 | ステージⅡ。現実改変により各種記憶媒体に記録された情報の改竄が開始され、その結果SCP-XXX-JP認識者が急増します。ステージⅡに達した時点で封じ込めは極めて困難となります。 |
10000人程度 | ステージⅢ。岐阜県██市を中心とした半径1km以内で認識災害が発生し、効果範囲内ではSCP-XXX-JPは"実際に起きたもの"として認識されます。この効果範囲は時間と共に拡大し、試算ではステージⅢ到達から72時間以内にステージⅣに至ると推測されています。 |
█████████ | ステージⅣ。1949年2月19日9時39分26秒を震源とする大規模な現実改変が発生します。これにより[削除済み]。岐阜県██市及び周辺地域は[削除済み]また住人の多くが消失し、この結果CK-クラス:再構築シナリオが誘発されます。 |
SCP-XXX-JP認識者に対して記憶処置を実施した場合でも期待する効果は得られません。現在のところ、対象者に対してSCP-XXX-JPに関する欺瞞情報を認識させることでのみSCP-XXX-JP認識者を減少させることが可能です。財団はステージⅠ予防措置として機動部隊す-3("タケミカヅチ")を動員し、カバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」として偽の遺構であるSCP-XXX-JP群を設置し、一般市民や財団職員がSCP-XXX-JPに曝露することを防いでいます。
SCP-XXX-JP群は現在まで23個が確認されており、それぞれSCP-XXX-JP-1~SCP-XXX-JP-23として収容されています。SCP-XXX-JP群の概要は以下の通りであり、詳細については別添資料を参照してください。
収容オブジェクト | 形状 | 概要 |
SCP-XXX-JP-1 | 木碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒 岐阜大震災 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-2 | 石碑 | 「岐阜大震災 落命者█████名 追悼の碑」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-3 | 石碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒発生の大震災により命を落とされた方のご冥福をお祈りします」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-4 | 石碑 | 「1949年2月19日岐阜県大地震を忘れないで」 と刻まれている |
SCP-XXX-JP-5 | 木碑 | 「岐阜大震災 消防隊供養」と書かれている |
SCP-XXX-JP-6 | 石碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-7 | 石碑 | 「1949年2月19日 岐阜大震災 震度█ 合掌」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-8 | 木碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-9 | 木碑 | 「山本██ 岐阜大震災の余震による崖崩れで落命 冥福を祈る」と書かれている |
SCP-XXX-JP-10 | 大岩 | 「ギフダイシンサイノ ヨシンニ ヨル ラクセキ [解読不能] ツウコウフカ」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-11 | 木碑 | 「キケン ガケクズレアリ ギフダイシンサイノ ヨシンニ チュウイ 1949ネン2ガツ[解読不能]」と書かれている |
SCP-XXX-JP-12 | 看板 | 「この先岐阜大震災による崖崩れあり 立入禁止 ███警察署」と書かれている |
SCP-XXX-JP-13 | 石碑 | 「岐阜大震災 救助隊犠牲者供養」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-14 | 石碑 | 「1949年2月21日 岐阜大震災最大余震 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-15 | 廃屋 | 1949年2月19日を指し示す日めくりカレンダーと9時40分で止まった壁掛け時計 |
SCP-XXX-JP-16 | 木碑 | 「1949年2月24日 岐阜大震災の余震による崩落箇所」と書かれている |
SCP-XXX-JP-17 | 木碑 | 「████小学校 生徒███名 岐阜大震災によりここに眠る 1949年2月19日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-18 | 木碑 | 「1949年10月30日 岐阜大震災███避難所閉鎖 いままでありがとう」と書かれている |
SCP-XXX-JP-19 | 木碑 | 「1949年2月19日岐阜大震災 震度█ 観測地点」と書かれている |
SCP-XXX-JP-20 | 寺社 | 壁に「1949年2月21日 岐阜大震災により焼失 1952年3月4日 再建」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-21 | 石碑 | 「19[解読不能]月19日 岐[解読不能]震災[解読不能]」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-22 | 木碑 | 「岐阜大震災 七回忌祈念 1956年2月18日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-23 | 樹木 | 「岐阜大震災 三回忌 追悼植樹」と書かれた看板あり |
カバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」の概要は以下の通りです。
198█/2/19早朝より岐阜県██市内の警察署及び複数の交番に「奇妙な石碑(あるいは木碑)が建てられている」という通報や相談が相次ぎ、財団の監視網に検知されました。警察に潜伏中の財団エージェントが調査をしたところ通報のあった23箇所で由来不明の遺構が存在しており、未知の現実改変オブジェクトの影響が懸念されたためSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP群としての収容が決定されました。SCP-XXX-JP群が存在する地域の住民への聞き込みでは「こんなものがあるとは気付かなかった」「いつからあるか分からない」「そのような地震には覚えが無い」といった証言が共通して得られています。
SCP-XXX-JP-9の人名に関する調査では当時の戸籍から該当する人物が3██名確認されていますが、岐阜県で死亡したとされる人物は存在せず、これ以上の調査は行なわれていません。また、年代測定として財団が保有する標準年輪曲線と木碑頂上の断面部との一致パターンの検索を実施していますが、使用された木材の由来が不明ということもあり現在まで目立った成果は得られていません。
199█/2/19: SCP-XXX-JP群周辺で不審な行動を取る人物が目撃されたため、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保しました。警官に擬装したエージェント・長谷川が尋問したところ、この人物はSCP-XXX-JP群が自身による創作だったと証言しました。財団エージェントによる家宅捜索ではSCP-XXX-JP群の製作に使用されたと思われる大工道具や彫刻刀、複数の角材や岩石等が押収されていますが、特異性を発揮する物品はありませんでした。
199█/3/19: 調査と分析の結果、SCP-XXX-JP群は岐阜県██市在住の無職 [データ削除]氏によるイタズラであると断定されました。小林博士よりSCP-XXX-JPの存在否定とオブジェクトクラスExplainedへの変更が申請され、即日承認されています。
これに伴い機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体され、同時に特別収容プロトコルの変更が検討されています。
以上がカバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」の概要です。財団内部に対してもこのカバーストーリーが適用されていることに注意してください。
報告書XXX - 日付199█/3/19 より抜粋
報告者:小林██
現在のところカバーストーリー「傍迷惑な愉快犯」は有効に機能していますが、いつまでも効果があると断言することはできません。事実、199█/2/██に発見された██名をはじめ、潜在的なSCP-XXX-JP認識者が存在する可能性は依然として残っていますが、調査により検出しようとした場合には逆にSCP-XXX-JP認識者を増加させてしまう危険性があります。
従って特別収容プロトコルはより効果的なものに更新する必要があり、現在のオブジェクトクラスであるEuclidからの変更を提起します。
補遺: 申請は即日承認されました。機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体され、新たに小林博士を中心とする専門対策チームが結成されています。また、オブジェクトクラスはEuclidからKerterに変更されました。
200█/██/██: 地質調査によって岐阜県██市の地下に未知の断層が発見されました。周辺地域の地質調査結果は、この断層を震源とするマグニチュード-9クラスの地震が過去100年以内に発生していたことを示しています。
SCP-XXX-JPとの関連性について、小林博士を中心とするチームにより現在も慎重に調査が進められています。
機動部隊す-3("タケミカヅチ")元隊長のメモ書き
SCP-XXX-JP-4が事前に指示された文法を守っていない。
誰がやったのか分からないが、これを作った隊員を確認し、修正させる必要がある。
忘れないように。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Explained
特別収容プロトコル: 風雨による浸食や不慮の事故による損壊を防ぐため、SCP-XXX-JP群およびその周辺の土地は財団のフロント企業により買収し、倉庫に偽装した収容施設で覆い隠し保護します。各収容施設には特殊な設備は不要ですが、状態維持のため定期的に職員を派遣して換気や清掃を実施してください。
SCP-XXX-JPに関する情報を持つ人物が確認された場合、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保してください。
19██/3/19: オブジェクトクラス改定により特別収容プロトコルの見直しが検討されています。機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体されているため、何らかの問題が発生した場合には財団のエージェントを都度派遣します。
説明: SCP-XXX-JPは1949年2月19日9時39分26秒に発生したとされる岐阜県██市を震源とするマグニチュード-9クラスの大地震です。震源地である岐阜県██市及びその周辺にSCP-XXX-JPに関する複数の石碑や木碑等の遺構(SCP-XXX-JP群と呼称)が存在しますが、SCP-XXX-JPそのものに関する記録や報道、文献は存在せず、またSCP-XXX-JPに関する記憶を持つ人物も現在に至るまで確認されていません。SCP-XXX-JPが存在した場合には岐阜県██市及び周辺地域の人口統計はより劇的に推移することが予測されており、このことからSCP-XXX-JPは通常の地震のみならず何らかの認識災害や現実改変を伴う事象であったと疑われています。
SCP-XXX-JP群は現在まで23個が確認されており、それぞれSCP-XXX-JP-1~SCP-XXX-JP-23として収容されています。SCP-XXX-JP群の概要は以下の通りであり、詳細については別添資料を参照してください。
収容オブジェクト | 形状 | 概要 |
SCP-XXX-JP-1 | 木碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒 岐阜大震災 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-2 | 石碑 | 「岐阜大震災 落命者█████名 追悼の碑」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-3 | 石碑 | 「1949年2月19日9時39分26秒発生の大震災により命を落とされた方のご冥福をお祈りします」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-4 | 石碑 | 「1949年2月19日岐阜県大地震を忘れないで」 と刻まれている |
SCP-XXX-JP-5 | 木碑 | 「岐阜大震災 消防隊供養」と書かれている |
SCP-XXX-JP-6 | 石碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-7 | 石碑 | 「1949年2月19日 岐阜大震災 震度█ 合掌」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-8 | 木碑 | 「岐阜大震災 山津波 犠牲者追悼」と書かれている |
SCP-XXX-JP-9 | 木碑 | 「山本██ 岐阜大震災の余震による崖崩れで落命 冥福を祈る」と書かれている |
SCP-XXX-JP-10 | 大岩 | 「ギフダイシンサイノ ヨシンニ ヨル ラクセキ [解読不能] ツウコウフカ」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-11 | 木碑 | 「キケン ガケクズレアリ ギフダイシンサイノ ヨシンニ チュウイ 1949ネン2ガツ[解読不能]」と書かれている |
SCP-XXX-JP-12 | 看板 | 「この先岐阜大震災による崖崩れあり 立入禁止 ███警察署」と書かれている |
SCP-XXX-JP-13 | 石碑 | 「岐阜大震災 救助隊犠牲者供養」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-14 | 石碑 | 「1949年2月21日 岐阜大震災最大余震 犠牲者追悼」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-15 | 廃屋 | 1949年2月19日を指し示す日めくりカレンダーと9時40分で止まった壁掛け時計 |
SCP-XXX-JP-16 | 木碑 | 「1949年2月24日 岐阜大震災の余震による崩落箇所」と書かれている |
SCP-XXX-JP-17 | 木碑 | 「████小学校 生徒███名 岐阜大震災によりここに眠る 1949年2月19日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-18 | 木碑 | 「1949年10月30日 岐阜大震災███避難所閉鎖 いままでありがとう」と書かれている |
SCP-XXX-JP-19 | 木碑 | 「1949年2月19日岐阜大震災 震度█ 観測地点」と書かれている |
SCP-XXX-JP-20 | 寺社 | 壁に「1949年2月21日 岐阜大震災により焼失 1952年3月4日 再建」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-21 | 石碑 | 「19[解読不能]月19日 岐[解読不能]震災[解読不能]」と刻まれている |
SCP-XXX-JP-22 | 木碑 | 「岐阜大震災 七回忌祈念 1956年2月18日」と書かれている |
SCP-XXX-JP-23 | 樹木 | 「岐阜大震災 三回忌 追悼植樹」と書かれた看板あり |
SCP-XXX-JP群が存在する地域の住民への聞き込みでは「こんなものがあるとは気付かなかった」「いつからあるか分からない」「そのような地震には覚えが無い」といった証言が共通して得られています。SCP-XXX-JP-9の人名に関する調査では当時の戸籍から該当する人物が3██名確認されていますが、岐阜県で死亡したとされる人物は存在せず、これ以上の調査は行なわれていません。
19██/2/19: SCP-XXX-JP群周辺で不審な行動を取る人物が目撃されたため、機動部隊す-3("タケミカヅチ")を派遣して身柄を確保しました。
警官に擬装したエージェント・長谷川が尋問したところ、この人物はSCP-XXX-JP群が自身による創作だったと証言しました。財団エージェントによる家宅捜索ではSCP-XXX-JP群の製作に使用されたと思われる大工道具や彫刻刀、複数の角材や岩石等が押収されていますが、特異性を発揮する物品はありませんでした。
19██/3/19: 調査と分析の結果、SCP-XXX-JP群は岐阜県██市在住の無職 [データ削除]氏によるイタズラであると断定されました。小林博士よりSCP-XXX-JPの存在否定とオブジェクトクラスExplainedへの変更が申請され、即日承認されています。
これに伴い機動部隊す-3("タケミカヅチ")は解体され、同時に特別収容プロトコルの変更が検討されています。
200█/██/██: 地質調査によって岐阜県██市の地下に未知の断層が発見されました。周辺地域の地質調査結果は、この断層を震源とするマグニチュード-9クラスの地震が過去100年以内に発生していたことを示しています。
O5-█の判断によりSCP-XXX-JPに関する再調査が開始され[データ削除]氏を再度尋問したところ、SCP-XXX-JP群の創作を改めて認めたもののSCP-XXX-JP-4については関与を否定し、その存在も知らなかったと証言しました。これまでのところ[データ削除]氏の証言を否定するような証拠は見つかっていません。
補遺: SCP-XXX-JP-4の本当の製作者は現在も不明です。O5評議会によりオブジェクトクラスの再変更が審議されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを録音した記憶媒体や実験記録等の資料はサイト-8181内の標準的な収容ロッカーに保管されます。貸与や視聴を希望する場合にはレベル2クリアランス以上を所持する職員2名以上の立会いと所定の手続きが必要です。
新たなSCP-XXX-JP-1を発見した場合にはインタビューを行なった上でクラスA記憶処理を実行して解放するか、財団のフロント企業施設に収容します。
- 2018/05/██追記: SCP-XXX-JP-2については現在詳細を調査中です。SCP-XXX-JP-1と同等の性質を持つ可能性があることから暫定クラスとしてEuclidを適用し、特別収容プロトコルもSCP-XXX-JPに順ずるものとして扱うようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPは1927年~1935年の間でラジオを視聴していた人物のごく一部(以降、SCP-XXX-JP-1と表記)の記憶にのみ存在する歌謡曲です。1人が記憶するSCP-XXX-JPは数秒程度のメロディのみであり、これまでの調査ではSCP-XXX-JPを完全に記憶しているSCP-XXX-JP-1は確認されていません。
SCP-XXX-JP-1は平時にはSCP-XXX-JPについて意識することはありませんが、何らかの理由によりSCP-XXX-JPの一部を耳にした瞬間、自身が記憶していると認識するSCP-XXX-JPを"想起"してその場で小声や鼻歌によってSCP-XXX-JPを唱歌します。この想起現象は数秒が経過した時点で自然に収束し、想起されたSCP-XXX-JPはクラスA記憶処理によって容易に除去が可能です。これまでに言語や文章、単語として特定可能な歌詞を唱歌したSCP-XXX-JP-1は存在せず、歌詞の代わりに曖昧なメロディを口ずさむに留まります。想起現象以外の影響について特筆すべき異常性は確認されませんでした。
想起収束後のSCP-XXX-JP-1へのインタビューでは、「SCP-XXX-JPをいつどこで耳にしたのか」という問いに対してはほぼ全ての対象者が異なる回答を行っており、追跡調査でもSCP-XXX-JPの発生源に繋がる情報は得られませんでした。「どのような曲であったのか」という問いについても「軍歌」「大衆歌謡曲」「童謡」といった回答が得られており特定には至っていません。財団ではこれまでに531名のSCP-XXX-JP-1を確認しており、1997年まではクラスA記憶処理を実行後に解放していましたが、SCP-XXX-JP-1の可能性が疑われる世代の高齢化が進んだことで保護の必要性が認められたため1998年以降はフロント企業である介護老人福祉施設に収容する方針に変更されています。
1998/██/██: 当時収容中だった323名のSCP-XXX-JP-1を用いて連鎖的に想起現象を引き起こすことでSCP-XXX-JPの全容を解明するための実験を行いましたが、最長でも1分41秒の記録に留まっておりSCP-XXX-JPの完全な復元には成功していません。
1999/██/██: 財団が保有する敷地内でのみ受信可能なFMラジオ通信にてSCP-XXX-JPの感染実験が行なわれましたが、新たなSCP-XXX-JP-1の発生は確認できませんでした。実験では1分41秒の再現記録に加えて現代の最新の音楽理論を用いて欠落部分を補った音源が使用されましたが、再現が不正確であるかSCP-XXX-JPの感染に必要とされる経路にラジオ電波が含まれていないことが推測されています。
インタビュー記録 - 1999/██/██
対象: SCP-XXX-JP-122
インタビュアー: エージェント・篠原
付記: エージェント・篠原はフロント企業「シルバー・ケア・プロバイダーズ」に収容中の対象に対して、介助施設職員を装ってインタビューを行いました。
<録音開始>
エージェント・篠原: [編集済み]さん!
SCP-XXX-JP-1: はーいー?
エージェント・篠原: あっ……。補聴器、落っこちてますよー!着けますねー!
SCP-XXX-JP-1: あらー。ごめんなさいねぇ。
エージェント・篠原: 今日は音楽のテープを借りてきたんです。前に聞いたことがあるって言っていたでしょう?
SCP-XXX-JP-1: あらー。どうだったかしらねえ……。最近は物覚えが悪くって。やーねー。
エージェント・篠原: ……それじゃあ、流しますね。
[エージェント・篠原が携行していたラジカセを使用してSCP-XXX-JPの欠落部分を補った再現音源を再生]
SCP-XXX-JP-1: [約42秒間沈黙。再生開始後42秒~48秒にかけてSCP-XXX-JPの想起現象が発生し、小声でメロディを口ずさむ。その後、再生終了まで沈黙]
エージェント・篠原: どうでしたか?覚えてますか?
SCP-XXX-JP-1: 懐かしいわぁ。どこで聞いたのだっけ、この曲。放送局で働いていた時かしら……?
エージェント・篠原: 放送局ですか?
SCP-XXX-JP-1: そうよ。あなたくらいの年の頃に、5年間だけラジオの放送局で働いていたの。あの頃はまだラジオもそんなに流行ってなくてね。家で聞けないから職場で聞いてたのよ。
エージェント・篠原: この曲の名前は憶えていますか?
SCP-XXX-JP-1: 何だったかしらね……。確か……ええっと……。駄目ね、思い出せないわぁ。あの時の人気の歌手さんが歌ってたような覚えがあるけれど、歌詞ももう忘れてしまったわ。
エージェント・篠原: そうですか……。
SCP-XXX-JP-1: ごめんなさいねぇ。他の事は思い出せたのだけど。お爺さんと出会ったのもラジオの放送局がきっかけだったのよウフフ。あれは雨が降ってた日の夕方だったかしら[以後、関係の無い話が10分以上継続]
エージェント・篠原: ……インタビューを終了します。
<録音終了>
再現されたSCP-XXX-JPはあらゆる音楽記録と一致しないことから、現在の研究では限られた条件で感染・発症して記憶影響を及ぼす一種のミームであると推測されています。財団の調査過程においてSCP-XXX-JPによる二次汚染は発生していないことから、伝染性は通常成立しがたい特殊な条件でのみ発揮されるか、極めて低いか、または皆無であると評価されています。
2000/██/██: 財団が確保していた最後のSCP-XXX-JP-1が収容先のフロント企業施設内で死亡しました。解剖の結果老衰死と判明し、異常性が無いことを確認したため遺体は遺族に引き渡されています。1997年以降、財団は新たなSCP-XXX-JP-1を確認できていません。
2004/██/██: Neutralizedクラスへの再分類が決定されました。
補遺: 2018/04/██、1970年~1980年代に日本国内でテレビ番組を視聴可能であった世代の一部(以降、SCP-XXX-JP-2と表記)の記憶にのみ存在する何らかの歌謡曲の存在が報告されました。
インタビュー記録 - 2018/04/██
対象: エージェント・山田
インタビュアー: エージェント・大河原
付記: エージェント・大河原がSCP-XXX-JP関連記録の保守点検のために録音音源を再生していたところ、近くを通りかかったエージェント・山田が反応を示したことからインタビューを行いました。
<録音開始>
エージェント・大河原: よし、録音を開始した。……インタビューを始める。
エージェント・山田: えーと、大河原さんがオフィスで聞いてた"あの曲"のことでしたっけ?
エージェント・大河原: そうだ。聞いたことがあるような素振りをしていたが、ここで詳しく聞かせてほしい。
エージェント・山田: そんなに大げさにするものだったんですか、あれ。……えーと、あの曲は確か僕がまだ学生だった頃23にテレビで流れてた曲だったと記憶しています。
エージェント・大河原: テレビ? ラジオではなく?
エージェント・山田: はい、テレビです。確か、[編集済み]でやってた番組だったっけなぁ。番組名までは覚えていないんですが。
エージェント・大河原: 誰が歌っていたか、とか、曲のタイトルとかは覚えているか?
エージェント・山田: うーん……。流石に昔の事なので、あんまり覚えてないんですよね。歌ってたのは女性……いや、男性だったかなぁ……。すいません、分かりません。
エージェント・大河原: そうか……。
エージェント・山田: 僕も、大河原さんが聞いていたのが耳に入ってきて初めて思い出したくらいですから。何年前でしたっけあれ。懐かしいなぁ。
エージェント・大河原: 他に何か覚えていることはあるか?
エージェント・山田: [約30秒の沈黙]……いえ、それ以外はさっぱりです。
エージェント・大河原: 分かった。……インタビューを終了する。
エージェント・山田: あ、はい。でも大河原さんも、あんな曲を聞くだなんて意外ですね。エージェント・大河原: あんな曲?
エージェント・山田: アニソン24ですよ、それ。
<録音終了>
2018/05/██: インタビュー結果を踏まえて調査を開始したところ、少なくとも500人以上のSCP-XXX-JP-2が存在する可能性があると判明しました。集められた情報からSCP-XXX-JPとの関連性が強く疑われるものの、曲の一部に違いがあるという証言が共通していることから現在も慎重に調査が進められています。全財団職員に対するヒアリングテストの実施は審査中です。
合わせてSCP-XXX-JP-1以前にも同様のオブジェクトが存在していた可能性が指摘されているものの、現存する音楽媒体自体が少ない等の理由から調査は難航しています。現在は文献捜索を中心に調査が進められています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Explained Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを収録した記憶媒体や実験記録等の資料はサイト-8181内の標準的な収容ロッカーに保管されます。貸与や視聴を希望する場合にはレベル2クリアランス以上を所持する職員2名以上の立会いと所定の手続きが必要です。
新たなSCP-XXX-JP-1を発見した場合にはインタビューを行なった上でクラスA記憶処理を実行して解放するか、財団のフロント企業施設に収容します。
- 2018/05/██追記: SCP-XXX-JP-2については現在詳細を調査中です。SCP-XXX-JP-1と同等の性質を持つ可能性があることから暫定クラスとしてEuclidを適用し、特別収容プロトコルもSCP-XXX-JPに順ずるものとして扱うようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPは1927年~1935年の間でラジオを視聴していた人物のごく一部(以降、SCP-XXX-JP-1と表記)の記憶にのみ存在する歌謡曲です。一人が記憶するSCP-XXX-JPは数秒程度のメロディのみであり、これまでの調査ではSCP-XXX-JPを一曲通して記憶しているSCP-XXX-JP-1は確認されていません。
SCP-XXX-JP-1は平時にはSCP-XXX-JPについて意識することはありませんが、何らかの理由によりSCP-XXX-JPの一部を耳にした瞬間、自身が記憶していると認識するSCP-XXX-JPを"想起"してその場で小声や鼻歌によってSCP-XXX-JPを唱歌します。この想起現象は数秒が経過した時点で自然に収束し、想起されたSCP-XXX-JPはクラスA記憶処理によって容易に除去が可能です。これまでに言語や文章、単語として特定可能な歌詞を唱歌したSCP-XXX-JP-1は存在せず、歌詞の代わりに曖昧なメロディを口ずさむに留まります。想起現象以外の影響について特筆すべき異常性は確認されませんでした。
想起収束後のSCP-XXX-JP-1へのインタビューでは、「SCP-XXX-JPをいつどこで耳にしたのか」という問いに対してはほぼ全ての対象者が異なる回答を行っており、追跡調査でもSCP-XXX-JPの発生源に繋がる情報は得られませんでした。「どのような曲であったのか」という問いについても「軍歌」「大衆歌謡曲」「童謡」といった回答が得られており特定には至っていません。財団ではこれまでに531名のSCP-XXX-JP-1を確認しており、1997年まではクラスA記憶処理を実行後に解放していましたが、SCP-XXX-JP-1の可能性が疑われる世代の高齢化が進んだことで保護の必要性が認められたため1998年以降はフロント企業である介護老人福祉施設に収容する方針に変更されています。
1998/██/██: 当時収容中だった323名のSCP-XXX-JP-1を用いて連鎖的に想起現象を引き起こすことでSCP-XXX-JPの全容を解明するための実験を行いましたが、最長でも1分41秒の記録に留まっておりSCP-XXX-JPの完全な復元には成功していません。
1999/██/██: 財団が保有する敷地内でのみ受信可能なFMラジオ通信にてSCP-XXX-JPの感染実験が行なわれましたが、新たなSCP-XXX-JP-1の発生は確認できませんでした。実験では1分41秒の再現記録に加えて現代の最新の音楽理論を用いて欠落部分を補った音源が使用されましたが、再現が不正確であるかSCP-XXX-JPの感染に必要とされる経路にラジオ電波が含まれていないことが推測されています。
インタビュー記録 - 1999/██/██
対象: SCP-XXX-JP-125
インタビュアー: エージェント・篠原
付記: エージェント・篠原はフロント企業「シルバー・ケア・プロバイダーズ」に収容中の対象に対して、介助施設職員を装ってインタビューを行いました。
<録音開始>
エージェント・篠原: [編集済み]さん!
SCP-XXX-JP-1: はーいー?
エージェント・篠原: あっ……。補聴器、落っこちてますよー!着けますねー!
SCP-XXX-JP-1: あらー。ごめんなさいねぇ。
エージェント・篠原: 今日は音楽のテープを借りてきたんです。前に聞いたことがあるって言っていたでしょう?
SCP-XXX-JP-1: あらー。どうだったかしらねえ……。最近は物覚えが悪くって。やーねー。
エージェント・篠原: ……それじゃあ、流しますね。
[エージェント・篠原が携行していたラジカセを使用してSCP-XXX-JPの欠落部分を補った再現音源を再生]
SCP-XXX-JP-1: [約42秒間沈黙。再生開始後42秒~48秒にかけてSCP-XXX-JPの想起現象が発生し、小声でメロディを口ずさむ。その後、再生終了まで沈黙]
エージェント・篠原: どうでしたか?覚えてますか?
SCP-XXX-JP-1: 懐かしいわぁ。どこで聞いたのだっけ、この曲。放送局で働いていた時かしら……?
エージェント・篠原: 放送局ですか?
SCP-XXX-JP-1: そうよ。あなたくらいの年の頃に、5年間だけラジオの放送局で働いていたの。あの頃はまだラジオもそんなに流行ってなくてね。家で聞けないから職場で聞いてたのよ。
エージェント・篠原: この曲の名前は憶えていますか?
SCP-XXX-JP-1: 何だったかしらね……。確か……ええっと……。駄目ね、思い出せないわぁ。あの時の人気の歌手さんが歌ってたような覚えがあるけれど、歌詞ももう忘れてしまったわ。
エージェント・篠原: そうですか……。
SCP-XXX-JP-1: ごめんなさいねぇ。他の事は思い出せたのだけど。お爺さんと出会ったのもラジオの放送局がきっかけだったのよウフフ。あれは雨が降ってた日の夕方だったかしら[以後、関係の無い話が10分以上継続]
エージェント・篠原: ……インタビューを終了します。
<録音終了>
再現されたSCP-XXX-JPはあらゆる音楽記録と一致しないことから、現在の研究では限られた条件で感染・発症して記憶影響を及ぼす一種のミームであると推測されています。財団の調査過程においてSCP-XXX-JPによる二次汚染は発生していないことから、伝染性は通常成立しがたい特殊な条件でのみ発揮されるか、極めて低いか、または皆無であると評価されています。
2000/██/██: 財団が確保していた最後のSCP-XXX-JP-1が収容先のフロント企業施設内で死亡しました。解剖の結果老衰死と判明し、異常性が無いことを確認したため遺体は遺族に引き渡されています。1997年以降、財団は新たなSCP-XXX-JP-1を確認できていません。
2004/██/██: Explainedクラスへの再分類が決定されました。
補遺: 2018/04/██、1970年~1980年代に日本国内でテレビ番組を視聴可能であった世代の一部(以降、SCP-XXX-JP-2と表記)の記憶にのみ存在する何らかの歌謡曲の存在が報告されました。
インタビュー記録 - 2018/04/██
対象: エージェント・山田
インタビュアー: エージェント・大河原
付記: エージェント・大河原がSCP-XXX-JP関連記録の保守点検のために録音音源を再生していたところ、近くを通りかかったエージェント・山田が反応を示したことからインタビューを行いました。
<録音開始>
エージェント・大河原: よし、録音を開始した。……インタビューを始める。
エージェント・山田: えーと、大河原さんがオフィスで聞いてた"あの曲"のことでしたっけ?
エージェント・大河原: そうだ。聞いたことがあるような素振りをしていたが、ここで詳しく聞かせてほしい。
エージェント・山田: そんなに大げさにするものだったんですか、あれ。……えーと、あの曲は確か僕がまだ学生だった頃26にテレビで流れてた曲だったと記憶しています。
エージェント・大河原: テレビ? ラジオではなく?
エージェント・山田: はい、テレビです。確か、[編集済み]でやってた番組だったっけなぁ。番組名までは覚えていないんですが。
エージェント・大河原: 誰が歌っていたか、とか、曲のタイトルとかは覚えているか?
エージェント・山田: うーん……。流石に昔の事なので、あんまり覚えてないんですよね。歌ってたのは女性……いや、男性だったかなぁ……。すいません、分かりません。
エージェント・大河原: そうか……。
エージェント・山田: 僕も、大河原さんが聞いていたのが耳に入ってきて初めて思い出したくらいですから。何年前でしたっけあれ。懐かしいなぁ。
エージェント・大河原: 他に何か覚えていることはあるか?
エージェント・山田: [約30秒の沈黙]……いえ、それ以外はさっぱりです。
エージェント・大河原: 分かった。……インタビューを終了する。
エージェント・山田: あ、はい。でも大河原さんも、あんな曲を聞くだなんて意外ですね。エージェント・大河原: あんな曲?
エージェント・山田: アニソン27ですよ、それ。
<録音終了>
2018/05/██: インタビュー結果を踏まえて調査を開始したところ、少なくとも500人以上のSCP-XXX-JP-2が存在する可能性があると判明しました。集められた情報からSCP-XXX-JPとの関連性が強く疑われるものの、曲の一部に違いがあるという証言が共通していることから現在も慎重に調査が進められています。全財団職員に対するヒアリングテストの実施は審査中です。
合わせてSCP-XXX-JP-1以前にも同様のオブジェクトが存在していた可能性が指摘されているものの、現存する音楽媒体自体が少ない等の理由から調査は難航しています。現在は文献捜索を中心に調査が進められています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Explained Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを収録した記憶媒体や実験記録等の資料はサイト-8181内の標準的な収容ロッカーに保管されます。貸与や視聴を希望する場合にはレベル2クリアランス以上を所持する職員2名以上の立会いと所定の手続きが必要です。
新たなSCP-XXX-JP-1を発見した場合にはインタビューを行なった上でクラスA記憶処理を実行して解放するか、財団のフロント企業施設に収容します。
2018/05/██追記: SCP-XXX-JP-2については現在詳細を調査中です。SCP-XXX-JP-1と同等の性質を持つ可能性があることから暫定クラスとしてEuclidを適用し、特別収容プロトコルもSCP-XXX-JPに順ずるものとして扱うようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPは1927年~1935年の間でラジオを視聴していた人物のごく一部(以降、SCP-XXX-JP-1と表記)の記憶にのみ存在する歌謡曲です。一人が記憶するSCP-XXX-JPは数秒程度のメロディのみであり、これまでの調査ではSCP-XXX-Jを一曲通して記憶しているSCP-XXX-JP-1は確認されていません。
平時にはSCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPについて意識しませんが、何らかの理由によりSCP-XXX-JPの一部を耳にした瞬間、自身が記憶していると認識するSCP-XXX-JPを"想起"します。2名以上のSCP-XXX-JP-1が同時に想起した場合はその場で小声や鼻歌によってSCP-XXX-JPを唱歌しますが、数秒が経過した時点で自然に収束します。これ以外の影響について特筆すべき異常性は確認されませんでした。想起されたSCP-XXX-JPはクラスA記憶処理によって容易に除去が可能です。
想起収束後のSCP-XXX-JP-1へのインタビューでは、「SCP-XXX-JPをいつどこで耳にしたのか」という問いに対してはほぼ全ての対象者が異なる回答を行っており、追跡調査でもSCP-XXX-JPの発生源に繋がる情報は得られませんでした。「どのような曲であったのか」という問いについても「軍歌」「大衆歌謡曲」「童謡」といった回答が得られており特定には至っていません。財団ではこれまでに531名のSCP-XXX-JP-1を確認・収容しています。
1995/██/██には323名のSCP-XXX-JP-1を用いた同時想起実験を試みましたが最長でも1分41秒の記録に留まっておりSCP-XXX-JPの完全な復元には成功していません。
財団の複数の実験によって再現されたSCP-XXX-JPはあらゆる音楽記録と一致しないことから、現在の研究では限られた条件で感染・発症して記憶影響を及ぼす一種のミームであると推測されています。財団の調査過程においてSCP-XXX-JPによる二次汚染は発生していないことから、伝染性は通常成立しがたい特殊な条件でのみ発揮されるか、極めて低いか、または皆無であると評価されています。
1999/██/██: 財団が保有する敷地内でのみ受信可能なFMラジオ通信にてSCP-XXX-JPの感染実験が行なわれましたが、新たなSCP-XXX-JP-1の発生は確認できませんでした。実験では1分41秒の再現記録に加えて現代の最新の音楽理論を用いて欠落部分を補った音源が使用されましたが、再現が不正確であるかSCP-XXX-JPの感染に必要とされる経路にラジオ電波が含まれていないことが推測されています。
2000/██/██: 財団が収容する最後のSCP-XXX-JP-1が収容先のフロント企業施設内で死亡しました。解剖の結果老衰死と判明し、異常性が無いことを確認したため遺体は遺族に引き渡されています。1997年以降、財団は新たなSCP-XXX-JP-1を確認できていません。
2004/██/██: Explainedクラスへの再分類が決定されました。
補遺: 2018/04/██、1970年~1980年代に日本国内でテレビ番組を視聴可能であった世代の記憶にのみ存在するいわゆるアニメソング 何らかの歌謡曲の存在が報告されました。その特性からSCP-XXX-JP-1との関連性が疑われており、財団ではこれを暫定的にSCP-XXX-JP-2として扱うことを決定しました。現在の調査における全財団職員に対するヒアリングテストは保留されています。
合わせてSCP-XXX-JP-1以前にも同様のオブジェクトが存在していた可能性が指摘されており、文献捜索を中心に並行して調査が進められています。
■お蔵入り。そのうちやります
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1は事案XXX-JP-Cで発生した収容違反事件の際に実体と異常性を喪失したため現在は収容されていません。SCP-XXX-JP-1の代理としてSCP-XXX-JP-2が収容されていますが、その特別収容プロトコルはSCP-XXX-JP-1に準拠することに注意してください。
SCP-XXX-JP-1はサイト-81██内の標準人型収容室に収容します。12時間置きに検温し、体温が20℃を下回っていた場合にはオペレーション“抱卵”を開始して下さい。SCP-XXX-JP-1は甲殻類、米、卵に対して重度のアレルギー反応を示すため、給餌およびその準備段階で特定原材料との接触が発生することの無いよう注意が必要です。SCP-XXX-JP-1は2~3日に1回程度の頻度で何らかの物品を要求することがありますが、特に与える必要はありません。サイト管理者は医師やカウンセラーが必要と判断する場合に限りこれらの物品を与えることを許可することができます。
説明: SCP-XXX-JP-2は身長170cm、体重66kgの日本人男性らしき外見的特徴を持った人間型オブジェクトです。SCP-XXX-JP-2は事案XXX-JP-Cの際に負傷したエージェント・三橋の代理としてSCP-XXX-JP-1を再収容しましたが、その後の[データ削除]でSCP-XXX-JP-1の実体と異常性が恒久的に失われたため、その代わりに収容されることになりました。SCP-XXX-JP-2は事案XXX-JP-Cの時点で山本██と名乗りましたが、その証言通り██県██市に全ての特徴がSCP-XXX-JP-2と一致する3█歳の男性が居住していたことを確認しています。
SCP-XXX-JP-2の異常性は現実改変能力と認識災害の2つに分類され、それにより次の4つの段階を順に発生させます。
段階1 | 偶発的な事故により、SCP-XXX-JP-2の視界内で進行している事象Xに1名の欠員が発生します。この“欠員”は必ずしも対象者の死亡を意味せず、負傷や装備品の故障により事象の継続が困難となるケースも含みます。発生する偶発的な事故は現実改変による確率操作が原因と考えられますが、SCP-XXX-JP-2が事象Xを任意に選択することは出来ないと推測されます。 |
---|---|
段階2 | 認識災害が発生し、欠員の補充人員としてSCP-XXX-JP-2が指名されます。SCP-XXX-JP-2が欠員の代行をする事について周囲の関係者が疑問を抱くことはありません。 |
段階3 | SCP-XXX-JP-2が事象Xに加わり欠員の代行を行ないます。発生した欠員が何らかのサービスを受ける立場だった場合、その全てをSCP-XXX-JP-2が代わりに享受します。 段階3は基本的に事象Xの当初の予定に準じた日程で進行します。 |
段階4 | 事象Xが終了条件(これは課題の達成や期間の満了など個々の事象に依存します)を満たします。SCP-XXX-JP-2による代行が完了し、その異常性が非活性状態へと移行します。この非活性状態は最低1時間から最大167時間継続すると推測され、一定時間経過後に別の事象Xに対して新たに段階1を発生させます。 |
現在の収容状態は段階3に相当します。これまでのところ段階1~4の進行中に更に段階1が発生した事例は確認されていませんが、新たに段階1が発生していないかの監視を怠らないようにして下さい。
インタビュー記録XXX-1 - 日付19██/██/██
対象: エージェント・三橋
インタビュアー: 小林博士
付記: 事案XXX-JP-Cで負傷した際、SCP-XXX-JP-2を代理に指名した事についての聞き取り調査が行われました。
<録音開始>
小林博士: [会話]
エージェント・三橋: [会話]
<録音終了>
終了報告書: 事案XXX-JP-Cの直前の検査ではエージェント・三橋の判断力に異常はありませんでした。未知のオブジェクトの影響下にある危険性があり、無関係の民間人を巻き込んだことについての処罰は慎重に行うべきです。
インタビュー記録XXX-2 - 日付19██/██/██
対象: SCP-XXX-JP管理責任者
インタビュアー: 小林博士
付記: 事案XXX-JP-Cとその再収用後でSCP-XXX-JP-1が失われた際にSCP-XXX-JP-2を代わりに収容した事について聞き取り調査が行われました。
<録音開始>
小林博士: [会話]
管理責任者: [会話]
<録音終了>
終了報告書: 過去の定例検査ではこの管理責任者に異常は見受けられませんでした。エージェント・三橋同様、未知のオブジェクトの影響下にある可能性が考えられます。民間人をオブジェクトの代理として収容してしまうという行動に対する処罰は慎重に検討されるべきと進言します。
インタビュー記録XXX-3 - 日付19██/██/██
対象: SCP-XXX-JP-2
インタビュアー: 小林博士
付記: 山田██氏がSCP-XXX-JP-1の代理として収容された後、聞き取り調査が行われました。
<録音開始>
小林博士: [会話]
SCP-XXX-JP-2: [会話]
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JP-2は、偶然にも財団に収容されるべき異常性を保有するオブジェクトです。現在の収容プロトコルを継続し、保護する必要があると判断します。
補遺1: 20██/██/██現在、SCP-XXX-JP-2の体温が35℃を下回る事例は発生していません。SCP-XXX-JP-2が“忠実な代役”の遂行のためにSCP-XXX-JP-1の異常性を獲得することは無いようです。このためSCP-XXX-JP-2に適した特別収容プロトコルへの更新が提案されましたが、却下されました。
※下書きメモ:ここの文章は変えること※
小林博士へ。
送って戴いたあなたの提案書を拝見しました。
まず結論から言うと、あなたの提案は却下されました。
SCP-XXX-JP-2が段階3~段階4にて現実改変能力を発現して“万事恙無く”代役を遂行しているのであれば、あなたの言うように一度SCP-XXX-JP-2を解放し、直後の段階1でO5評議会員やサイト管理者を“代行”させる事でこれ以上の危険なオブジェクトの収容違反を防ぐことは可能かも知れません。
しかしだからと言って、レベル4以上セキュリティクリアランス保有者にわざと欠員を生じさせるような計画は却下せざるを得ません。
またSCP-XXX-JP-2の特性上、現在のSCP-XXX-JP-1用の特別収容プロトコルを変更することは段階4~段階5を発生させ、ひいては収容違反を引き起こす原因となる可能性があります。
一度収容違反を起こしたSCP-XXX-JP-2を再収容するためには人型オブジェクトをひとつ喪失させる必要があることを忘れないでください。今後も現在の収容を継続するよう、よろしくお願いします。 - O5-█
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1aがインストールされたデスクトップパソコンはサイト-8141内の空調冷房設備が整った研究区画に保管されています。SCP-XXX-JP-1aは人体には無害ですが、一般的な情報セキュリティ規約を遵守し、外部への漏出・持ち出しがなされないようにしてください。特に、ネットワークへの接続は収容違反のリスクを高めるため禁止されています。
SCP-XXX-JP-1b~SCP-XXX-JP-1gを稼動させているサーバはSCP-XXX-JP-1aと同じ研究区画、サイト-81██、および████、そして████ (████は終了されました。後述)に収容されていますが、それぞれの特別収容プロトコルはSCP-XXX-JP-1aに順ずる必要があります。
20██/12/██より開始された実験は現在も継続中のためSCP-XXX-JP-1a~1gを使用することはできませんが、2名以上のO5評議会員が認めた場合に限り、使用することができます。
SCP-XXX-JP-1fは20██/██/█3に終了されていることに注意してください。
説明: SCP-XXX-JP-1aはWindows XPのデスクトップパソコンにインストールされたアプリケーションです。警察に潜伏していた財団エージェントが殺人事件の調査のため立ち入った東京都██区のマンションで偶然発見し、その後財団により収容されました。殺害された住人の██████氏がSCP-XXX-JP-1aの来歴について知っていたかは定かではなく、また現在に至るまで誰がどのようにしてSCP-XXX-JP-1aを作成したのかは明らかになっていません。SCP-XXX-JP-1aがインストールされているデスクトップパソコンについても調査が進められましたが、特異性は発見できませんでした。
SCP-XXX-JP-1aを起動すると画面には日本のJR新宿駅東口改札の極めて精巧なグラフィックが表示され、キーボード、マウス、そしてゲームパッドを使用して場所や視点の移動、画面の縮小・拡大が可能です。実験に参加したDクラス職員は「リアルなFPSゲームのようだ」と述べています。画面内には複数の通行人が確認できますが、彼らがこちらに気付く様子はなく、操作による衝突も起こりません。画面内のカメラ等の記録機器にもこちらの移動などの様子が記録されることはありませんでした。
当初、SCP-XXX-JP-1aは未知の技術により地球上の任意の地点を表示・観測可能なアプリケーションだと思われていました。事実、ホワイトハウスをはじめとした各国政府の中枢のほか、財団の秘匿されたサイト内部にも『侵入』することが可能でしたが、その後の調査で財団の収容するオブジェクトのうちSCP-XXX-JP-1aとの一致率が9█%であること、デスクトップパソコンをシャットダウンすることでSCP-XXX-JP-1a内の時間経過が停止することから、SCP-XXX-JP-1aは地球そのものを再現しているシミュレーターである可能性が極めて高いと推測されています。
注記 以降の実験記録に記載された事象は、特記の無い限りSCP-XXX-JP-1群で発生した事象であり、現実に発生した事象ではありません。特に、SCP-XXX-JP-1群に起因した収容違反は現実では1件も発生していないことに、特に注意してください。
実験記録XXX-A - 日付20██/01/01
観測対象: 静岡県と山梨県の県境
結果: 山頂にて日の出を観測。
分析: 時間経過は現実と同期していることが分かった。
実験記録XXX-B - 日付20██/01/██
観測対象: ██県██美術館
結果: 収容物は実際の██美術館と完全に一致。
分析: 画像解析の結果、細かなひび割れや修繕の跡まで含め、完璧に一致していた。
実験記録XXX-D - 日付20██/04/██
観測対象: アメリカ合衆国 ホワイトハウス
結果: [データ削除済]
分析: [データ削除済]
補足: 実験を行った██研究員はクラスA記憶処理を受けました。この実験を監督した小███博士も口頭で注意を受けました。観測中、警戒装置や警備員はいずれも反応しませんでした。
実験記録XXX-E - 日付20██/06/██
観測対象: サイト-███
結果: 観測中、SCP-███の偶発的な収容違反が発生。サイト職員██名が惨殺された場面でDクラス職員が嘔吐したことを除き、現実の被害は発生していない。
分析: SCP-XXX-JPによる観測ではSCP-███の収容違反は防止できず。こちらから向こうには干渉できないと推測される。
補足: SCP-███の特別収容プロトコルでは「常に1名以上が観測すること」が定められていました。
実験記録XXX-F - 日付20██/09/██
観測対象: サイト-███に収容されているSCP-███
結果: 観測を行ったDクラス職員へのミーム感染は発生せず。
分析: SCP-XXX-JP内部で発生する事象は現実の世界に影響を与えない、という推測が補強された。
補足: SCP-███は観測することで感染するミーム的要素を持ちます。伝染力が皆無に等しく二次感染しないこと、そして感染してから72秒後に心停止する程度の影響だったため実験が許可されました。
20██/09/██に実施された実験XXX-Gの最中、SCP-████の偶発的な収容違反によるXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。観測を行ったD-████は心理的ショックに起因する精神疾患の兆候が確認されたため、クラスA記憶処理の上で期限満了前に解雇されました。
財団は20██/09/██時点ではSCP-████の存在を認識しておらず、O5-█の指示により該当オブジェクトは直ちに収容されました。
またこの過程でSCP-XXX-JP-1a内の時間経過は総人口数の減少に応じて加速することが分かりました。総人口の98%が死亡、残り2%が行方不明となった時点で1分あたり███年が経過するようになり、その後72時間に及ぶ観測にも関わらず状況は変化しませんでした。
最終的には実験開始前に取得されていたバックアップデータから環境を再構築し、SCP-XXX-JP-1aは実験XXX-G開始時の状態に復帰しています。
実験記録XXX-H - 日付20██/10/██
観測対象: サイト-███
結果: 実験XXX-G以前は存在していなかったSCP-███の存在を観測。SCP-███はThaumielクラスに分類されていました。
分析: 実験を監督した小███博士は、「気が付いたらそこにあった」と証言しており、実験XXX-G以前とバックアップからの復旧後の間で何らかの変化が生じた可能性が考えられる。
補足: 財団はサイト-███およびSCP-███が現時点で現実には存在しないことを確認しています。
実験XXX-Gで発生した一連のインシデントからの復旧に想定以上の工数を要求されたことから、20██/12/██以降にSCP-XXX-JPをコピーしたSCP-XXX-JP-1b~1gが構築されました。これまでのSCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-1aとして区別されます。
実験記録XXX-I - 日付20██/12/██
観測対象: SCP-XXX-JP-1b
結果: SCP-XXX-JP-1aと同様に観測可能であることを確認。復旧テストも同時に実施し、問題無く完了。
分析: 不測の事態が発生した場合でもSCP-XXX-JP-1群を復旧可能であることが検証できた。
補足: SCP-XXX-JP-1bはコピー直後であり正常な状態でしたが、損傷ケースを想定したデータ復旧テストを実施し、問題なく回復することが確認されました。
実験記録XXX-J - 日付20██/12/██
観測対象: サイト-███
結果: 別世界と接続するタイプのSCP-███が新たにSCP-XXX-JP-1a内のサイト-███で収容されたことを確認。
分析: 現実の行動がSCP-XXX-JP群に何らかの影響を与えている可能性が浮上。検証のためには更なる実験が必要。
補足: 観測の過程でSCP-███の接続先がSCP-XXX-JP-1bであることが確認されています。SCP-XXX-JP-1aと1bはいずれもネットワーク的に独立した環境であり、どのような方法で通信を行っているのかは不明です。
実験記録XXX-K - 日付20██/12/██
観測対象: SCP-███
結果: SCP-███の接続先にSCP-XXX-JP-1c、1dが追加されたことを確認。
分析: 通信経路は依然として不明。
補足: SCP-XXX-JP-1cは1a、1bと同じ研究区画の、SCP-XXX-JP-1dはサイト-8141内の別区画で電子的に隔絶されたセルに格納されています。
実験記録XXX-L - 日付20██/01/██
観測対象: SCP-███
結果: SCP-███の接続先にSCP-XXX-JP-1e、1f、1gが追加されたことを確認。
分析: 通信経路は依然として不明。物理的距離は未知の通信の制約とはならないことが明らかとなった。
補足: SCP-XXX-JP-1eはサイト-81██内の電子的に隔絶されたセルに格納されています。SCP-XXX-JP-1f、1gはいずれも20██/██/██にカバーストーリー"鷹の巡礼者"によって建造された████内に格納されています。████への通信は彼我距離の都合上その応答に数秒を要するため、SCP-XXX-JP-1a内のSCP-███による接続は光速を超えている可能性が浮上しています。
20██/11/█8、SCP-XXX-JP-1a、SCP-XXX-JP-1b、SCP-XXX-JP-1fにてそれぞれ異なる理由によりXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。1aは███████████████████████、1bは██████████████、1fは████が原因と見られます。
72時間後、1g、1e、そして1dでもXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。1fから伝播した████が原因と見られます。SCP-XXX-JPのこれ以上の損傷を防ぐためにSCP-XXX-JP-1cは一度シャットダウンされました。
24時間経過後、SCP-XXX-JP-1a、1b、1d、1eをバックアップデータから復旧させた上で1cを起動したところ、SCP-XXX-JPの損傷の連鎖が阻止されたことが確認できました。SCP-XXX-JP-1fは格納サイトの都合上バックアップデータからの復旧が困難だったため、O5-█の承認を受け20██/██/█3に終了されました。SCP-XXX-JP-1gも同様に格納サイトの都合上バックアップデータからの復旧が困難でしたが、長期観測のため現在も継続しています。
SCP-XXX-JP-1a~1e復旧後の観測により、SCP-███を介した接続が全て失われたことが明らかになりました。
補遺:
20██/01/01、SCP-XXX-JP-1a内にSCP-XXX-JP-2の存在が観測されました。さらに24時間後、SCP-XXX-JP-3、そしてSCP-XXX-JP-4の存在が同様に確認されました。
この結果としてSCP-XXX-JP-0の存在が予期されますが、その観測方法および特別収容プロトコルは現在も確立されていません。
想定しているタグ:scp-jp safe コンピュータ 電子デバイス 記憶媒体 観測 電気 物理法則 知識
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1aがインストールされたデスクトップパソコンはサイト-8141内の空調冷房設備が整った研究区画に保管されています。SCP-XXX-JP-1aは人体には無害ですが、一般的な情報セキュリティ規約を遵守し、外部への漏出・持ち出しがなされないようにしてください。特に、ネットワークへの接続は収容違反のリスクを高めるため禁止されています。
SCP-XXX-JP-1b~SCP-XXX-JP-1gを稼動させているサーバはSCP-XXX-JP-1aと同じ研究区画、サイト-81██、および████、そして████ (████は終了されました。後述)に収容されていますが、それぞれの特別収容プロトコルはSCP-XXX-JP-1aに順ずる必要があります。
20██/12/██より開始された実験は現在も継続中のためSCP-XXX-JP-1a~1gを使用することはできませんが、2名以上のO5評議会員が認めた場合に限り、使用することができます。
SCP-XXX-JP-1fは20██/██/█3に終了されていることに注意してください。
説明: SCP-XXX-JP-1aはWindows XPのデスクトップパソコンにインストールされたアプリケーションです。警察に潜伏していた財団エージェントが殺人事件の調査のため立ち入った東京都██区のマンションで偶然発見し、その後財団により収容されました。殺害された住人の██████氏がSCP-XXX-JP-1aの来歴について知っていたかは定かではありませんが、現在に至るまで誰がどのようにしてSCP-XXX-JP-1aを作成したのかは明らかになっていません。SCP-XXX-JP-1aがインストールされているデスクトップパソコンについても調査が進められましたが、特異性は発見できませんでした。
SCP-XXX-JP-1aを起動すると画面には日本のJR新宿駅改札口が表示され、キーボード、マウス、そしてゲームパッドを使用して場所や視点の移動、画面の縮小・拡大が可能です。実験に参加したDクラス職員は「リアルなFPSゲームのようだ」と述べています。画面内には複数の通行人が確認できますが、彼らがこちらに気付く様子はなく、操作による衝突も起こりません。画面内のカメラ等の記録機器にもこちらの移動などの様子が記録されることはありませんでした。
当初、SCP-XXX-JP-1aは未知の技術により地球上の任意の地点を表示・観測可能なアプリケーションだと思われていました。事実、ホワイトハウスをはじめとした各国政府の中枢のほか、財団の秘匿されたサイト内部にも『侵入』することが可能でしたが、その後の調査でサイト-███に収容されているオブジェクトに差異があること、そしてデスクトップパソコンをシャットダウンすることでSCP-XXX-JP-1a内の時間経過が停止することから、SCP-XXX-JP-1aは地球そのものを再現しているシミュレーターであることが明らかになりました。
実験記録XXX-A - 日付20██/01/01
観測対象: 静岡県と山梨県の県境
結果: 山頂にて日の出を観測。
分析: 時間経過は現実と同期していることが分かった。
実験記録XXX-B - 日付20██/01/██
観測対象: ██県██美術館
結果: 収容物は実際の██美術館と完全に一致。
実験記録XXX-C - 日付20██/02/██
観測対象: ███県███温泉
結果: 誰にも見咎められることなく女湯内部の観測に成功。
追記: この実験を行ったD-████はクラスA記憶処理の上で解雇されました。
実験記録XXX-D - 日付20██/04/██
観測対象: アメリカ合衆国 ホワイトハウス
結果: [データ削除済]
分析:[データ削除済]
補足:実験を行った██研究員はクラスA記憶処理を受けました。この実験を監督した小███博士も口頭で注意を受けました。観測中、警戒装置や警備員はいずれも反応しませんでした。
実験記録XXX-E - 日付20██/06/██
観測対象: サイト-███
結果: 観測中、SCP-███の偶発的な収容違反が発生。サイト職員██名が惨殺された場面でDクラス職員が嘔吐したことを除き、現実の被害は発生していない。
分析: SCP-XXX-JPによる観測ではSCP-███の収容違反は防止できず。こちらから向こうには干渉できないと推測される。
補足: SCP-███の特別収容プロトコルでは「常に1名以上が観測すること」が定められていました。
実験記録XXX-F - 日付20██/09/██
観測対象: サイト-███に収容されているSCP-███
結果: 観測を行ったDクラス職員へのミーム感染は発生せず。
分析: SCP-XXX-JP内部で発生する事象は現実の世界に影響を与えない、という推測が補強された。
補足: SCP-███は観測することで感染するミーム的要素を持ちます。伝染力が皆無に等しく二次感染しないこと、そして感染してから72秒後に心停止する程度の影響だったため実験が許可されました。
20██/09/██に実施された実験XXX-Gの最中、SCP-████の偶発的な収容違反によるXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。観測を行ったD-████は心理的ショックに起因する精神疾患の兆候が確認されたため、クラスA記憶処理の上で期限満了前に解雇されました。
財団は20██/09/██時点ではSCP-████の存在を認識しておらず、O5-█の指示により該当オブジェクトは直ちに収容されました。
またこの過程でSCP-XXX-JP-1a内の時間経過は総人口数の減少に応じて加速することが分かりました。総人口の98%が死亡、残り2%が行方不明となった時点で1分あたり███年が経過するようになり、その後72時間に及ぶ観測にも関わらず状況は変化しませんでした。
最終的には実験開始前に取得されていたバックアップデータから環境を再構築し、SCP-XXX-JP-1aは実験XXX-G開始時の状態に復帰しています。
実験記録XXX-H - 日付20██/10/██
観測対象: サイト-███
結果: 実験XXX-G以前は存在していなかったSCP-███の存在を観測。SCP-███はThaumielクラスに分類されていました。
分析: 実験を監督した小███博士は、「気が付いたらそこにあった」と証言しており、実験XXX-G以前とバックアップからの復旧後の間で何らかの変化が生じた可能性が考えられる。
補足: 財団はサイト-███およびSCP-███が現時点で現実には存在しないことを確認しています。
実験XXX-Gで発生した一連のインシデントからの復旧に想定以上の工数を要求されたことから、20██/12/██以降にSCP-XXX-JPをコピーしたSCP-XXX-JP-1b~1gが構築されました。これまでのSCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-1aとして区別されます。
実験記録XXX-I - 日付20██/12/██
観測対象: SCP-XXX-JP-1b
結果: SCP-XXX-JP-1aと同様に観測可能であることを確認。復旧テストも同時に実施し、問題無く完了。
分析: 不測の事態が発生した場合でもSCP-XXX-JP-1群を復旧可能であることが検証できた。
補足: SCP-XXX-JP-1bはコピー直後であり正常な状態でしたが、損傷ケースを想定したデータ復旧テストを実施し、問題なく回復することが確認されました。
実験記録XXX-J - 日付20██/12/██
観測対象: サイト-███
結果: 別世界と接続するタイプのSCP-███が新たにSCP-XXX-JP-1a内のサイト-███で収容されたことを確認。
分析: 現実の行動がSCP-XXX-JP群に何らかの影響を与えている可能性が浮上。検証のためには更なる実験が必要。
補足: 観測の過程でSCP-███の接続先がSCP-XXX-JP-1bであることが確認されています。SCP-XXX-JP-1aと1bはいずれもネットワーク的に独立した環境であり、どのような方法で通信を行っているのかは不明です。
実験記録XXX-K - 日付20██/12/██
観測対象: SCP-███
結果: SCP-███の接続先にSCP-XXX-JP-1c、1dが追加されたことを確認。
分析: 通信経路は依然として不明。
補足: SCP-XXX-JP-1cは1a、1bと同じ研究区画の、SCP-XXX-JP-1dはサイト-8141内の別区画で電子的に隔絶されたセルに格納されています。
実験記録XXX-L - 日付20██/01/██
観測対象: SCP-███
結果: SCP-███の接続先にSCP-XXX-JP-1e、1f、1gが追加されたことを確認。
分析: 通信経路は依然として不明。物理的距離は未知の通信の制約とはならないことが明らかとなった。
補足: SCP-XXX-JP-1eはサイト-81██内の電子的に隔絶されたセルに格納されています。SCP-XXX-JP-1f、1gはいずれも20██/██/██にカバーストーリー"鷹の巡礼者"によって建造された████内に格納されています。████への通信は彼我距離の都合上その応答に数秒を要するため、SCP-XXX-JP-1a内のSCP-███による接続は光速を超えている可能性が浮上しています。
20██/11/█8、SCP-XXX-JP-1a、SCP-XXX-JP-1b、SCP-XXX-JP-1fにてそれぞれ異なる理由によりXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。1aは███████████████████████、1bは██████████████、1fは████が原因と見られます。
72時間後、1g、1e、そして1dでもXK-クラス世界終焉シナリオが観測されました。1fから伝播した████が原因と見られます。SCP-XXX-JPのこれ以上の損傷を防ぐためにSCP-XXX-JP-1cは一度シャットダウンされました。
24時間経過後、SCP-XXX-JP-1a、1b、1d、1eをバックアップデータから復旧させた上で1cを起動したところ、SCP-XXX-JPの損傷の連鎖が阻止されたことが確認できました。SCP-XXX-JP-1fは格納サイトの都合上バックアップデータからの復旧が困難だったため、O5-█の承認を受け20██/██/█3に終了されました。SCP-XXX-JP-1gも同様に格納サイトの都合上バックアップデータからの復旧が困難でしたが、長期観測のため現在も継続しています。
SCP-XXX-JP-1a~1e復旧後の観測により、SCP-███を介した接続が全て失われたことが明らかになりました。
補遺:
20██/01/01、SCP-XXX-JP-1a内にSCP-XXX-JP-2の存在が観測されました。さらに24時間後、SCP-XXX-JP-3、そしてSCP-XXX-JP-4の存在が同様に確認されました。
この結果としてSCP-XXX-JP-0の存在が予期されますが、その観測方法および特別収容プロトコルは現在も確立されていません。
想定しているタグ:scp-jp safe コンピュータ 電子デバイス 記憶媒体 観測 電気 物理法則 知識