アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP収容の焦点は継続的な監視活動の維持です。市内の食料品を販売する店舗の監視カメラは財団に管理されます。機動部隊あ-3("さいたま防衛隊")はSCP-XXX-JPの行動を常に観察し、通常の行動範囲外への移動を見せた場合移動先直近のサイトに連絡してください。
SCP-XXX-JPの観察をさらに容易にするため財団エージェントは地域社会に潜入します。諜報活動ではSCP-XXX-JPに限定せずPoI-21349〜PoI-21354の動向についても注目してください。
説明: SCP-XXX-JPは2017年からさいたま市東区に出現した2体の人型実体の総称です。これまでに同地域での異常現象の多発に関わっていることが判明しています。SCP-XXX-JPは両者とも同地域の日野商店街に位置する2つの家屋に滞在しています。この2つの建物は通りを挟んで向かいあっており、どちらも一階部分は商業的な用途に使用されています。
SCP-XXX-JPの特徴は以下の通りです。
SCP-XXX-JP-A | SCP-XXX-JP-B |
---|---|
古墳時代日本の男性に典型的な服装と姿をしており、日本の伝説の人物である田道間守を自称しています。常にタチバナ(学名:Citrus tachibana)のものと認められる枝葉を所持しています。 | ドイツ人女性の姿をしています。自身とドイツの伝承であるコルンムーメとの関連を主張しています。外見は老婆少女のようですが、尾と耳などヨーロッパオオカミ(学名:Citrus tachibana)のものと見られる体の部位が複数存在します。 |
和菓子屋"たちばな"に居住しています。SCP-XXX-JP-Aと同居する橘家の住民は、保安上の懸念から要注意人物に指定されています(PoI-21349〜PoI-21354)。 | 洋菓子店"Moin Mori"に居住しています。SCP-XXX-JP-Bと同居する森家の住民は要注意人物に指定されています(PoI-21355〜PoI-21357)。 |
SCP-XXX-JPの行動範囲は主にさいたま市とその周辺の地域に限定されます。しかし、SCP-XXX-JPが範囲外に移動した稀有な例として、2017年8月23日にSCP-XXX-JPは多数の要注意人物を伴って茨城県沿岸部に出現した事例が挙げられます。
2017/05/23にさいたま市では不審人物の出現が相次ぎました。このことが財団の注意を引き、地元住民のインタビューでの「古風な服を着たコスプレイヤーがいた」「毎日朝8時にランチパックを大量に買いに来る変な客がいる」などの証言と関連性を認めました。調査の結果和菓子屋"たちばな"に居住する実体が確認され、SCP-XXX-JP-Aに指定されました。SCP-XXX-JP-Aは菓子類を中心として以下の商品を購入したことがわかっています。
- 業務用スーパー████の砂糖30kg
- パン屋████のメロンパン、アンパンリンゴタルト
- コンビニ██のランチパック"ピーナッツ""ネクターピーチクリーム&ホイップ""狭山茶入りクリーム&つぶあん"
- 園芸センター██のタチバナの苗
- 洋菓子屋████ショートケーキ、4ホール
- ████社キャンディー
- みたらし団子
橘家と森家の経営する店舗同士は、その歴史的な経緯から互いに敵視する関係にあったことが地域住民へのインタビューから明らかになっています。直接の因果関係があるかは不明ですが、SCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bも激しく対立しており、日野商店街における多数の異空間の作成や武力行使による直接対決が頻発する理由になっていますが、これらの衝突による地域住民や建物への被害は確認されていません。
補遺XXX-JP: 2018年以降、両実体の敵対的な態度は落ち着きを見せ、積極的な闘争行為は減少傾向にあります。以下はその理由の解明を目的に行われたインタビューです。
インタビュー記録XXX-JP
インタビュアー: エージェント野町
対象: SCP-XXX-JP-A
<記録開始>
三笠研究員: インタビューをお受けいただきありがとうございます。
SCP-XXX-JP-A: これくらいのことなんでもないですよ。それでは何を知りたいのですか?
三笠研究員: いくらかあるのですがよろしいでしょうか。まず、あなたの名前を教えてもらえませんか?
SCP-XXX-JP-A: 私は田道間守と申します。遠い昔よりやってきました。
三笠研究員: あなたはここに住んでいるのですか?
SCP-XXX-JP-A: そうですね。春ごろからここに住まわせてもらっています。お手伝いをさせていただきながら。渡りに船ということでした。私もここに来る必要がありましたし、彼も私を必要としていましたから。
三笠研究員: SCP-XXX-JP-B…。向かいの人型実体についてはどう思いますか?
SCP-XXX-JP-A: あれはどうにも相容れない存在というものでして例えるなら、油と水、正義と悪、夜と昼、そして和菓子と洋菓子と言ったものでしょう。しかし、最近はそうでもないですかな。油と水が偶に混ざり合うように和菓子と洋菓子も合わせてみるものです。この間"Moin Mori"で見たアレは素晴らしい!まあ、これだけが理由というのでもなく私たちの今の主人…。いや、私には今は亡きあのお方以外に主人はおりませんで、どう言えばいいのかわかりませんが、とにかく仁と奏という人の子ですかな。彼らが仲良くなりましたので、とりあえず停戦ということで…。
三笠研究員: PoI-2360とPoI-2357の仲が改善したということですか?
SCP-XXX-JP-A: あなた達がそう呼ぶのを私は知っています。あなたもお察しになられているかもしれませんが、元々は"たちばな"と"Moin Mori"そして彼ら自身も仲が悪かったのです。四代も前の禍根を引きずるとは驚きですが、和菓子屋と洋菓子屋、相容れないのは仕方ありませんでした。おふたりの競争は学校での成績だとか菓子関係のないところまで行きました。
三笠研究員: あなたとSCP-XXX-JP-Bがふたりの仲を取り持ったのでしょうか?
SCP-XXX-JP-A: まさか!私はいつも仁を応援していましたとも。菓祖の私から見ても彼の和菓子を練る時の手捌きは素晴らしいし、いいところを語り出したらキリがありませんよ。多分ドイツの犬コロも同じことを思っているのではないでしょうか。こっちの方が優れていると。
三笠研究員: それではふたりの仲はどうやって改善されたのですか?
SCP-XXX-JP-A: それは…。実のところ彼らに関わっている人間全員が去年の秋口に入ったあたりから気づいていました。彼らだけが自分達が両思いであることに気づいていませんでした。
三笠研究員: [沈黙]
SCP-XXX-JP-A: チョコレートに蜜柑を入れた譲歩は今でも語り草です。もしかしたら和菓子屋と洋菓子屋が合併する日も近いのではないでしょうか。
<記録終了>
- 人をダメにするソファ
- バッタン!
- UNIQLO
- いざ見よ鉄の鳥
- アブラ女
- 鬼ヶ島
- God's son
- スレより慟哭
- めっちゃ辛いカレー
- ユニクロ
- オネイロイ掲示板
- 幽霊ビブリオクラブ
- Märchen
- 自殺他
- 秘祭-神結び(改稿中)
- 秘祭-神結び
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8126の中型オブジェクト収容ロッカーに収容してください。実験にはクリアランスレベル2以上の職員の許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは株式会社無印良品から販売されたビーズソファのうち、異常な性質を発生させた4つのオブジェクトを指します。現在までのところSCP-XXX-JPに指定された商品以外では異常な現象を確認していません。SCP-XXX-JPは人(以下、被験者と呼称する)がオブジェクトの表面に寝そべった時異常性を発露させます。
被験者はSCP-XXX-JP内部に沈み込みます。この時SCP-XXX-JPは物理的性質を無視して軟化したように見えますが、被験者の肉体以外による接触では通常のビーズが込められたソファと同じように振る舞います。SCP-XXX-JPの内部で多くの被験者は水の中にいるようだと表現しますが、呼吸や会話は依然として可能です。SCP-XXX-JP内部から持ち帰られたサンプルは同製品に用いられたビーズと完全に一致を示しており、被験者が液体であると表現した理由は不明です。SCP-XXX-JP内部の空間の限界は不明ですが、実験では基準値から323mほど下の空間が存在することが判明しています。それ以降ではどのような条件で実験を行なっても、測定機器の突発的かつ原因不明の故障、被験者との通信断絶により失敗しました。
被験者は基準点からの距離に関係して、オキシトシンやセロトニンなどのホルモン量の増大や心拍数の低下などが見られるようになります。これらのバイタルサインは被験者がリラックスしている状態であることを示しています。それと同時に被験者はストレスからの解放と中度から重度の幼児退行を見せ始めます。
補遺1: SCP-XXX-JPは同型の商品が2014年春に販売が開始されてからしばらくの間異常性が確認されませんでした。初めて財団が異常性を認識したのは2014/08/13のことです。山梨県に在住する子安氏の行方不明から詳細が判明しました。同製品に対して大規模な調査と回収が行われたものの、大半からは異常性が見られませんでした。その後4回のSCP-XXX-JPによる被害が発生した後、カバーストーリー「不良品回収」を流布し全てのオブジェクトを回収しました。
以下に示すのは実験中の三笠研究員とD-1683の通信記録です。この実験は内部空間がどこまで存在するかを知るために行われたため帰還を前提としない探索行でした。
通信記録1661-JP.1
監督者: 三笠研究員
被験者: D-1683
<記録開始>
監督者: どうでしょうか、D-1683。
被験者: 何やら水の中にいるようです。それでも会話や呼吸には支障ありません。しかし、暗くて先のものを見通すことができません。
監督者: ヘッドライトはつけましたか?
被験者: つけてもあまり意味はないようです。まだ視界は良くありません。
監督者: 身体的な状況をどうでしょうか。何か問題はありますか?
被験者: 特にはないです。強いて言うならば少し恐怖を感じますが。
監督者: なるほど。ではこれから徐々に下ろしていきます。些細なものでもいいので何か発見したら直ちに報告してください。
被験者: 了解です。
監督者: 5m沈んでいます。
[両者の沈黙が50m沈むまで続く]
監督者: 環境に変化はありますか?
被験者: 段々闇が深くなるように感じられます。
監督者: どの程度まで見えますか?
被験者: 思いっきり伸ばした手をギリギリ見ることができます。
監督者:わかりました。
被験者: あの、この実験は私にとって最後のものではないのでしょうか。戻ってこれないのではないのでしょうか。
監督者: 私語は控えてください。
被験者: ええたしかに私達は悪いことをしましたよ?でも果たしてこの責め苦、暗いソファに突き落とされることが罰だと認められるのでしょうか。
監督者: ここであなたと議論することに意味はありません。
被験者: [彼の半生について語られる。ここでは重要性が低いので省略済。要約すると彼は強盗・強制性交等罪等により逮捕されたが、それは悲惨な家庭環境の生み出した結果であると主張。その間三笠研究員は深度の報告を行う以外沈黙を保ち続けた。]
監督者: 100m達成しました。
被験者: 実は誰が何をやるかと言うのは環境によるものも多いのです。つまり私はあなただったかもしれません。
監督者: 何か視認したら報告してください。
被験者: 博士、あなたも[罵倒]
監督者: [沈黙]
被験者: [財団のDクラス制度についての罵倒が開始される。Dクラスを運用する制度は著しく倫理観に欠ける行為だと主張。]
監督者: [沈黙。]
被験者: 私だって悩んでいるんですよ。罪を悔いて、手紙を送るなどしました。
[さらに沈黙が続く。]
監督者: 150mです。報告すべきことがあれば報告してください。
被験者: あれれ、おかしい。ずっと真っ暗だったのに下から光が差しています。それまでの距離ははっきりしません。女性のようなものが見えます。
監督者: 接触を取ることはできますか?
被験者: もうすこし彼女に近づけたら。
監督者: 了解です。
被験者: 何やら暖かい気持ちです。ぽかぽかとしてやさしいお母さんのことを思い出しますね。
監督者: どのようなものでしょうか。
被験者: お母さんはとても背が高いんです。早くお母さんの背を越えたくてたくさん牛乳を飲んだんです。小さな頃よく行く公園にグミの木がありました。どうしても取れないので肩車をしてもらいやっと取れました。1つ1つが今の私を形作る大切な思い出です。
[この内容は被験者の来歴と前半の供述に著しく矛盾している。]
監督者: なるほど。その女性実体とは接触できましたか?
被験者: まだもうちょっと。
監督者: 身体的な状況はどうでしょうか。
被験者: あの日のミルクみたいに甘みを感じます。舌ではなく体全体で。体が火照っています。お母さんに近づくことへの安心感と離れていくことに対する不安感が同居しています。
監督者: 200mです。
被験者: でも嬉しいです。またお母さんと会うことができるなんて。さっき責め苦なんていってごめんなさい。あなた達には感謝しても仕切れないです。恐怖も何も必要ないということだったのです。私に足りていなかったのは保護された生活なのかもしれません。
監督者: 女性実体とはまだ接触できていませんか?
被験者: ちょびっと。
監督者: 250mです。
被験者: ママ…。
監督者: 聞こえていますか?
被験者: あー。[喃語のような声を繰り返す。]
監督者: 一度しか言いません。良く聞いてください。300mから先はケーブルの長さが足りていません。従って今引き返すかそのままママと一緒になるのかを選んでもらいたいのです。もし、戻りたいならば手元の赤いレバーを引いてください。50mまで自力で登ってこれれば救助隊を派遣します。でもあなたがこれ以上の調査を進んで望むというならばケーブルを切り離し深度計だけを持って、このオブジェクトの底を調べてください。
被験者: [ベルトを外し、女性実体の方へ泳ぎ始める。]
監督者: 実験を終了します。
その後も深度計は動き続けましたが、323mに到達した時点で理由不明の故障が発生しました。再度ケーブルの長さを500mにして行われた実験でも同じ深度を記録し、その時点であらゆる機器は被験者により破棄されるか故障しました。D-1683及び他の未帰還のDクラスの行方は不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8126の中型オブジェクト収容ロッカーに収容してください。実験にはクリアランスレベル2以上の職員の許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPはその物理的な収容が困難な2体のEfクラス神格実体1です。視認した人物に与えることのできる精神的な影響性と高い活動能力を持っていますが、これらの異常は本人らがある程度の攻撃性を自認して行使しない限り、有害な作用を発生させることはありません。SCP-XXX-JPは現在(2017年から2019年に至るまで)さいたま市東区の2つの家屋に滞在しています。両者が存在するこの2つの建物は日野地区に存在する日野商店街の通りを挟んで向かいあっており、どちらも一階部分は商業的な用途に使用されています。
SCP-XXX-JP発生させる現象は既存の物理的法則や科学的観点から見て異常ですが、地域住民は動揺を見せていません。これらの現象に対して説明できる信仰を持つ人物はそれに類するものだと認識し、科学的な観点に詳しい人物はダブルスタンダードに近い思考形態を持つことにより疑問を持ちません。多くの多くの人物はSCP-XXX-JPらの活動にネガティブな感情を持つことがなく、好意的に感じます。これは認識災害の影響があると考えられており、財団職員や地域外の人物もSCP-XXX-JPを視認することにより同様の影響を受けます。そのため、財団の拡張科学を用いてSCP-XXX-JPらが発生させる異常現象を体系的に理解することは困難です。SCP-XXX-JPらは財団の確認していない場所でさらなる異常現象を発生させていると考えられており、その正確な影響範囲は不明です。
未確認の可能性と2017年8月23日2に発生した事例を除けばSCP-XXX-JPの活動範囲は概ねさいたま市全域と埼玉県の一部の地域に収まります。本来Efクラス神格実体は物理的空間的な制約に対して厳密であり、この特徴はSCP-XXX-JPにも一致しますが、信仰や伝承性が見られないこの地域に存在できることを証明する根拠は今のところありません。
SCP-XXX-JP-A(Ef-13)は典型的には身長160cm程の日本人男性の姿をしていますが、可変であり好んでタチバナ(学名:Citrus tachibana)の枝葉を身体のあらゆる箇所に発現させます。多数の生産構造の発現や異なった形態への変形にも関わらず、タチバナの果実の結実を見せない、あるいはそれが不可能であると発言しているのは特筆すべきところです。SCP-XXX-JP-Aは財団の試みた数々の有害な作用に対してダメージを示しておらず抵抗も見せていませんが、橘家への財団による干渉は極めて有害な報復行為が発生する要因となり得ます。このことからSCP-XXX-JP-Aは財団を敵意のある対象として認識しており、収容を難しくしています。
SCP-XXX-JP-Aは橘家の住居兼経営する和菓子屋"たちばな"の店舗として使われる建築物に居住しています。具体的にはその建築物の2階押し入れに異空間が発生しており、そこからSCP-XXX-JP-Aは現れます。押し入れに存在する異空間に対して、その重要性にも関わらず探索行が実施されたのは一度のみです。
SCP-XXX-JP-B(Ef-14)は基本的に灰色の髪赤い目を持つ女性実体の姿をしていますが、可変であり好んでヨーロッパオオカミ(学名:Canis lupus lupus)に変化します。この時、通常のヨーロッパオオカミに逸脱する特徴として、6本の足を持つことが挙げられます。SCP-XXX-JP-Bは、さいたま市北部の麦畑で発生した児童5人の失踪事件と関連した異常な実体であると考えられており、現場の住民は現在の財団が知るSCP-XXX-JP-Bの姿に酷似した姿を報告しています。SCP-XXX-JP-Aに接触し友好的なコミュニケーションが失敗した教訓から、SCP-XXX-JP-Bに対して直接的なアクションは行われませんでした。児童失踪に見られたような行動は現在のSCP-XXX-JP-Bになく、現在の状態が物理的な確保に次ぐ確実な収容方法だと考えられています。
SCP-XXX-JP-Bは森家の住居兼経営するドイツ菓子屋"Moin Mori"の店舗として使われる建築物に居住しています。具体的には店舗厨房の電気オーブンに異空間が発生しており、そこからSCP-XXX-JP-Bは現れます。こちらはSCP-XXX-JP-Aとの接触の経験から、探索行が一度も行われていません。
橘家と森家の経営する店舗同士は、何らかの歴史的な観点から互いに敵対する関係にあったことが地域住民へのインタビューから明らかになっています。直接の因果関係があるかは不明ですが、橘家と森家と同様にSCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bも激しく対立しており、日野地区における多数の異空間の作成や武力行使による直接対決(様々な爆発や非土着植物の出現を伴いますが、これらはあらゆる被害を住民や土地に及ぼしません。)が頻発する理由になっています。
インタビュー記録XXX-JP.1
インタビュアー: 黒田博士
回答者: PoI-2358"橘 雄一氏"3
付記: 財団フロント企業のSweets Cheers Presentsで発刊される雑誌のインタビューに偽装して行われました。
<記録開始>
インタビュアー: それでは良いでしょうか?
回答者: もちろんだ。タイトルは新鋭気鋭の店主橘 雄一、なんてどうだ[笑い声]
インタビュアー: それはいいですね。ずいぶん古い建物のみたいですが、この店は創業どのくらい経つんでしょうか?
回答者: 実はこの建物は最近の、といっても俺の生まれる少し前くらいに建てられたものだな。俺の爺ちゃん、つまり先々代はえらく道楽者で花火をしていたんだってか?燃えちまったみたいでよお。そん時はもうみんなで消化活動だったみたいでよ。
インタビュアー: なるほど、でもメニューはずっと続いていますよね?
回答者: そうだ、なかでもオススメなのがさっきも話に出てきた先々代が考案したみかん大福だなぁ。昔にこれを思いついたのはすごいと思うぞ。みかんが特別なんだな。あとは特製あんこのどら焼きなんかも良いぞ。まあ全部買っていけって話だな[笑い声]
インタビュアー: 向かうとこ敵なしって感じですね。やはりライバルは目の前の店のMoin Moriでしょうか?
回答者: おう、そう来たかいにいちゃん。残念だがあいつはライバルとすら思ってないね。伝統と格式の創業100年、和菓子屋たちばなはいつでもリードしてるさ。
回答者: あの店は歓奈ちゃんが1歳くらいの時にできてたからな、ほんの16年くらいしかやってないんだよ。こっちは先祖代々レシピを引き継いできているんだ。中には思いつきで入れちまったってやつもあるけどよお。それもいつヒットを産むかわかんねえ。例えばみかん大福みたいにな。
インタビュアー: なるほど。非常に興味深いです。
[省略]
インタビュー記録XXX-JP.2
インタビュアー: 黒田博士
回答者: PoI-2361"森 賢治"
<記録開始>
インタビュアー: それではインタビューを始めます。やはりMoin Moriの名物はリンゴの入ったパイですかね?
回答者: そうですね。正式な名前はアプフェルシュトゥルーデルと言います。私が修行したドイツのハーメルン仕込みとなりますので、どんな方にも満足できると思います。記事は薄い方が良いのですが、私のシュトゥルーデル生地は新聞紙の上に置くと内容がわかるほど薄いんですよ。
インタビュアー: ドイツで修業なされていたんですね。
回答者: はい。洋菓子って聞くと皆さんフランスを思い出すことが多いと思うのですが、実はドイツも結構やるぞって感じでいきたいです。[笑い]実は店名のMoin Moriも挨拶を名前でもじったものです。
インタビュアー: たしかにそうですね。言われてみないと店名の由来に気づけませんでした。実は私はたちばなの方にも取材へ行ったんですが。
回答者: ほう、あのみかん大福を食べましたか?
インタビュアー: はい。
回答者: 確かに大福にみかんは斬新でしょう。でも彼ら後先考えずにレシピを追加するからもうカオスですよ。
インタビュアー: やはりライバルとなるとこの商店街ではたちばなになりますでしょうか?
回答者: それではうちでシュトーレンを食べていくといいでしょう。比べ物にならないことをお見せしましょう。
インタビュアー: ありがとうございます。
回答者: Moin Moriは堅実です。彼みたいに博打に飛び込むような真似はしないんですよ。守るべき妻と娘がいますしね。
[入店の時になる鈴の音]
回答者: あれ、営業時間外なのですが。
[SCP-XXX-JP-BとPoI-2360"森 歓奈"が部屋に入って来たと考えられる。記録はここで途切れている。]
終了報告書: 黒田博士はサイト-8123に帰還すると逆行性健忘を発症させた。そのため、これ以上に語られた情報については不明のままである。
補遺XXX-JP-1: SCP-XXX-JPは児童の失踪事件を発生させて以来調査が行われ続けてきました。そこからさいたま市での異常現象の多発、SCP-XXX-JP-Aの発見から同一の異常現象だと判断されました。
発生日時: 2016年9月23日
要因と考えられる事象: 不明
概要: さいたま市北部の麦畑での児童5人の失踪が確認された。財団が行なった初動捜査のインタビューで麦畑の管理人小関氏は、現在SCP-XXX-JP-Bと指定されている実体を目視し明らかに異常なヨーロッパオオカミへの形態変化を確認したと報告した。児童らはその翌日、何ら異常や傷病を見せない状態で七里駅前に再出現したが、全員麦畑に遊びに行ってからの数時間の記憶を失っており、詳細は判明しなかった。追記: 財団文化人類学者の大島博士は、事件の現場が麦畑であるということと小関氏から説明されるSCP-XXX-JP-Bの形態から、この事象はドイツの伝承と結びつけられることについて仮説を立てました。
発生日時: 2017年6月3日
要因と考えられる事象: SCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bの闘争。
概要: 当初雨が降っており近隣のサイト-8123は、SCP-██-JP収容のために作成された魚眼カメラで空を撮影していた。魚眼カメラはSCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bが東区役所のちょうど上空で戦闘行為を行っているのを確認した。両者は突如爆発し(地面に衝撃は届かなかった)、半径30km圏内の雨雲を一掃した。結果として東区は周囲が降雨してる中快晴の様相を呈した。
追記: 住民に対して行われたインタビューではこれらの現象が概ね行為的に捉えられていたことがわかりました。記憶処理を念のため行いましたが、期待される有用な効果は発生せずおそらくは記憶も残っています。画像の拡大により小関氏の供述にある実体の特徴と緩やかな一致が見られたことから資料が統括され、同一の事案として調査が開始されました。
発生日時: 2017年6月9日
要因と考えられる事象: 財団によるSCP-XXX-JP-Aを確保する試み。
概要: エージェントがSCP-XXX-JP-Aの目の前に現れると、SCP-XXX-JP-Aは全身を人型のタチバナに置換して逃走した。
追記: どのような形で逃走するのであれ、SCP-XXX-JP-Aは橘家を起点として再生するようです。
発生日時: 2017年6月10日
要因と考えられる事象: 財団のフロント企業の橘家周辺の土地の購入。またはサイトを建設する試み。概要: プロジェクトに関わった全ての人物(財団のことを知らないフロント企業の職員も含む)に突発的かつランダムな瞬間移動。もっとも酷い事例では、エージェント倉科が太平洋上の不明な地点(現在も未回収です)に転移した。
追記: 財団のことを知らない一般人に対しては日本国内の域を出ることはありませんでした。このことから明確に財団の組織形態を認識している可能性があります。
発生日時: 2017年7月1日
要因と考えられる事象: 高齢者の増加?
概要: 潜入職員らにより順路に矛盾した点がいくらか見られる街路の出現が確認された。これらは物理的に存在不可能な非線形空間の特徴を多く持っていた。
追記: 潜入職員らが行った地域住民へのインタビューは、この街路の出現が町の利便性の向上に寄与していることを示しています。
発生日時: 2017年7月29日
要因と考えられる事象: 商店街から5km離れた場所にサイト-8125を建設する試み。ショッピングモールに偽装された。
概要: 商店街でデモ行進が発生した。それと同時に、新サイトの建設に補助的な任務が与えられていたサイト-8123ではデモ行進に参加した住民と同じ数の職員に空間的切断の被害が発生した。サイト-8123ではしばらく止まない男性の叫び声が聞こえた。
追記: サイト管理官福田がこの事案により復帰不可能な影響を受けたため、上級研究員ベン ウェザースタッフが昇進しました。今後のSCP-XXX-JPの収容指揮は彼が行います。
発生日時: 2017年8月12日
要因と考えられる事象: 商店街の経済的な問題。
概要: SCP-XXX-JP-Bの地域新聞への露出。その内容には多くの異常な情報を含むが、住民の大多数は肯定的な感情を述べた。
発生日時: 2017年11月26日
要因と考えられる事象: 監視活動の失敗。
概要: 機動部隊さ-7("オタクら")は、監視任務の最中に向かってくるSCP-XXX-JP-Aと遭遇した。検死では全部隊員の顔面部にタチバナ様カルス細胞塊が部分的に発生しており、大多数は武力行使を行う前に行動不能となったと予測される。
発生日時: 2017年12月23日
要因と考えられる事象: PoI-2357の絵画コンクールでの優勝。
概要: 3体の不明実体が商店街の上空に出現し、多量の発光をした後に消失する。この時それらの不明実体とは別に、アメリカクロヒトキ(学名:)の頭部を持つ実体がエージェント町野により発見された。
追記: 住民は3体の不明実体と発生した光を認識していなかったようです。しかし、この事象は動画での撮影に成功している他、客観的に発生したことが証明できます。
また、異常であるか判断ができない現象として2017年12月15日からの地域の天候から珍しい7日間の連続した強い降雨や2018年2月14日に発生した天候から予期されない異常かつ同時多発的なレンブラント光線が挙げられます。
補遺XXX-JP-2: 特別収容プロトコルによりSCP-XXX-JP活動地点を中心としたさいたま市全域に財団の職員を派遣しました。地域社会に溶け込むことにより様々な観点からSCP-XXX-JPを調査することが目的です。
エージェント淡路
私はSCP-XXX-JPを取り巻く地域社会に店名"ふとんのナカムラ"の店主である中村 文氏の遠い親戚として潜入することに成功しました。SCP-XXX-JPのことを私達はひとまとめにして呼んでいますが、どうやらSCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bは起源を異にする存在のようです。住民に行った聞き取りでわかったことを箇条書きにします。
- SCP-XXX-JP-Aは2016年の秋頃から現れた。
- これは橘家の家主PoI-2356"橘 幸志"が死亡した時期と一致する。
- (PoI-2357から見てPoI-2356は父方の祖父にあたる)長男PoI-2357"橘 奏"はそれで酷く悲しんだ様子だった。
- SCP-XXX-JP-BはMoin Moriの店主PoI-2361"森 賢治"の修行先であるドイツ北部と少なからず関わっている。
- PoI-2361は2017年の春にドイツへ突発的に渡った。帰ってきた時点ですでにSCP-XXX-JP-Bはこの地区にいた。
- 森家の長女PoI-2360"森 歓奈"はSCP-XXX-JP-Bの存在に喜んでいた。
大島博士
財団に入る前からこのような調査は民俗学の分野で行ってきた経験がある。地元住民と同じ経済圏に属しそこで生活することにより、価値観を知るために行われるものだ。この場合少し特殊ではあるものの、2体の神格実体の存在を除けば目的自体はあまり変わらない。つまり価値観を知るためである。
この町を2分する店の対立、これは少なからず2つの神格実体の起源にも関係していると考える。それについて有力な情報を見つけたので、東区役所で一般的に公開されている資料「さいたま市のあゆみ」から一部抜粋してみよう。
現在の東区に値する場所は主に2つの地主が支配的でした。現在も駅名として名前を残す七里村は橘姓の一族が、そして大砂土村は沼津姓4の一族が有力な農民として支配していました。この2つの一族は仲が大層に悪く、実際武力的な対立が頻繁に起こっていたそうです。おそらくは嘉永5年5に菊理姫命(ククリヒメのカミ)が両村に降臨し、仲を取り持つこととなりました。人々はこの神に感謝し与野白山神社を建て、後々まで語り継ぐことにしました。
この伝説がどうやって現代の状態に変化したのかについては多数の疑問があるが、ここで1つ言えるのは仲を取り持つこと自体には成功できているということだ。これはむしろ現在の話であり、今の私達がどのような現状にあるかが問題だろう。昨今の高齢化社会と都市部への人口流入をもってしても日野商店街は活性化してるといってもいい。若年人口や経済的な観点から見ても、モデルケースにしたいくらいの好例だ。それには会えて2つに分かれることで村を1つにしようとしてきた作為的なものが感じられる。その昔2つの村は生死に大きく関係した(おそらくは農業資源の取り合い)深刻な理由により本当に対立していたのだろう。それが時代を下るにつれ2つの一族が融和していき、表面的には険悪な仲を維持したまま仲を深めていったのか。私はとりわけそこに優しさを感じかねない。
私は地域や異なる伝承に起源を持つ2体の神格実体が、なんらかの存在により菊理姫命と繋がれていると考える。それはきっと人々をここで見守ってきたのだろう。
以下はエージェント町野の調査報告です。
私は上層部の考えが理解できません。最初学校への出向を命じられた時教師の立場で潜入するのかと思いました。保育園の先生ならやったことありますからね。しかしその実態は生徒として日野高校に潜入しPoI-2357とPoI-2360に接触する任務でした。もちろん任務は問題なく実行されました。PoI-2360と親密な形でSCP-XXX-JP-Bの情報を得る努力をしました。
SCP-XXX-JP-Bの最新の外見は少女のような姿でした。最初期に発見された老婆のような姿とは全く異なります。SCP-XXX-JP-Bは、私がPoI-2360の家に潜入(友人として)すると非商業的な用途のキッチンで体を丸めるようにして睡眠していました。会話の最中でPoI-2360の母親(PoI-2359)がこの店の看板メニューであるアプフェルシュトゥルーデルを持ってくると、SCP-XXX-JP-Bはただちに目を覚まして丸呑みするのかのようにそれを食らいました。口内の構造はイヌ科の動物に近いと見えます。
PoI-2360はSCP-XXX-JP-Bの現在の外見について、自らの願望が表出したことを認めました。彼女が言うからには、ずっと一人っ子であったため妹のような存在が欲しかったそうです。ここで仮説として考えられるのは通常、そう言えるほど確固たる情報をまだ掴めていませんが、Efクラス神格実体は大多数の人間の思念の影響を受けます。しかしSCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bでは、主に影響を与えているのはそれぞれ2人の人間、SCP-XXX-JP-AはPoI-2357に影響を受けて、SCP-XXX-JP-BはPoI-2360から影響を受けているのではないかと思えます。2人の監視にさらなる人員を要請します。これは単なる直感ですが物事の帰結次第では惨事になるかもしれません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは印刷された全ての実例を焼却処分し、電子媒体をサイト-81██の電子保管庫に保存します。実験はクリアランスレベル3以上の職員の許可を必要とします。
説明: SCP-XXX-JPはかつて株式会社ユニクロの企業広告として使用されていた画像です。主に同社のロゴマークと商品であるジーンズを着用した男性の写真から構成されます。SCP-XXX-JPの図柄で他の広告から逸脱を見せる唯一のポイントは、被写体の男性の左眼球の部分に複数の線形図形からなる文様が刻まれていることです。この文様を除去すると異常性質は半減されますが、完全に失われません。面積にして全体の2分の1以上、あるいは一定の範囲内の解像度であればSCP-XXX-JPは異常性を問題なく発揮できます。
SCP-XXX-JPは10秒以上集中して視認した人物(SCP-XXX-JP-Aと表記)の環境認知能力を恒久的6に破壊し、自分が固定された環境に存在するという虚偽の情報を脳に与えます。それに合わせて自認識も変化し、検査では全てのSCP-XXX-JP-Aが"自分は現在ユニクロに来店している"というような潜在意識を持っていることが判明しました。SCP-XXX-JP-Aはその環境認知能力の欠如により、周辺のランドマークや物品をユニクロにある商品、内装、店員、同じ客などのいずれかに認識します。そのため、多くのSCP-XXX-JP-Aは目の前にある人物や物品の実像を正確に捉えることが不可能でした。これらの影響下において、SCP-XXX-JP-Aは主に"ユニクロにいる時の自然な行動"を行います。代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。
- 自分の好みに合う服を選ぶ。
- 店員に話しかける。
- レジに向かう。
- 選んだ服の試着をする
SCP-XXX-JP-Aが持つ認識の中で唯一"選んだ服の試着をする"が他者に影響を与えることのできる異常を保持しています。SCP-XXX-JP-Aにより"試着"が行われた際、その対象となった物品はそれ行うのに適切な形状に変化します。SCP-XXX-JP-Aには前述の周辺環境の認知の歪みがあるため、この"試着"に選ばれるものは服飾品に限定されず、これまでに行われた実験では生物などを含む様々なものが対象となりました。
場合により、SCP-XXX-JP-Aの試着はする側とされる側双方向に有害な作用をもたらします。身体の変形は生物の微小な生命的活動を維持するものの、全体としての機能が著しく損なわれます。その結果典型的には餓死や内臓不全などを起こして死亡に至ります。
補遺1: SCP-XXX-JPは2012/08/25から秋用広告として全国のユニクロ店舗で使用されていたと考えられています。財団による異常性の発覚があったのは2012/09/13のことです。現在のSCP-XXX-JPに見られる文様や異常性質をどこから獲得したのかは定かではありません。"ユニクロから出られない"といった民間人からの通報が警察にあり、財団のエージェントによる調査がなされ異常性質の把握に至りました。以下に示すのはSCP-XXX-JP回収後行われた実験記録です。
SCP-XXX-JP実験記録-1 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: 端末を用いてD-1600にSCP-XXX-JPを視認させる。
結果: D-1600は沢田博士のいる方向に向かって"試着してもいいですか?"と質問した。沢田博士は何も返事をしなかったが、D-1600は室内東部の壁にのめり込み同化した。D-1600は足からのめり込んでいったため、壁からはD-1600の腰から上が突き出した状態で硬直した。D-1600の壁から突き出た有機的な部分は餓死するまで生存し続けた。
SCP-XXX-JP実験記録-2 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: 端末を用いてD-1601にSCP-XXX-JPを視認させる。実験を行う部屋にはユニクロで販売されていたスキニージーンズを投入した。
結果: D-1601はそれを見つけ喜んだ表情を見せると試着する旨を沢田博士に伝えた。試着が終了し、それを決めるとD-1601は端末が設置されていた机をレジにみたて、商品を購入する時の演技をし始めた。
SCP-XXX-JP実験記録-3 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: 端末を用いてD-1601にSCP-XXX-JPを視認させる。実験を行う部屋にはユニクロで販売されていたスキニージーンズに加え、しまむら、Right-on、GUなどのものを用意した。
結果: D-1601は試着を行うことなく、ユニクロのものを選択し購入するそぶりを見せた。ユニクロ以外のジーンズの批判ではサイズや色合いについての他に、企業の経営的姿勢や経営陣に対する罵倒までに及んだ。疲労により昏倒するまでそれは1時間程度続いた。
SCP-XXX-JP実験記録-4 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: 端末を用いてD-1601にSCP-XXX-JPを視認させる。ジーンズはしまむらのものだけを用意した。
結果: 前回と同様にD-1601は大きな声で批判し始めた。胃の内容物を実験室の北東の方向に嘔吐し、およそ30分経つと疲労による昏倒を見せた。
SCP-XXX-JP実験記録-5 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: SCP-XXX-JP-AであるD-1602とハツカネズミ(学名:Mus musculus)を同時に投入した。
結果: D-1602はハツカネズミをネックレスと認識した。結果、ハツカネズミは紐状にねじれ、 ネックレスの形状に変化した。D-1602はこれを購入する意思を見せた。
メモ: D-1602は購入により非常に満足した様子を見せると「これで私もファッショニスタ。」と発言した。
SCP-XXX-JP実験記録-6 - 日付20██/██/██
担当者: 沢田博士
実験方法: SCP-XXX-JP-AであるD-1602と非異常のD-1603を同じ部屋に投入した。
結果: D-1602はD-1603をジャケットであると認識したと考えられる。D-1602はD-1603についてその色合いを好評し、"姿勢が悪かったから胸髄のラインが良くない"とも述べた。D-1602は沢田博士に"これを試着してもいいですか"と質問した。沢田博士はこれを了承し、D-1602はD-1603に出来た開口部から侵入し、"試着"した。それを解剖すると両者のものと見られる臓器が両方発見され、歪な構造であることを確認した7。
SCP-XXX-JP実験記録-7 - 日付20██/██/██
担当者: 稲村博士
実験方法: SCP-XXX-JP-AであるD-1603を端末を用いて別室でD-1604と対面させ、様子を観察する。
結果: どのような距離においても、別室であれば"試着"は行われなかった。 D-1603はD-1604に関して非常に煽情的な服であると述べ、"試着"の欲求をあらわにした。
SCP-XXX-JP実験記録-8 - 日付20██/██/██
担当者: 稲村博士
実験方法: SCP-XXX-JP-AであるD-1603とガラス越しにD-1604を対面させる。
結果: D-1603は防弾ガラスの壁をむしり取った後、 D-1604に作った開口部から侵入した。
メモ: これまでの実験から厚い壁であればのめり込む、薄い壁であればむしり取ることができるというのが妥当でしょう。
補遺2: 実験後終了処分されずに残されたDクラス職員(D-1601)へのインタビュー記録です。これによりSCP-XXX-JP発見時の民間人の用いた"ユニクロからでられない"といった発言の理由が判明しました。
インタビュアー: 稲村博士
インタビュー対象: D-1601
<記録開始>
沢田博士: インタビューを開始します。
D-1601: はい…。
沢田博士: 理性が戻られたようなのでSCP-XXX-JPを見た時の自分の感情を説明してください。
D-1601: あの時の私は熱狂的な状態にあって何もかもが絢爛としてて、非常に魅力的なものに見えました。そしてあれを見た時はとても侮蔑的な象徴で、色合いとか普段は気にしない些細なことがとても大きなものに見えたのです。
沢田博士: 躁な状態になっていたと?
D-1601: そうですね、感情の振れ幅が大きいという意味ではそれに近いかもしれません。
沢田博士: あれというのはしまむらのジーンズですね。
D-1601: あのクソ[嗚咽]できればそれの名前は伏せてもらえますか…。
沢田博士: わかりました。では今の状態はどうですか?まだあなたは躁鬱な状態にありますか?
D-1601: 私はいま、熱狂的な状態にあるわけではありません。理解はしています。
沢田博士: 何を理解しているのですか。
D-1601: あなたが実はストールじゃないことです。
沢田博士: 私がストールに見えると?
D-1601: ええ、はい。現状の私はまだユニクロにいるといってもよいです。どこへいってもユニクロの内装が続いています。このユニクロは広い…。
沢田博士: [手をあげる]私が何をしているのか理解できますか。
D-1601: わからないです。声は聞こえます。
沢田博士: 今も試着をしたという感情がありますか?
D-1601: あります。
沢田博士: 私をですか?
D-1601: あなたよりもそこ[警備員を指差して]のあれが好みですね。冬にぴったりなデザインです。
沢田博士: そうですか。では自分が冷静になれた理由には心当たりがありますか。
D-1601: 広告を見た瞬間にわっと湧き上がる気持ちわかりませんか?衝動買いみたいな感じなんですよ。██████8の広告を見て腹が減ることは?あそこはもう包み紙だけであなたの腹を減らすことが可能なのです。
沢田博士: 瞬間的な感情は持続せずとも根本的な、██████の包み紙を見たら腹が減るという部分。それは変わらないということですね?
D-1601: そうです。それは人間に普遍的な本能です。反射です。それ自体が悪いこととは言いません。ただ、あれは。
沢田博士: SCP-XXX-JPは普通より強く影響を与えます。
D-1601: そうです。普段の生活の内に忘れてしまうようなことをそれは許容しません。普通よりどぎつい絵です。よほどの名文でない限り絵より文章の方が広告としては意味があります。
D-1601: そして私はいつのまにかスキニージーンズの男と同化していたんです。店員が囁きかけます。私にはこの服が似合うと。
稲村博士: [時計を見る]そろそろ時間のようですね。インタビューを終了します。
D-1601: はい。
<記録終了>
D-1601の躁状態の緩和と従順性の獲得から新たな実験が実施されることになりました。実験のために用意されたサイト-8123の大型ホール9にD-1601を投入し、無線での命令と複数の監視カメラによる観察を行いました。この実験は主にSCP-XXX-JP-Aにより言及される"店員"がどのような存在であるかを確認するために実施されたものです。
<記録開始>
稲村博士: 周辺状況の観察と説明を行ってください。
D-1601: 何って普通のユニクロの内装が見えます。[沈黙]冬物バーゲンセールやってますね。
稲村博士: それでは"店員"かそれに類する人物に話しかけてください。
D-1601: 今の私は店員を見ていません。そもそも私は一度も店員に会えていないのですよ?
稲村博士: あなたから話かければいつでも居ると予想しています。
D-1601: そう言われても。
[D-1601はエリア内を歩き始め、時おりつまむなどして壁を変形させた。]
稲村博士: 試着はしてはいけませんよ。
D-1601: すみませんでした。
[D-1601は痙攣する。]
D-1601: いや、見てただけです。稲村博士: 確認できましたか?その人物の構成要素を説明してください。例えば性別や身長などです。外見から性別が判断できないならそれでも構いません。身長はあなたより高いですか?名札のようなものはありますか?
D-1601: えっと、女性のように見えます。私より頭1つ分背が高いです10。名札があります。矢野?
稲村博士: 了解です。会話を続けてください。
D-1601: ネズミとか壁とか普通着るものじゃないでしょう。
[付近の壁が振動する。]
D-1601: それだったら早く出て行きたいです。でもいつまでも出口が見えないんですよ。マップはもう見ましたよ。まるで意味不明なんです。
D-1601: 私は長いこと探していますがまだ見つからないのです。ただ感情やその猛烈な意欲を少しでも疑えたらいいと思います。
[この時別室でモニタリングを行なっていた職員の多くは"何かを怒らせた"といった感情を一斉に感じた。]
D-1601: 博士、駄目みたいです。
稲村博士: 駄目、とはどのようにでしょうか。
D-1601: 彼女は服を売ることしか考えていないように感じられます。おススメがとても魅力的なんです。そこの監視カメラを似合うと言ってくれたんです。
稲村博士: 想定の範囲内です。それでは別の店員に話しかけてみましょうか。
D-1601: わかりました。すいません、店員さん。
[沈黙]
稲村博士: どうしましたか?
D-1601: いや、勘違いです。他の店員にも聞いてみますね。
[数分間エリア内を歩き回るD-1601が観察された。]
D-1601: 全員矢野なんです。みな驚くほど顔が似ています。いや、完全に同一人物なんです。私より頭一つ分背が高くショートヘアーでユニクロ店員らしい服装をしています。
稲村博士: わかりました。
[D-1601はまた体を痙攣させる。]
D-1601: いや、万引きはしてないですよ?
[D-1601は目に見えて動揺する。]
D-1601: 本当ですか?
[D-1601の背後の壁が突然融解し始め、開口部が作成された。その内部は使用されていた財団の機器によっても観測できず、監視カメラを通した目視ではそれが完全に暗闇であることを確認した。D-1601を総計23本の人間の手が掴み、ゆっくりと開口部に持ち運んだ。]
D-1601: 大丈夫です。トレンドアイテムだ。今この瞬間の流行が私だ。これで私もファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。
D-1601: [笑い声]博士、私の罪状を教えてください。再確認するためです。私が何を求めていたのかを知らなければいけないのです。今のうちに。
稲村博士: [沈黙]あなたは██県の高校生男女6名の殺害を行なったとして死刑になっています。
D-1601: ありがとうございます。
稲村博士: 再確認はできましたか。
D-1601: 大丈夫です。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ああ、余計なことを知りすぎたんだなあ。ここは試着室?いいえ尋問部屋。
[D-1601は完全に飲み込まれる。開口部は完全に消失しいかなる痕跡も残さない。その後もしばらく声のみがエリア内に残り続けた。]
D-1601: ええ、私だけですか?
謎の女性の声: それを脱いでください。清算をしていませんよね。
D-1601: はい。
謎の女性の声: トルマリンブルーです。
D-1601: 最後に聞かせてもらえますか?何故買わせるんですか?
謎の女性の声: 止まらない化け物。彼らは成長することしか出来ない。停滞はすなわち後退。
D-1601: 個人が気にすることでもないですね。
謎の女性の声: そうでしょう。
D-1601: ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。ファッショニスタ。
謎の女性の声: [D-1601と同じ文言を繰り返し続けた。]
稲村博士: 実験を終了します。
エリア内に残った声は7分続いた後消失しました。実験中に確認された壁の開口部はすでに消失しており、壁内部の構造も通常のものだった。他のDクラスを用いたさらなる実験は申請中です。
D-1601により背の高い女性と言及された"矢野"については現在調査が進行中です。株式会社ユニクロには当該条件に緩やかに一致する人物が3人在籍していましたが、それらの人物は現在のところ異常な兆候を見せていません。今後の調査は呪術的な知識を持つ人物を対象として行う方針です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは自身が持つミーム性により第1発見者の通報を抑制するため、公的機関を通じての発見は困難です。全国の実働可能なエージェントにクラスIIIミーム対抗処置を定期的に配布してください。異常と認定されたある一定の地域での暴力的犯罪の変動は付近のエージェントらに通達され、その地域の住民に対する異常なミームの判定が行われます。判定の結果異常な性質を示した際、住民へのAクラス記憶処理が行われます。
説明: SCP-XXX-JPは日本国で発生する一連の異常現象の総称です。
SCP-XXX-JPは日本国籍を持つ未成年男子の、正常な動機に欠く自殺から始められます(この対象となった男子をSCP-XXX-JP-Aと表記します)。この時用いられる手法は必ず高所からの飛び降りですが、多くは人間が必ず死亡するための必要な高さを満たしていません。それにもかかわらずSCP-XXX-JP-Aは全事例において死亡しています。その理由は、SCP-XXX-JP-Aの死体の腹部にある、広範な熱傷痕から推測されます。それは腹部が短時間で強い高温にさらされていたことを示唆しています。
SCP-XXX-JP-Aは身体の構成面において著しい変化が見られます。SCP-XXX-JP-Aの腕にはハクトウワシ(学名:Haliaeetus leucocephalus)の物に外見的には酷似した翼が見られます。これと同様にSCP-XXX-JP-Aの頭部はハクトウワシに酷似した物と置き換わっています。これらは身体に完全に定着していたのにもかかわらず鋼鉄で構成されていました。
SCP-XXX-JP-AはクラスIIIミーム汚染のベクターです。これを視認した人物は自己犠牲による全体主義の礼賛、上位の権力11の崇拝などに代表される思想を持つようになります(ミームによる影響を受けた人物をSCP-XXX-JP-Bと表記)。SCP-XXX-JP-BはSCP-XXX-JP-Aが死亡した理由について「お国のために命を捨てた」と回答し、そのことについて喜びを露わにします。加えてかつての日本国が存在しないことに絶望感を持ち、表面的にはそのような精神を日本国に取り戻そうと行動します。これらは直接の会話のみで伝播し、記憶処理により治癒可能です。しかし、記憶処理を行なった後も長期間にわたって繰り返される頭痛など、非異常のものと区別のつかない影響は若干残ります。
SCP-XXX-JP-Aの死体の第1発見者は、その自殺場所や条件に関係なく、SCP-XXX-JP-Aの近縁者であり、多くはその両親です。SCP-XXX-JP-Aを視認した人物は、しばらく通常示すような動揺を感じますが、SCP-XXX-JP-Aの持つミーム的な影響でただちに平静を取り戻し、SCP-XXX-JP-Bとなります。SCP-XXX-JP-Bはどのような状況においても救急医療を手段として使用することがなく、SCP-XXX-JP-Aの死亡を断言します。
SCP-XXX-JP-Bは自らに反対する思想や行動、状態に対して排他的であり、たとえSCP-XXX-JP-Bが相手であってもそれらを持つ人物に対して暴力的です。特に目下の者12にはこれが顕著に見られるようになります。暴力的に用いられる手段は様々です。比較的軽度な素手による攻撃や、顔を3分以上水につける、複数人での集中的な殴打などの致死的なものも存在します。若い女性に対しては性的な暴力も好んで用いられます。
補遺1: SCP-XXX-JPが始めて観測されたのは1991/██/██の福岡県██村です。おそらく先天的な認知抵抗性を持っていた尾道 佳子氏13がSCP-XXX-JP-Aに行われた葬儀の際、その異変に気付き、付近の警察署に通報しました。警察署に潜入していた覆面財団エージェントは、これが異常な事態であるかを判断するために現場に向かいました。しかし、これはミーム汚染拡大に寄与する結果となりました。以下は初めてSCP-XXX-JP-Bと接触した時の記録です。
付記: 通報に対して佳子の父、尾道 勇蔵氏が対応した。2人の判別のため記録では名前で記述する。
<録音開始>
エージェント幸村: 警察です。殺人があったと伺っていますが。
勇蔵氏: 警察さん。あんなものいたずらに決まっているじゃないですか。殺人なんて起きていませんよ。いや、うちの子がすいません。ほらっ警察様に謝るんだよ。
佳子氏: 嫌、謝りたくなんかない。兄貴が死んだのに。「お国のために役立てた」なんてみんな喜んどってキチガイや。何がお国や阿呆。
勇蔵氏: [大きな声で]謝るんだ早く、警察様も優しいから今なら許してもらえる。
佳子氏: 母さんも父さんも皆んなキチガイや、ヘラヘラ笑って何がおかしいとね!?警察さん、みんなおかしいんです。病院に連れてってください。兄貴が死んだのにヘラヘラ笑っとるとです。名誉ある死とか言ってるんです。
エージェント幸村: あの…。
勇蔵氏: 妄想癖のある子でして、夜な夜な変なことを言い出すのです。
佳子氏: [泣き崩れる]
勇蔵氏: 名誉ある死だと何度言えばいいんだ。お前の兄は立派に役目を果たしたんだ。それを誇りに思え。
佳子氏: 叔父さんも叔母さんも親戚みんなでそんなこと言う。
佳子氏: 約束しとったんや。剣道の県大会で優勝するって言ってた人間が自殺なんかするわけなかと。誰かが嘘ついてるに決まっとろ。
勇蔵氏: ええ、すいません。よく教育しておきますから。今回のところは許していただけますか。殺人なんぞ起きてませんし。ねえ、警察様。
[15秒の沈黙]
エージェント幸村: 教育は良くしなきゃいけないな。
[エージェント幸村はタバコを加え、火をつける。その間3人は30秒沈黙を保ち続ける。]
エージェント幸村: 私にもひとり娘がおりますがね14。自分で言うのもなんですが立派に育ってくれたものですよ。最近の若者はなんというかなってませんな。
勇蔵氏: ええ、そうでしょう。嘆かわしいものです。かつての日本はもう無くなったと言ってもいいはずです。しかし、私の息子は努めを果たしました。今その喜ばしいことの最中でして。
エージェント幸村: それはいいことです。とにかく、私が言いたいのはですね。教育には体罰が必要であるということですよね。日本教育の没落は嘆かわしいものです。いまや先生の方が立場が弱く少し手を出せば通報されてしまう。反体罰派の人は話せばわかるなんぞ言いますが、実のところ誰でも子供のうちは野生的で、誘惑を自制できないのです。
勇蔵氏: はあ、それでどういうことでしょう。
エージェント幸村: 罰を…。加えないといけません。おっとこれは消しておかないと。
<録音終了>
その後、事件の発生地となった██村の隔離措置がとられましたが、葬儀の開始により██村の周辺に多大なミーム汚染をもたらしました。記憶処理によりミームの危険性、伝播性は除去されましたが、その後遺症により大多数の住民は苦しんでいます。また、佳子氏は性的暴行を受けた状態で発見され、それに伴ってエージェント幸村は降格処置を取られることになりました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8123の標準人型存在収容室に収容されます。SCP-XXX-JPに暴走とSCP-XXX-JP-Aの露出が見られた場合、麻酔銃で沈静し、ヒト科組織と精神安定剤を混合した生理食塩水を与えてください。SCP-XXX-JPには1ヶ月に一度30kgの生肉を給餌してください。
SCP-XXX-JPへの精神カウンセリングは定期的に行われます。PoI-2356については隠匿するものとし、必要があれば精神安定剤などが投与されます。
説明: SCP-XXX-JPは外見上は10代半ばの若いモンゴロイド女性に見える生命体です。身長は173cm、体重は52kgですが、SCP-XXX-JP-Aの出現が伴った場合は異なります。財団による観測下に置かれてから、SCP-XXX-JPは精神依存による離脱症状を頻繁に繰り返しています。SCP-XXX-JPは限定的に外見を変形させることができます。
SCP-XXX-JPは首より上の部位をアミメニシキヘビ(学名:Python reticulatus)に変化させることができます。この部位はSCP-XXX-JP-Aと呼ばれ、人間部位を含まない単体での長さは130cmです。SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPの体から生えている状態で完全に自立することが可能です。SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-Aを使用して大型哺乳類を捕食します。人間形態での摂食行為を確認する試みは何度もなされましたが、これまでの実験ではそのような行為は確認されませんでした。SCP-XXX-JPは中でもヒトを捕食することを好みます。
SCP-XXX-JPは2015/05/14に████高校の生徒6名の殺害があったことから捕捉されました。現場の死体の首からはそれが強い力で絞められたことを示す索状痕が発見され、その多くは窒息死により死亡していました。以下は生存した生徒へのインタビュー記録です。
インタビュアー: 三笠研究助手
回答者: 青下 博道氏
<録音開始>
インタビュアー: それではインタビューを始めます。つらいと思いますが、あなた達を襲った人のことについて話してください。
青下氏: あ、はい。彼女は[沈黙]秋田さんといいます。名前はよく覚えていませんが、たしか植物の名前だったかと思います。
インタビュアー: あなた達はその秋田さんをいじめていた状態にあったと聞いていますが、それはどうでしょうか。
青下氏: やっぱり私達は捕まってしまうのでしょうか?
インタビュアー: その心配はありません。私達は状況を正確に把握したいだけです。
青下氏: あ、はい。たしかにイジメだったと思います。先生達もこれを知っていましたが、特に何も言わなかったと思います。なぜなら、彼女はブキミだったからです。
インタビュアー: ブキミとはどういうことでしょうか。正確な表現を使えますか?
青下氏: 秋田さんは…。何かヘビ?のことについて小さな声で呟いていて、それだけじゃなく実害があって、いつでもどこでも嘔吐するから完全に私達の手にはおえなかったのです。白い髪も酷いくらいボサボサだし、制服には油のようなものがへばりついていて見た目も気持ち悪かったです。それでアブラ女と呼ばれていました。
インタビュアー: それでは時間当日の話に移ります。その時の現場の状況について話してくれますか?
青下氏: 普段は秋田さんは暗い顔をしているのですが、急にニタニタ笑いだして。大声になって叫ぶと…。
インタビュアー: 叫ぶと?
青下氏: 秋田さんの顔がヘビ?それも小さなやつじゃなく外国とかの凶暴なものへと変わりました。人食いヘビとニュースで見たやつでした。
インタビュアー: それでどうなったかは言えますか?
青下氏: まず、秋田さんをイジメてた筆頭の島君の首が絞められて、次にクラスで一番のイケメンの灰難さんがヘビの頭に突っ込まれました。
青下氏: 不思議なことに女子は狙わなかったんです。男子だけが死にました。
インタビュアー: あなたはなぜ生き残れたのでしょうか。
青下氏: 私は…。[水を飲もうとするがむせる]
インタビュアー: 答えられないならそれでも大丈夫ですよ。
青下氏: いや、大丈夫です。私は割れた窓ガラスの破片で彼女の体を刺しました。すると彼女の体だけが倒れました。それでもヘビはまだ動いていて私のことを狙っていたようです。
インタビュアー: わざわざ嫌なことを聞いてしまいすいませんでした。これでインタビューを終了します。
<録音終了>
補遺1: SCP-XXX-JPは2011年の頃から外見上違和感なく馴染むことのできる高等学校に潜入し、積極的捕食を繰り返していたと考えられています。捕食を行うと次の学校に転校という形で移動して、安定して食料を確保していました。このような殺害事件がなされているのにもかかわらず、警察やその他の公的機関の持つ記録はそれが単なる事故であることを示していました。
SCP-XXX-JPによる被捕食者(広瀬隠氏)が書いた日記が残されています。被捕食者は████高等学校の生徒であり、SCP-XXX-JPも同校に潜入していたと考えられます。以下を参照してください。
4/12 水曜日
新年度で都合がいいので日記というものを書いてみることにした。
[関係性が低いため中略]
まだ初日の授業なものだからどの授業でさえも自己紹介をするだの、パズルを解くだのくだらないことばかりやっていた。自己紹介の重要性はわかるができれば早く内容に入って欲しいと思う。しかし私の学校は授業ごとに面子が違うのでまあ必要性もある。ことが起こったのは4時間目の英語の授業である。英語の授業のオリエンテーションは自分の好きなものを高速で言い合うというものだった。英語の授業での隣のやつの好きなものがバイク、ブスじゃない女、金、というのには少々閉口したが、前から目に留めていた如何にも清楚な子が爬虫類を好きだと言ったことには驚いた。何を隠そう私の趣味と同じなのである。まさに二度とないチャンス。是非話しかけたいものである。だがしかし私は酷いコミュ症なんだがどうしようか。
4/13 木曜日
とび太郎の調子が悪い。尻尾にハリというかツヤがない。如何にしたものか。
[関係性が低いため中略]
そして前日のかわいい女の子の話について進展があった。こんなこと書き残して人に見られたくないが誰も見ないだろう。その人は秋田文目あやめさんというらしい。なんと秋田さんとは数学の授業でも同じクラスだった。しかも席順が斜め右上で微妙に近く話しかけることができたのだ。私はプラナリアを模したストラップ?をカバンにつけている。普通なら気にもしないものだが、気づく人には気づき格好の話のタネになる。だがしかし彼女にもそれが通用すると思わなかった。プラナリアのことに秋田さんは気づき、話しかけてきた。私は多分呼吸が荒くなり酷い顔面になっていたと思う。しかし至福の時間であった。まさかこんな人が特にヘビが好きなんだというとは思うまい!それで彼女のメクラヘビが体調を崩しているということを聞き、どうやら明日自分の家へ来てみたらどうか?という話だとやっと気づいた。正直言ってこんな急展開誰も想像していなかっただろう。
この日付に書かれた日記で最後であり、これ以降の文書は見つかっていません。広瀬氏は通学路でSCP-XXX-JPと下校していたのを確認されたのを最後に、行方不明となりました。広瀬氏はSCP-XXX-JPに捕食されたと考えられていますが、当初SCP-XXX-JPが住処にしていた住居には広瀬氏の死体が発見されず、周囲にもその痕跡は見られませんでした。また、広瀬氏がいなくなった理由について、その関係者は事実であることを証明できない発言を行いました。彼らを詳しく調査するとなんらかの記憶の改竄された痕跡が発見されました。財団の記憶処理に近似していますが、脳組織に行われるより直接的な記憶改竄であり、現在までこれを再現する技術を財団は有していません。
SCP-XXX-JPが継続して捕食活動を行うための事後処理を行なっていた人物がいることが予測されています。
補遺2(2016/09/12追記): SCP-XXX-JPの活動を幇助するための人物は記憶処理の手口から要注意団体"日本生類創研"の構成員であるとの予測が立てられました。SCP-XXX-JPのために提出された戸籍などの情報は殆どが架空の人物を使用したものでしたが、一度だけ使用されたPoI-2356"秋田 蕗ふき"という名前のみが財団の要注意人物リストの照合と一致しました。財団はPoI-2356を確保し、インタビューを行いました。以下はその記録です。
PoI-2356: 秋田 蕗氏
インタビュアー: 三笠研究助手
<録音開始>
インタビュアー: インタビューを開始します。
PoI-2356: [SCP-XXX-JPの戸籍名]は大丈夫なのか!?彼女がここにいると聞いてここまで来たんだ。せめて顔を合わせてくれ。
インタビュアー: それはのちにまたお見せしますよ。そのためには素直答えてください。インタビュアー: では質問です。SCP-XXX-JPの開発者はあなたですか?
PoI-2356: あぁ、そうだ。
インタビュアー: SCP-XXX-JPが捕食行為を行ったのを隠蔽していたのもあなたですか?
PoI-2356: 偉いところに知り合いがいてね。書類とかはどうにもなったよ。後、人が1人いなくなることの処理は簡単だ。あんたらのやってることと、要は同じだよ。
インタビュアー: 財団の記憶処理に似た技術、異常を知る者でないとできないものでした。
PoI-2356 : そうだ。これも奴らから学んだ技術だ。しかしこれには組織はまったく関与していない。俺とニッソは単に器具や技術を共有し合うだけだったんだ。
インタビュアー: あなたは日本生類創研の構成員ではなかったのですか?
PoI-2356: そうだな。より正確に言うと私には技術を手に入れるという打算があって奴らと協力していた。あっちも私の技術が欲しくて外部の専門家として雇っていたに過ぎない。そもそも私は奴らの反吐がでる倫理観に共感できない。邪悪な存在だ。ある時私より長い間いた研究員が私と同じようなことをやったと言ったが、彼のものとはまったく別物だ。出来損ないのキメラじゃない。
インタビュアー: それではなぜSCP-XXX-JPを作成したのですか?SCP-XXX-JPは人間の肉しか食べれない状態にあります。これは酷いことなのではないのですか?
PoI-2356: それを彼女が必要としていたからだ。
インタビュアー: 必要としていた?
PoI-2356: 私は元々医者だったよ。この技術はニッソでもありがたられたな。奴らは弄くり回せても治せない。ある日自分の病院に不相応な重体の怪我が届いた。脳は無事だったが臓器がぐちゃぐちゃで明らかに助からなかった。この時にはもうニッソの技術を学んでいたからね。
インタビュアー: ヘビを移植したと?
PoI-2356: そう簡単な話ではないが結果的に彼女は助かった。二重存在動物の応用で合成したが、しかし使った材料がまずかった。あの時ヒト科サンプルがあれば、あるいは…。
PoI-2356: ニッソから持ってきたものだったからヘビに手が加えられていたんだ。
インタビュアー: まさか元々は…。
PoI-2356: [SCP-XXX-JPの戸籍名]は元々男だった。ヘビにより人食いになり、普通の生活が困難になったため、私の娘としての名字と新しい名前、そして少なくとも食べるのに困らない環境を用意してやった。
インタビュアー: それは正しさとは言えないはずです。
PoI-2356: 半年に一度しか食事をしない約束だったが、徐々にその回数が増えてって…。[罵倒]
PoI-2356: できれば学校以外の場所へ誘い、2人きりになったところを食べる。最後のやつな、たくさんの人が同じ場所で死んでいる。死体もそっくり残ったままだ。あれを隠蔽できるわけがないよな。
インタビュアー: あなたは半年に一度なら隠蔽を行い切れる自信があった。しかし、彼女は暴走して誘惑にも負けてしまった。
PoI-2356: [SCP-XXX-JPの戸籍名]が誘惑に負けてたのではない。多分、バイタルサインは理解してても心がわからなかったのだろうな。半年に一度"食事"の時以外は合わなかったのだから。
インタビュアー: これでインタビューを終了します。何か言いたいことは?
PoI-2356: 私は実験にでも使ってくれて構わない。[SCP-XXX-JPの戸籍名]は大切にしてやってくれ。
<録音終了>
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは20██/██/██に千葉県湾岸部からいくらか離れた海上、35°07'56"N 140°36'08"E · 11.9 mに突如出現した、なんらかの意図を持って作られたと考えられる施設群です。多数ある棟が渡り廊下や空中通路により接続されていて、網目のようなネットワークを形成しています。SCP-XXX-JPが建てられるにあたり使用された技術は未知のものであり、それらは現在のところ一切破壊不可能です。また、SCP-XXX-JP内部には異常な技術15により作成された攻撃的な道具が多数存在します。その例を以下に示します。
- コンクリートを上空1kmまで発射する固定砲。
- 周辺環境の圧力や温度をある程度制御できる球体。最低でも半径1kmの領域の気温を200° まで上げることができる。
- 攻撃対象の眼球と入れ替わるパイプ。最長は6km、最小は5μmまで伸縮させることができる。
- 光を浴びた生物の細胞を高純度のニトログリセリンに変化させる懐中電灯。非生物には効果なし。
- 頭部と腹部が繋がることで群体のようにして行動するクモに似た生物。先頭個体は発火する。
これらの兵器を保有していることから、SCP-XXX-JPは戦略的に使用される施設であるか、それに関連する教育的な施設であることが推測されています。
SCP-XXX-JPには多数の人型実体が居住する形で存在しています。これらはSCP-XXX-JP-Aと指定されています。SCP-XXX-JP-Aはおおよそ基底現実のヒトに類似した外見を持っていますが、断片的な情報から分かる限り内部機構はヒトから大きく逸脱したものです16。詳しい精査は現在行われていません。SCP-XXX-JP-Aがヒトと外見を顕著に異にするのは、頭部に突出物が単数、もしくは複数存在することのみです。SCP-XXX-JP-Aはこれに触覚、温覚を有していると証言します。
SCP-XXX-JP-Aは自らの体の大きさについて自由であり、体を常に変化させることができます。最大で確認された身長は53m、最小は13cmです。しかし、常態は160cmの人間大であり、通常はそのようにして過ごします。
SCP-XXX-JP-Aの食料はSCP-XXX-JP内にある"ジャガイモ畑"という施設17から収穫されます。この施設ではおよそ50cmある動物が液体に浸かった状態で肥育されています。これはSCP-XXX-JP-Aによる手入れにより持続して食料供給が可能なため、枯渇する可能性は低いと考えられています。
補遺-1: SCP-XXX-JP-Aらは"意見の共有が出来ない"ためバラバラの行動原理を持つ状態にありました。これはSCP-XXX-JP-Aらにとっても適切な状況ではなく、社会的な行動原理を持った状態にあることを望んでいます。それらを解決するためにSCP-XXX-JP-Aは民主主義の概念について理解しました。これによりSCP-XXX-JP-Aは3つの意見を持つ個体群に分割されました。
集団 | 概要 | SCP-XXX-JP-Aを占める割合 |
---|---|---|
穏健派 | 財団と積極的な交流を行い日本などの国家の概念について理解があり、友好的である。 | およそ30% |
中庸派 | 基底現実のあらゆる生物との接触を回避し、安全を確保する。 | およそ50% |
革新派 | 自らが持つ危険なオブジェクトを侵略的な活動に使用しようとしている。 | およそ20% |
SCP-XXX-JP-Aは彼らの言う所の"生徒総会"を開始すると宣言しました。SCP-XXX-JP-Aの中でも影響力を有している個体が現れ始め、それらをSCP-XXX-JP-A各個体が挙手で多数決をとるという非常に簡易なものです。
プロトコル-"アンガシー"は財団がSCP-XXX-JP-Aの投票を誘導し、SCP-XXX-JPを収容するための策です。SCP-XXX-JP-Aの"革新派"が代表するようになると、SCP-XXX-JPにある危険な道具やSCP-XXX-JP-Aの持つ巨大化により、関東沿岸部に甚大な被害が発生すると考えられています。これが発生すると阻止するすべを財団は所有していません。プロトコルの第1段階として、SCP-XXX-JP-Aの意見を収集します。
場所: 空中廊下
対象: 穏健派のSCP-XXX-JP-A個体
インタビュアー: デボラ ゴードン博士18
<記録開始>
ゴードン博士: それではインタビューを始めます。よろしいでしょうか、SCP-XXX-JP-A。SCP-XXX-JP-A: はい、大丈夫です。
ゴードン博士: それでは簡単な話からいきましょう。あなたは個体名を有していますか?
SCP-XXX-JP-A: ないですね。他のあなた言う所の"私達"にも今まではなかったと思います。
ゴードン博士: あなたは何を食べていますか?
SCP-XXX-JP-A: 今お見せできますよ。
[ゴードン博士には後に"プラスチック製の容器に放送されたシリアルバーのようなもの"と形容された]
ゴードン博士: ありがとうございます。SCP-XXX-JP-A。でも大丈夫です。あなたは一見私達と同じように見えますが、そのツノ以外に何か違う所はありますか?
SCP-XXX-JP-A: ええありますよ。
[デボラ博士の手を掴む]
SCP-XXX-JP-A: 私は外骨格を有しています。
デボラ博士: とても興味深いです。でもその手を離してもらえますか?
SCP-XXX-JP-A: すいません。
ゴードン博士: それでは今回の本題に入りたいと思います。あなたは総体としてのあなたが置かれている状況について理解していますか?
SCP-XXX-JP-A: なんらかの危機的な状況下に置かれているのはわかります。ただ、私は"財団"?のような方々があなたの言う所の"私達"を保護してくれるのを期待しています。しかし、全体としての考えが個別に働いているためリアクションが全体として取れません。
ゴードン博士: あなた達はそれを民主的な手法に頼ることを決定したようですが?
SCP-XXX-JP-A: そうです。私達は付近に存在する国家のことについて調べ、それがどのようなシステムにより成り立っているのかを理解しました。
ゴードン博士: 中には過激な行動を取るものがいると思いますが。
SCP-XXX-JP-A: はい、やはりこの状況ですからそういうものもいます。
ゴードン博士: あなたは私達に友好的な態度を取るということで良いですね。
SCP-XXX-JP-A: はい、最初に調査隊として現れた人々が危険な態度であれば話が違っていたかもしれません。
ゴードン博士: [レベル4権限による削除]
SCP-XXX-JP-A: なんて言いました?
ゴードン博士: いや、問題ないです。
ゴードン博士: それではインタビューを終了します。あなた達が友好的な態度ならこちらもそれなりの配慮をしましょう。
<記録終了>
場所: SCP-XXX-JP-Aらは"本の部屋"と呼称した。
対象: 前回のインタビューと同じSCP-XXX-JP-A。
インタビュアー: デボラ ゴードン博士
<記録開始>
ゴードン博士: それではインタビューを始めます。SCP-XXX-JP-A、よろしくお願いします。SCP-XXX-JP-A: はい。でも、私には個体名が付けられたのでそれで呼んでもらえますか。
ゴードン博士: どのようなものでしょう。
SCP-XXX-JP-A: 改めて自己紹介しますね。マカクと申します。
ゴードン博士: それではマカクさん。今回はあなた達の枠組み、あなた達の元々いた場所についての話を聞きたいのですが。
SCP-XXX-JP-A: いいですよ。今回はそれに応えるための準備をしてきました。その枠組みの名前は████。その世界どこでもそうですが、都市国家のような形態でした。あなた達の持っていたそれと異なるのは1つの国家の領地がバラバラに配置されていたということですね。あなた達の競技に似ています。えっと、たしか。黒と白に分かれて領域を取り合う…。
ゴードン博士: 囲碁ですね?
SCP-XXX-JP-A: あ、はい。囲碁というものと似ていたかもしれません。このあなた達の言うSCP-XXX-JPはその碁石の1つだったということです。
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
ゴードン博士:
SCP-XXX-JP-A:
SCP-XXX-JP-Aは時間が経つにつれ、元々の分業に緩やかに従っている集団が構成されました。特に意見を保有しないSCP-XXX-JP-Aは、その集団の代表者に従う可能性が大きいです。財団エージェントによる各集団の説得が開始されました。
補遺-2: SCP-XXX-JP-Aによる"生徒総会"が開始されました。主に3つの議題について話し合い、それらの多数決を行います。以下はその音声記録です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団ネットワークは全国のコンビニエンスストアの監視カメラによる映像をチェックします。それによりSCP-XXX-JP-A発生の兆候が見られた場合、機動部隊ふ-11("ノンクレーマー")は対象となるコンビニエンスストアに急行し、全SCP-XXX-JP-Aの回収とその場にいた人物全員への記憶処理を行います。
SCP-XXX-JP-Aは付近の財団サイトで暫時的な収容を行います。SCP-XXX-JP-Aはテキスト群などを記録し研究が終了したのち、各サイトで焼却処分されます。
説明: SCP-XXX-JPは日本国のコンビニエンスストアで発生する異常現象です。SCP-XXX-JPは人口密集地においてより発生する傾向にあり、山間部などではこれまで数件しか確認されていません。SCP-XXX-JPの発生頻度は年々増加しており、2019年においては23件の発生記録があります。
SCP-XXX-JPは対象における商品の一部がSCP-XXX-JP-Aと呼称される物品群に置換される異常発端に開始されます。SCP-XXX-JP-Aは大まかに分けて2つあります。
- その店舗にある商品で使用される言語19のみが変化したSCP-XXX-JP-A。
- ある一定の文化圏では多用されるものであるが、かつて日本のコンビニエンスストアで販売がされたことがなかった物品に変容したSCP-XXX-JP-A。文化圏の言語とテキストの文章で使用される言語は関連し、祭具などの宗教的要素を含むものもある。
商品がSCP-XXX-JP-Aに置換され始めると対象となった店の周囲20にSCP-XXX-JP-Bと呼称される存在が出現します。SCP-XXX-JP-Bは典型的には人型実体の形を取るものの、それに限定されることはない多様な形態をとります(後述の一覧を参照)。
出現したSCP-XXX-JP-Bは対象を訪問し、SCP-XXX-JP-Aを含む商品の購入を行います。この際、SCP-XXX-JP-Bの持つ欲求やニーズ、あるいはそれに対する返礼などによりさらなる異常現象が発生する点に留意してください。
SCP-XXX-JPが発生中の店舗にいる全ての人物は、異常な現象によって動揺を示したりすることはなく、肯定的な感情を得ます。また、SCP-XXX-JPの発生時において一部の人物はその個人が持つ経験に関係なく、宗教的な知識を獲得したり、その要因を伴っている行動を行うことがあります。
以下に示すのはSCP-XXX-JPの抜粋された記録です。全資料を要求する場合担当者に問い合わせてください。特に記述がない場合購入された商品はSCP-XXX-JP-Aです。
対象の概要 | SCP-XXX-JP-Bの特徴 | 購入された商品 | 付記 |
---|---|---|---|
2009年、大阪府██市のローソン。 | 青い作業服を着た成人男性。 | ラテン語でテキストが記述された缶ビール3本。 | 確認された時点で既にかなりの酩酊状態にあったとされる。 |
2010年、東京都██区のローソン。 | 1枚のおそらくは亜麻布を着用する13人の男性ら。 | 非異常性のワインとオレンジなどの果実類。 | 店を出てすぐに消失するが、対象から3Km離れた場所に1人の死体が出現。それもまもなく消失した。 |
2011年、石川県██市のポプラ。 | 下半身がウマのようなものに置き換わっている男性ら6人。 | エナジードリンク"Monster" これらテキスト群は全て古代ギリシャ語で表記されているため商品名は"τέρας"となる。 | 全員がエナジードリンクを2つずつ購入して消失。 |
2012年、神奈川県██市のセブンイレブン。 | 顔がゾウのものに置換された4本の腕をもつ男性。 | ヒンディー語によってパッケージされたモーダーカー21 | 店員に総計25kgの金塊を支払うと店から出て5m先で消失した。 |
2013年、北海道██のゼブンイレブン。 | 青色に染め上げられたレタラペ22を着用した壮年の男性。 | チェホロカケプイナウ23 | 当該実体は夜勤アルバイトとして勤務していた向島 隠氏とレジ越しに6分間会話をした。レジにはヒグマ(学名:Ursus arctos)のものとみられる毛が散乱していた(補遺-1も参照)。 |
2014年、京都府██市のファミリーマート | 日本、京都などの祭礼で見られる山車。 | 弁当、調査の結果京都府の料亭████が祇園祭りで提供していたものと完全に同一の弁当だった。 | SCP-XXX-JP-Bは対象から3Km離れた国道██に出現した。SCP-XXX-JP-Bは道路交通法を無視し、時速180km程で対象まで移動した。SCP-XXX-JP-Bは対象の駐車場で停止するとなかから黒子装束の人型実体が出現し商品を購入、まもなく消失した。 |
2015年、山口県██市のファミリーマート。 | 身長230cm程の人型実体とそれに随伴するウシ(学名:Bos taurus)。 | 古ノルド語でパッケージされたロックアイス。 | 人型実体に随伴するウシは外に出るとそのロックアイスを舐め始めた。その後に消失。 |
2016年、岐阜県██市のセブンイレブン。 | スーツを着用しているが、ヘッドホンをつけた男性 | 古代ギリシャ語でパッケージされた乾燥ローリエ。24 | 店内にいた人物は彼のヘッドホンがiPhoneから外れ、音楽が流れたと述べた。それらの人物はアウロスのダブルリード25を要求し、その曲を再現してみせた。なんの曲かは不明である。 |
2017年、秋田県██村のサークルKサンクス。 | なまはげ29体。 | 日本酒ときりたんぽ。 | 「悪い子はいねーがー」などの奇声をあげながら数分間滞在した。 |
2017年、埼玉県██市のセーブオン。 | 体高5mの少なくともヤドクガエル科(学名:Dendrobatidae)の特徴を持つ両生類生物。100匹ほどの集団で出現し、一塊に集合すると女性の人型実体と化した。 | ヒエログリフによりパッケージされたタピオカドリンク。本来のヒエログリフに用いられない象形文字を複数確認した。 | 店内からは湿った粘液のようなものが確認された。 |
2018年、大阪府██市のローソン。 | SCP-076-2、SCP-073に酷似した人型実体。 | 羊肉と各種野菜。これらのうちいくつかはパッケージされていなかったが、されているものは古代シュメール語により記述されていた。 | 当該オブジェクトにおける収容違反は認められなかった。両者とも通常発生する異常現象を発生させなかった。特にSCP-076-2には攻撃性が見られず、安定していた。 |
2019年、東京都██区のローソン。 | 2体のワタリガラス(学名:Corvus corax)を随伴した成人男性。 170cmはある槍を所持している。 | なし。 | 23分間に渡って立ち読みを続けた後に消失。立ち読みをした本は、日本の文化について言及するものであったが、全編にわたり古ノルド語で記述されていた。そのことを観察した店員は"知識を求め続ける姿勢に感動した"と述べた。 |
2019年、 広島県のサイト-8123の購買部。 | サイト-8123付近にある中等教育学校████の制服を着用した若い女性人型実体。 | おにぎり(シャケ) | 異常現象が確認され、購買部は直ちに封鎖された。その後SCP-XXX-JP現象であることが断定され、SCP-XXX-JP-B実体にインタビューを提案、実体にはこれを了承した(補遺-2を参照)。 |
SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-Bの消失により終了します。その後もしばらくの間SCP-XXX-JP-Aや店内にいた人物に与えられた精神的な影響は残留します。精神的な影響は記憶処理により除去できる他、個人の意思による復習がなされない限り数ヶ月程の時間をおいて消失するようです。
補遺-1 以下のインタビュー記録はSCP-XXX-JPの与える精神的な影響について示した代表的な例です。
概説: 向島 隠氏は2013年、北海道の██で発生したSCP-XXX-JPにおいて精神的な影響を受け、SCP-XXX-JP-B個体としばらくの間会話を行いました。これはその後に行われた財団と向島氏とのインタビュー記録です。インタビュアーには三笠研究助手が選出されました。
<記録開始>
三笠研究助手: それではインタビューよろしくお願いします、向島さん。向島氏: よろしくお願いします。
三笠研究助手: あなたが深夜にみた風変わりな人物についてお聞きしたいのですが。
向島氏: えっと、はい。あれは深夜の11時ごろだったでしょうか。サッチェプのおでんがないのかと聞いてきたのが彼でした。50くらいのおじさんにみえました。彼はカムイ、森の神だったんです。
三笠研究助手: サッチェプですか。
向島氏: えっと、サケを干したものですね。アイヌ民族の伝統食です。
三笠研究助手: ずいぶんとお詳しいですね。
向島氏: 今までそんなこと知りもしなかったのに知識が増えたんです。それでですね、流石にサチェップはなかったんですよ。
三笠研究助手: その他のものはあったと?
向島氏: 惣菜プクサ26やラタシケプ27弁当などがありました。
三笠研究助手: それでどうしたんですか?
向島氏: どうしようもないのでイナウを勧めましたよ。でも聞かなくてですね、私のことを食べようとしたんです。本当にこんなこと知らなかったんですが口から言葉が出てきて、こんなクレーム対応いつでもしたいですよ。
三笠研究助手: なんて言ったのですか?
向島氏: なんて言ったでしょうかね…。偉い神様に向かってすごい脅迫的なこと言ったかもしれません。「あなたは親戚一同からじめじめした世界に落とされるだろう!」とか。三笠研究助手: なんていうか罵倒の言葉としては微妙ですね。
向島氏: アイヌは普段寒いところに住んでいる文化圏ですから火の燃え盛る地獄だと単に暖くなっちゃうんですよ。
向島氏: あと、自分をすごい貶めたかと思います。よく覚えてないけど。ははは…。普段のクレーム処理もこんな簡単にうまくいきゃいいのに。神様より聞き分けの悪い人間ってどうなんですかね。
<記録終了>
補遺-2: SCP-XXX-JPは異常現象の及ぶ範囲が広いことからその各SCP-XXX-JP現象を捕捉するのは非常に困難です。その為、SCP-XXX-JPの研究は残留したSCP-XXX-JP-A、監視カメラ等の記録、精神的な影響を受けた人物へのインタビューなどにより行われてきました。SCP-XXX-JP-Bのいずれも5分程の滞在により消失するため、これまでSCP-XXX-JP-Bの確保はなされてきませんでした。
しかしながら、2019/10/23に広島県の研究サイト-8123の食堂に併設された購買でSCP-XXX-JPが発生したことにより、財団による初のSCP-XXX-JP-Bへの接触に成功しました。以下に示すのはそのインタビュー記録です。
付記: インタビュアーは黒田研究主任が行なった。インタビューを行った後SCP-XXX-JP-Bはただちに消失した。
<記録開始>
黒田研究主任: それではインタビューを始めます。SCP-XXX-JP-B: よろしくおねがいしまーす。
黒田研究主任: 日本語で大丈夫ですか?翻訳する用意はありますよ。
SCP-XXX-JP-B : おーけー!
黒田研究主任: まずはあなたの名前を聞いてもいいですか?
SCP-XXX-JP-B: んー?なんでもいいよ?でも人間からはヘーベー28って呼ばれてる。まあ気楽にヘベちゃんとでも呼んでよ。
黒田研究主任: SCP-XXX-JP-B、それではなぜあなた達はコンビニへ来るのでしょうか?
SCP-XXX-JP-B: それは人によりけりだよね。私に聞くことでもないな。私は昼ごはん買いに来た。
黒田研究主任: コンビニにの商品はなぜ変化するのでしょうか?私達はあなた達のうちいずれかがその役割を背負っていたと考えているのですが。
SCP-XXX-JP-B: それもわからないな。私はコンビニに来てるだけだし。
黒田研究主任: どのくらい遠いところからあなた達は出現できるのでしょうか?
SCP-XXX-JP-B: どこでも。
黒田研究主任: なぜ人の多いところで出現する傾向があるのでしょうか?
SCP-XXX-JP-B: 都会の方が色々と便利じゃん?
黒田研究主任: あなた達は我々の知る神とは関係がありますか?
SCP-XXX-JP-B: それも人によりけり。あなた達の考えによる。
黒田研究主任: 日本なんかは信仰心が薄いと思うのですがなぜ日本なのですか?
SCP-XXX-JP-B: 私達ギリシア組にはとっくに関係ないよね。むしろ父さん29とかはソシャゲに出られるって喜んでたよ?
黒田研究主任: 日本語はなぜ理解できるのですか?
SCP-XXX-JP-B: ずっと見てたからね。英語も話せるよ?
黒田研究主任: ほかのSCP-XXX-JP-Bは割と古めかしい服装をしているのですが、あなたは服装が現代的ですね。
SCP-XXX-JP-B: そりゃ若さの神だからね!やっぱ時代に合わせて変えていかないと。お宅のところの妖怪なんかは色々やってるでしょ。威厳が重要な時はそうするけど私はあんま求められてないし。
[黒田研究主任にヘーベーについて情報がまとめられた書類が渡される]
黒田研究主任: それでは本当にヘーベーで間違いないのですか。あなたは今も山で神々に酒を注いでいたり宴席で踊りを披露していたりするのですか?
SCP-XXX-JP-B: そういう話するならガニメデくんが始めた時点で私はその任を解かれているし、永続する視点を持っても今は少し別のことをしているかもしれない。形を変えて存続し続けるものだから。でも私はおにぎりを買いに来た。これは間違いない事実。
<記録終了>
「帝国Wasje州有頭Michi官僚の命を受けた属州総督Cavingより連絡」
ketax-jauv…
「ダイイチヴェンロータイシダン、トチヲダッカンシタトホウコクセリ」
ketax-jauv…
「損害、此方125の人的損失、29のNue-dechi損失」
五月蠅い…
「対して相手…」
ketax-jauv!!
荘厳な雰囲気の部屋に女官ヴェンロータイが10は並んでいる。複数状光球は光芒のように煌めき、机には所狭しとGe-Dillの用意したモノが並んでいた。
「貴殿はもう少し賢い有頭だと思っていたが。」
目の前のMichi官僚はKovk-jauを喰らいながらそう呟いた。鋭切器の刃がその肉の塊を通す。彼はそれを氷の上を滑って遊ぶトニアの子のように口へ運んだ。
私とてジョドムァの無形万系図の終端にして光芒に選ばれたcerebrumの役割を担うもの。Magyの上にあるクコの実だけを双棒器で執拗に捕まえながら私は言った。
「しかしGebber神はこれを万全なる失態とはいいますまい。」
するとMichi官僚は若干驚いたようなそぶりを見せて冬の寒さのように鋭く言った。
「そうか君はEzの出であったな。どうだ?凡ゆる帝国の知を貪り合ったのは。今も昔も民衆の象徴で唯一の民衆であるのは光芒のみだ。そのことを知っているのは叛逆者である証拠になる。」
すると彼はGe-Dillの擁する苦労も意に介さずKovk-jauに多肢銀製四足を刺した(このような思考になるのは私がblockageralな思考を持つからだろうか)。今度はそれを切り分けることなく勢いよく口に運び、あたりに肉汁をまき散らした。
そうだ私は秘される神々の話を知っている。idna期の熱い抱擁やヌガイの戦火で何人が死んでどのような価値があったのかを、そのEz…で学んだ。そのようなことで帝国への忠誠が失われていたと考えない。無形思考における独立ではない。そもそも私がそうなのは彼にも原因がある。だから言った。
「やはり忘れているのですね。」
彼は、彼は怒り狂っていた。制御を失った歯車の鳴き声か、油を欲する整備不良が原因なのか。
帝国で知識を得ることのできる場所はそこと光芒のために備え付けられた光宮しかないはずだ。
「貴方もです。貴方も侮蔑の円錐に片足を入れてしまっているのですよ。あの聖Oey祭が終わった夜に、緑の礼拝堂"Vaequese"で甘美な詩の響、世界の歴史について教えてくださったのは貴方ではないのですか?」
——暦の概念が私たちには存在しないため歴史を正確に語ることはできない。
「それが本当にあったことなら君には深刻な不具合がある。私はそのhairburdenな出来事を容認していない。」
「螺旋階段でっ!出会ったのではないでしょうか。なぜ?…私のことを忘れてもいいが、そのことは覚えていて欲しかった。」
「君がおかしい、私たちは私じゃないか。統一たる体躯、完全なる帝国を個人の単位で考えるからおかしくなるのだ。君の思考は破綻している!そんなことどうでもいいじゃないか。」
「EBFで居場所がわかる私たちが…。」
しばらく何も言わなかった。
「貴方を見つけられなかった時がある。貴方は秘匿の館にいたのではないか!?貴方は本当に貴方なのか?螺旋階段で私に滔々と詩を唱え始めた貴方」
前から疑問があった。私たちはたしかにhairburdenからいつまでたってもぬけだせない。
「貴方は貴方でないのですね。不動人形の腹を入れ替えるのと同じように入れ替わった。私はblockageralな…臣民失格だ。」
「それでも問題なく帝国は動き続ける。確かにだ。」
コンクリートによる反射で下からも上からも日差しが照りつける中、そんな時候にさらに暑い食べ物を食べようとする奴がいた。大前田美佳、25歳。趣味はカレー屋さん巡りとプロレス観戦。この頃の私はプライベートでもカレー屋巡りをするようになっていたのだった。
家の近くにあった、これまでこんなところになにかあったっけ?みたいな場所に未確認のカレー屋を見つけたのだ。それがとてもうまかったのである。私は次の号の雑誌に載せる内容を決めた。すぐさまアポをとり、取材の約束を取り付けた。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは100×100mの特別収容室の中央に収容されます。Dクラス以外の職員は収容房に入ることを許可されません。実験にはセキュリティクリアランスレベル4以上の職員から許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは株式会社ユニクロが作成した企業広告の1つです。ユニクロのロゴマークが入っている箇所以外は、男性が同社の製品であるスキニージーンズを着用している写真で構成されています。
SCP-XXX-JPは半径50m以内の領域にいる人物(SCP-XXX-JP-Aと呼称)に"自らはユニクロに来ている"という共通認識を与えます。SCP-XXX-JP-Aは影響下において、"ユニクロにいる時の自然な行動"を行います。この代表的なものとしては、周囲の物品を"試着"しようとしたり、それらの影響を受けていない人物を店員と思い込み話しかけることが挙げられます。
前者のSCP-XXX-JP-Aによる物品の"試着"の対象となるものは様々な範囲に及びます。これは服飾品に限らず、生物や概念などにおいても確認されています。これが意味する"試着"とはきわめて広義的なものであることが多く、"なにかを身体中に覆う"といった形容が正確であると考えられています。
SCP-XXX-JP-Aが"試着"を行なった時、その試着の対象となる物品や概念は、SCP-XXX-JP-Aが試着を行うのに適切な形状に変化します。
SCP-XXX-JP-Aは周囲にいる人物の中からランダムの人物をユニクロの店員と思い込みます。これはSCP-XXX-JP-Aの主観により、非常に曖昧な基準で決定されます。多くの場合SCP-XXX-JP-Aはその人物に対して購入の手続きを行う、試着の許可をもらうなどの"店員にする自然な行動"を行います。
SCP-XXX-JP実験記録-1 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-XXX-JPを収容する区画にD-1600を投入する。
結果: D-1600は沢田博士のいる方向(D-1600には見えていない)に向かって"試着してもいいですか?"と質問した。沢田博士は何も返事をしなかったが、D-1600は室内東部の壁にのめり込み同化した。壁からはD-1600と同一のDNAが検出された。
SCP-XXX-JP実験記録-3 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-XXX-JPを収容する区画にD-1601とユニクロで販売されているスキニージーンズを投入する。
結果: D-1601は黒縁博士の方向に向かって"試着してもいいですか?"と質問した。黒縁博士はこれを了承するとスキニージーンズを着用した。このまま長期間観察を続けるとD-1601は色合いについての不満を漏らし始め、次に壁の試着について黒縁博士に質問した。黒縁博士はこれを了承するとD-1601は壁と同化し、前回の実験と同様の経過をたどった。
SCP-XXX-JP実験記録-5 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-XXX-JPを収容する区画にD-1602とユニクロで販売されているスキニージーンズを投入した。サイズや色合いなど様々なタイプのものを取り揃えた。
結果: D-1602は黒縁博士の方向に向かって"試着してもいいですか?"と質問した。D-1602は濃い色合いのものを好み、サイズについて悩みながら3回試着を行なった。D-1602はこれに納得すると黒縁博士に向かって"お会計お願いします。"と発言、これを了承した。
SCP-XXX-JP実験記録-9 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-XXX-JPを収容する区画にD-1603とD-1604を投入した。
結果: D-1604は黒縁博士に向かってD-1603を試着する旨を伝えた。D-1603はかなり抵抗したように見えたが、D-1603にできた開口部からD-1604は侵入し、完全にD-1603と同一のものとなった。その後のD-1603はD-1604と同一の人格を持つようになった。
SCP-XXX-JP実験記録-10 - 日付20██/██/██
実験方法: 前回の実験で手に入れたD-1603とともにD-1605をSCP-XXX-JP収容区画に投入する。二重に試着が行えるかの実験。
結果: D-1605は黒縁博士に向かってD-1603を試着する旨を伝えた。D-1603はかなり抵抗したように見えたが、D-1603にできた開口部からD-1605は侵入し、完全にD-1603と同一のものとなった。その後D-1603はD-1605の人格的特徴を持つようになった。
補遺-1: 以下に示すのは、サイト-8123で起きたSCP-XXX-JPの監視カメラによる収容違反記録です。
事案記録XXX-JP - 日付20██/██/██
警備員: ここから先はSCP-██-JPの収容室です。あなたは適切なクリアランスレベルを所持していますか?
広尾博士: いやありませんが。
警備員: それなら侵入禁止です。いくらあなたでもセキュリティは守ってもらいますよ。
広尾博士: そんなつもりは全然無くて、はい。
警備員: それならどうしたと言うのですか。
広尾博士: いや、赤色のスクラントン現実錨はありませんか?今、カント計測器とスクラントン現実錨で迷っているのですが、スクラントン現実錨の赤色がどうも見当たらなくて。Mサイズでお願いします。
警備員: ちょっとちょっと、無理矢理押し入ろうとしないでください。
広尾博士: うーん。どうしても決めかねますね。じゃあ少し試着させていただけませんか。試着室はこっちですか?
警備員: [広尾博士を制止する]
[広尾博士の下半身を耐腐食性の銅ベリリウム合金が覆う]
広尾博士: やはり股上30が浅いですね。私はいつもこう思ってしまいます。私だけなのでしょうか?股間が不愉快なんですよね。別のやつ持ってきますね。
広尾博士: はい、ぴったりです。赤がないのは残念ですがこれを購入します。決めました。やはりユニクロは安くていいですね!
警備員: これ以上近づくと発砲します。
広尾博士: クレジットカードでお願いします。
[詰め寄る]
警備員: [発砲]
[耐腐食性ベリリウム合金が弾道をそらす]
広尾博士: ポイントカードは持ってないです。
警備員: クソやろう…。
[広尾博士はその後SCP-XXX-JPの影響範囲外に出たと考えられる]
補遺-2: SCP-XXX-JPは広告として制作されてから6ヶ月の間通常通り使用されていたと考えられています。SCP-XXX-JPはユニクロ店内ではその異常現象が発生せず、安定していました。SCP-XXX-JPの異常現象が発生したのは20██/██/██のことです。広告としての使用期間が過ぎ、廃棄されるまでに運搬されているトラックの中でSCP-XXX-JPの異常現象が発生しました。
現場ではトラックの運転手であった相葉正氏と通報を受け駆けつけた警察官の死体が発見されました。警察官は3人いたはずですが、確認されたのは奈良橋通氏の絞殺死体のみであり、SCP-XXX-JPの特殊な試着による同一化であると考えられています。相葉氏の死体は全体的に黒いゴム状の物質に覆われており、のちの検査によりこれがトラックに使われていたタイヤのゴム成分と同様のものであることがわかりました。相葉氏の死因は酸欠であることがわかっています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは
説明: SCP-XXX-JPは山梨県にの██アパートにある浴室です。SCP-XXX-JPにある全ての物品は物理的な衝撃に対して破壊耐性を有しており、今のところ特筆すべきオブジェクトは2つあります。
SCP-XXX-JP-1と指定されているのは、SCP-XXX-JPの壁に備え付けられた鏡のようなスクリーンです。タッチパネル式で操作することができ、SCP-XXX-JP-1で展開されている掲示板に書き込むことができます。SCP-XXX-JP-1では短文の投稿が連続的に行われています。この投稿は過去24時間遡ることができます。内容は単語の投稿や何らかの主義主張と思われるものが主ですが、それらは現在のところ意味不明です。その例を以下に記述します。
私のようなpauci者の気持ちも考えてくれませんか?赤薔薇と倦怠感って言ってもsocietas向けのscilicetでアートって<pessimi pessimi>
異臭するissue、<反現実主義>はかっこいい何かでなく陳腐な
pauci者を崇拝すると言っても特殊なissue者は論外っていうpauci者が多いですからね。どうやらパージしたいわけではないだろうしね。
SCP-XXX-JP-2と指定されているのは浴槽です。SCP-XXX-JP-2から見て左隣の操作盤を操作することにより、上水道が通っていないのにもかかわらず、コバルトブルー色の液体を100Lほど発生させます。今まで行われた実験の結果、その液体を飲んだ人物は寛解不可能な病気や怪我などを治癒しています。
SCP-XXX-JP-1を通して投稿されるコメントの多くはSCP-XXX-JP-2により発生する液体の使用についてルールを主張しています。このルールはコメントごとに1部矛盾があり、その主張内容により主流派と少数派に分けられます。
まずは両者により共通するルールを挙げます。
- 作品液(コメントが呼称する液体の名称)は基本的にランク3により公開されている。ランク4や5に変更することは不可能。
- ランク3で公開されているが故に、作品液は誰でも自由に使用することができる。
- 作品液は販売しても良い。
主流派は以下のことを主張しています。
- 日本国の法律において罪を犯した人物は作品液を使用してはならない。
- pauci者の人権を守るために男性は作品液の使用をできる限り控えるべき(緊急時の場合はどうするべきかについて議論が続いているようです)。
- 作品液は許可を取ってから使用されるべき。
少数派は以下のことを主張しています。
- 罪の有無にかかわらず作品液は提供されるべきだ。
- pauci者はそれぞれの夢の世界に戻ればいいはずであり、作品液は誰でも自由に使用できるはずだ。
- 作品液は誰からも許可を取らなくても使用できる。
SCP-XXX-JP-1で散見されるコメントはそれらのような主張を繰り返していますが、これまでの実験においてそのルールから外れた対象を用いても、問題は発生しませんでした。
実験記録XXX-JP-1 - 日付20██/██/██
監督者 三条博士
実施方法: D-2596を用いて、SCP-XXX-JP-1に"こんにちは"と書き込む。
結果: 複数のアカウントから"こんにちは"や"よう"などと言った挨拶が帰ってきた。
実験記録XXX-JP-2 - 日付20██/██/██
監督者 三条博士
実施方法: D-2596を用いて、SCP-XXX-JP-1に単純な罵倒を書き込む。
結果: しばらくの間無視されたが10回程投稿すると<スタッフ>という名前のアカウントから警告と同じことをするとアカウント停止にする旨が送られてきた。
考察: 今後も実験を続けたいため、これ以上の罵倒は中止した。
実験記録XXX-JP-3 - 日付20██/██/██
監督者 三条博士
実施方法: D-2596がSCP-XXX-JP-2から液体を飲む。
結果: D-2596は痛めていた腰が回復したと供述した。後の検査結果もそれが正しいことを証明している。SCP-XXX-JP-1のコメント欄の投稿数が増大した。その内容の多くはD-2596が殺人事件を犯したことについてであり、"罪を犯した人物のけがを治す価値はあるのか"についてだった。
実験記録XXX-JP-4 - 日付20██/██/██
監督者 三条博士
実施方法: D-1569を用いて、SCP-XXX-JP-1で許可を得てから、SCP-XXX-JP-2を使用する。
結果: まずSCP-XXX-JP-1から許可を取るのは不可能だった。彼らは代表者を有しておらず、対立する2つの意見による緩やかなつながりがあるのみだった。1つのコメントに許可を得る文面を送ったがそれらが全体の意見に反映されることはなかった。最終的にSCP-XXX-JP-2を無断で使用してみたが、前回の実験と同様の結果をたどった。
考察: 現在我々が使用しているSCP-XXX-JP-1は発言力が弱いのではないかというのが私の仮説である。SCP-XXX-JP-1は大まかに発言力によって支配されており、いわゆる新参である私たちは意見を通せない状況にあると推測する。
実験記録XXX-JP-5 - 日付20██/██/██
監督者 三条博士
実施方法: 三条博士自身がSCP-XXX-JP-2をSCP-XXX-JP-1に無断で使用する。この実験は三条博士の提案によるものである。
結果: 三条博士は自らの身体の不調が回復したと供述した。SCP-XXX-JP-1で見られる反応はコメント毎に様々で、三条博士が昔行っていた実験によりDクラスが死亡したことに言及するものもあった。
発見経緯: SCP-XXX-JPはインターネット上で流布していた"病気を治す風呂場"を調査していた際に発見されたものです。その時すでに廃棄されていた██アパートにはホームレスが住み着いており、財団はインタビューを試みました。
以下はその記録です。
インタビュアー: 弓削研究員補佐
今井 正一氏: 1年間にわたり██アパートを不法に占拠していたとされる。
インタビュアー: それではインタビューを始めさせてもらいます。そんなに緊張しなくても良いですよ。
今井 正一氏: このようなことは初めてなので少し緊張しています。
インタビュアー: はい、先ずはいつからここに住んでいたかお聞かせ願えますか。
今井 正一氏: えーと[どもる]
インタビュアー: 私たちは罪に問うわけではありません。安心して答えて良いですよ。
今井 正一氏: 去年の冬です。[不明瞭な発音]あの時は寒さがまた厳しくて。
インタビュアー: わかりました。風呂場のことはどうやって知りましたか?
今井 正一氏: 私がここを見つけたのは単に偶然でした。普段は駅の方の公園に住んでいたのですが、空き缶を売りに行くのにいつもとは違う道を通りました。帰りはすっかり夜だったので臨時の寝床を探していました。そこでここを見つけました。
インタビュアー: わかりました。ではどこまでのことを知っていますか?
今井 正一氏: あの日確か適当にボタンをいじっていたら風呂が沸いてきて、[どもる]2年振りに入ることにしました。そしたら肩や腰などがみるみる楽になりました。
インタビュアー: 鏡の方は見ましたか?
今井 正一氏: あーはい、私がホームレスであることについて同情的な意見が多かったですね。コミュニケーションを取ろうともしましたが、言ってることはあまりわかりませんでした。
インタビュアー: それで定住することに決めたのですか?
今井 正一氏: はい、そのあと単に飲むだけでも回復することがわかって随分と使わせてもらいました。[不明瞭な発音]それが段々と否定的な意見になっていたのです。
インタビュアー: コメント達がですか?
今井 正一氏: はい、そうです。こいつは俺たちの力があっても努力しないクズだとか。これ以上作品液を提供する必要がないだとか。
[沈黙]
今井 正一氏: 彼らは私の過去まで全て知っていました。知ったか振りで話すんですよ。さも意味ありげに、楽しそうに。
インタビュアー: その"作品"は止まったりしませんでした?
今井 正一氏: そんなことはなかったです。むしろ量は増えてきてましたね。
今井 正一氏: とにかく私は昔のことについてどうこう言われるのが嫌で仕方なかったんです。カッとなって鏡をたたき壊そうともしてみたのですが、意味はありませんでした。
インタビュアー: なるほど。参考になります。
今井 正一氏: そもそも"作品液"ってなんなのでしょうか?
インタビュアー: 今のところ何もわかっていません。もっとも、何かわかっていたとしても私からはお答えできません。
今井 正一氏: この風呂場をあなた達が許すならこれからも使っていきたいです。いいでしょうか。
インタビュアー: 私からは何も言えません。これでインタビュー終了です。ありがとうございました。
補遺: SCP-XXX-JP-1に関する実験を行おうとした際にいつもと違う色の赤黒い液体を確認しました。その瞬間SCP-XXX-JP-1のコメント量が増大し、おおよそ1つの意見で占められました。それらの意見は操作盤を操作していたD-2359に関する罵倒であり、ミスを責める内容でした。
財団は協議によりこの液体をD-2529に飲用させた結果、D-2529は著しく発光し消失しました。その瞬間SCP-XXX-JP-1が割れ、元の機能を有さなくなりました。SCP-XXX-JP-2も以前のように液体を発生させることはなくなり、SCP-XXX-JP全体の破壊耐性もなくなりました。SCP-XXX-JPをNeutralizedに指定するかは現在協議中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準閉鎖手続きを行い、財団フロント企業による管理下に置かれます。
精神影響に対処するエージェントらは██市の病院に潜入し、SCP-XXX-JPに関係するとされる被影響者に記憶処理を施してください。
説明: SCP-XXX-JPは神奈川県██市に位置する2階建てのマンションの屋上部です。マンションのSCP-XXX-JP以外の部分は異常を有しておらず、何ら異常を発見できませんでした。SCP-XXX-JPは週に1度、15:00〜17:00までに活性化します。
SCP-XXX-JPは活性化すると、1体の人型実体(以下SCP-XXX-JP-Aと表記)が出現します。SCP-XXX-JP-Aは毎回異なる書籍を所持しており、それぞれ近年行方不明になった日本人の外見的特徴に酷似しています。SCP-XXX-JP-Aに酷似している人物の共通点は、全員日本人で日本語を使用すること以外にあまり見られないものの、本を良く好む読書家だったことなどが挙げられます。
以下はいままでに確認されたSCP-XXX-JP-Aです。
番号 | 姓名 | 概略 |
---|---|---|
SCP-XXX-JP-A-1 | 青森 崇人 | 男性。2005年にアフリカでの単独渡航にて行方不明に。23歳に行方不明になったが、SCP-XXX-JP-Aとなってからは彼の学生時代の制服と外見で出現している。ノンフィクションを嗜好する。単独渡航もそれらの嗜好に関連していたものと見られている。 |
SCP-XXX-JP-A-2 | 大村 知念 | 女性。有名な小説家であったが、趣味の登山で██市の██山で行方不明に。外見は行方不明当時のものと一致している。彼女の著作はおおむね喜劇的なもので占められており、本人もそれを好む。 |
SCP-XXX-JP-A-3 | 荒木 諒子 | 女性。カトリック系教会の牧師の妻であった。2013年のある日に書き置きを残して行方不明となった。行方不明になったのは45歳の時である。主にサイエンスフィクションを嗜好する。 |
SCP-XXX-JP-A-4 | 遠月 秋人 | 男性。大変な趣味家であり、その一環として██書店で行われていたビブリオバトルに参加していた。聴衆の面前で彼は消失し、財団による調査が行われたがその行方は不明となっていた。雑学知識に関する本を嗜好しており、身辺調査では彼が衒学家だったことを示す情報が多く、そのために問題を起こすこともあったようだ。 |
SCP-XXX-JP-A-5 | 内嶋 栞 | 女性。 ニュース番組████のアナウンサーだったが、1991年を境にテレビ出演が少なくなっていく。本格的に行方不明になったのは1993年のことであり、その頃の情報は非常に少なく、不明なことも多い。主に純文学を嗜好する。 |
SCP-XXX-JP-A-6 | 日村 亮平 | 男性。2009年に██工場でのバイトを辞めてから継続して無職だった。██市の歓楽街で喧嘩を行なった次の日には行方不明になっている。主に推理小説を好む。 |
SCP-XXX-JP-A-7 | 野分 昴 | 男性。██市の市立病院で10年間に渡り働いていた。職場の知人からは「凡庸を絵に描いたような人物」と評される。勤務態度にも問題なく、10年間に問題起こすこともなかったようである。彼の浮遊する姿を見たと職場の知人らは証言しているが詳細は不明。ホラー小説を好む。 |
SCP-XXX-JP-A-8 | 倉敷 凛 | 女性。彼女の両親や友人からのヒアリング結果は、人間関係や悩み事について特に深刻なものがなかったことを示している。にもかかわらず2001年に家出という形で行方不明になった。主に特撮やアニメに関連する書籍、やおい31を嗜好する。 |
SCP-XXX-JP-Aが出現している間SCP-XXX-JPから半径3km以内の領域にいる人物(以下、被影響者と表記)は強い頭痛などともに精神的な影響を受けます。これはSCP-XXX-JP-Aが所持する書籍の内容になんらかの形で関連しており、その本に登場する特定のワードや物事などを口頭や筆記などにおいて反復するようになります。多くの事例では通常の語彙がそのようなものに置換され、会話が困難なものにもなります。
補遺-1: SCP-XXX-JP-Aによる影響を受けた代表的な事例を表記します。
以下に示すのは"陸魚"について執拗な言及を繰り返した、地元FMラジオ局███の「DJケイゴのお悩み相談のコーナー」の音声記録です。現場の古川エージェントが番組内で言及される陸魚と、20██年に発売されたSF小説「ラス マンチャス通信」の登場する架空の生物である陸魚との相似を指摘し、その正体が判明しました。
今生 圭吾氏: ████のレギュラー出演者。番組内ではDJケイゴを自称する。
[録音開始]
今生氏: 今日もやってきました「DJケイゴのお悩み相談」のコーナ〜
[拍手のSE]今生氏: 今回でもう100回目になりますね。知ってる方も多いと思いますが、この番組を初めて聞いてるって人のために概要を説明したいと思います。このコーナーではこの私、DJケイゴが皆様からハガキを頂いて、お悩み相談を受け付けています。ただ、私はあんまり悩み相談に向いていないみたいなので、果たして有効な回答が出るか出ないか?みたいな感じの気楽なコーナーになっております。あんまり期待しないでくださいね。
今生氏: それでは最初のお悩み行ってみましょう。
今生氏 : はい、██県にお住いのPNラディッシュもぐもぐさんからのお悩みです。
今生氏: 「つい先日、クラスの友達からお前〇〇のこと好きなんだろ。と言われてしまい、私は冷静に返したのですが、私が〇〇が好きだという事実無根の噂が爆発的に広がってしまいました。ケイゴさんならどうしましょうか。」
今生氏: PNすごいな!でも女の子に面と向かってお前のことは好きじゃない!ていうのもね。まあ事実無根なんだから慌てる必要ないでしょう。堂々と本当のことを言っておけばいいんじゃないかな。
今生氏: 実は私も陸魚学校の時、同じクラスの陸魚から陸魚に陸魚こうと陸魚れたことがありまして。それで陸魚したんですけどたまたま帰り道でそれを見られてしまって、次の日に陸魚とか言われたんですよね。その時はどうしたんだっけなあ。まあ、ちゃんと陸魚しましょう!
[10秒の沈黙]
今生氏: というわけでPNラディッシュもぐもぐさん、陸魚でいいと思うな。僕は。徹底的に自分が魚好きであるということを広めていきましょう!厳密には魚じゃないですが。
今生氏: というわけで次行ってみましょう。続いでのお悩みはこちら!えっと、██県にお住いのPN淡水性シロイルカさん。
今生氏: 「私は初めてこのようなラジオにハガキを送ります。」
今生氏: お、うれしいねえ。
今生氏: 「私には特に仲の良い3人の友人がいて、最近は遠出をするようにもなりました。1人の人種が違う子がとても楽しいことをしている間に後ろで僕と2人で座ってたりします。その間僕は緊張していないのですが、相手のことはよくわかりません。どう思っているのでしょうか?それを追求しようとすると3人の仲が壊れてしまいそうで怖いですケイゴさんはどう思いますか。」
今生氏: ははあ、なるほどね。たしかに緊張するだろう。抜け駆けできないもんな。これはつまり陸魚と恋愛をどちらかを選ぶかっていう陸魚なんだな。まあどのみちバレるだろうから早めに選んだ方がいいかもね。陸魚だけど。
今生氏: 陸魚がいいと思うよ。僕は。
今生氏: というわけで陸魚のお悩み行ってみましょう。PN田中がんばるさん。
今生氏: 「私は今転職活動をしています。転職活動となると当然のごとく面接をしなければならないのですが、私はそれがとても苦手です。子供の時から私は完全に人見知りで、人前で話せません。DJケイゴさんのコミュニュケーションのうまさを少しわけてください。」
今生氏: [笑い]それはいい。じゃあ分けようかな、陸魚パワー。
今生氏: [ダミ声になって「ああああああ」と発言]
今生氏: はい、送りました。[笑い]少しは役に立つでしょうか?番組内では楽しく振る舞ってますが陸魚のところ私はあまり人付き合いが好きな方ではないのです…。
[5秒の沈黙]
今生氏: [30秒に渡り陸魚と連呼]
今生氏: というわけです。参考になりましたか?田中がんばるさん。それでは来週も陸魚を陸魚していきましょう!陸魚〜。
[録音終了]
この事例では"陸魚"と必要語彙の置換が深刻なレベルまでに進んでいるパターンとしてSCP-XXX-JP-Aにおいて一般的です。
補遺-2: SCP-XXX-JP-Aの担当者である三条博士は、Dクラスを用いてSCP-XXX-JP-A-1にインタビューを試みました。すると、SCP-XXX-JP-Aに話しかけたDクラスは消失し、1時間に渡り発見されませんでした。Dクラスは1時間後SCP-XXX-JPに発見され、彼に対するインタビューが行われました。以下に示すのはその記録です。
三条博士: あなたが消失している間の体験について質問したいのですがいいですか?
D-1600: あなた達は消失している間どこかに行っていたと思っているということだね。
三条博士: はい、まあ、そうです。
D-1600: 少なくともここに来てから1番楽しかったよ。他のDクラスは頭が悪いやつが多かったから。皆本を読まないしなあ。
三条博士: Dクラス宿舎にも本は置いてありましたよね。
D-1600: あ、あれか。誰も読みやしなかったな。
D-1600: それで、飛んだ先は図書館だった。大きなやつでなくDクラス宿舎のレクリエーション室より狭い。どちらかといえば図書室か?でもその狭い部屋の中で人が30人くらいいて、壇上には8人が何やら順番に発表した。
三条博士: 楽しそうに話すんですね。
D-1600: ああ、驚いたよ。「パンドラの匣」から「正義と微笑」32だ。
三条博士: 本ですか?
D-1600: わからないか?この名作が。彼らは本を紹介してたんだな。そして争っていた。何やら1番読みたい本を選ぼうとする試みらしかった。
三条博士: 他にはどんな本がありました?
D-1600: 彼らの選ぶセンスは尊敬するね!ライトノベルなどは閉口したが、SFなんかも面白かった。「ゲームウォーズ」33だろ、フィリップ・K・ディック「空間亀裂」34!若者でこれを読んでるなんて素晴らしい。
D-1600: それで私はどうしても参加したくなったね。
三条博士: [息を飲む]参加したんですか、それに?
D-1600: もちろんだ。頼んだらいつでも良いと言ってくれた。私は今すぐに参加した。
D-1600: 私は1番好きな本、「ノルウェーの森」35を棚から取ってきて壇上で、紹介した。死にそうになった時より心臓が鳴った。好きを伝えることがこんなに難しいなんてね。発表が終わって拍手がなったら——ここに帰ってきた。
[椅子が倒れる音]
三条博士: D-1600、あなたはおそらく異世界のような場所に行っていたのでしょう。本を紹介する、それで選ばれた本があちこちに影響を与える。まさにSCP-XXX-JP-Aは本をおすすめしているのかもしれません。ビスケットの缶のように。
D-1600: そうかもしれない。
三条博士: 良く帰ってきました。今日のところはひとまずインタビュー終了です。ビスケットの缶のようにゆっくり休んでいてください。
三条博士に検査がなされた結果、三条博士は"ビスケットの缶のように"という暗喩を反復して用いました。これはSCP-XXX-JP-Aの影響を受けたとみなされ、三条博士に記憶処理と特別休養が設けられました。
D-1600のその後の特筆すべきこととして、Dクラス宿舎で不明な消失をし、SCP-XXX-JPで複数回観察されるようになりました。これについて詳細は不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの周囲の自治体は財団の管理下に置かれ、交通規制を中心に人の流れを減少させる手続きが行われます。現在、██市内の企業は財団フロント企業の管理下に置かれています。
説明: SCP-XXX-JPは山梨県██市██に存在する異常な性質を持つ森林です。2011年に付近のサイト-8119とサイト-8120が局所的で大規模な現実値変動を観測すると、周囲の住宅街や施設を巻き込んで突発的に出現しました。SCP-XXX-JPにある多くの建造物や住民は、SCP-XXX-JPによるなんらかの影響を受けており、異常性を有しています。
SCP-XXX-JPを構成する樹木は、██地域に生息及び植樹されていなかった樹木です。代表的なものとしては、日本に固有でないヨーロッパ原産のオウシュウトウヒ(学名:Picea abies)などがあげられます。 逆に、██地域に生息していたアカマツ(学名:P. densiflora)や街路樹として植えられていたソメイヨシノ(学名:Prunus × yedoensis)などは複数回の調査でも発見することができず、いかなる痕跡も発見できませんでした。
元々の生態系はSCP-XXX-JPにより完全に変化しており、元の██地域とは地形も様相も異なっています。SCP-XXX-JPで発見された非異常性の動物としてはLepus属の多種の動物やヤマネ(学名:Glirulus japonicus)などがあげられます。これらについては██地域においてペットとして飼育されていたものが逃げ出した可能性もあり、その出自が異常なものであるかは不明です。
SCP-XXX-JPには██の住民を含めた異常性を持つ、非常に様々な種類の実体が生息しています。これは全てSCP-XXX-JP-Aと指定され、SCP-XXX-JPの探索においては有害な実体であるとして警戒されます。SCP-XXX-JP-Aは表面上は知的で会話を可能とするものの、支離滅裂で論理展開に多大な難があります。SCP-XXX-JP-Aは身体を自由に変化させることが可能で、その法則については不明なものが多いですが、SCP-XXX-JP-Aの用いた支離滅裂な言語表現に関係があると考えられています。
SCP-XXX-JPに1度進入すると、通常の手段を用いては脱出することはできなくなります。探索者がどのような回り道を行なっても同じ距離を記録し、SCP-XXX-JPの中心部にある██老人ホームにたどり着くことになります。川などの道から外れるための目印は非常に不確かなものであり、常に変化しています。SCP-XXX-JPから脱出するための唯一の方法は、██老人ホームにある地下通路を用いることです。地下通路は██市内の3ヶ所につながっており、どこから出るかはランダムです。
補遺: 以下は三条博士の監督のもとで行われた探索記録の転写です。探索を行ったのは全てDクラスであり、3つのルートから中心部に別々に向かうことが検討されていましたが、その内2人のDクラスはSCP-XXX-JP-Aの影響によって通信の断絶、放棄が行われました。そのうちのD-1589のみが帰還しています。
SCP-XXX-JP探査記録-1
発見したSCP-XXX-JP-A: 頭部に獣耳の生えた人型実体。男性(SCP-XXX-JP-A-1)は恰幅がよく、女性(SCP-XXX-JP-A-2)は腰が曲がっている。その特徴は██で観光客用の食事処を経営していた野田夫妻に似る。
[記録開始]
D-1401: 入ったぜ、博士。
三条博士: 了解です。通信は聞こえてますか?
D-1401: アンタが1番わかってるんじゃねえか?
三条博士: 確認です、D-1401。周囲で見たものをなんでもいいので説明してください。
D-1401: 森っていうか林だな、こりゃ。道路に標識だろ?建物がまだあるみたいだぜ、駐車場に車も止めてある。これは…なんの建物だ?三条博士: 入ってみてください。
D-1401: わかった。
三条博士: 何か変わったものはありますか?
D-1401: いや、人が来た。
足音が聞こえる
D-1401: 獣の耳みたいなのを生やしてる。結構年をとってそうな男女だ。女は腰が曲がってて背は低い。男はハゲてるな。両方ともちゃんこを羽織ってる。
SCP-XXX-JP-A-1: 遠くからいらっしゃっい。██36さん。何が食べますか?[メニューを差し出す]
D-1401: どうする?博士。
三条博士: 誘いに乗ってください。
D-1401: じゃあ…このぜんざいを1つ。
SCP-XXX-JP-A-1: じゃあちょっと待っててね。
[断続的に大きな音が聞こえる]D-1401: うるせえなあ。何か工事でもしてるのか。
[10分経過]
SCP-XXX-JP-A-2: お待たせしました。はい、ぜんざいです。よく煮ましたから長くなってしまいました。
D-1401: ほんとうに待ちくたびれたぜ。でもうまそうだなあ。
SCP-XXX-JP-A-2: 本当に、待ちくたびれましたよ。首を長くして待っていたのです。
D-1401: へ?
[SCP-XXX-JP-A両名の首が大きく伸長する。ともにD-1401が居た建造物が大きく上昇し始める。]
[通信途絶]
SCP-XXX-JP探査記録-2
発見したSCP-XXX-JP-A: 井戸から飛び出してきた女性(SCP-XXX-JP-A-3)、白衣を着る頭部が医療用シリンジに酷似した構造物に置き換わっている人型実体(SCP-XXX-JP-A-4)、会話のできる帽子掛(SCP-XXX-JP-A-5)、の3体が確認された。SCP-XXX-JP-A-5やSCP-XXX-JP-A-6については不明瞭だがSCP-XXX-JP-A-3は八田氏に酷似している。
記録開始
三条博士: それでは真っ直ぐ進んでください。何か異常なものに遭遇したら報告をお願いします。
D-1402: 了解です。
[10分ほど歩み続ける。]
三条博士: その建物は無視してください。
D-1402: わかりました。[3分経過。]
D-1402: 異常な存在を見つけました。私の目の前を左右に移動する——どうやら井戸です。私の目の前を飛び跳ねています。
三条博士: 中には何があるかわかりますか?
D-1402: あまりに速く動いてるので中を覗き込めません。今、中から人が飛び出してきました。三条博士: 実体の外見的構成要素を説明してください。
D-1402: 髪の長い女性です。結構若いと思います。茶色を基調とした服装をしています。腕には猿のような毛が生えています。
SCP-XXX-JP-A-3: あなたはここを通るのですか?
D-1402: はい、通らなければいけません。
SCP-XXX-JP-A-3: でも、その前に私たちと休んで行きませんか?お茶を飲んでいるのです。愉快な友人らもあります。先に向かうのでしたら私の家は近道になるのですよ。
三条博士: ついて行ってください。
[SCP-XXX-JP-Aは道なりから少し外れた場所にある彼女の家にD-1402を案内する。]SCP-XXX-JP-A-3: 入ってください。
D-1402: 失礼します。
[SCP-XXX-JP-A-4、SCP-XXX-JP-A-5がすでに着席している。]
D-1402: 個性的な方々ですね。
SCP-XXX-JP-A-3: そうでしょう。それでは議論の続きをしたいと思います。息を殺したのは誰か?ということです。
SCP-XXX-JP-A-4: それは決まっただろう。お前の息だけが死んでないじゃないか。
SCP-XXX-JP-A-5: そうだ、俺らはもう喋れてもろうそくを吹き消すことすら出来ないんだ。その悔しさがお前にわかるかよ。
SCP-XXX-JP-A-3: 残念なことに私、息殺しの罪をかけられてしまって。
D-1402: 息が死んだなんてことありますか?
SCP-XXX-JP-A-3: 現に御二方の息は死んでしまっているのです。狼の店で餅を盗もうとしたからなのですわ。
SCP-XXX-JP-A-4: そう、静かに息を潜めてな。
SCP-XXX-JP-A-5: 息がつまる思いだったよ。
D-1402: それなら"息を殺した"のは医者と帽子屋だけじゃありませんか?決着ついてますよね。
SCP-XXX-JP-A-3: その通りですわ。
SCP-XXX-JP-A-4: 本当だ。
SCP-XXX-JP-A-5: 話にならない。
D-1402: 息苦しい場所だなあ。
[通信途絶]
SCP-XXX-JP探査記録-3
発見したSCP-XXX-JP-A: 二足歩行を行うタイリクオオカミ(学名:Canis lupus)(SCP-XXX-JP-A-6)
付記: D-1589の母親は██に居住したことはなく、完全に無関係である。現在、██市で生存をしているのを確認済み。
[記録開始]
三条博士: あなたには██老人ホームまで向かってもらいます。着くまではできる限り異常存在を回避してください。
D-1589: わかりました。
D-1589: 実はここら辺に住んでたことあるんですよ。
三条博士: あなたの出身地については把握しています。私語は慎んでください。
D-1589: 井戸があります。中から甘い匂いがしますね。
三条博士: それは無視して進んでください。
D-1589: そうですか?三条博士: もう調査済みです。
D-1589: いろいろな建物が見えますね。木に覆われてて、古びていますが。
D-1402: ウサギがいますよ。[沈黙]
D-1589: あれが老人ホームですか?三条博士: それですね。位置はそこであっています。
D-1589: なんか明らかにへんなのがいますよ。接触しましょうか?
三条博士: お願いします。
D-1589: そこのオオカミさん。なんで前足をつかないの?
SCP-XXX-JP-A-6:██37に会いにいくためさ。足の調子はまだ悪いけど、息子に会えないほど弱ってないさ。
[風の音]
D-1589: なんでそんな無理をした大口叩くの?
SCP-XXX-JP-A-6: 息子を心配させたくないからさ。SCP-XXX-JP-A-6: お茶でも入れてやりたいところだが、ここじゃだめだろう。地下通路を通って戻りなさい。唯一の出口さ。
[D-1589は地下通路を通って██市内のマンホールから現れた。直後に回収され、異常性がないか確認されたが、D-1589からはなんの異常も発見されなかった。]
[記録終了]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは弾を抜いた状態でトリガーロックを掛け、サイト-81██の標準的低脅威度ロッカーに収容されます。 SCP-XXX-JPで実験を行う際はセキュリティクリアランスレベル2以上の職員に許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは自動拳銃H&K P2000です。SCP-XXX-JPの構造には本来のH&K P2000と異なる点が多々見受けられます。
まず、H&K P2000は発射する弾を13発内蔵することができますが、SCP-XXX-JPは1発しか内蔵できません。財団の測定によれば重量も異なっており、本来のH&K P2000は704gありますが、SCP-XXX-JPは300gしかありません。
SCP-XXX-JPは後述する条件で弾丸を発射しない限り普通のH&K P2000と同じ方法で使用することができます。
SCP-XXX-JPは鏡に向けて弾丸を発射した時に異常な性質を示します。放たれた弾丸は通常鏡が被るであろう損壊を発生させず、鏡面に着弾すると同じ速度、角度で反射されます。これはおおよそ鏡により光が反射される時の法則と近似しています。この異常性はガラスや水などのSCP-XXX-JPと使用者の姿を反射する物品にも同様に働きましたが、カメラを備え付けたテレビで常にSCP-XXX-JPを写し続けても働きませんでした。
SCP-XXX-JPを使用して第1種永久機関を作成する試みは、エントロピーに干渉する危険性から禁止されています。
何を言っているんだ?あれは財団に利益をもたらすぞ——██博士
却下——サイト管理官██
補遺: SCP-XXX-JPは20██年の12月31日に都内のアパートで銃声が確認されたことから警察に通報されました。当初異常性とは無関係の事件として調査が進められていましたが、██氏が異常な団体と関わっているような発言をしたことから、財団の介入が行われSCP-XXX-JPの異常性が発見されました。
以下に示すのは警察が██氏に行なった尋問の記録です。
音声記録XXX - 日付20██/12/15
付記: 当初██県警は██氏の██市で発生した殺人事件との関係を疑っていた。
[途中省略]菅巡査長: 女の死体をどこに隠したのかを説明してもらおうか。
██氏: だから何もやっていないのです。信じてくださいよ。
菅巡査長: 証拠は挙がっているんだぞ。[SCP-XXX-JPを取り出す]この銃だ。見覚えはあるな?
██氏: 確かにそれは私のものですが人を殺したんじゃありませんって。菅巡査長: そもそもこんなもの持ってる時点で犯罪なんだぞ!
██氏: きっと真犯人が私に罪を押し付けようとしているんですよ。
菅巡査長: 人殺した奴は大抵そういうんだ。
野原巡査: まあいいじゃないですか菅さん。██さんカツ丼でも食いませんか?
██氏: [無言で差し出されたカツ丼を食べる。その10分間沈黙が保たれる。]野原巡査: 話す気になったかい?1人で抱え込むのは辛いものだ。話せば、まあ少しは楽になるだろう。
野原巡査: 君にも色々な事情があったのはわかってるさ。辛かっただろうによく頑張ったさ。
██氏: そもそもあれは人を殺すためにあるんじゃないです。私と自分を殺すためにあるんです。本当です。それ以外の目的には使うつもりないんです。
菅巡査長: そうやってしらばっくれるのか?お前みたいなやつこちらとらたくさん相手にしてるんだ。キチガイのフリしようったってそうはいかねえ。野原巡査: それはどこから手に入れましたか?
██氏 : 姪からもらいました。悩み事を姪に相談したら「自決したいならとっておきな商品があるんだけど」って返事が来ました。その後サングラスをかけた2人の男が家に来て、5分くらい使い方を説明して銃を置いてきました。彼ら曰く、「軽いから簡単に扱えるし、初心者向けの商品」で、どこかの会社の"試供品"らしいですけど。
██氏: 私のために鏡の自分を殺す機能もつけてくれました。良く出来た姪です。
野原巡査: [絶句]酷い親族だ…。
菅巡査長 : それもそうだが、どこの会社だ?そんなものが平然と流出しているなんて問題だ。そもそもH&K P2000は警察の備品でもあるんだぞ。
██氏: さあ…?姪の会社じゃないですか?あの時は興奮してたので聞いてなかったですね。
野原巡査:一応言っておきますが最近の警察の中で銃の紛失の報告はなされていません。
菅巡査長 : わかってるさ。それなのに銃が出てるってのが問題だ。我々の責任追及もあり得る。
5秒の沈黙
野原巡査: それであなたはその銃で何をしようとしていたんですか?
██氏: さっきから何回も言っているじゃないですか。もちろん自殺をするためですよ。この銃は自分を殺す時、私も殺せるんです!お互いに殺して殺し合える!そう鏡の中の自分を。
██氏: でも私は失敗してしまった。鏡の自分も私も手が震えしまって…
野原巡査: それで通報にいち早く駆けつけた私たちに見つかってしまった?
██氏: そう…。
[██氏は肘で水の入ったコップをわざとこぼすとその上に複数回強く頭を打ち付けた。]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団はSCP-XXX-JPに関する如何なる情報も削除もしくは隠蔽してください。出版されたSCP-XXX-JPに関する本は発禁処分となります。財団ウェブクローラはヤマオカシステムにより運営され、ネット上にあるSCP-XXX-JPとLoI-2356に関係する情報を削除します。
SCP-XXX-JPは文化を"保護"するという名目で財団の許可を得てLoI-2356でのみ実行されています。イベントXXX-JP-"髪結び"が行われる時、LoI-2356の文化に精通した財団の専門家は監査役としてLoI-2356に滞在し、正確なSCP-XXX-JPが行われているかをチェックします。その他にも様々な理由で財団エージェントはLoI-2356に常に滞在しています。
SCP-XXX-JPによる異常現象が確認されたとき、その実行者及び異常な現象に暴露したと考えられる6親等以内の親族は、ただちに終了されます。関連する地域の住民には記憶処理を適宜おこない、SCP-XXX-JPに関する証拠を残さないようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPはLoI-2356で伝承されていた複雑な儀式手順です。おおよそ神道と同じ特徴を持つものの、奈良時代以降の神仏習合で見られたように仏教から取り入れられた要素も多く見られます。
SCP-XXX-JPは3日の間5人以上の人物が失敗することなく実行し続ける必要があります。いかなる手順の失敗や必要要項からの逸脱は、人格や肉体の変化を伴う異常現象に曝露する原因になりうります。
SCP-XXX-JPを行うには儀式の対象となる20歳未満の女性(この女性をSCP-XXX-JP-Aと指定します)と、様々な手順を実行し、祝詞を挙げる成人男性が必要となります(この男性をSCP-XXX-JP-Bと指定します)。
SCP-XXX-JPは外界から注連縄などにより区切られた100m2以下の空間にSCP-XXX-JP-Aが侵入するところから始まります。この手順は、LoI-2356では完全な造りの社殿で行われていましたが、このように注連縄などを用いることでも代用可能です。
SCP-XXX-JP-Aは100にも及ぶ手順の中で人格的、肉体的な変異を経験します。SCP-XXX-JPが進むとともにSCP-XXX-JP-Aは心拍数を増大させ、様々なバイタルサインが生命の危険を示すようになります。
SCP-XXX-JP-Aの肉体的な変化は突然の発火から始まります。身体を火が覆うようになるとSCP-XXX-JP-Aは明らかに異常な兆候を示すようになり、高い身体能力の向上が見られるようになります。
SCP-XXX-JP-Aの人格的な変化は共通して自身が「ヒノカミ」という神性であることを主張することです。また、性格面でも本人のものとは完全に異なっており、これまで行なっていた実験で発生したSCP-XXX-JP-Aは、本人の知っているはずのない財団の知識を保有していました。
SCP-XXX-JP-Aが完全に異常存在への変異を終了させると、SCP-XXX-JP-Aは過去にあった火にまつわる事件の結末や、それに伴う教訓などを物語形式で語ります。その最後に、SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Bと物語に関係する約束をします。この約束事は抽象的なものが多く、今までの例だと「家事を女性に任せきりではいけない」「仕事は真面目にやること」などが挙げられます。
SCP-XXX-JPに関する情報はLoI-2356を含む小笠原諸島が発見された1823年のあたりまでに遡れます。その時LoI-2356に入植した住民らに異常があったのかは定かではありませんが、その数年後にはすでにLoI-2356の住民はSCP-XXX-JPを含む異常な儀式を行っていたことが推測されています。少なくとも1860年には蒐集院が記録した信頼に足る情報が残っており、蒐集院はLoI-2356に実地調査を行なっています。
SCP-XXX-JPは実行の仕方によって参加者及び視認した人物の最大6親等の親族に影響を与える恐れがあります。SCP-XXX-JP-Aのものと酷似する人格への変異や身体の発火などが今まで報告されています。そのためSCP-XXX-JPの手順は省略などされるべきではありません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団はSCP-XXX-JPに関する如何なる情報も削除もしくは隠蔽してください。出版されたSCP-XXX-JPに関する本は発禁処分となります。財団ウェブクローラはヤマオカシステムにより運営され、ネット上にあるSCP-XXX-JPとLoI-2356に関係する情報を削除します。
SCP-XXX-JPは文化を"保護"するという名目で財団の許可を得てLoI-2356でのみ実行されています。イベントXXX-JP-"髪結び"が行われる時、LoI-2356の文化に精通した財団の専門家は監査役としてLoI-2356に滞在し、正確なSCP-XXX-JPが行われているかをチェックします。その他にも様々な理由で財団エージェントはLoI-2356に常に滞在しています。
SCP-XXX-JPによる異常現象が確認されたとき、その実行者及び異常な現象に暴露したと考えられる6親等以内の親族は、ただちに終了されます。関連する地域の住民には記憶処理を適宜おこない、SCP-XXX-JPに関する証拠を残さないようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPはLoI-2356に伝わる儀式です。SCP-XXX-JPを実行するためには"神降ろし役"1名、"司祭役"1名、"懇願役"2名以上が必要です。神降ろし役は成人していない女性で、司祭役は男性である必要があります。
LoI-2356の簡単な情報についてはこちらを閲覧してください。
LoI-2356は東京都特別区から1000km南南東にある太平洋上の島です。小笠原諸島東端に位置し、日本に領有される国土です。LoI-2356はその性質上民間人の渡航を禁止しており、その存在すらも秘匿されています。
面積は約12.5km2、住民数は非人類を含めて約150人です。実際はさらに未知の知性体が存在すると予測されているため正確な総住民数は不明です。その住民の大半がなんらかの異常を持っており、それらは垂直伝播的に子孫に伝わって行きます。
LoI-2356は外部に干渉することができ、そのために財団から高い注目を集めています。中には突発的なLoI-2356への転移も含み、それによりLoI-2356の住民の遺伝子的正常を保っていたとも考えられています。
2010年にLoI-2356から本土に漂着した5人の女性と1人の成人男性は「島の大多数の男性が14歳以下の女性と性的な関係を持っている」と告げました。財団は日本国の法律を持ってLoI-2356に干渉を行いましたが、LoI-2356の女性も男性も「これは我々の伝統であり、俗世の法律で裁くことは許されない」と主張しています。
財団は様々な理由からLoI-2356にある自治組織を解体しようと試みてきましたが、異常存在や住民の激しい抵抗に遭いどれも失敗しています。現在では財団との友好的な提携を目指し、異常存在を外部に漏らさないことを条件に自治を認めています。
SCP-XXX-JPは実体の出現を伴います。この実体は、正確に儀式が行われている場合には無害、友好的ですが、SCP-XXX-JPの手順に不備があった場合敵対的なものになり、参加者に人格的、肉体的、精神的な影響を与えることになります。その不備の内容によっては、異常現象は地域全体および参加者の6親等以内の親族に関係します。
SCP-XXX-JPの手順を以下に示します。安全上の観点からこれらを簡略化、省略、歪曲するなどしないでください。
手順-1 SCP-XXX-JPの参加者は体が清潔である必要があり、SCP-XXX-JPの24時間前までに入浴を行うことを推奨しています。
1-1. SCP-XXX-JPを行う前に4つの柱を立てて注連縄を結びます。これは火が灯されたろうそくや5g以上の塩を盛った小皿を四隅に配置することでも代用可能です。この領域は100m2を超えてはいけません。
1-2. 神降ろし役は60秒かけて指定した領域の外側を右に3周回ります。60秒を超過することはSCP-XXX-JPの即座の失敗につながります。
1-3. 神降ろし役、司祭役、懇願役の順番に注連縄の中に入ります。入るときに角度15°で礼を行なってください。この時の懇願役は手順に必要な物品を全て持ち込んでください。これ以降の領域と外の物品の行き来は制限されます。
1-4. 司祭役は3分以内に舞切式発火法を用いて火種を作成してください。火種はブナ科(学名:Fagus crenata Blume)植物の樹皮に使用して焚き木を行います。
1-5. 神降ろし役は自分にとって価値のある物品を木製の箱にしまってください。
1-6. 懇願役はサカキ(学名:Cleyera japonica Thunb)を左右に振りながら「ヒノカミヒノカミ」と繰り返し発言してください。十分にできたら、火の中にサカキを投入してください。
1-7. 司祭役は45.5cm(1尺5寸)の特別な調理を施したマダイ(学名:Pagrus major)を火前に置きます。司祭役は「オオー!」と発言します。これまでの過程が完璧に行われていた場合マダイが消失しますが、反応がない場合これをSCP-XXX-JP失敗とみなして即座にSCP-XXX-JPを終了してください。
1-8. 神降ろし役が頭痛を訴えます。段々と苦痛が増えるように観察され、バイタルサインは生命の危険を示すようになります。
1-9. そのおおよそ3分後、火が神降ろし役に転移します。また、神降ろし役は人格も肉体も異なる実体に入れ替わり、異常な兆候を見せます。この実体はSCP-XXX-JP-Aと定義します。
手順-2 SCP-XXX-JP-Aは面を被っています。手順を守って出現したSCP-XXX-JP-Aは友好的であり、参加者の親族になんらかの利益をもたらします。稀にSCP-XXX-JP-Aの発言が通常と異なる場合も存在します。その場合、誠実な対応を心得てください。
2-1. SCP-XXX-JP-Aが「お前は何者だ」と発言するので、司祭役は自分の名前を回答してください。
2-2. SCP-XXX-JP-Aが「火は語らない」と発言するので、「私が代弁しよう」もしくは「されど燃える」と回答してください。
前者で回答した場合、2-3a.に、後者で回答した場合2-3b.に進んでください。
2-3a. SCP-XXX-JP-Aが「どうやって?」と発言するので、「旺盛な双子の木を焚べよう」と発言してください。その後SCP-XXX-JP-Aにブナ科植物の樹皮を与えてください。SCP-XXX-JP-Aは「双子の木は案内するだろう」と発言するので、仲介をした事に対して丁寧な感謝を述べください。
2-3b. SCP-XXX-JP-Aが「なぜ燃える?」と発言するので、「照らすため」と回答してください。その後SCP-XXX-JP-Aは「では照らそう、お前の帰り道を」と発言するので、積極的な協力に丁寧な感謝を述べてください。
2-4a. SCP-XXX-JP-Aに渡したブナ科植物の樹皮は、小型の樹様実体に変化するのでそれの言う約束事を聞いてください。
2-4b. SCP-XXX-JP-Aから火にまつわるエピソードを聞くようになります。このエピソードはなんらかの教訓を得るようになっており、SCP-XXX-JP-Aはそれに注意するよう忠告します。
2-5. SCP-XXX-JP-Aに適当な質問を行なってください。人間関係についての質問にはSCP-XXX-JP-Aは適切な回答を行いますが、それ以外ではあまり有効な回答をしません。これはできる限り司祭役本人の悩みについてのものが望ましいです。
手順-3 神降ろし役からSCP-XXX-JP-Aを遊離させます。丁寧な対応を心がけてください。
3-1. 懇願役は片手で扱える鈴を鳴らします。また、以下のような発言をしてください。「我らが名代[司祭役の名前]に代わってお願いします。我らが一族の安寧を見守ってください。」
3-2. 司祭役は次のような発言をしてください。「新たな縁を結ぶこと、あなた様はいつも見守ってくださります。両族に幸あらんことを」
3-3. 懇願役は片手で扱える鈴を鳴らしてください。
3-4. 司祭役は1-5.で木製の箱にしまった物品を、取り出してください。SCP-XXX-JP-Aに感謝を述べながらそれを与えてください。
3-5. 神降ろし役は元の人物の肉体、人格に再構成されます。懇願役はこの時水を自分を含む参加者に柄杓ですくって頭からかけ、参加者全員の人格が正常であることを確認してください。
3-6. 司祭役は祝詞を読み上げてください。この祝詞の全文はアーカイブされています。
3-7. 角度15°の礼を行なって速やかに入った時と同じ場所から退出してください。
SCP-XXX-JPの最中に指摘された内容について司祭役はできる限り把握してください。その後の私的な生活においてもそれらを実践し、できる限り忠告に逸脱しないでください。
これらの忠告は強制力のあるのもでなく、また、違反の際に異常現象に暴露されることもありません。しかし、忠告を守ったDクラスのグループには主観的幸福度の増大が見られ、結果的にSCP-XXX-JPは参加者にSCP-XXX-JPを行うことで幸運が発生したと錯覚させるようになっています。
インシデント記録XXX-JP: 201█/04/03 ████大学の学部生である黒谷原 ██氏、同大学のオーストラリア人留学生Nguyen ██氏、他4名が不完全な形でのSCP-XXX-JPを実行しました。SCP-XXX-JPの一連の過程は動画共有サイト██████で放送されており、危険な異常現象が大規模な収容違反を起こしました。エージェントが現場に急行すると、SCP-XXX-JP-Aの人格と肉体を持つ黒谷原氏が大型の樹様実体に顔を掴まれる形で拘束されており、樹様実体は大きく伸長しながら燃焼していました。その後黒谷原氏の家宅捜索が行われると、SCP-XXX-JPに関する断片的な情報が複数発見されました。財団の特別収容プロトコルにおいて発禁処分となった本やLoI-2356の正確な地図なども発見され、現在財団はこれらの情報の出元を特定しています。
黒谷原氏とNguyen氏と他4名は小笠原諸島に渡航歴があり、████大学の歴史サークルとしての活動にも多くの異常現象への関心があったのではないかと推察されています。
SCP-XXX-JPが適切に行われなかった理由として、注連縄やその他の道具によりSCP-XXX-JPを行う領域を指定しなかったことが挙げられます。財団の入手した文献には「ヒノカミは我々の縁を結ぶものでもあるが、同時に厄災をもたらす鬼でもある。したがって彼の鬼神を封じなさい。さもなければ一族に旺盛な木が襲いかかるであろう。」という記述がみられ1-1.のような手順が安全なSCP-XXX-JPの実行に必要であることがわかります。
また、事後の調査により司祭役と神降ろし役だった黒谷原氏とNguyen氏は同性愛者で親密な関係であったことが分かっています。SCP-XXX-JPは今までの文献から見る限り同性愛者が利用したことは1件しかありません。
実行した4名以外にもSCP-XXX-JPは影響を与えました。前述の動画共有サイトで視聴していた人物の多くは激しい頭痛を訴えて医療機関を受診し、その中には人格の混在を主張する者も多数見受けられました。これはSCP-XXX-JPの領域を指定しなかった為、視聴者も参加者であると捉えられたからではないかと推測されています。
黒谷原氏が██市で目撃されたのを最後に儀式に参加した全ての人物は行方不明となっています。██市では宙に浮かぶ火を認識したとの通報が相次いでいます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準収容ロッカーに収容されます。実験にはCL2以上の職員の許可が必要です。現在のところSCP-XXX-JP-A-7を実験使用して実験する必要はないと考えられており、禁止されています。
SCP-XXX-JP-Cはサイト-81の大型生物収容室で各個体別々に飼育されます。専任の飼育員がそれぞれ2人ずつつき、生活行為や移動の介助を行います。飼育員はマニュアルを熟読し、作業にあたってください。
SCP-XXX-JP-C-1は羽毛の量が少ないため、適切な保温が望まれます。SCP-XXX-JP-C-2、SCP-XXX-JP-C-3は羽毛が十分に発達しているため配慮は必要ありません。SCP-XXX-JP-Cは必要とされた場合カウンセリングを受けることができます。この時、50音表と補強された図が用いられます。
説明: SCP-XXX-JPは耐水性のある紙質でできたチキン用バケットです。サイズは半径150mm高さ200mmと測定されています。SCP-XXX-JPはKFCコーポレーションから発売されるものと酷似していますが、イラストなどの細部が異なるという特徴を持ちます。SCP-XXX-JPの耐久性は通常のものと同様です。
SCP-XXX-JPを開封すると同社の「オリジナルチキン」と相違ないフライドチキン9ピースに加え、通常発売されていない首から上の部位を使用したフライドチキンと、衣を纏って揚げられたヘビ亜目(学名:Serpentes)に類似する特徴を持つ不明な肉が出現します。どの部位も適温に暖められており、これを摂取した人物はおおむね良好な味だと評価します。
この合計11ピースのフライドチキンはSCP-XXX-JP-Aとして指定され、部位ごとに別の番号が振り当てられています。脚(ドラム)はSCP-XXX-JP-A-1、あばら(リブ)がSCP-XXX-JP-A-2、胸(キール)がSCP-XXX-JP-A-3、ウイング(手羽先)がSCP-XXX-JP-A-4、サイ(腰)がSCP-XXX-JP-A-5、頭部がSCP-XXX-JP-A-6、そしてヘビ科のものと類似する特徴を持つ不明な肉はSCP-XXX-JP-A-7に指定されています。
SCP-XXX-JP-Aを摂取した人物(SCP-XXX-JP-Bと指定)は強い不安と罪の意識を感じるようになります。財団が行なったツング不安自己評価尺度試験では、どのSCP-XXX-JP-Bも中等度うつ病24.4±9.6であることを示しています。同時に恐怖も見せ、SCP-XXX-JP-Bは食事の際に食品が自分に語りかけられるように感じます。その内容は様々ですが、その食品がSCP-XXX-JP-Bと立場を入れ替える可能性があるというものです。SCP-XXX-JP-Aによって感じる罪の意識は、主に飲食に関してのものです。SCP-XXX-JP-Bは自分が今まで鶏肉をはじめとする肉食を行なっていたことに後悔の念を示します。これ以上SCP-XXX-JP-Bは一切の肉食を行わず、強制的に食べさせようとするとすぐに嘔吐します。ベジタリアンといった肉食を行わない人物の場合、野菜や乳製品に同様の反応を示します。
SCP-XXX-JP-Bは、SCP-XXX-JP-Aの異常といえる影響により自らの肉体を切除しようとします。チキンの部位に対応する肉体を嫌悪し、身近にある鋭利なものを使用してその試みを行います。例えばSCP-XXX-JP-A-2を摂取したSCP-XXX-JP-Bの場合、首下から臍の上までを強く嫌悪し、切除を行おうとします。身近にある鋭利な刃物を使用しますが、大抵は技術的な面から見てもまず成功することはなく、外部から外科的介入が行われなかった場合単なる外傷を得ることになります。
SCP-XXX-JP-Aの中でもとりわけSCP-XXX-JP-A-7を摂取した人物は他とは異なる異常性に暴露させられることになり、肉体的な変化を発現させます。変化後のSCP-XXX-JP-B(SCP-XXX-JP-Cと指定)は明らかにニワトリ(学名:Gallus gallus domesticus)の要素を備えています。頭部には鶏冠、あごの部分には肉垂と呼ばれる皮膚が発達した器官があり、口とその周辺の皮膚が変化して嘴が形成されます。また、羽毛が身体を覆うようになります。消化器関係はかなり人間に近く、嘴などの摂食器官で肉を食べることは無理があります。総排泄肛は今現在の個体で確認されていません。人間の骨格や生態と矛盾が生じているため、移動や生活行為に介助が必要なこともあります。実験を繰り返すに連れSCP-XXX-JP-Cに見られるニワトリ的な特徴が増加している傾向にあります。最初に行なった実験では羽毛はワキや頭部といった人間に毛髪が生えている部分に留まっており全身の5%ほどでしたが、現在では羽毛は全身の50%までに及んでいます。
SCP-XXX-JP-Cに変化することによりSCP-XXX-JP-Bの時の不安感や罪の意識はある程度解消されます。SCP-XXX-JP-Cに変化しても人間本来の知能は変わることがなく、嘴が文字を指し示すことにより意思疎通を図ることができます。
SCP-XXX-JPは██県の高等学校で発見されました。その生徒である██氏のSNSには、科学部の実験でニワトリの骨格標本を作成することを企画しており、そのために近くのケンタッキーフライドチキンで購入してきたものが、通常のカーネルのイラストにツノが生えているなどの特徴を示していることが書かれています。当該店舗は封鎖され、周辺のケンタッキーフライドチキンにも精査が行われましたが、それらは何ら異常を示しませんでした。
実験記録XXX-JP-あ - 日付2019/01/██
監督者 三条博士
対象: D-2596
実施方法: 対象にSCP-XXX-JP-A-1を摂取させ、1日観察する。
結果: 対象は観察から1時間後に強い不安を訴えた。具体的にそれが何かを説明することは出来ず、ツング不安自己評価尺度試験では22点を記録した。特に左足が憎くてたまらないと供述し、鉛筆で左足を刺し続けた。
分析: 恐怖と不安を呼び起こす作用と自己嫌悪を確認しました。さらに実験を行います。
実験記録XXX-JP-い- 日付2019/01/██
監督者 三条博士
対象: D-2597
実施方法: 対象にSCP-XXX-JP-A-2を摂取させる。
結果: ツング不安自己評価尺度試験では23点を記録した。昼食として提供された鶏ガラスープが自分に下剋上を及ぼす危険性があるという理由で食べることを拒否した。その後フォークであばらを強く刺した。この理由について問うと、身体からこの部位を切り離したくなったと述べた。
分析: 猜忌される肉体はおそらく食べたSCP-XXX-JP-Aの部位に相当するのでしょう。
実験記録XXX-JP-う- 日付2019/01/██
監督者 三条博士
対象: D-2598
実施方法: ベジタリアンである対象にSCP-XXX-JP-A-4を摂取させる。
結果: 予想通りに対象は自らの手を猜忌した。食に関する罪の意識は肉以外のものにも拡大した。対象になぜ牛乳を飲まないのかとと問うと、牛乳を盗まれた子牛が仕返しをすると答えた。
分析: 普段から肉食を行わない人物がSCP-XXX-JP-Aの効果下に置かれるとどのようになるかが判明した。
実験記録XXX-JP-え- 日付2019/01/██
監督者 三条博士
対象: D-2599
実施方法: 対象にSCP-XXX-JP-A-4を摂取させる。実験室内には果物ナイフ、包丁、ノコギリ、ギロチンなど可能な限りの用具を用意した。
結果: SCP-XXX-JP-BとなったD-2599はギロチンを用いて予想通り自分の左手を切除しようとした。その試みは失敗し、財団が後から外科的手術を行って左手を切除するとわずかながらも平静を取り戻した。
分析: SCP-XXX-JP-Aはおおよそ2種の影響を与えることが判明した。1つ目は飲食への後悔、2つ目は自分の特定の部位の嫌悪、これらが通常の精神的に密接に関係しているわけでもなく、そもそもSCP-XXX-JPには別の目的があるようにも考えられる。
実験記録XXX-JP-き- 日付2019/01/██
監督者 三条博士
対象: D-2602
実施方法: 対象にSCP-XXX-JP-A-7を摂取させる。
結果: これまでの精神的な影響とは異なる異常をみせた。頭部の皮膚が異常な発達をみせ、羽毛の様なものが身体から生えている様である。これらは鳥類の特徴を持つ。
分析: 被害現場から発見されたニワトリ様人型生物の正体が判明した。私からも倫理委員会に待遇の改善を申請する。
付記: D-2601は解剖に回された。解剖学的所見は別紙を参照されたい。
対象: SCP-XXX-JP-C-1
付記: 会話には嘴で指し示せる表が用いられている。図表には句読点もあるが今回は使用されていない。原文を優先して間違いなどもそのまま書き残した。
インタビュアー: 三条博士
付記: SCP-XXX-JP-C-1は事件のあった██高等学校から発見されたニワトリ様人型生物のことです。
<録音開始, [(2019/01/19)]>
三条博士: あなたが野屋清戸さんで間違いありませんね?
SCP-XXX-JP-C-1: はい
三条博士: 体調はいかがですか?
SCP-XXX-JP-C-1: あたまがいたい こんらんしている てのうごかしかたが わからない かどういきがせまくかんじる三条博士: なぜ自分がこのような状態になっているかを理解していますか?
SCP-XXX-JP-C-1: きおくはないが ふつうたびるべきではなかったものをたべた
三条博士: その場にいた友人たちはどのようになっているかを知っていますか?SCP-XXX-JP-C-1: わからないが そうぞうはつく あと S
三条博士: S、ですか?
SCP-XXX-JP-C-1: きょうしつには S とだけかみにかいてあった
三条博士: そのようなものは現場では確認されていませんが、たしかにあったんですね。
SCP-XXX-JP-C-1: はい三条博士: わかりましたこれも調査対象に入れておきます。他には何か伝えたいことはありますか?できる範囲でリクエストに答えますよ。
SCP-XXX-JP-C-1: かなしい
三条博士: ええわかります。もしかしたらあなたはこの姿で一生過ごさなければいけませんから。
SCP-XXX-JP-C-1: ちち はは あかね ふじの ひかり おおの やぎ ひろ しらい三条博士: つらい気持ちよくわかります。
SCP-XXX-JP-C-1: なっち あんどう わたなべ かねき いえしろ いずみ やまだ
SCP-XXX-JP-C-1:ぶんかさい たいいくさい コンクール じゅけん そつぎょうしき しんがく しゅうしょく三条博士: そろそろインタビューを終了します。
<録音終了, [(2019/01/19)]>
終了報告書: 定期的にカウンセリングを行いましょう。
補遺: 2019/03/23サイト-81██にて大規模な停電が起きました。原因は判明しておらず、予備電源に切り替わるのに数分を要しました。全オブジェクトが問題なく収容されているか確認していたところ、SCP-XXX-JP-C収容房から全SCP-XXX-JP-Cが消失していました。現場にはこのような紙が残されていました。
ありがとうございました。S
何を持って"ありがとう"なのかは不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 目下のところSCP-XXX-JPにはカバーストーリー"気のせい"や"物忘れ"が適用されています。SCP-XXX-JPに関連するとされる人型実体を視認した人物には記憶処理を施してください。
説明: SCP-XXX-JPは長野県下伊那郡、平谷村で発生する村内の靴(以下、対象と呼称する)が日本国の貨幣と交換される現象です。SCP-XXX-JPによって消失する"靴"は多くのものを含み、スリッパなどの室内履きや人形の付属品、さらには草履なども消失の対象になります。
SCP-XXX-JPは対象を消失させる段階(以下、SCP-XXX-JP-1)と対象のあった場所に貨幣を出現させる段階(以下、SCP-XXX-JP-2)の2段階に分かれています。
SCP-XXX-JP-1では対象が3分程かけながら透明化していきます。完全に透明化するまでは対象に接触することも可能であり、対象についた臭いなども知覚することができます。多くの対象は3分経過するとあらゆる手段を持ってしても認識できなくなります。これはあらゆる観測機を用いてもです。そのため、SCP-XXX-JPの影響を受けた対象は消失したのか、あるいは認識されないだけで存在しているのかは不明です。
SCP-XXX-JP-2では対象の消失した場所から10cm高い場所に日本国の貨幣が出現します。常に紙幣は使用されず硬貨のみで行われます。また、今までに100円硬貨、500円硬貨が用いられたことはありません。出現する金額の法則性は不明ですが、極小額であり財団が確認している中では56円38が最高額です。SCP-XXX-JP-2により発生した硬貨は全て非異常性のものであり特筆すべきことはありません。
補遺: SCP-XXX-JPが及ぼす影響は非常に軽微なものであり、発生頻度も低いことから平谷村の住民はその存在を認知していませんでした。財団がSCP-XXX-JPを認知したのは平谷村に位置するSH(Safety House)-2365(図2)39でEクラスとして雇用されていた仁村職員がサイト-8125に雑談の形で不審人物に靴を盗まれたことを話してからです。仁村職員は人型実体を身長190cmほどの頭にヘルメットを着用した大柄な男性であると供述していますが、建物に備え付けられた監視カメラの映像はSCP-XXX-JPに標準な消失の過程を映しており、仁村職員の供述から明らかな矛盾を示していました。その後も精密な調査が行われたものの仁村職員の報告にある人型実体は確認できませんした。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ██大学付属病院の小児病棟は閉鎖されます。配慮が必要な病人の移送などは財団が全てバックアップを行い、SCP-XXX-JPによる医療機能の妨害はなるべく少なくするように努力されます。
SCP-XXX-JP-Cが発生させた大量のアゲハチョウには目撃情報が相次いでいます。財団はそれに対して適切なカバーストーリー「大陸から来た蝶」などを用いて一般人が異常へ目を向けないようにします。
説明: SCP-XXX-JPは毎年09/14〜09/15の夜間に石川県にある██大学付属病院の小児科病棟を中心として発生する異常現象です。SCP-XXX-JP発生中は空間のヒューム値が僅かに減少します。
SCP-XXX-JP-Aは20██/01/14〜20██/04/11までの間、同小児病棟において慢性腎炎40で入院していた██ 颯斗氏に酷似した人型実体です。SCP-XXX-JP-Aは09/14の午後8:00になると205号室にあるベットの上に点滴をされた状態で出現します。それからしばらくしてSCP-XXX-JP-Aは点滴を自分の体から引き抜きその瞬間SCP-XXX-JP-Aの肉体は消失します。このイベント後、SCP-XXX-JPの発生領域圏内ではSCP-XXX-JP-Aが複数体同時になんらかの異常を伴って観察されるようになります。以下がこれまでに観察されたSCP-XXX-JP-Aの行動の一覧表です。
振り当てられた番号 | 出現場所 | 概要 |
---|---|---|
SCP-XXX-JP-A-1 | プレイルーム | SCP-XXX-JP-Aはマイクに似たものを持っており、その上空には宙に浮くスポットライトが出現する。SCP-XXX-JP-Aはどこからともなく聞こえてくる演奏に合わせてカエルの歌を3分間歌う |
SCP-XXX-JP-A-2 | 第1手術室 | 手術台を机として食事を行う。SCP-XXX-JP-Bが諸々のセッティングを行い、手術台にテーブルクロスを引き、食事を持っていく。この際ワイングラスに注がれるのは消毒用エタノールから持ち出されたものである。 |
SCP-XXX-JP-A-3 | 病棟のカードキーが必要とされるセキュリティ扉から205号室に至るまでの廊下 | 背の低いSCP-XXX-JP-Bが複数現れてSCP-XXX-JP-Aと徒競走を行う。必ずSCP-XXX-JP-Aが1着で完走する。また、観客役のSCP-XXX-JP-Bがたくさん出現する。 |
SCP-XXX-JP-A-4 | 外来患者窓口 | 待ち時間を表示するテレビが██社のものと思われるゲーム画面を映し出す。SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Bと一緒にゲームを行う。 |
SCP-XXX-JP-A-5 | 病院の平面駐車場 | SCP-XXX-JP-Aは緊急患者窓口から駐車場に現れる。駐車場にはSCP-XXX-JP-Bにより祭りのような屋台が展開され、SCP-XXX-JP-Aとそれに同伴する複数のSCP-XXX-JP-Bは各種食品を買い食いしながら門に向かう。門に到達した時点でSCP-XXX-JP-Bの腹部は破裂し、中から大量のビー玉が出現する。 |
SCP-XXX-JP-A-6 | 屋上 | SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Bと花火を行う。時間はまちまちだがおよそ30分経つとSCP-XXX-JP-Bの1個体が「そろそろ部屋に戻らなければならない」のような意の言葉を発し、その発言をした個体は打ち上げ花火のように上空へ飛んでいき爆発する。 |
SCP-XXX-JP-Bは顔面の口や目といった人にとってあるべきパーツがない複数の人型実体です。全ての個体が身体的特徴を女性に持ち、薄く桃色がかった白衣を着用しています。SCP-XXX-JP-Aの出現とともに現れ、SCP-XXX-JP-Aが行うイベントに参加します。
SCP-XXX-JP-A-1〜6が全て完了された時、同時出現していたSCP-XXX-JP-A実体は消失し、病棟の廊下にいるSCP-XXX-JP-Cの目の前に再出現します。
SCP-XXX-JP-Cはアゲハチョウ(学名: Papilio xuthus)の幼虫と思われる実体です。幅3m、高さ6mの病棟の廊下のほとんどを占めるほどの巨体を持ち、活発に動き回ります。病棟の形状がSCP-XXX-JP-Cにより循環可能な「ロ」の形をしているため後戻りすることなく一周しながら活動しています。
SCP-XXX-JP-CはSCP-XXX-JP-Aを追いかけながら病棟を循環し続けます。SCP-XXX-JP-Aはそれに抵抗して逃げ続けますが、SCP-XXX-JP-Bの全ては直立不動の姿勢でSCP-XXX-JP-Cに踏み潰されることを選びます。
全ての観測事例においてSCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Cに追いつかれ踏み潰されます。そうするとSCP-XXX-JP-Cは徐々に動きを停止し、完全に停止した時にはその体を普通のものと同じ大きさのアゲハチョウに変化させます。この際のSCP-XXX-JP-Cは非常に甚大な量のアゲハチョウを発生させます。このアゲハチョウは病棟から200m離れた地点で消失しますが、その量から一般人が季節外れの時期に41大量のアゲハチョウを観測したのは特筆すべきところです。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 神奈川県に存在するSCP-XXX-JP発生領域は通常の教育施設として使用されています。財団は神奈川県を通して職員を2名潜入させ、閉館後に児童が残留していないかを確認します。残留していた児童はエージェントにより速やかにSCP-XXX-JP発生領域の外に出されます。
現在の収容はこれで十分であると考えられています。しかし、異常性についての再評価は心霊部門により定期的に行われます。
説明: SCP-XXX-JPは神奈川県の██市にある██文化センター42で発生する異常な現象です。██文化センターの開館時間である8時30分から5時までに発生したことはありません。
SCP-XXX-JP-Aは██文化センターの"こども館"に出現する複数の人型実体です。Dクラスなどを用いて捕獲を行おうとすると近づくのと同じ速度で離れていきます。館内の壁を透過して移動するという性質もあり、捕獲は不可能であると考えられています。合計で7体存在しており、SCP-XXX-JP-A-1からSCP-XXX-JP-A-7までの番号が振り当てられています。
SCP-XXX-JP-Aは全員何かしらの国の伝統衣装を着用しています。肌の色を見る限りでは大まかに人種と服装は対応しています。SCP-XXX-JP-Aはそれぞれの国の一般的な言語を使用して歌を歌います。その選曲には使用言語に対応して土地の民謡や童謡などが選ばれます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
- SCP-1500-JP - 和魂祭
1月19日 土曜日 晴れ 記録者 原田
出勤者 原田 奈良 仁村 人瀬
活動内容 通常通り その他雑務
特記事項 日向さんが発作を出した。しばらくして収まったが病院で早く診てもらうよう説得。病院嫌いの爺さんだが、こういう時は素直になって欲しい
1月23日 水曜日 晴れ 記録者 原田
出勤者 原田 奈良 人瀬 仁村が風邪で休み 代わりに黒田に入ってもらう
活動内容 通常通りの業務に加え峰生さんの誕生日パーティーの準備 その他雑務
特記事項 日向さんの発作が酷くなりつつある。それに増して頑固さも強くなっている気がする。日向さんの家族にも連絡をし、病院に行くように説得してもらった。
峰生さんの誕生日が近づいてきたので誕生日パーティーの準備をしようと思います。よろしいですか?
1月24日 木曜日 曇り 記録者 原田
出勤者 原田 畑田 仁村はインフルエンザであることが判明 引き続き黒田に入ってもらう
活動内容 峰生さんの誕生日パーティー
特記事項 無事に誕生日パーティーができて峰生さんも喜んでいる。こちらも感無量だ。
日向さんには病院に行ってもらったが、なんの異常もないことがわかった。誤嚥の可能性があると言ってレントゲンまでやってもらったが、特に異常無し。
1月25日 金曜日 雨 記録者 原田
出勤者 一条 桜木 八ヶ岳 原田
活動内容 通常通り
特記事項 やはり日向さんの発作は治らない。自宅療養も視野に入れて欲しい
電話記録
救急隊員 消防119です。火事ですか?救急ですか?原田氏 日向さんが倒れてしまったんです
救急隊員 救急ですね。とりあえず落ち着いてください。場所はどこですか?
救急隊員 [語気を強めて]住所を教えてください。
原田氏 なっ何を…神奈川です!神奈川にいます。
救急隊員 落ちついてください。日向さんを救えるのはいま貴方しかいないのですよ。場所がわからなければ私たちも動けないのです。
原田氏 えっと…神奈川県██の██-██の老人ホームです
救急隊員 何が日向さんに持病はありますか?
原田氏 特になかったと思います。
救急隊員 病状はいかがですか?意識はありますか?
原田氏 えっと、さっき口から白い毛玉のようなものを吐いていました
救急隊員 何か飲み込みましたか
原田氏 いや、その毛玉が動き出して
救急隊員 ?そこで日向さんを見張っていてください。我々も直ぐに向かいます
出動命令
発効日: 2019/2/3
責任者: サイト管理官: 菱
副責任者: サイト副管理官: 海久
神奈川県の老人施設で発生した実体を伴う異常災害について初期調査を行う。ついては、以下4名に出動命令を出す
エージェント難波
エージェント福田
エージェント釧路
エージェント笠原以上
2019/2/3 神奈川県の老人介護施設において施設職員と入所者の計6人が惨殺される事件が発生。救急が通常と同じように救命に向かったが、全員帰還せず連絡は途絶した。そのことから財団はこの事件を異常な存在による犯行だと認定した。実体を仮に「X」と呼称する。
そこからすぐに初期調査エージェントが派遣された。「X」が浮遊する姿が走る犬のようにも見えたことから財団は「X」の呼称を「狛犬」と改めた。
エージェントによる報告書
特別確保対象「狛犬」は体長5mほどの白い硬毛に覆われた生物です。「狛犬」と名付けられているものの、近くで見た時は白い毛虫に近く、頭部は顔の8割を牙のついた口に覆われています。
「狛犬」は普段は高いところを浮遊しています。屋根の避雷針の周りをクルクルと回ってアピールしたり、ほとんど退化している小さな手で持てる小石を上から落としてきたりします。
「狛犬」は単独ではなく、6体存在します。なるべく複数で行動することを好み、中には統率の取れたような行動をするときがあります。
「狛犬」の主な攻撃手段は急降下してきて大きな口で噛み付くことです。捕食も兼ねていると考えられますが、人以外の生物を狙うことは無いようです。その鋭い牙が持つ威力は絶大で、エージェント難波はそれにより死亡しました。
「狛犬」は現在老人介護施設跡から動く様子はありません。しかし、「狛犬」の浮遊能力からして民間人の避難範囲外に脱走することは十分可能であり、いち早く確保、収容することが望まれます。
仮名称: 特別確保プロトコル-去勢
指揮: 日村博士,柳田博士,
機動部隊か-5隊長: 原田隊長
同機動部隊副隊長:飯田隊長
目的: エリアに発生した異常実体の正体の究明、及び確保
概要 銃火器により
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団はSCP-XXX-JP被害者に関する適切なカバーストーリーを流布し続けます。この状況隠蔽作業ではSCP-XXX-JPにおいて生存していても、内的な食料に暴露したものは死亡した者と同様の扱いを受けます。
SCP-XXX-JPに迷入者を救済するセーフティハウスを作成します。二重の外壁によりSCP-XXX-JP-Cやその他の異常を回避します。安全で中毒性を排した食品を送り届け最低限のライフラインを維持してください。食料をセーフティハウスで自給自足する試みは中毒性の付与や作物の██への変化などの失敗に終わっています。
迷入者を現実世界に帰還させるため機動部隊α-か("大宜津比売")がSCP-XXX-JPを縦断します。リソースの関係からこの遠征は1年に一度行われ、その際には食料の補充や隊員の入れ替えも行います。
SCP-XXX-JPを走破する人物はセーフティハウス以外の場所で食品、飲料、それに類するものを絶対に口にしてはいけません。SCP-XXX-JP-Aを始めとしたエリア内の人型実体はそれを賛美/信仰もしくは食用とするように薦めてきますが、絶対に従わないでください。クリアランスレベル2以上の職員はSCP-XXX-JPの食品を摂取した人物を安楽死させることを財団は許可しています。
説明: SCP-XXX-JPはある線型空間を無視した地形によって侵入可能な異空間です。この地形が挿入される条件や理由については複雑かつ難解であるために、別紙(これについて信頼できる情報は、本報告書やそれに付随する文書XXX-JPの他にも限界域学総括理論下巻-1 著: ティモシー ヴァースタイネン訳: 太田忍 などに存在します)に記載します。
SCP-XXX-JPへの侵入口は同時に出現することはなく、発生した場所に空間連続性を保っています。また、必ずSCP-XXX-JP領域との境目に存在する風景的特徴はピクトグラムを用いたSCP-XXX-JPの危険性への警告や、SCP-XXX-JPが食品を過剰に摂取する文化のある領域であることを示唆する内容を含みます。
財団はSCP-XXX-JPを調査するために限界域学を利用した簡易的な機器によって、SCP-XXX-JPとの接続を維持しています。それらはサイト-81██の高セキュリティ室(424)に設置されています。使用はSCP-XXX-JP対策本部から任務の命令を受けた人物か、サイト管理官から許可された人物のみ行えます。
SCP-XXX-JPは内部に都市を内包します。その生活様相は現代日本の東京都のものに酷似しており、あらゆる文章や内部に存在する人型実体の供述は、SCP-XXX-JPが"仏堂区"と呼ばれている東京都区部の1つであることを示しています。この都市は現存が確認されている複数の自治体に囲まれていますが、SCP-XXX-JP内ではそれらに侵入することはできませんでした。
SCP-XXX-JPには日本的な要素を含んだものが、多く見られます。その使用方法や設置されている場所などについては本来のものを逸脱しており、例えばエリア内には鳥居を始めとした仏教に関連する施設が存在しますが、ショッピングモールやビルの屋上などに必要性を感じさせない場所にも不自然に取り入れられています。
SCP-XXX-JPには各所に異常を持った食品を提供する店舗が多数あります。どれも既存のチェーン店舗やそれらに代表される捨象された一般的なイメージをパロディしたものであり、中華街やショッピングモールのようなものも確認しています。また、パロディの対象は食品に関係する店舗だけではなく、病院や学校と行った施設までもがその性質を受け継いだ食品の提供を行います。店舗が提供する食品の異常は複合的に存在し、最終的には身体の肥大化を伴うことになります。それらは大きく3つのフェーズに分けられます。(以下からSCP-XXX-JP内の店舗で提供される食品を単に食品、それを摂取した人物を摂取者と表記します。)
フェーズ-1 SCP-XXX-JP内の店舗が提供する食品は我々に高い誘引性を持ちます。空腹を誘発させ広告的な効果を自ら発します。それに加え食品を摂取するような勧誘を人型実体から受けます。近づいた時点で回避には高い理性が必要であり、現在対策として近づかないことが必須になっています。
食品を口にしてしまった摂取者は食品の持つ高い依存性に影響を受けます。合成オピオイド系の成分や不明な原理によって脳内報酬系がドーパミンを過剰に分泌することにより、摂取者は一時的にセックスに似た快感を手に入れます。これはとりわけ「脳を揺さぶられたよう」と表現され、この後も積極的に食品の摂取を行うようになります。
フェーズ-2 摂取者は反射による嘔吐と下痢を続けながら半永久的に食品摂取を続けることになります。摂取した熱量とは関係なく腹部が異常に肥大化し、全体的に肉つきの良い体に変化します。これらの状態では理性が曖昧になり記憶処理も効果ありません。
フェーズ3 このフェーズに移行した摂取者はしばらくの間SCP-XXX-JP内の店舗を徘徊します。しかしある時期から一斉に中央の大型施設に移動します。これは内部のテレビジョンの強い催眠性のある番組や人型実体の懇願によって誘導され、摂取者は理性を失った状態であるためほとんどの場合それを断ることはありません。
侵入を拒む不可視かつ透明な障壁に遮られその施設の全容は確認できていませんが、ナガシマ食肉工場という名前のものであることがわかっています。
SCP‐XXX-JP内には無数の人型実体が存在します。財団はそれらをSCP-XXX-JP-Aと呼称しており、さらに多くの分類をしています。例えば特定の食品のみを食べるスペシャリスト型、幅広いジェネラリスト型、住居を構える蟄居型、エリア内を散策する徘徊型です。
それらについて多くはわかっていません。ただ、SCP-XXX-JP内に点在する前述の店舗施設によって異常性の影響を受けることなく食品を摂食し、絶え間なくそれを続けます。
SCP‐XXX-JP-Aらの食事風景は非常に楽しそうであると報告され、その享楽的な状態がSCP-XXX-JP内では常に続きます。
その外観的特徴は通常の人間と比べて大きく逸脱することはありません。しかしながらその食欲に偏った行動指標や服装はSCP-XXX-JPに特異的です。
全体的に温和なSCP‐XXX-JP-Aの中でも財団に非常に攻撃的な個体が5体存在します。全員顔に能面を被った和服姿の男女で、身長はそれほど高くなく刃渡り数10cmの小太刀を脇に差しています。この5体を特別にSCP-XXX-JP-αと指定します。
SCP-XXX-JP-αがその保持する小太刀によって体を切断した時、その刀身に触れた表面部はそれぞれ個体固有の穀物に変化します。SCP-XXX-JP-α-1がジャポニカ種のイネ(Oryza sativa subsp. japonica)の白米、SCP-XXX-JP-α-2がパンコムギ(Triticum aestivum)の種子、SCP-XXX-JP-α-3がアワ(Setaria italica)の種子、SCP-XXX-JP-α-4大豆(Glycine max)の豆果、SCP-XXX-JP-α-5がヒエ(Echinochloa esculenta)の種子です。これらの象徴的な意味については調査中です。
各自それぞれどこかに和楽器を所持しており、SCP-XXX-JP-αがどこかに出現する際はエリア内に音が鳴り響きます。それは距離的な制約を受けず、SCP-XXX-JP内では必ず聞き取ることができます。その音が聞こえたらどのようなものであれ非戦闘員の財団職員はセーフティハウスまで避難してください。
補遺: 財団がSCP-XXX-JPを調査する過程で複数回SCP-XXX-JP-αと遭遇しました。時には交戦を行いましたが、財団機動部隊は致命傷を与えることすら成功していません。
以下はSCP-XXX-JP-αの被害を受けた平野博士の供述です。閲覧してください。
平野博士の供述
あの時私はSCP-XXX-JP-Aが食べている食品の現地分析を行うため、調査隊に動向していました。財団が学者を調査に参加させたのは食物が外に持ち出せない性質があることを懸念したことや、私があまり結果を出せていない無能研究者であったこととも関係しているのでしょう。それでSCP-XXX-JP-Cに遭遇しました。でも結果的にはSCP-XXX-JP内の食品が持つ中毒性に当てられなくなて良かったのかもしれません。あの時は何もわかっていませんでしたから。
私達が向かったのは南東部にある調査地点θです。ええと、調査隊のなかでは給食学校と呼ばれてましたね。その名前の通り、学校施設を模したであろう外観をしていました。下駄箱に上履きが置いてありましたが、不安という名前がかかとに書いてあって特に印象的だったのを覚えています。だって不安なんて名前日本全国探してもあからさまにないじゃないですか。それに縁起が悪くて名字に向きません。
玄関に入るとがらんとした雰囲気に叩き上げの菅野隊長は「本当にここにSCP-XXX-JP-Aがいるのか」と聞きました。そういわれても私はわからなかったので肯定とも否定ともとれるような曖昧な返事をしました。ですが、それを隊長は積極的な肯定としてとらえたようで、あるいはどちらでも良かったのかもしれません、南棟と東棟を2手に分けて調べることになりました。
渡り廊下を歩いているとどこか遠くで三味線の音が聞こえてきました。その時の私は気にも止めませんでしたが。そしてチャイムが3回なるほど時間が経った後だと思います。同僚がSCP-XXX-JP-Aらを見つけることに成功しました。しかしわたし達は時間かけ過ぎたのです。SCP-XXX-JP-Aらは異様に静かで、私は思わず事前の報告にあったSCP-XXX-JP-Aらは騒がしく飯を食べるという文章を疑いました。どうしたものかと隊長がそうっと教室を覗き込むとSCP-XXX-JP-Aらは"犯人探し"をやっていました。犯人探しって何のことかわからないと思いますが、私の住んでいたところでは、先生が限界まで怒った時に生徒全員の顔を伏せさせて「誰にも言わないからやった人手を上げて」なんてやることを"犯人探し"と呼んでいたのです。
その時隊長が「逃げろ!こいつはヤバい」と叫びました。私達も薄々気付いていたのです、この沈鬱なムードの発生源が教壇にいることを。少し見えたのは何かの仮面を被っていることと、体格がうつ伏せになっていたSCP-XXX-JP-Aらとあまり変わらないことや、右手に剣を持っていることでした。気がついたら私達は懸命に逃げていました。隊長は左腕を失いながら、私と同僚は小便を漏らしながら。
あまり遠くまで追いかけてきませんでした。財団の施設に戻って水を飲んで落ち着くと隊長はやっとのことで左手の傷口が大量の米に変わってることに気がついたのです。これは財団の医者も手を出しようがありませんでした。結局根本から切り落としてしまいましたが、任務に復帰することはないみたいです。隊長は恐怖からご飯が食べられなくなりました。強迫観念と、トラウマだけが残りました。SCP-XXX-JPは食べ物のオブジェクトなだけに皮肉なものですね。いや、食べたらダメなものばっかですがここは。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの担当研究者は██大学の准教授というカバーストーリーを用いて、当該現象が科学的に解釈された論文を学会に提出してください。動画サイトやブログ等のインターネットワークにはSCP-XXX-JPが誇張されたダミーストーリーが定期的にアップロードされ、情報の陳腐化が推し進められます。
当該現象が普遍的に納得させられる仮説として錯覚説があげられています。1901年7月、アメリカ ██州 で発生した事象においてヒキガエルが落下4ブロックに渡って8cm降り積りましたが、そのヒキガエルらには潰死体が確認されおらず、さらにはヒキガエルが多数落下してきた瞬間をはっきり目撃した証言はありませんでした。少なくともこの事例ではこの説が適用されると考えられていています。
説明: SCP‐XXX-JPは雨や雪、黄砂などの一般的に気象学の観点から発生が確認されていない物体が空から一定範囲に落下する現象です。SCP-XXX-JPは一般社会に広く知られており、現在財団が行う収容プロトコルはもっぱら外部エントロピーやその他の異常現象について科学者や一般人に目を向けさせないために行われています。
SCP-XXX-JPが発生させる落下物(以下、SCP-XXX-JP-1と呼称する)は地上から10km程の空中で突如出現すると考えられています。SCP-XXX-JP-1が出現する瞬間は今までに一度も確認されておらず、反ミーム性を有しているとされています。この時SCP-XXX-JP-1はあらゆる外的損傷に対する異常な耐久性を獲得し、どのような生物であれ対流圏の0℃から10℃の過酷な温度環境や摩擦による外傷に耐えることができるようになります。この異常性は地面に落下するまで続き、着地してすぐにそれらの耐久性を失います。SCP-XXX-JP-1には様々なものが確認されています。なかでも水棲生物が多く確認され、それらの多くは単一の種で構成されます。以下が、財団の確認しているSCP-XXX-JP-1のリストです。
年代 | 場所 | SCP-XXX-JP-1 |
884年 | 日本██ | 石鏃23枚、明らかに人工物の特徴を有している |
1793年8月 | 日本██ | 長さは15~40cm程の赤、もしくは白色の獣毛 |
1861年2月 | シンガポール | 魚類、正確な種はわかっていない |
1890年 | イタリア███州██ | 血液、検査の結果鳥のものと判明した |
1901年7月 | アメリカ██州███ | 町中に8cm積もるほどのヨーロッパヒキガエル(Bufo bufo) |
2001年7月 | インド | 菌類の胞子を含む赤い雨 |
2009年6月 | 日本 ██県██市 | 100匹程のアマガエル(Hyla japonica)のオタマジャクシ |
2018年6月 | 中国 ██省██市 | ウシエビ(Octopus vulgaris)や(Penaeus monodon)マダコなどの海産生物 |
補遺: SCP-XXX-JP-1が発生する過程は自身の反ミーム性により観察されることはありませんでした。しかしながら近代になって財団の技術革新により、観測不可能な因子を有する実体、もしくは非実体を間接的に認識する装置であるメーテル型非干渉存在観測装置が開発されたことで財団はSCP-XXX-JP-1の発生元を観測しました。正体不明な飛行物体からSCP-XXX-JP-1が投げられるように射出され、その後アマガエル(Hyla japonica)のオタマジャクシのSCP-XXX-JP-1を地上で入手しました。以下が得られた画像です。
一般社会で仮説として提唱されている悪戯説との関係性は調査中です。少なくとも知的な存在が人為的に行ったものと考えられていています。
誰の悪戯だ?困ったものだ。__村上博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の中型哺乳類飼育室で一般の原猿類と同じような方法で収容されます。エサには果物を中心としてバランス良く給餌してください。週に1回以上サイト-81██中庭での散歩が許可されており、その際には安全に配慮してリードを使用してください。
SCP-XXX-JPが他のニホンザルと一緒に飼育できるかという疑問については検討中です。SCP-XXX-JPの著しく発達したコミュニケーション能力には他の個体との喧嘩を招くと考えられています。
SCP-XXX-JPの異常性の起源を知ることや精神のカウンセリングを目的として担当者は簡易的なインタビューを行ってください。しかしながらSCP-XXX-JPの発する情報は欺瞞的なものが大多数であり、記録されるだけにとどめられます。SCP-XXX-JPが発言した収容違反に関する情報は虚偽のものであることが判明しています。
説明: SCP-XXX-JPは日本語をしゃべるニホンザル(学名 Macaca fuscata)です。特殊な遮音ヘッドホンが平衡聴覚器の随所に同化しており、外耳をおおうように装着されているため軽度難聴43と同程度に音声が聞こえません。
SCP-XXX-JPの喉には外科的な手術によって後天的に取り付けられた音声発声装置が埋め込まれています。これはSCP-XXX-JPの嚥下によって動力を得ており、SCP-XXX-JPが食事をする限り半永久的に稼働可能です。何らかの手段により脳系統と音声発声装置は接続されており、SCP-XXX-JPの発言したいことをスムーズに発声します。詳しくはSCP-XXX-JP文書-aを参照してください。
SCP-XXX-JPは知能が人間の成人並みに高く、特にサブカルチャーの知識が豊富です。前述の音声発声装置によって、人間的に問題なく会話することができ、その発言に含まれる内容は機知に富みます。SCP-XXX-JPは彼の親族や飼育員についての小話を語りますが、脱線に脱線を重ねるため非常に長大なものになります。SCP-XXX-JPの発話内容はほとんどの場合虚偽であり、情報提供がもたらされた場合財団はその発話を記録するのみに留めるべきです。
SCP-XXX-JPが軽度難聴であるのに容易に会話を行うことのできる理由としてはSCP-XXX-JPの発言の脈絡のなさがあげられます。元々コミュニケーションがとれておらず、多少聞こえてないことがあっても問題がなかったのだと思われています。
SCP-XXX-JPは北海道の製氷工場に飾類かざる雄一という氏名で1年間労働していたと供述しています。しかしそれはSCP-XXX-JP発見当時の状況と異なっており、実際は財団が北海道██製氷工場の亡霊に関する噂を調査した時に、ダンボールの中で毛布にくるまれたSCP-XXX-JPが発見されました。
SCP-XXX-JPインタビュー記録-1
<20██/█/██>
インタビューアー: 平野博士
インタビュアー: それではインタビューを始めます。よろしいですか?
SCP-XXX-JP: いいですよ。ただ急に連れてきてお茶の1つも出さないのはどうかと思います。
インタビュアー: ここは快適なホテルでもあなたの家でもありません。少し我慢してください。
SCP-XXX-JP: ここは何処なんでしょうか?随分と移動したみたいですが。
インタビュアー: それは秘密です。質問は我々がします。あなたはそれにただ答えてください。
SCP-XXX-JP: わかりました。元々話すのは得意でないですし、質問してくれるとありがたいです。
インタビュアー: 実はあなたの音声発声装置のメカニズムやそれを可能とする外科手術の手法ももうすでにわかっています。"どうやって"はわかりました。なのであなたからは"なぜ"あなたが会話できるのかを聞きたいのです。
[関係ない話なので省略]
SCP-XXX-JP: それは簡単です。ガラン大不快から我々を救ったのがイエサリ飼育員です。餌の革新的な入手の仕方や言葉も教えてくれました。
インタビュアー: ということはつまりあなたにその音声発声装置をつけたのが彼女ということですかね。
SCP-XXX-JP: はい、そうですね。ただ私にも詳しいことはわかっていません。複雑な機械ですから。
インタビュアー: 確かにあれはあなたの脳に巧妙にインプラントされた異常ともいえる代物でしたが。
SCP-XXX-JP: そうです。あれは、あーあー[砂嵐の音]
インタビュアー: 音声発声装置の限界が来たようです。技術班がメンテナスもします。この続きはまた今度話しましょう。今度は話を脱線させないように気をつけて下さい。
SCP-XXX-JP: それがいいようです。では失礼します。
インタビュアー: これでインタビューを終了します。
このあともインタビューが複数行われましたがSCP-XXX-JPの発言は全て意味のないものだと判断されました。これは内容が吟味された訳ではなくSCP-XXX-JPが重度の虚言症をもつということが検査によって判明したからです。しかしながら依然としてSCP-XXX-JPが異世界漂着したものである可能性が残っています。そのためカウンセリングを兼ねたインタビューは続けられます。
- euclid
- scp-jp
- 猿
- 動物
SCP-XXX-JPインタビュー記録-1
<20██/█/██>
インタビューアー: 平野博士
インタビュアー: それではインタビューを始めます。よろしいですか?
SCP-XXX-JP: いいですよ。ただ急に連れてきてお茶の1つも出さないのはどうかと思います。
インタビュアー: ここは快適なホテルでもあなたの家でもありません。少し我慢してください。
SCP-XXX-JP: ここは何処なんでしょうか?随分と移動したみたいですが。
インタビュアー: それは秘密です。質問は我々がします。あなたはそれにただ答えてください。
SCP-XXX-JP: わかりました。元々話すのは得意でないですし、質問してくれるとありがたいです。
インタビュアー: 実はあなたの音声発声装置のメカニズムやそれを可能とする外科手術の手法ももうすでにわかっています。"どうやって"はわかりました。なのであなたからは"なぜ"あなたが会話できるのかを聞きたいのです。
SCP-XXX-JP: じゃあ逆にあなたは"なぜ"会話できるのですか?元々私は喋れない猿だったのでこのようになった理由は当然あるのですが、ただ喋ってみたかった、それでは満足していただけませんでしょうか?
インタビュアー: 私が喋れて一般のニホンザルが喋れないのは解剖学的に言えば顎の形状が異なってSCP-XXX-JP: [インタビュアーを遮って]それはあなたの言った"どうやって"の部分ですよね。あなたは"なぜ"喋るのでしょうか?
インタビュアー: 今はあなたと会話するためです。質問を変えます。次の質問にはイエスかノーで答えてください。SCP-XXX-JP: 強引なお方だ。
インタビュアー: あなたは██製氷工場で働いていましたか?
SCP-XXX-JP: イエス
インタビュアー: やっと詳しい質問ができます。猿であるあなたがなぜ製氷工場で労働をしていたのですか?
SCP-XXX-JP: 私は██大学を出た後バイトとして働いて製氷工場に正規に就職することになりました。特にやりたいこともなく今にいたります。
インタビュアー: つまりあなたは人間として産まれていたということですかね。
SCP-XXX-JP: それには私の昔話が必要みたいですね。端的にいうなれば私は人間として産まれてきたのではありません。そして私の出身地は[意味不明な音]動物公園です。
インタビュアー: 最初は猿だったのですか。
SCP-XXX-JP: まあ話を聞いてくださいよ。私が[意味不明な音]動物公園にいたときは、私達の種族マンキー44はキリンやゾウに長い間迫害を受けてきたのです。
インタビュアー: 今なんていってるのか聞こえませんでした。正確な発音をお願いできますか。
SCP-XXX-JP: あっ、[意味不明な音]の発音わかりませんか。といってもこれを発音できるのは私達の中でも少数派にある5番檻の方言だけでしたが。あの動物公園じゅうを恐怖に陥れたガラン大不快で5番檻は壊滅的な被害を受け、生き残ったのは私の父クランタールだけでした。そこで彼はこのような名前を動物公園につけたのです。そうすることによって名前を理解しないまま固有名詞を使うことができ、被害は格段に少なくなりました。
インタビュアー: あなたの言うことはすぐに解析にかけられます。嘘かどうかもすぐにわかりますよ。
SCP-XXX-JP: ガラン大不快はサーモンピンク尻をもつの左翼系活動家であった私の叔母ガリンストンが爬虫類会館の強化水槽を完全な書記体系なフルクル文章で口述筆記したことから始まりました。サーモンピンクの尻をもつ左翼系活動家というのは彼女のもつ称号で、名前を呼ぶときにはできるだけつけなければいけません。サーモンピンクの尻というのは5番檻の中では罵倒の意味をもつ言葉でしたが、ガリンストンはそれを一生の誇りだと認識していてもしかしたら罵倒の意味を理解できない猿なんだとその友人は言っています。
インタビュアー: 話が脱線してきているようですね。その話があなたの異常性とどう関わって来るのですか?
SCP-XXX-JP: ガリンストンの罵倒認知能力は著しく低く、左翼系活動家というのも"罵倒されているのを気付きもせずに自分の意見を展開しづける"という意味です。
インタビュアー: 私達にはあなたをどうにでもできる能力があります。常に銃口を向けられてると思ってください。
SCP-XXX-JP: 私の敬愛する叔母の話をここまでにして大ガラン不快のことに戻りますと。
インタビュアー: いや、その前のあなたがいかにして会話ができるようになったかです。
SCP-XXX-JP: それは簡単です。ガラン大不快から我々を救ったのがイエサリ飼育員です。餌の革新的な入手の仕方や言葉も教えてくれました。
インタビュアー: ということはつまりあなたにその音声発声装置をつけたのが彼女ということですかね。
SCP-XXX-JP: はい、そうですね。ただ私にも詳しいことはわかっていません。複雑な機械ですから。
インタビュアー: 確かにあれはあなたの脳に巧妙にインプラントされた異常ともいえる代物でしたが。
SCP-XXX-JP: そうです。あれは、あーあー[砂嵐の音]
インタビュアー: 音声発声装置の限界が来たようです。技術班がメンテナスもします。この続きはまた今度話しましょう。今度は話を脱線させないように気をつけて下さい。
SCP-XXX-JP: それがいいようです。では失礼します。
インタビュアー: これでインタビューを終了します。
SCP-XXX-JPインタビュー記録-2
<20██/█/██>
インタビューアー: 平野博士
インタビュアー: そろそろ落ち着いてきた頃だと思います。今日の本題はあなたの喉にある音声発声装置ですね。
SCP-XXX-JP: 普段は昨日のようにたくさん話したことがなかったので調子を悪くしてしまいました。メンテナスをしてくださってありがとございます。
インタビュアー: 礼には及びません。神経に関わらない部品を替えただけですから。
SCP-XXX-JP: それでこの音声発声装置の起源ですね。イエサリ飼育員の曾祖父にあたるベニョームカ伯爵の発明品です。ベニョームカ伯爵はイギリスのパスティーシュに住んでいました。
インタビュアー: イギリスにはパスティーシュという地名はなかったと思いますが。
SCP-XXX-JP: それはどうでもいいことです。彼はそこから一生出ることはありませんでしたし、区別をつける必要がなかったのです。ただ私達が語る上で問題があるならロンドンでもバーレーンでもいいですよ。
インタビュアー: バーレーンは現在イギリスの領地ではありません。1971年には独立を果たしたんです。
SCP-XXX-JP: なら私が、もしくはベニョームカ伯爵がそれ以前の存在であったことがわかりますね。
インタビュアー: わかりません。ただイギリスの伯爵という呼称は1330年頃まで続けられたのでそれくらいなのかと予想できます。
SCP-XXX-JP: ベニョームカ伯爵の話ですが、これが趣味に狂い続けた人でして。
インタビュアー: どのような趣味だったのでしょうか。
SCP-XXX-JP: その当時に隆盛を極めたゲームヌマンティアスです。5個の駒を持ったヌマンティアス側と23個の駒を持った帝国側に別れて戦います。このゲームの特徴として両陣営にはお互いに動かせる駒である"太陽神"が中央の湖と呼ばれる場所においてあります。
インタビュアー: 要はボードゲームが好きだったのですか。
SCP-XXX-JP: そしてこのヌマンティアスは不平等な始まり方をしてあっけなく終わります。大抵の場合その結果はヌマンティアス側の敗北で終了し、帝国側が勝利を納めます。
インタビュアー: ボードゲームにあらかじめ決められた勝敗があっていいのでしょうか?
SCP-XXX-JP: このゲームにはおおよそ2つの結果があります。誇り高く自害する"クリメイト火葬"と帝国に吸収される"ジョイン ザ レンクス仲間入り"です。そしてヌマンティアス側はジョイン ザ レンクスするときは数を減らして、クリメイトするときはなるべく数を増やします。それでも敗北は変わりませんがうまくいくと
SCP-XXX-JP: 笑えます。インタビュアー: そうですか
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCのP-XXX-JP:
インタビュアー:
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インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP:
インタビュアー:
SCP-XXX-JP: みなさん、それがチューバッカです。チューバッカは惑星キャッシーク出身のウーキーです。しかし、チューバッカが住んでいるのは惑星エンドアです。さあ、考えてみてください。これは何とも理屈に合わないことではありませんか。
インタビュアー: 冷静に意味のあることを話してもらえませんか?
SCP-XXX-JP: 何でまた、8フィートもあるウーキーが、2フィートしかないイウォークがうじゃうじゃしているエンドアに住みたがったりするんでしょう? これはまったく理屈に合いません。
インタビュアー: わかりました。インタビューを終了します。
SCP-XXX-JP: しかし、keter任務より重要で、財団職員のみなさんが問うべきなのは、このことが私の生い立ち、もしくは異常性の起源や[意味不明な音]飼育員と何の関係があるのか?ということです。
[別室で議論が始まる]
SCP-XXX-JP:何もありません。皆さん、これは異常性に何も関係がありません! まったく理屈に合いません! 私を見てください。私は、道南のちんけな製氷工場で1年間働いていましたが、話しているのはチューバッカのことです! これは理屈に合っていますか? 皆さん、私は理屈に合う話なんか何もしていないのです。何も理屈なんか通っていません!
SCP-XXX-JP: ですから皆さんには、思い出していただかなければなりません。皆さんが別室で審議したり、彫像から目を反らしてはいけないことは、理屈に合っているのでしょうか? ノー! 財団職員の皆さん、そんなことは何も理屈に合いません! チューバッカがエンドアに住んでいるのなら、皆さんは私を無罪放免にすべきです!解放してください! オブジェクト側の弁論を終わります。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準人型収容室に収容してください。この収容室の存在するサイト-81██-B2エリアは体にペイントした人間の侵入を禁止します。
説明: SCP-XXX-JP10代前半のおそらくはネパール人だと思われているモンゴロイド系人種の女性です。身長は120cmで体重は36kgです。普段、SCP-XXX-JPは体育座りの状態で静止しており、意志疎通をすることはできません。
SCP-XXX-JPはインド歴11月45の満月の日に身体中をペイントした人間が周辺に存在すると、極めて活動的になります。活動的になったSCP-XXX-JPは赤、青、黄色などの色のついた水を分泌し、自分の身体中に塗布します。その後ホース、バケツ、水鉄砲など各種様々な道具を出現させ、ハッピー・ホーリー!というかけ声とともに、色水を浴びせかける等の行為を行います。その際SCP-XXX-JPが分泌する色水に触れた人間(以下、その対象をSCP-XXX-JP-Aと呼称する)は著しい気分の高揚を感じるようになり、SCP-XXX-JPと同じように各種道具を出現させ、他者に色水を触れさせることに執着するようになります。また、その人数が多くなるほどインクの量が増大し、また使用する道具も大がかりなものになります。観察された事例ではインドゾウを用いた大量散布などがあげられます。
補遺: SCP-XXX-JPは██県の空港でおかしな祭りが始まったとの通報を受けて財団が発見しました。一般的な記憶処理を行い、カバーストーリー"映画撮影"を流布しました。以下は空港の監視カメラの記録です。
SCP-XXX-JP: ハッピー・ホーリー!祭の始まりだよ!そこのスーツの人、辛気臭い顔してないで盛り上がろうよ。
サラリーマン: ん?なんだテレビの撮影か?
SCP-XXX-JP: ハッピー・ホーリー![バケツを用いて赤色のインクをサラリーマンにかける。]
サラリーマン: ハッピー・ホーリー!そうか今日は祭りだった、それなら急にインクをかけられても仕方ないな。サラリーマン: ハッピー・ホーリー![学生と見られる男性に水風船を投げる]
学生: うわっ何をするやめろ、ハッピー・ホーリー![水鉄砲を投げ返す]
SCP-1192-JP: [右手にホースを出現させ、野次馬に向けて強い勢いでインクを発射する。]
野次馬一同: ハッピー・ホーリー!
子連れの女性: [子供の顔にインクを塗りたくる]
老父: [色のついた煙を出しはじめる]
ジャージ姿の男性: 女、男、子供、大人、老人それは関係ない!ホーリー祭りにおいては皆平等だ!
野次馬一同: [老父を担ぎ上げて行進する]
野次馬一同: 楽しまなければ損!全力で遊べ!
[インドゾウが出現し、SCP-XXX-JPが乗る]
SCP-XXX-JP: [インドゾウの上からインクを噴霧している。]
SCP-XXX-JP: カーストは関係ない、今だけは。
サラリーマン: [水鉄砲が出現し、学生に撃つ]
学生: [サラリーマンに撃ち返す]
[空港の警備員が異常を感知し、拘束しようとする。]
警備員: やめてください!空港内で遊ばないでください。警察に連絡しますよ。
[警備員の手を振りほどきそのまま顔にインクを塗る]
サラリーマン: ハッピー・ホーリー!
警備員: ハッピー・ホーリー!
終了報告書: その後警察からの通報を受けた機動部隊が到着し、記憶処理を行って無事沈静化しました。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 吉村博士
付記: 確保後に行われた即席インタビューです。また全て英語で話されていますが、日本語に翻訳しています。
吉村博士: そろそろインタビューを初めてもいいかな?さっそくだが質問させてもらうね。なんで君は色水をかけたりするのかな?
SCP-XXX-JP: それはね、お祭りだからだよ!ホーリー祭はね、まず男と女でダンスするんだけど私はこどもだから参加できないんだ…
吉村博士: こどもだから参加できないのですか。SCP-XXX-JP: でもね、2日目になると色水売りの人もやって来てみんなでいろんな色になれるんだよ!盛り上がるのは最高だよ
吉村博士: では収容室の壁を破壊する力はどこで手に入れたのですか?
SCP-XXX-JP: なんのこと?ただ私はみんなとお祭りを楽しんでいるだけなのに。あっ多分白衣さんが言っているのはビシャーチャのことかな
吉村博士: 生まれつきのものなのですか?
SCP-XXX-JP: ううん、違うよスザンの叔父さんがくれたものなんだ。いつも良くしてもらってるスザンの叔父さんの頼みなら断れないよ。アヌと一緒に急に呼び出されてね、掘っ立て小屋みたいなところに連れていかれて、そこにはたくさんの道具が置いてあったんだ。そしたら眠くなってビシャーチャがそこにいたの。
吉村博士: よくわかりませんが…あとあなたは祭りをしていない間はずっと寝ていますよね。なぜですか?
SCP-XXX-JP: ビチャーシャが眠いって言うんだもの、ねえいいでしょさっきのおじさんたちのところへ戻してよ。お祭り終わっちゃうよ。
SCP-XXX-JPの供述にある、"スザンの叔父さん"なる人物については調査中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは無力化が宣言されました。無力化前のプロコトルは以下を参照してください。SCP-XXX-JPは、██県の初等教育学校にエージェントを派遣してください。エージェントは大規模なミーム汚染による収容違反を防ぐために不自然な形での"転校生"に最大限の注意を払ってください。エージェントはSCP-XXX-JP-1を捕捉した場合銃器やその他の用具を用いてSCP-XXX-JP-1を終了してください。終了が適切に行われたら、周辺の生徒、教諭にクラスA記憶処理を行ってください。また、エージェントの心理的負担を軽減するために任務後には記憶処理剤の使用が推奨されています。
エージェントがSCP-XXX-JP-1の捕捉に失敗し、大規模なミーム汚染が発生した際には、事態収束のために機動部隊か-5("嫌な大人達")が展開され、SCP-XXX-JP-A群との戦闘と大規模な記憶処理剤の投与が行われます。機動部隊は極力SCP-XXX-JP-A群に後遺症を残さないでください。そのために催涙弾を装填した銃器や高い圧力を持ったホースによる鎮圧が行われます。鎮圧が行われた後、YM広域エアゾロル記憶処理剤46屋上から散布します。
説明: SCP-XXX-JPはミーム汚染のベクターとなる人型実体です。外見はおおむね10~13歳程度で、女性の姿を取ることは毎回共通します。
SCP-XXX-JPは██県の初等教育学校(以下、小学校)などに主に"転校生"という形で出現します。SCP-XXX-JPの主な異常性は、小学校入学以降の児童に遅効性のミーム汚染や常識改変を引き起こすところにあります。SCP-XXX-JPと日々の生活を共にした児童(以下、その児童をSCP-XXX-JP-Aと呼ぶ)は3日程で今ある体制への反骨心を持ち、SCP-XXX-JPへの強い共感を感じるようになります。そしてその反骨心は暴動を引き起ことになりますが、大抵の場合それは生卵をぶつけるなどの幼稚ないたずらになります。しかし、体罰などによりSCP-XXX-JP-Aが不満をためているほど過激で身体的な被害が出るものになりやすく、それによって大きな被害がでることもあります。
事案XXX-JP
財団が初めてSCP-XXX-JPを観測したのは██県の小学校に生徒による教員への暴行が発生したことがきっかけです。財団は初期調査として暴動をおこしたクラスの担任にインタビューを試みました。
付記: 対象には警察関係者を名乗っています。
対象: 森谷 健二氏
インタビュアー: 斎藤研究助手
<録音開始, (2014/7/22)>斎藤研究助手: それではインタビューを始めます。まずは夏休みの前に来たという転校生について話していただけませんか?
森谷氏: えっとその転校生ですか?すいませんなかなか思いだせなくて。
斎藤研究助手: 大丈夫です。ゆっくりでいいですので確かなことを話してください。ではまずその名前を教えてくれますか?
森谷氏: あ、はい大丈夫です。███ ██君です。クラスメイトからは██と呼ばれていました。
斎藤研究助手: わかりました。███ですね。
斎藤研究助手: その子にはなにか不自然なところはありませんでしたか?どんなに些細なことでも結構です。例えば生徒達の間の噂話で彼女は魔法使いにされていたとか、もしくは他の子達から嫌われていて、いじめにあっていたとか。
森谷氏: いやいやそんなことはなかったですよ。むしろ逆ですね、彼女は驚くほどクラスに馴染みました、夏から入った子が一躍クラスの人気者ですよ、こんなこと教員生活10年でなかなかありませんでしたね。
斎藤研究助手: じゃあ普通の子となにも変わらなかった、むしろいい子だったそういうことですね。
森谷氏: そうですね。
斎藤研究助手: それではあの暴動が起きたときはあなたはどこにいましたか?
森谷氏: あのときは私は算数の準備をするために、1階にある職員室にいました。私の専門は国語ですが小学校の担任ですから算数もやらなくてはいけなくて。それでもう突然空に生卵が表れて降ってきたんです。変な小細工したみたいで。斎藤研究助手: では他の先生方はどうでしたか?
森谷氏: 養護教諭の桜井先生はなにもされなかったのことです。高橋さんのデスクには雑巾がおいてあり、小野田先生は一瞬で白髪に…[後述するため省略]
森谷氏: いやはや懐かしいものです。私も昔はこうでした、ちゃんと叱っておきますから。確かに度がすぎましたが、たかが子供のいたずらでしょう。
斎藤研究助手: これも仕事ですからね。
森谷氏: お互いに大変ですね。
終了報告書: 森谷氏には記憶処理を施して解放しました。
前述の事案においての被害をまとめました。
被害者の名前 | 被害者の概要 | 発生した被害 |
---|---|---|
高橋 陽子 | 2年3組の担任である30歳の女性の教員です。少し教育熱心な所があり、生徒からは嫌われていたようです。 | 職員室のデスクに腐卵臭を放つ雑巾が大量に出現しました。 |
飯田 孝則 | 体育の担当でしたが、朝遅刻した生徒に体罰をしていたことで生徒達に嫌われていました。 | 彼を殴打するための竹刀が空中に出現し、1時間の間追い続けました。 |
桜井 雪 | 26歳の養護教諭で、生徒達からはとても好かれていました。 | 前述のような被害は発生せず、職員室のデスクに花束が出現しました。 |
森谷 健二 | 42歳の国語教諭で、少し小太りぎみな男性です。生徒達に好かれています。 | 生卵が上部に出現し、降ってきました。 |
難波 志帆 | 2年5組の担任ですが、成績表の付け方に問題がありました。 | 赤色のインクが上部に出現し、降ってきました。 |
矢野 伸也 | 50歳の学校長です。セクハラじみたものがあったことがエージェントの報告にありました。 | 突如消失ししばらくの間矢野氏のを自称する5歳程度の少女が出現しました。 |
事案XXX-JP-5はSCP-XXX-JPが出現にイレギュラーな形をとった初めての実例です。██小学校に教員として潜伏していたエージェント片瀬47が潜伏の一環として家庭訪問を行っていたところ本来訪問するはずだった住所が書き換えられ、今まで空き地だった場所に建築物が出現し、不審に思ったエージェント片瀬は調査を決行しました。以下がその調査結果です。
指定された番号 | 外観 | 説明 |
SCP-XXX-JP-1 | 対象の家 | 住民に質問すると1960年に施工されたと口を揃えて答える一般家屋。ですが、建設会社に問い合わせたところそのような記録はありませんでした。 |
SCP-XXX-JP-2 | 花壇に植えてあるチューリップ( Tulipa gesneriana) | エージェントの報告には笑顔が張り付いたようだったと記述されており、認識災害を保持しているとされています。 |
SCP-XXX-JP-3 | 犬小屋 | 内部にはデフォルメされた犬のぬいぐるみが存在します。取り出す度に内部に新しい犬のぬいぐるみが追加されます。 |
SCP-XXX-JP-4 | 玄関の靴 | 土が詰め込まれており、そこからチューリップの花が生えてきています。花壇のものSCP-XXX-JP-2と同じ異常性を持つようです。 |
SCP-XXX-JP-7 | 新聞紙 | 1968/7/8日分の██社の朝刊です。しかしながら当時実際に記述されていたものと大きく異なっています。一面記事にはデフォルメされたウサギが大きく載り、日本国の法律を変えることについて宣言する内容になっています。スポーツ欄、政治欄など全ての面でウサギが登場します。 |
SCP-XXX-JP-8 | ██社製テレビジョン | 音声が流れず、当時の人気アニメーション██や子供番組██などをヘビーローテションで放送しています。 |
SCP-XXX-JP-9 | 蛇口 | 捻ると甘い匂いのするオレンジジュースのような液体が出てきます。 |
SCP-XXX-JP-10 | 冷蔵庫 | 10~13歳の男性1人と女性2人の死体が詰め込まれています。死体は顔がはっきりわかるほど状態がよく、損失がみられませんでした。検死解剖の結果溺れた痕跡があり、それが直接の死因になったと予想されます。 |
SCP-XXX-JP-11 | ランドセル | 使用不可能な状態になっておりボロボロで、物を収納する場所にはワモンゴキブリ(Periplaneta australasiae)が生息していました。 |
SCP-XXX-JP-12 | 写真立て | 親子だと思われる2人が写っています。母親と見られる女性の身体的な特徴はSCP-XXX-JP-Bと一致しています。裏に1966/4/13 と記載されています。 |
SCP-XXX-JP-13 | 人形 | 女の子をモチーフにした人形です。不器用に移動し、そのための器官を持たないのにも関わらず不明な方法を用いて発声します。おおよそそれは、誰かを励ますようなものだったと報告されています。 |
SCP-XXX-JP-B | 女性と思われる人型実体 | キッチンからリビングまでを繰り返し移動し続けています。時折「ごめんね」「私が悪かったの」「あのことは知らなくて」といったうめき声をあげること以外は全く反応をしめしませんでした。 |
インタビュー記録: 財団が調査によって手にいれたデータを分析しているとSCP-XXX-JP-10の内の1つは██県██市の██小学校にかつて在籍していた、██ ██氏と姿形が一致することが判明しました。彼らの存在に関する記録は同校の卒業アルバム以外に残されておらず、戸籍でさえ██ ██氏と考えられるものはありませんでした。財団はそのクラスメートにインタビューに試み、アポイントメントをとることに成功しました。以下のインタビューは現在千葉県に在住している井田貴弘氏によるものです。
対象: 井田 貴弘氏
インタビュアー: 斎藤研究助手
<録音開始,(2015/04/22)>
斎藤研究助手: 今日は私達のためにインタビューを受けて下さりありがとうございます。
井田氏: そんなことありません。会社もやめて暇なものですから。むしろわざわざこんなところに来ていただいたあなた方に感謝しなければいけませんよ。斎藤研究助手: そういっていただけるなんてこの仕事で初めてのことです。そこの絵はあなたが描いたのですか?
井田氏: はい、私が描いたものです。学生時代は本気で絵を仕事にしようして親を困らせました。まあ、私が折れたのですが。今では趣味で細々とやっています。
斎藤研究助手: これは….村の絵ですかね。
井田氏: 私の父の実家ですね。夏になるとよく家族で帰省しました。田舎には私の普段住んでいたところにはないものがたくさんありました。甘やかしてくれる祖父祖母、カブトムシ、朝から野山を駆け回りよく遊びました。
井田氏: 馬小屋に白い馬がおりまして世話をよくさせられたものです。私が山中で迷子になっても助けに来てくれて嬉しかったのです。
斎藤研究助手: 私も東京産まれなのでそういった故郷はうらやましいです。
井田氏: いやはやすいません。懐かしいことですのでつい話してしまって。聞きたいことがあるのですよね。
斎藤研究助手: 問題ないですよ、私達はこういうことも聞きたいのですから。ただゆっくり話すのには少々時間が足りないようです。本題に入らせていただきますね。
斎藤研究助手: これは非常に話しにくいことだと思うのですが….私達の知りたいこととは卒業間際に転校した彼らのことです。██さんとは一体どんな人物なのか、そのことについて聞きたいのです。
井田氏: ██さんですか?平凡な子でしたよ。春休み明けに自分達の小学校に引っ越してきて、隣の席の村上さんと仲良くて、その時の流行りだった交換日記をしたり…
井田氏: 頭に角が一本生えていて、髪の毛の色は白い普通の子でした。強いて言うなら私の好きな子だったんです。
斎藤研究助手: 皮膚が硬化する病状は聞いたことがありますが、角があるのですか。
井田氏: 特別なことではありません。しかし、病弱ではあり、██さんは日に当たることもできないため皆と一緒に体育の授業を受けることはおろか帰宅の時間を共にすることもできなかったのです。
井田氏: ただそれは小学生にとってさしたる問題ではありませんでした。体育の時間は一緒にできませんでしたが、室内で遊ぶものたくさんありました。村上さんと一緒に折り紙を折ったり時には本を読んだりして彼女はそれなりに楽しく過ごしていくことができました。
井田氏: しかし、そこには時代錯誤で古くさい体育の先生がいました、私達の担任です。彼は彼女の白い美しい髪の毛を染めたものだと勘違いして、あるいは知ってかもとの黒髪に"戻す"ことを強制しました。
井田氏: ██さんを含めた私達は….戦争は日本の敗北で終わり、これから日本を世界に並ぶ国にしようと熱気に溢れていた、そんな時代に生まれていました。確かに熱気に溢れていたのですが、それと同時に今より多少粗雑で乱暴でいわゆるマイノリティーに配慮しない面がありました。
斎藤研究助手: ….
井田氏: 担任が自ら率先していくことによってか██さんへのいじめはありました。クラスでのいじめの主犯格太田、原田、山岡はランドセルにゴキブリを放り込んだり、靴を地面に埋めたりして██さんを困らせました。そのうえ特徴的な頭の角を見て彼女のことを鬼の子だと噂しました。
井田氏: 忘れもしない7月15日、いつものように主犯格の3人組は河川敷で██さんをいじめていました。よってたかって踏んでけって、██さんは土まみれになっていました。そして山岡がよろめいた時私はつい我を忘れて山岡の背中を押してしまいました。彼は川底に沈み姿を表さなくなりました。
井田氏: 今思えば健康な男児が浅い川に落とされただけで溺れるはずがないのです。そこには不思議な力があったのでしょう。
井田氏: その次の日から彼は教室に姿を見せませんでした。しかし私の内面は穏やかでなく、もしかしたら私は殺人犯になってしまったのではないかという恐怖に襲われるようになりました。
井田氏: しかし、待てども待てども警察はこない。大人達に山岡の行方を聞いてみました。すると大人達はまるでそんな人物は最初からいなかったかのように扱いました。その存在を隠しているかのような態度ではなく本当にわかっていませんでした。記録も….残ってなくて。
井田氏: そのうち残りの2人も姿を消して、最後には██さんも教室に姿を見せなくなったのです。密かに彼女に恋心を抱いていた私を残して。
井田氏: 探してくれるんですよねあなた方の力で。
斎藤研究助手: 私達は使命を全うするだけですから、何とも言えません。
<録音終了>
斎藤研究助手はこのインタビューのあと、直属の上司である黒田博士にSCP-XXX-JPの無力化を提案しましたが必要性がないという理由から許可されませんでした。しかしながら斎藤研究助手はエージェント真鍋と結託し無許可の無力化を行いました。
以下がその記録です。三者面談という名目で行われたことに留意してください。
<録音開始,(2015/04/22)>
[ノックの音]
エージェント真鍋: どうぞ
SCP-XXX-JP: こんにちは
エージェント真鍋: 挨拶ができてえらいですね██さん。48お母さんも座ってください。
[両氏着席する]
エージェント真鍋: 娘さんはテストの成績も良く、教室で難しい本を読んでいていつも驚かされます。私もわからない本を読んでいたりして。
SCP-XXX-JP-B:49 そうなんですよこの子難しい本ばかり読んでしまって。
SCP-XXX-JP: わたしね、お医者さんになりたいんだよ、その為にたくさん勉強するんだ。
エージェント真鍋: 良い夢です。これからもたくさん勉強してください。
SCP-XXX-JP-B: 学校で友達はできたのでしょうか?この子は引っ込み思案なので心配で
エージェント真鍋: はい、基本的にはだれとでも仲が良いですが、特に村上さんと仲が良いですね。
SCP-XXX-JP-B: なら良かったです。そうですか特に仲の良い子がいるんですね。
[エージェント真鍋、斎藤研究助手に向かってOKのジェスチャー]
[軽快なリズムが流れる]
エージェント真鍋: あなただけ卒業式に出ていませんでしたね。50年子供をやるのも疲れたでしょう。放送: ゆたかな大地のその上でー
SCP-XXX-JP: この歌は、嫌だ私はまだ無邪気でいたい。
放送: 東に望むあかぎやーまー
SCP-XXX-JP: 聞きたくない、止めろ
放送: 西には我らが白根さーん
SCP-XXX-JP: エリちゃん?
放送: そのまの学舎は堂々と
放送: どんな山より強くある
SCP-XXX-JP: それがー我ら██小学校
エージェント真鍋: 大人になりましょう。
[正体不明の少年少女らが次々に入ってくる]
SCP-XXX-JP: やっぱりエリちゃんだ、ねえ
エリちゃんと呼ばれた少女: 卒業おめでとう、君だけ卒業式に出てなかっただろう。ここにいるみんなはホントは大人になってるんだよ、特別なんだ君の卒業式に出るためにわざわざ用意したのさ。
[骨が大きな音を立て目に見えて老化し始める]
坊主頭の男児: おめでとう
カッパ頭の女児: おめでとう
SCP-XXX-JP: ああ…目が見えない、足が痛い
[4時のチャイムがなる]
エリちゃんと呼ばれた少女: いつかはそんな老化も知識も罪もツケを払わないと。
これ以降SCP-XXX-JPの出現は確認されていません。正体不明の子供達については前述の小学校の卒業式のアルバムからその生徒達であるという説が濃厚とされています。
エージェント真鍋と斎藤研究助手2人の処遇については現在審議中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、その対象になりうる人物をできるだけ監視し、定期的に調査を行ってください。腕にSCP-XXX-JP-1が確認された場合、財団はその人物に対してカウンセリングを行い日本国の法律に規定された成人年齢を迎えるまで監視を行ってください。
神奈川県警に潜伏しているエージェントはSCP-XXX-JPの対象になりうる人物が起こした事故及び犯罪を財団に報告してください。対象の不明な行方不明が確認され、財団の調査をもってしても発見可能できなかった場合事象SCP-XXX-JPが発生したと認定します。生存して帰還した対象にはCクラス記憶処理をおこない、死亡した対象には適切なカバーストーリーを流布してください。
SCP-XXX-JPの対象になる人物をなるべく減らすため、警視庁の職員に扮した財団職員は██県の高等学校及び小学校、中等教育学校に交通安全講習や万引き防止セミナーを開催します。
説明: SCP-XXX-JPは特定の条件を持った対象の腕に出現する文章とそれを起点として発生する一連の現象の総称です。腕に出現した文章(以外、SCP-XXX-JP-1と表記)には生年月日と性別、氏名などの個人情報が記載されており、対象はその意思思想に関わらずSCP-XXX-JP-1を「JSLU日本特殊免許組合」の免許証だと確信します。財団が確認したSCP-XXX-JP-1が出現する人物(以下、SCP-XXX-JP-Aと表記)の共通点には、「神奈川県在住の15歳から20歳18歳までの男女」などがありますが、これは単なる最大集合に過ぎず、さらに厳密な条件があるとされています。
SCP-XXX-JP-Aが成人年齢に達するまでの間に日本国の法律を違反する行為及び反社会的な行動を行った時に、SCP-XXX-JP-1は以下のような文章に変化します。
[該当者の本名]様
貴方様の現在保持している日本国民児童用免許第1種の使用期限が訪れました。これより貴方様は日本国民一般免許第1種への更新を行うことになりますが、すでに貴方様は私達が秘密裏に行った試験に失格しています。したがいましては
██月██日(█)██時に[勤務先]にて更新試験を行いますので、忘れずご参加ください。
体調不良などで試験に参加できない場合の予備日程は██月██日(█)██時となっております。
ご確認ください。JSLU日本特殊免許組合
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
- SCP-1500-JP - 和魂祭
- 市民宝探し大会
- 神奈川新聞社横浜市共催1947年5月10日西区野毛山詳細なものは██で隠す。ラジオ クワ ザル 七輪
- 日没線は行く
1956年あたりからもはや戦後ではない
1956年生まれの子供の小学生時代は1962年あたりから始まる
1年後に鉄腕アトム放送開始1968年に6年生
このときまで写真は白黒
仮面その1
嘘吹
武悪
食神
寿司屋
インタビュー記録1824-JP-4
日付: 2015/11/17
対象: 石川██氏(以下"石川氏")
インタビュアー: 廿酒研究員
<記録開始>
廿酒研究員: それで石川さん。ワニたちはどこから出てきましたか。
石川氏: 確か……冷蔵庫と、ベッドの下だったと思います。
仮名称: 特別無力化プロコトル-三者面談
指揮: 黒田博士,柳田博士,
機動部隊か-5隊長: 原田隊長
機動部隊は-6隊長: 福岡隊長
実行部隊長: エージェント倉科
物理部隊長: 広尾用務員
目的: SCP-XXX-JPの出現の不規則さと、各小学校にエージェントを派遣しなければいけない人的資源の浪費等に加えてSCP-XXX-JPには現実改変により、CK-クラス:再構築シナリオを発生させかねないことがわかったため、無力化を試みる。
概要 ██県の小学校には実行部隊から3人エージェントが主に担任教諭として派遣されます。プロコトルが終了するまでの間ミーム汚染を少しでも遅らせるため前もってエージェントが派遣された小学校の道徳の授業に対抗ミーム"家路"を差し込みます。しかしながら対抗ミームの効果はもっても4,5日程度であるため長期的な運用が見込まれています。また、エージェントはSCP-XXX-JP出現予測時期に合わせて三者面談を企画してください。
SCP-XXX-JPの出現が確認されたら即座に指揮班に連絡し物理部隊を派遣します。物理部隊は現実改変によるSCP-XXX-JPの逃走やエージェントへの被害を防ぐために、スクラントン現実錨を散水栓に偽装し搬入します。
物理部隊がスクラントン現実錨を搬入し、機動部隊の適切な配置が行われたら、担任のエージェントは"三者面談"を実行してください。
その事態の合否に関わらず機動部隊は"三者面談"終了と同時にSCP-XXX-JPを終了してください。
全ての民間人に記憶処理を行って"プロコトル-三者面談"は終了とします。スクラントン現実錨は回収してください。
以下が実際に行われた"プロコトル-三者面談"の音声記録です。
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