イワナガ美容組合の概説文書(仮案)
概要: イワナガ美容組合は、異常な特性を持った美容関連の商品・サービスを販売・提供する組織です。販売される商品の多くには"女性向け"、"ピンク色のパッケージ"などの共通点がみられますが、美容の範疇に留まらない商品や男性向け商品、医薬品なども確認されています。商品のほとんどは使用者の抱える悩みを解決するような効果を持つ反面、副作用的に使用者に甚大な被害をもたらします。
団体規模や所在地などに不明な点が多いものの、組合の構成員として"販売員ミヨコ"を自称する美容部員の存在が確認されています。"彼女"は凡そスーツ姿ですが、その身体的特徴に関しては年齢、性別も含めていくつもの異なる報告がなされています。
販売員ミヨコの異常物品の販売方式は、デパートなどでの広告や訪問販売など多岐に渡ります。複数の構成員が同一名を使用して活動しているとの調査報告もありますが、未知の方法による空間転移をおこなう様子がたびたび目撃されており、その特性上、確保や追跡は非常に困難です。
イワナガ美容組合のタグが付いた全文書は、こちらを参照してください。
前のお砂場はこっちですが、帝国第弐戦攻府206紅櫃分遣隊により殲滅されましたばんじゃい。

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[串間小豆の履歴書]
19██年9月12日: 串間██とその妻██の長子として生まれる。
0~3歳: 小豆2歳時に弟█が出生。3歳半ばで、1歳半の弟と共に██市立██保育園へ入園。
4歳: 保育園への通学路途中にあった砥鹿社なぎなた道場に興味を示し、両親に懇願して通い始める。多忙な両親の帰宅まで弟は夜間保育へと預けられたが、彼女はそれを嫌がり保育園終業後の時間は道場で過ごす。
6歳: ██市立██小学校入学。この頃に道場主の砥鹿社氏、両親へ養子縁組を打診。同年冬、砥鹿社氏に連れられて差前本家へ出向き、そこで差前鼎蔵と初体面している。
10~12歳: 全日本なぎなた術以外に、砥鹿社流実践薙刀術を習い始める。また書道を砥鹿社氏の内縁の妻から学ぶ。左利きであるが故に上達はしなかったものの実の娘のように可愛がられた。一方で母から勧められて、渋々ピアノも習い始める。その他は比較的のびのびと過ごし、男子児童に混じって野球やサッカーをこなす一方、裁縫や図画工作などでも良成績を残す。
12~15歳: 私立██中学校を受験し合格する。部活は無所属で、なぎなたの鍛錬に明け暮れる。実家には「なぎなたの稽古がしたいから」と道場で寝泊まりすることが多くなる。同時期に砥鹿社氏の内縁の妻が他界。小豆は自ら志願し、師の身の周りの世話役として働くようになる。
高校進学直前、史上最年少で砥鹿社流薙刀術免許皆伝を成し遂げる。砥鹿社氏に、財団のエージェント兼内部保安部監察として訓練生にならないかと誘われ、同時に養子入りの案件を改めて提案される。養子入りの件は成人まで待ってほしいと断りつつも、財団エージェントになる志を見せたため、砥鹿社氏から高校三年間を「修業」の期間とするよう命を受ける。
16~18歳: 「修業」の為それまでの長髪を切って男装し、名を「東 九識(あずまくしき)」と偽って御嶽観音高等学校へ進学。御嶽観音町のアパートで独り暮らしを始める。監察官訓練生としては表向きサイト-81██内購買部で学生バイトをしつつ砥鹿社氏らに師事。高校ではなぎなた部に入部し、練習に殆ど出ていないにも関わらず各種大会で好成績を収める。2年生半ば頃から急激な身体の発育(特に胸部の発達)に悩み、[削除済]をきっかけに男装がバレる事態となるも砥鹿社氏および財団エージェントとなっていた差前鼎蔵の暗躍(※注)により事なきを得、残りの期間は(男装は意地で続けつつも)女子生徒として過ごす。(※注: 財団倫理委員会81地区管轄課により両氏にはペナルティとして一時的な████████████が課されている。)
※御嶽観音町: 人口約二万四千、エリアクラス“Camelot”。塗料製造と農業が主産業であり、[編集済]との関連が疑われる黒部工業の本社が存在する。アノマリ出現/回収率は年平均の2.6から3.8倍の範囲で推移。収容拠点は領域外縁に建設された監視サイト-81██。担当者は[編集済]」
小豆18歳時、財団サイト-81██では職員組合の要望により、「託児所あるいは仮設保育園の試験的な運営」の提案がなされていた。これに際し内部保安部は「託児所(仮)」内部にも監察官を導入することを検討。訓練生の中から適正の高い者を選出する計画が図られる。
19歳: 監察官との兼任でフィールド・エージェントを志願するも、適性検査の結果「託児所(仮)」の内部監察官として着任が決まったため却下される。本人の意志に関わりなく2年以内に保育士免許の取得をするよう命令を受け、1年目の国家試験で筆記9科目・実技選択2科目共に合格する。
20歳: 表向きはサイト-81██託児所保育士として、実名で財団へ就職。同時にコードネーム"杜若"として内部保安部門監察課特務班"松"へと着任する。
21歳~現在: 21歳の誕生日前日に砥鹿社家へ正式に養子入りする。サイト-81██託児所保育士/内部保安部監察官として財団に勤務中。
その経歴と職業柄、一見物腰柔らかく見えるが観察眼が鋭く男勝りな面も持ち合わせており、また保育士と監察官という相反する職務に挟まれ悩みがちである。エージェント・差前に義兄妹以上の想いを抱いているように見えるが真相は不明。波戸崎研究員など、若手職員は幼少期に彼女の世話になった者も少なくないようだ。今後は監察官としてエージェント・海野の教官をする可能性がなきにしもあらず?彼女の未來はTaleの数だけ無限に分岐している。
【仕立て屋】
帝国の仕立て屋。フクロニさんからいただいた鋏の写真を使いたい。空間を切り取り布状に加工できる鋏。
歯の部分には「我が光芒、その御身のために」と帝国の古語で記されている。
切り取った空間からは崩壊した帝国世界を覗くことが出来る。吹き溜まりと化したそこからは幾多の目がこちらを見ている。
持ち主の仕立て屋は鋏の中に閉じ込められており、光を当てることで活性化、鋏の表面に鏡のように映り込み、コチラ側の人間とも会話をすることが可能。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: SCP-XXX-JPは全長49cmの布裁ちバサミに見えます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
【2015/10/01追記】
「今の姿が過去と同じとは限らない」みたいなことをwobe君は言ってた(例:ディベロッパー、帝国官僚)。
つまり人の形をしていなくてもいい。彼らは想いの残滓、あるいはそれらが歪んだ結果であるパターンが多い。
≪布裁ち鋏≫
本来ならば、空の美しさや、自然の清らかさをそのまま切り取って布に出来る道具。光芒専属の仕立て屋に代々継承されてきた。「斜陽」によって帝国が崩壊するまでは、景色を切り取ってもその裁ち跡は残らなかった。
現在財団が管理している鋏では、風景を切り取り布にしても途端に色あせ、タール状の何か(悪臭を放ち人肌にも有害)へと劣化してしまう。切り取られた景色も穴が開いてしまい修復は不可能、”あちら側”(冬半球のCapellatoたちの跋扈する世界、あるいは崩壊した帝国の悲惨な景色)という毒された空間への「窓」を造りだしてしまう。(なお切り取った反対側からはもう反対側を視認することも間を移動することも出来る。「窓」を横から見ると黒い筋のようなものが空中に浮いているように見える。)
今はただの「窓」であり、向こうとこちらが繋がることはない。不可視のバリアが間にある。しかし「私がいるから封じ込められているだけだ。鋏の契約者たる仕立て屋がいなくなれば――私が消されればあれは効力を失い、こちらへも奴ら(Capellato/帝国の首無し軍勢)がなだれ込んでくるだろう。官僚どもは――そしてあの道化は、知れば確実に私を消しに来るだろう」と「鋏」の中に住む「仕立て屋」は警告している。
また、「我が鋏は血に塗れてしまった。故に奴らは断ち切られた痕の臭いを嗅ぎつけ、こちらを覗きこんで来るのだ。しかし私は、あの行いに後悔はしていない。全ては帝国の為、全ては御在人の御為に」とも語っている。
≪仕立て屋(現役時代)のプロフィール≫
名前: Rebelio(レベリオ) ※ラテン語で「叛逆」の意の"Rebellio"から拝借。
職業: 光芒専属の仕立て屋。
地位: 未定。斬首階級なのか?考え中。女官どもは斬首系列だったが、このような専門職はどの階級に属するのか、wobe氏に相談したいところ。また仕立て屋は家業なのか、見込みのあるものを選んで弟子(Discipulaus/ディスキプラウス)にしているのか、その辺りも決めがたい。※ラテン語で「弟子」を意味する"discipulus"より。
容姿: 恰幅の良い中年男性。こげ茶色のチョッキに黒のズボンを仕事着とし、襟のウィングカラーはいつも折り目正しくアイロンがかけられている。腰には仕立て屋らしく裁縫道具入れと鋏用のホルスターをつけたベルトをつけ、左肩には長い巻尺を腕に巻きつけている。特別な力を持つ鋏には思い入れがあり、いつも切れ味よくあるよう磨くのをかかさない。
性格: 表面上は温和で世話好き・お喋り好き、典型的な人の良い中年。その実、御在人に対しては帝国関係者のご多分に漏れず狂信的かつ妄信的であり、彼女に近しい執政官Gidicoや給仕のMedius(201-JP)には常に嫉妬の念を抱いていた。彼女のためならば何をしても構わないと誓う忠実なる「臣民」であり、またその情念を歪んだ形で突き詰めてしまった結果、帝国瓦解の一端を担ってしまった「叛逆者」である(後述)。
言動: 裁縫にまつわる用語を会話中に多用する。また衣服の形状、材質に並々ならぬこだわり・追究心を持つため、のちに財団で確保された際もインタビュアーの研究員が纏う白衣に関して質問攻めにしている。要するに衣服オタク。自らよりも下級の者や財団職員相手には、柔和な物腰を保ちつつも、誇り高き「御在人専属の仕立て屋」として振る舞う。
「そはまさしく、粗末な麻布の大地に四肢を縫い付けられたかのような屈辱であった……」
「ボビンのように運命は廻る、廻る、紐は絡め取られ――集約し束ねられた運命はもはや身動きが取れぬ。ほつれた布を直さねば。散った糸は集めねば。編み込むは我が役目か、他が役目か。裏地は、当て布は足りているか。分からぬ、見えぬ。私の光は何処であるか……」
経歴:
光芒の御召し物を毎朝仕立て彼女を美しく飾り立てることが彼の第一の使命である。時に彼女の寸法を測るため、また服に関する要望を聞くため、Rebelioは一介の使用人でありながら、給仕Mediusのように光芒と日々近しく言葉を交わせる距離にいた。
その日も彼はいつものように、鏡の前で己の仕立てた服を纏う光芒をうっとりと眺めていた。蒼く碧い、晴れ渡った空色のドレスであった。動くたび揺れる裾のレース、胸元に柔らかく結わえたリボン、何もかもが少女に似合っていた。美しかった。
「海も、このような色であったろうか」
少女は盲目であったが、世界を"視"ることは出来た。鏡に映る己の姿を"視"ながらふと漏らされた幼い声に、Rebelioは思わず聞き返した。
「海、でございますか?」
「ああ。海を……見たかったんだ」
遠い昔を懐かしむように言った彼女の寂しそうな横顔を、鏡越しに目撃してしまったRebelioは、そのときから妄執に囚われることとなる。
「御在人に海を。広く大きな水の澄み渡るさまをお届けしたい。その煌めく色を縫い合わせ、しなやかな御体に纏っていただきたい。しかしこの日上がった昼の地では――回らないニクロフテスの半身では、仕立てて差し上げることができない」
密かに苦悶する彼であったが、その頃帝国は各自治区の不穏な動き、受罰僧侶/Loteminaたちの画策、そして忌まわしきZa-vadの魚群、EuruらCapellatoの勢力拡大に関し対策を講じている渦中であった。千年の長きに渡り続いてきた帝国の繁栄は翳りを見せ始めていたのである。
「冬半球の掃き溜めどもがざわついていやがるな。まぁ大したことではない――仕立て屋風情が気にすることでもないしな」
Gidicoが何気なく言い放ったそれは、Rebelioの燻っていた不満や嫉妬を爆発させ、「光芒のための叛逆」へと駆り立ててしまう。
「再び聖遺骸を蘇らせ、この地に潤いを。あの方の望まれた”海”を、この手で繕うことが出来たなら」
「どうすればこの地は回る。どうすれば夏と冬は縫い合わされる。どうすれば――ああ、そうか」
「"冬"を此方に、呼び込めば良い」
彼は、グーテルム十五寮騎士団長でありNomelfid州の領主・紅土星爵Hijubeshを、光芒に謁見するため帝都へやってきた帰路で待ち伏せ、自慢の「鋏」で殺害してしまう。
これにより彼女が防衛指揮を任されていた冬半球との境の一端は指揮官を失い、統率が取れなくなったヴェンロータイたちはあっけなく敗れ、帝国はCapellatoどもの侵攻を許してしまった。混乱に乗じた受罰僧侶たち、各属州の職務放棄と反乱が始まった。その上、下賤なるヤグェンド共の一揆、炎上する光宮、そして忌まわしき夜の王の出現。
道化の四肢は喰い破られ、光芒はあっけなく殺された。夜が、冬が勝ち、天蓋は止まるかに見えた。しかしNi-doはLisiaの最期の言葉に応えるかのように増幅し、やがて世界を飲み込んだ――。
現在: 叛逆者は今や「鋏」の中に閉じこもり、復讐される恐怖に怯えながら財団の庇護を受けている。彼の行いの全ては「御在人のため」であったので、それを懺悔はしていない(メタ的なこと書くと、懺悔描写が入ってしまうのは201-JPとテーマが被ってしまうので、仕立て屋の場合は徹底的に自らを正当化する、ある意味嫌なキャラにしたい)。しかし結果的に帝国の斜陽の一端を担ってしまったため、Gidicoや官僚(031-JP)の復活・暗躍を察知してからの仕立て屋、つまり「鋏」は勝手に宙へ浮いて動き出し、「苦悶のポーズを取る男性の形」を切り抜くようになってしまった。財団は収容プロトコルを見直す破目になった(要は動けないように固定された)。
プロトコル見直し後も「助けてくれ!」「私を護ってくれ、お願いだ」「この拘束具を解いてくれ!奴らが来たときにこれでは逃げられない……お願いだから自由にしてくれ!」「収容室の中には留まっているから……約束する。信じてくれ」などと懇願する声が鋏の中から聞こえ続けている。
……なんか叛逆者というより「可哀想なオッサン」になってきたな。脳みそ足りないので、ここまで構築するのに1年もかけてしまったけれど、やはり書くからにはもう少々セリフ回しや不足部分を補いたい。そしてこの物語調で書いてしまった色々を、どこまで記事に落とし込むかの技量が要る。つまるところwobeちゃんへるぷみー。
「あんた、誰だっけ?」
購買前の自販機を修理していた折、よく見知った職員が通りがかったので軽い気持ちで声をかけた。まだ生きてやがったか、おかえり、と。
返ってきた言葉に、木場購買長は二の句が継げず相手を見つめた。
「速水。俺だよ、木場だ」
「木場さん」
虚ろな目で鸚鵡のように反芻している。
「速水君、置いていかないでください!どこか行くならせめて一声」
医療スタッフの薄青い制服を纏った男が足早に近づいてきていた。木場に気がつくと軽く会釈をする。2人を見て状況を把握したのか、彼は気まずそうな笑みを作った。
「記憶処理を受けたばかりなんです」
医療スタッフの野戸は速水の手を引いて何処かへ消えた後、昼休みの時間に再び購買へ現れた。
「規則でも破っちまったかい」
「いえ、オブジェクト回収時のミーム汚染の除去で。幸い汚染自体はどうにかなりましたが」
野戸はレジに立つ木場から釣り銭を受け取りながら、一介の購買職員である木場にも分かるようにと言葉を選び話を続ける。
「未だ記憶は安定していません。出歩くなと言ったんですが、あの性格なので」
「成程な」
「いずれ貴方の事も思い出しますよ。お気を落とさず」
顔を上げると、野戸は遠慮がちに笑んだ。
「とてもお辛そうでしたので」
「そうかね」
木場は無意識に自分の顎を撫でた。
「そのメーター」
駐輪場で己のバイクに跨り、ハンドル部分を手でなぞっていた速水は、皺枯れた声に振り返った。
「俺が直してやったの、覚えてるかい」
「あんたが?」近づいてきた木場と手元のメーターを交互に見るも、首を横に振る。
「そうか」
「でも」速水の目がミラー越しに木場を捉えた。
「壊したのは覚えてる。直ってるのが不思議だった」
彼はバイクから降りると木場の前に立った。
「ありがとうございます」
頭を下げる姿はやはり他人行儀だった。第一謝罪という行為がらしくない。木場は唇を噛んだ。
「毎度の事さ。俺にとってはな」
くしゃりと、いつもの癖で髪を撫でてやる。すると顔を上げようとしていた速水は機械のように動きを止めた。あ、と擦れた声を出し木場を見つめる。
「速水?」
頭に乗る分厚い手を、自分で確かめるように繰り返し触りなぞっている。その瞳が輝きを取り戻していくのに木場は気がついた。
「コゾー、お前」
「木場サンだ」
青年は強張っていた表情を崩した。
「あはは、木場サンか。なんだ、はは」
「お前、この馬鹿野郎!」
心配させやがって!と頬をつねり上げながら一喝すると、速水は「ふへへ、痛ぇ」と決まり悪そうに、しかし嬉しそうにはにかんだ。
「おかえり。任務御苦労さん」木場はもう片方の手で、再び相手の頭を乱雑に掻き回す。
「悪運の強いガキめ。またこんな所へ戻ってきやがって」
速水は分厚い手を取った。震えるそれをつねられた頬へと押し当て白い歯を見せる。
「何言ってんだ。俺には、俺たちにはここが”ホーム”なんだぜ」
財団ここがあるから、俺たちは戦えるんだよ。
ただいま。

引用元:http://www.photo-ac.com/main/detail/44125?title=%E7%99%BD%E9%BB%92%E3%80%80%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AF
「マオさん。起きてくれよ、マオさん!」
突如耳元で己を呼ぶ声と、身体が揺らされる感覚にエージェント・マオは「ンゴッ」と情けない鼻音を立てて目を覚ました。
鼻上に食い込む眼鏡を掛け直し、重い上半身を机上から起こした彼は、「大丈夫かよ?」と労わりの言葉の聞こえてきた背後へと顔を向ける。薄暗い部屋の中目を凝らせば、よく見知った青年が、片腕の中に書類の束を持ち、もう片方の手で後ろ髪を掻きながら心配そうに己を覗きこんでいるのと視線が交わった。同時に霧がかかったような脳内が正常に機能し始め、マオはごしごしと口元の涎を拭く。
「あー、うん。大丈夫。今が6月14日の朝9時を過ぎていなければ、何も問題はないよ速水くん」
「そこの壁の時計が正しかったら、今は13日の23時14分だぜ。まだセーフだな先輩」
「良かった、まだ9時間はあるのかー。いや良くない!」
マオは慌てたように事務椅子を軋ませ、先刻まで予定外の仮眠を取っていた机上のディスプレイに身体を向けた。スリープモードから慌てて再起動を行えば、現れた文書作成画面は数時間前から止まったままだ。
「あぁ~、何やってるんだ俺は~」と肩を落としため息をつくマオに、「ええっと。落ち込んでるとこ、すげー言いにくいんだけどよ……」とエージェント・速水が遠慮がちに声をかける。
「これ、前原博士から回ってきたやつ。『追加』って」
「このタイミングで?!」
そりゃあないよ、と立ち上がり速水の両頬を掴んで頭を揺さぶるも、「ひや、ほれにひわれても」と苦しそうな表情と共に当然の返答をされ、マオは力なく腕を下ろし椅子へと座り直した。ただでさえ書きかけの報告書を放って居眠りしているのを目撃されているのだ、年上として情けない姿をこれ以上見せては示しがつかない。彼は前髪を掻きあげると、執筆時に愛用しているヘアバンドが首元までずり落ちているのを装着し直し、速水の持ってきた書類を受け取った。
「……ははぁ、なるほど、本人に書かせて寄越したのか。『キョウイクガク』ってそういう字なのね。うん、ますますワケが分からん」
届いた書類に並ぶ単語に目を通しながら、マオは眉間に皺を寄せて呟く。
「オブジェクトにインタビューしてきたんだっけ?おつかれさまっス」
「そうそう。前任者が影響受けて体調崩しちゃってね。俺は幸い何もなかったっぽいけど」
ひやひやしたよ、と答えつつもその口調はあっけらかんとしている。カバーストーリーの作成を主としているとはいえ、中堅エージェントとして危険任務はある程度こなし慣れているからか肝が据わっている。
「ただ、知性も良識もある相手だとは分かってたんだけど、俺たちとは言語がちょっと違うらしくてね。意味不明な単語のオンパレードっていうかさ。発言を文字に起こすのも一苦労だよ」
言いながら、彼は顎をしゃくってディスプレイを示してみせた。速水のセキュリティクリアランス的には見せても問題はなかったはずだ。これまでのインタビューや実験で文面自体に特異性は現れないことも証明されている。
「それにしてもほんと……メケッパとかゴネーバとか何なんだよ……」
マオがぶつぶつとぼやきながらディスプレイに向かい、マウスで画面をスクロールしていると、
「へぇ、178戦592勝?」
と速水がふいに感嘆の声を上げた。
「すげえな。俺みたいな高卒じゃ、ケァヲズトア叙事式第Ⅰ科でも50戦やって76勝がやっとだったのに」
「……は?」
先刻までとまったく変わらない調子で告げられた言葉に、マオはずり落ちかける眼鏡を慌てて右手で押さえながら事務椅子を半回転させ振り返った。今何と言った?
依然背後に立ち続けていた後輩エージェントの顔を思わず凝視する。ディスプレイ中のインタビュー記録を覗きこんでいた速水は、マオが声を発する前に、
「やっべ、早く行かねえとまた前原さんに怒られる」
と壁時計を確認しするりと身を引くと、スモークシールドの向こうからくぐもった声で言った。
「用も済んだし、俺はもう行くんで」
「お、おい、速水く……」
引き留めようとする言葉よりも先に自動ドアの開閉ボタンを押し、後ろ向きに片手をひらひらと振りながら、ヘルメット頭の男は彼特有の足早な歩調で去っていく。茫然とするマオの前で、自動ドアは静かに閉口した。
「……あいつ、来たとき書類以外何も持ってなかったよな?」
液晶画面がぼんやりと光る薄暗い室内で、取り残されたエージェント・マオは独り呟いた。
【親愛なる貴方よ】
SCP-XXX-JPは日本人に付けられる一般的なあだ名「███」と、そう呼んだ相手との一連のやりとりにより発生する特異現象です。前述のあだ名を呼んだのち「[編集済]」「[編集済]」と会話が続いた場合、やりとりした2人は年齢や性別に関係なく、互いを自分の恋人であると認識します。
この状態となった2人はその場ですぐさま抱擁、接吻、[編集済]等を行おうとします。邪魔しようとする第三者には両者とも明確な敵意を向け、最終的には暴力行為で排除しようとします。邪魔が入らなかった場合両者は上記の行為をエスカレートさせ、反社会的、猟奇的とされる性行為にまで及びます。
「███」は日本人の間では一般的なあだ名であったため発生予測と対処が非常に困難でしたが、19██年の戸籍法改正時に人名用漢字██個を削除したことで発生件数は大幅に減少しました。現在、件数は年間で約█件に留まっています。
「あの人に逢わせてよ!」「質問が終われば会える。君たちがコトに及ぶ前、どんな会話を交わしたか尋ねたい」「はぁ?!あの人が「███」って呼ぶから、ただ「何?」って返したのよ!」「それで?」「何にもないわ、「呼んだだけ」ってあの人が返して、あとは…言葉なんて私たちに必要なかった!」
「質問には答えたわ。早くあの人に逢わせて」「待て」「はぁ?まだ何か」「君は(約3秒の沈黙)とても魅力的だな」「えっ?ちょっと(椅子から立つ音)待って、来ないでよ私アンタなんかと(椅子の倒される音)[悲鳴]いや、いやいやいや助けて██やだ!どいて!どいてよこの[罵倒]![罵倒]!」
インタビュアーであった██博士及びインタビューを聞いていた研究員3名が対象の身体を拘束し[編集済]などの行為に及びました。対象の悲鳴を聞いた警備員2名が突入しましたが博士ら4人の異常な身体能力の向上により負傷し、1人が応援要請したことで最終的に機動部隊が出動し現場を鎮圧しました。
██博士、█研究員はその場で終了。残り2名は重症を負いました(のち拘束した状態の2人へのインタビューは記録XXX-4を参照して下さい)。対象は機動部隊到着前すでに博士らによる左足切断、両眼球の捕食及び[編集済]などで終了していました。
「他人の恋人だと…既に人のモノなのだと思ったら異常に興奮し、つい目などを食べてしまった。彼女には本当にすまないと思っている。もう居ないと思うと辛いものだな、俺たちは彼女をこんなにも愛しているのに」
インタビューにより、一連のやりとりの再現を聞いただけでもXXX-JPを発生させることが判明しました。片方の独白による再現、両者による再現、XXX-JPに暴露していない者が一連のやりとりを読み上げる行為によっても、聞いた者は人数関係なくXXX-JPに暴露するものと思われます。
SCP-XXX-JPはヒトにのみ感染する未知の寄生型ウィルスです。感染者(SCP-XXX-JP-1)は「同調できる相手」「志を同じくする者」などを「友達(トモダチ/tomodachi)」と呼び同類として識別する能力を持つようになります。彼らは時に小規模な群れを作って行動をします。
SCP-XXX-JP-1は「友達」のいない相手には同情や哀れみ、時に差別的な感情を示して相手へ接触し、積極的な感染の拡大を図ります。しかし近年SCP-XXX-JPは財団の努力により徐々に減少し始め、やがて根絶されることが予測されています。皆サン、「友達」を作らなくてもよくなる世界が待っていまス。
【認証コード解析中…】
【解析完了】
【本来のデータを提示】
SCP-XXX-JPは故██職員の日記です。この日記、あるいは日記に関する記録を目視した人間は、親しい者の有無に関係なく孤独感を抱くようになり、その要因を『周囲の人間がSCPに曝露したせいだ』と考えるようになります。
「今年は年少組のお子さんが多くなりましたねぇ」
日もすっかり落ち、子どもたちのいなくなった託児所。
エプロンを身につけた若い男性――杭帆くいほ保育士は、職員室替わりのスタッフルームで机に向かいながら、コーヒーの入った紙コップを片手にため息をついた。
「これでは少々人が足りない気がするんですが」
「そうねぇ、また人事部にスタッフ募集をお願いしなくちゃならないかも。けど、託児所の利用が増えているのは喜ばしいことだわ」
水筒から付属のコップへお茶を注ぎながら、串間保育士はにこにこと笑う。
「最初は職場の、しかも危険な研究の多い財団の託児所の利用に難色を示す親御さんもいたんだもの。それを考えれば、随分と信頼されてきてると思わない?」
「なるほど……スタッフ皆で少しずつ努力してきた成果が出てきたのかもしれませんね」
杭帆は紙コップから口を離して頷いた。子どもたちが楽しく通えるよう年間行事を設け、何かと仕事のリズムが不規則な父兄のため深夜まで営業を延長し、毎月託児所だよりを配り――託児所が設けられてから早や3年、勤務する保育士たちは子どもたちのため、父兄のため、ひいては財団のために様々な工夫を行ってきた。
「ぼくは財団がどんな研究をしてるのか詳しく知りませんが。串間さんは何か聞いてるんですか?」
「さ、さぁ……色んな最先端科学の実験場だと聞いたけど」
串間は半笑いしながら肩を竦める。
「それ以上はよく知らないわ。ただ実験には危険な薬物や生物も使うから、警備もこれだけ厳しいそうよ」
「へぇ……だから託児所も、災害用設備なんかが充実してるんですね」
杭帆は串間の若干の動揺に気づくこともなく、素直に感心している。串間は彼に悟られないよう、そっと安堵の息を吐いた。とそこへ、インターホンの軽やかな音が響いた。
「あら、誰かしら」
子どもたちは既にいないので父兄である可能性は低い。となると、工作用の画材を頼んだ購買部の配達だろうか……もしくは、
――ううん、それはないわね。
串間のもう1つの業務は基本、財団支給の携帯端末で伝達されるのだから。となるとやはり「表」の客人であろうか。
「はい、どなた……きゃっ」
「わはっ、ほんとにいた!」
扉を開けた串間の声を遮って、小さな背丈の何者かがその胸へと飛び込んできた。
「はっ……えっえっ?」
「小豆さん、久しぶり!」
幼少の頃よく聞いた懐かしい訛りに、串間ははたと思い当たり、目の前に現れたベースボールキャップを被った短髪の少女をまじまじと見つめた。
「たまちゃ…環たまえ様?!」
「様はよしてよ、たまちゃんで良いのに」
まだ表情に幼さを残した彼女は溌剌とした笑顔で串間を上目遣いに見る。
「もうすぐ閉める時間だって聞いて慌てて来たんだ。勿論仕事は終わらせたけどさ!」
「し、仕事って……」
「串間先生、この方は?」
喧騒に釣られ、背後から杭帆がひょっこりと顔を出して尋ねる。
「……ええと」と串間が言い淀むと同時に、少女が「おっ」ともの珍しそうに声を上げた。
「なになに、お取込み中だった?こんなイケメン捕まえちゃって小豆さんも隅に置けな……」
「ち、違うわよ!同僚の保父さんよっ」
思わず昔のような口の利き方をし、しまったと思うも相手は気にしない素振りで託児所の室内を覗きこんでいる。
「へー、ここで働いてんのか」
「た、たまちゃん……」
「先生、お知り合いなんですか?」
杭帆がそう言いながら不思議そうに少女と串間の顔を見比べているのに気付き串間はしぶしぶ口を開いた。
「この子は……ええと。杭帆先生、差前さんには会ったことある?」
「え?はい、ありますけど……」
突然出てくる別の職員の名前に杭帆は益々怪訝そうな顔をしてみせた。エージェント・差前といえば、財団の研究に関わるフィールドワークを任されている(らしい)人物だ。「趣味」と称して骨董商を副業にしており、託児所にも子ども向け玩具や絵本を売りに来ることがある――ほぼタダ同然で置いていくのだが。ありがたいことではあるものの、どうにも胡散臭いイメージの拭えない飄々とした男である。
「その差前さんと、何か御関係が?」
「妹さんなの」
「妹さ……差前さんの?!」
杭帆の露骨な驚きっぷりに、まぁそうなるわよね、と串間は半笑いで話題に上がった人物の姿を思い浮かべる。
目の前の活発そうな少女から、あのお調子者の中年エージェントが最初に連想されることはまずないであろう。
「あいや、自己紹介し遅れましたが」
と少女は杭帆に向き直って歯を見せて笑った。
「差前環です!こう見えて歳は23と3か月!財団サイト間のメッセンジャーとして、配達業務を任されております!どうぞよろしく!」
快活な笑顔で手を握ってきた彼女の姿に杭帆はああ、と思う。人当りの良さそうな、それでいてなんとなく――信用し難い胡散臭さもあるような。笑い方がどことなく差前鼎蔵に似ている。業務用の制服なのか、黒地に白のストライプが入ったTシャツに白いパンツを身に着けている。肩には配達に使うのか、真っ赤な鞄を提げており、着ている本人の明るさもあってかよく似合っていた。
「杭帆です、よろしく」
彼女の日に焼けた細い手を、日々鍛えている固い手で軽く握り返してから、杭帆は「でも――」と串間を見る。
「どうしてお2人がお知り合いなんです?」
「そ、それは……」
「だってほら私、配達員ですから!」
言葉を濁す串間を補うようにすかさず環がはきはきと言った。
「託児所宛の手紙を届けたことが幾度かありまして!」
「ははぁ、なるほど」
と杭帆は手を打った。疑うことを知らない筋肉馬鹿純粋な青年で良かったと串間は安心する。
「そうなのよ。それで仲良くなったの」
本当は環が財団に雇用されていたことなど微塵も知らなかったのだが――まぁ良い。
話を環に合わせながら、串間はうふふと乾いた声で笑った。
「……で。なんでこんなところにいるの」
杭帆が帰宅したのち、託児所に併設された自室に環を招き入れた串間は、棚上の給湯器から茶葉の入った急須へとお湯を淹れながら、なるべく感情を表立てないように尋ねた。
「だから、財団専属メッセンジャーになったって言ってるだろ。手紙や書類、大きな荷物まで、財団施設間なら何でも運ぶよ、どうぞごひいきに!」
すらすらと口上が出てくる商売慣れた様子は兄譲りなのだろう。ソファに腰を下ろした環は串間の追及をはぐらかすようににっこりと笑う。はぁ、と1つため息をついて、串間は力なく質問を続けた。
「……いつから働き始めたの?」
「んー、卒業後すぐ雇用されて、だからそろそろ丸1年かな」
「……そんなに」
「知らなかっただろー」
得意げに笑う環を見て串間はますます顔を顰める。
「鼎蔵様はご存じなの?」
「ん、知らないんじゃない」
あっけらかんと言う彼女を見て串間は思わずぽかんと口を開いた。
「そんな……なんてこと。まさかご隠居様もご存じないんじゃないでしょうね?」
「さ、さすがに父ちゃんは知ってるよ!兄ちゃんは……さ。ほら、滅多に帰ってこねーんだもん」
「ああ……」
実家から帰省を促されているのを、何かと理由をつけてはのらりくらりとかわしている差前の様子を思い描いて、串間は苦笑した。彼らしいといえばらしいが。
「そうは言ったって、電話なりなんなり……」
「いや、時々はしてたよ?けど結構な頻度で音信不通になるし。いざ通話しても、流行りのゲームの話とか全然違うことで盛り上がっちゃって。うっかり就職先言うの忘れてた。はは」
この兄妹は。串間は内心頭を抱えた。
「何言ってるの。どうせわざと言わなかったんでしょう?」
「わはは、バレてら」
串間からお茶の注がれたマグカップを受け取って、環はソファの上で背中を丸めた。
「だって絶対怒られんじゃん」
「そりゃあそうよ。あんなに『財団だけはやめとけ』って仰ってたんだもの。のんちゃんだって一般企業でOLやってるのに」
串間は腰に手を当て呆れ顔で彼女を見下ろす。環の姉であり、鼎蔵のもう1人の妹――差前家の長女・望のぞみの名前を出すと、環はぷくりと頬を膨らませて串間から目を逸らした。
「のんたんは、そりゃあ品行方正だし?昔からのんびり屋で、『おうちの色んな怖いお仕事は継げないわ~』なんつってたから、普通に暮らす道を選ぶのも分かるけど……」
視線を合わせないまま、居心地悪そうにもぞもぞと足を動かす。
「あたしはやっぱ、家で今まで培ってきたものとか……さ。生かせるとこに就きたいなって。だから自分から志願して適性検査を受けたのさ。内部保安部の執行課で実習生やりつつ、隠れ蓑で書類の配送なんてやらせてもらってるけど。結構楽しいぜ」
環は串間の機嫌を伺うように顔を覗きこみ笑う。
「これって小豆さんと一緒だろ。な?」
「……結果だけ見ればね」
それだけ呟き、眉間に皺を寄せ口を引き結ぶ串間を見て、環は言葉に詰まった。
「っ、あ……そうだよな。小豆さんは別に、」
「初めからやりたくてやってるわけじゃないわ、こんなこと。今は慣れたし――保育士の仕事は楽しいけれど」
串間は――串間監察官は思い詰めるように唇を噛んだ。
「貴女のお兄様が何故本家に寄りつかないのか分かる?弟妹に本当に――どれだけ気を遣ってらっしゃることか」
「そ……それは」
何故実家に顔を出さなくなったのか……は、環には正直、分からない。
しかし、彼が決して家族を嫌悪しているわけでないのは、見ていれば分かる。飄々と、俺は好き勝手生きているんだという顔をして――他人を弄ぶのが好きで堪らないと言って、冷酷な目で突き放して。その実、身内を守るためならどんな汚れ役だって厭わない。
背中を追いかけ育ってきた自分は、そんな兄の姿をよく知っている。
「――なら尚更、ここで働くべきではなかったわね」
頭上からの冷やかな声音に背筋を撫でられるような心地を覚え、環は思わず串間を見上げた。見て、そして一瞬息を止める。
――あれ。こんな、
こんな顔をする人だったろうか。
環は相手の視線に捕らわれたまま喉を鳴らした。かつて姉のように慕った人は、会わない数年のうちに、心を凍らせる術を覚えてしまったようだった。
この硝子のような目を環は知っている。
追いかけてきた背中の持ち主も、よくこんな目をしていた。
――今もきっとそうなのだろう。
「……けど、」
と肩の力を抜いた串間が目を閉じてようやく、環はその鋭い視線から解放された。安堵からソファに身を深く沈めた彼女の隣に、串間は静かに腰を下ろす。
「入ってしまえば出口はない……そういう所だわ、財団って。記憶処理を受ければ退職出来る可能性もあるでしょうけど。よりによって内部保安部門で……ましてや差前家の人間だもの。私や鼎蔵様が進言したところで、そうやすやすとカナヘビさんが――トップが手放したがらないでしょう」
「そういうもんなのか。確かに保安部は保守的だと言われてるけど……その、生まれとかも関係するもん?」
「血筋自体は特に関係ないわ、確かに雇用前の身辺調査は一通りされるけれど。私のようなぽっと出も沢山いるし……差前家だって、蒐集院の頃から高等研儀官付の隠密として関わってきているけど、別に血を重宝されてるわけでもなんでもないのよ」
「またスパッと言うね」
環は思わず笑った。串間は一応その差前家に仕える人間なのだが、「言うわよ」と事もなげに答える。
「事実だもの。これで不敬と揶揄されるなら、うちの家は要らないわよ」
「刀一族統領のお目付け役、相談役の砥鹿社とがやしろ家……だもんね」
環は呟くように低い声で言った。
「今は我が家のことは置いておいて、」
と串間は指先を温めるように自分のマグカップを持ち抱えながら言う。
「貴女のことね。差前の隠密術を会得している人材は総じて、保安部構成員としては抜きん出て優秀なのよ。代々分家に至るまで実践武術が受け継がれてるし、幼い頃から心身共に鍛錬してて、スパイや拷訊役に適任だし」
すぐに実戦へ投入出来て、確実にかつ命令以上の任務をこなし、満足出来る仕事さえ与え続ければ裏切らない――。
「ただでさえ優秀な人材は常に不足してるのに、そんな便利な駒に成り得る若者を、あの上層部が易々と解放するとも思えない」
もし本人の希望で退職願いを出したとしても、記憶処理で都合よくリサイクルでもされて一生使われ続けるわ。串間は眉間に皺を寄せたまま、一瞬自嘲とも取れる笑みを零した。しかしすぐさま頭を振り、それまでの厳しい声音を幾分か和らげて言葉を続ける。
「鼎蔵様は……実弟妹の御三方には普通に生きて欲しい、そう思ってらっしゃるのはもちろんだけれど。それとは別に、一族の人間をあえて財団から遠ざけようとしてる節があるのよね」
「なんで?仲間に身内がいたほうが心強いと思うけれど」
「さあ、元々お家絡みの駆け引きや抗争を疎ましく思ってらしたから……少なからず関係しているのかもしれないわね」
受け継がれてきた統領の呼び名も勝手に変えちゃう人だもの、と串間がわざとらしく片目を瞑ってみせるので、環は釣られて口元を緩めた。堅苦しい家にあって自由人な兄の、何にも縛られまいとする奔放な言動に、いつからこれほどまで憧れていただろうかとふと思った。
「だから、貴女が財団にいると知ったらなんて仰るかしらね……分家の私にですら良い顔をなさらなかったのに」
思い出す過去でもあったのか、串間は遠い目をして呟く。
「別に何言われたって平気だよ!それに、」と環は鼻息荒く反論する。
「それに?」
「自分で好き勝手してる兄ちゃんに決められる人生なんてまっぴらゴメンだね!」
「……ふふっ、そう」
一瞬閉口したのち可笑しそうに吹きだすと、
「そこまで言えるなら、心配するだけ無駄みたいね」
串間は優しく、妹を見守る姉のように微笑んで、それ以上追及しようとはしなかった。
「あら、すっかりお茶が冷めてしまったわ。淹れなおしましょうか」
「普段は九州地区のサイト間を行き来してるんだ。滅多にこっちには来ないし……だから兄ちゃんとも遭遇しないと思うし。安心してよ」
環は言って淹れなおされた茶を啜った。
「それで今まで会わなかったのね。けど、きちんと就職報告はするのよ?」
「げー」
めんどくせ、と呟いた苦い顔が兄にそっくりで、串間は笑った。
「のんちゃんとはるくんにもよろしく言っておいてね」
串間がそう言うと、んー、と環は口を尖らせた。
「のんたんはいつでも会えるけど、春蔵しゅんぞうはどうかなぁ……あいつ最近兄ちゃんみたくふらふらしてやがんだ」
末っ子の春蔵は大学院に進み研究職を志している。
「あらあら。昔は怖がりで大人しかったのに」
「だろー?学生満喫してんならそれで良いんだけどさ」
ぼやくように言って、環は残りの茶を飲み干した。
「ごちそうさま。そろそろ出るよ」
「もう夜遅いわよ?泊まっていったら」
「いやいや悪いよ!元々こんな長居するつもりじゃなかったんだ。ほんと仕事のついでっていうか。小豆さんが働いてるって聞いたから顔見たかっただけさ」
彼女はソファから立ち上がると、またね、と軽く手を上げながら、表の託児室へ繋がる扉を開け出て行ってしまった。
「た、たまちゃん!」
串間は見送ろうと慌てて立ち上がり、閉じかけた扉を押し開いたが、
「……。……やっぱりいないか」
そこにはもはや人の影すらなく、暗く寂しい部屋に彼女だけが佇んでいた。
子供たちが遊んだまま放置していった玩具でも片付けようと、串間は静かに部屋の照明スイッチをつけた。
後日――別サイトの廊下にて、珍しくあからさまに苛立ちながら新人らしき女性職員の首元を掴み、喚く彼女を引きずりつつ大股で闊歩するエージェント・差前の姿が目撃されて何事かとしばらく噂になったのだが――それはまた別の話。
【以下設定】 基本的に「三界」設定を踏襲。
差前鼎蔵(ていぞう/かなえ):長男、財団内部保安部所属、兼エージェント。刀一族現統領。
差前望(のぞみ):長女、一般人OL。
差前春蔵(しゅんぞう/はる):次男、大学院生。
差前環(たまえ):次女、大学卒業後に財団へ。差前桃(もも):三女、故人(自殺)。
【Agents "Lv.1"】
「……目標を確認。ええ、やはり『鉄塔』のようです。確認資料よりも浸蝕が進んでいるようですが」
彼女は苦々しげに唇を噛んだ。
「周囲の木々を薙倒しながらさらに丑寅へ侵攻する模様。……ああ本部、一端切ります。彼が来ました」
無線から顔を上げて彼女は振り向いた。ばらばらと頭上で鳴り響く『神鋼工業』のロゴを冠したヘリの音を聞きながら、なびく髪を押さえ、月明かりを背に歩み寄ってくる男を視界に収める。
「エージェント・木場。おじ様、久しぶりね」
「"汀"作戦以来だな。小豆お嬢ちゃん」
彼は濃緑の改造作業着の袖を捲り彼女に笑いかけた。5階建てのビルの屋上に2人は立っている。数年前から人工知能が導入され無人となった蓄電施設であり、現在に至るまで目の前に広がる巨大な貯水ダムを制御している。周辺に広がる森林はこのダムを中心とし約20㎢、民家もないため人的被害は今の所心配なさそうだ。男は彼女の隣に並ぶと、1kmほど先で依然移動を続ける目標に視線を投げながら口を開いた。
「無事でなにより。元気そうだな」
「貴方こそ。作戦は聞いてらっしゃいますか」
「応、大体な。奴の動向は」
「見ての通り、止まる様子がありません。本部は機動部隊到着までに時間を稼げと」
「俺たちだけでか……無茶言うねえ。というか、部隊の到着が遅すぎやしないかい」
「セクター-8091は現在収容違反により駐在部隊が現場収束に動いているようです。別エリアからの派遣に頼るしか」
「収容違反ン?またタイミングの悪い……何やらかしたんだい」
「これ以上の情報が入ってきていません。悠長な話をしている場合でもないわ」
彼女は背中に括りつけていた棒状の物を取り外すと、撒かれた布を慣れた手つきで解いた。
黒光りする60cmほどの棒の一端を両手で持ち、見た目では分からないジョイント部分をかちりと捻ればそれは上下に伸び、上先端からは細身で片刃の刀身が突き出た。全長2m超、持ち主の背丈を遥かに超える。
「……まさかとは思うが」
男は呆れた様に言う。
「そいつで本体を抉り取ろうってのかい」
「最悪は。このまま進行が止まらなければ、およそ3時間で県道へ出ます。機動部隊到着前に市街地へ下りて行かれでもしたら――」
「だからって嬢ちゃん、死にに行くようなもんだぜ」
お前さんひとりじゃ無理だ、そう言われて、彼女は獲物の柄を地に付けながら不服そうに眉をひそめる。
「貴方がいらっしゃいます」
「そいつは随分と信用されたもんだねぇ」
男は自嘲めいた笑みを浮かべて息を吐いた。すると娘のような歳の女エージェントは凛然とした態度を崩し、じとりと男を睨む。
「……もっと自信をお持ちになってください。今の貴方は財団のエージェントで、私の、信頼に値する同僚です」
不貞腐れた様に彼女が呟く。数年前まで余所者だった彼の、自虐的な態度が気に入らないのだ。男は彼女をまじまじと見ると、くっと声を漏らして可笑しそうに破顔した。先ほどのような薄ら笑いではなく明朗に。
「――まぁ、何かするにしても時間稼ぎ程度だろうな。俺は改造と、せいぜい援護くらいしか能がねぇ。それに俺たちエージェントの任務は、あくまで現状の観測と報告なんだ。あまり入れ込んじゃあならんぜ」
男の言葉に、女エージェントもにわかに顔つきを正す。
「引き際は弁えています」
「ようし」と男は頷き、踵を返した。「んじゃ、行くぜ嬢ちゃん」
彼は言いながら、待っていたヘリへと歩いて行く。キチン質の外殻を持つ巨大生物へと変貌しつつ電線を触手のようにうねらせる目標の姿を視線の隅に確認すると、女は結わえた髪を揺らしながら背中を向け、獲物を握り直して男のあとを追った。
「貴方には大変申し訳ないのですが、少なくともあと一週間ほどいただかねば、いらした次元にお返しする準備が出来ないようなのです」
背後に警備員2人を従えてサイト内の廊下を進みながら、結城博士は落ち着きはらった声音でそう告げた。
「そう、ですか……」
「無論、私たちが責任を持って貴方の身の安全は保障致します。……私たちの桑名博士にも帰ってきていただかないといけませんしね」
考え込む桑名博士を見て、結城博士は安心させるように、固く引き結んでいた口元を幾らか緩める。
「貴方たちの――もう1人の私、ですか」
桑名博士は考え込んだまま呟いた。変わらないはずの着ぐるみの表情はしかしどこか複雑そうに見えた。
「私と、そのもう1人が何かのきっかけで入れ替わってしまった――ということでしたね、ハンニバル博士の説明によると」
「そのようです。精神だけが交換されたのか、身体ごとなのかは分析中ですが、後者の確率が高いでしょうね」
「我ながら難儀な事になってしまったものですね……」
ため息をつく桑名博士に、結城博士は少々苦笑いして見せる。が、すぐにその口元からは笑みが消えた。
「貴方の元いた次元の話をぜひお聞かせ願いたいのです、桑名博士」
結城博士は再び口を開くなりそう言った。
「2つの次元はどうやら非常に酷似しているようです。貴方の世界での発見や出来事が我々の世界にとっての教訓に成り得るかも分かりませんし、逆もまた然り――貴方がたにとってもメリット足り得ると思いますが」
にべもなく告げるその事務的な態度に、ああ結城博士だ、と桑名博士は少々安堵する。肩書きがサイト管理官になっているとはいえ、彼女は桑名博士の知っている結城博士にかなり近い性格であるようだった。
「分かりました、お教えしましょう。きっと帰れるまですることもないでしょうし」
こちら側の「私」の仕事を覗いてみたい気もしますが、と桑名博士は言ってみる。
結城博士は微笑むだけだった。
帰るまでの期間、与えられた部屋は至って快適なもので、警備員1名以上がついていれば、セキュリティクリアランスレベル1までの職員が立ち入ることの出来る区域に限り自由な行動が許可されていた。無論サイト外に出ることは許されていないが、見知らぬ土地ならぬ見知らぬ世界であまりウロウロしたくはない。桑名博士は実に模範的な旅行者であろうと努めた。また、己の居た次元に関する情報を知る限りで開示する代わりに、こちら側の研究記録の閲覧も結城博士の立会いの元行うことが出来た。それらがダミーである可能性もあったが、早々に桑名博士は疑うのをやめた。彼らの言うとおり、こちら側の財団が保有するオブジェクトの数々はどれも自分がいた次元のものと非常に酷似していたのだ。ただ時折、特性や収容当時の記録が違っていたし、特に違いが目立っていたのは個々のオブジェクトを担当する職員の名だった――例えば。
「ドクター・D……?」
「その方もご存じないですか。それとも、そちらでは別の役職だったとか」
自身の書類仕事を向かいの席でこなしていた結城博士が顔を上げた。「いえ、」と桑名博士はしばし閉口する。
「……"D"と呼ばれる男性職員は知っていますが。彼は、私の世界ではエージェントのはずです。確か――」
言いかけたそれを遮るように、2人のいる会議室の扉がノックされた。
「結城博士、いらっしゃるかしら?」
黒い長髪を揺らして、1人の女性が扉の向こうから姿を見せた。目鼻立ちのくっきりとした見覚えのある顔に、桑名博士は思わず彼女の頭から足先までを瞬がずに眺め入ってしまった。スキニーデニムに包まれた足のラインは美しく、胸元を嫌味なく緩めた白いYシャツの上には明るいオレンジ色のショールを軽やかに纏っている。桑名博士の姿に気付くと彼女は目を見張り、艶やかな唇を開いた。
「あら、ごめんなさい。お邪魔だったようね」
「いいえ、大丈夫ですよ」
机に手をつき、座っている事務用椅子を軋ませて中腰に立ち上がると、結城博士は去ろうとする訪問者を引きとめた。「ちょうど貴女の旦那様のお話をしていたところなんです」
「うちの人の? そう」
彼女は何でもないことのように素っ気なく相槌を打つと、持っていた書類の束を結城博士へと差し出した。
「これ、昨日の収容違反に関しての始末書よ」
「報告書ですね。確かに受け取りました」
律儀に言い直して、結城博士は書類を受け取る。
「ご苦労様です、エージェント・前原」
「そういうのは、今回は木場さんたちに言ってあげて」
前原は長い髪を掻きあげる。その動作ですらモデルのように様になった。
「一歩間違えば、こんな20ページばかしじゃ収まらなかったでしょうけどね。うちの部隊が間に合って良かったわ」
「……前原さん」
くぐもった声で呼ばれて、彼女は振り向く。そしてもう一度結城博士へと視線を戻し、首を傾げてみせた。
「――私はこの方とおしゃべりして良いのかしら? 結城博士」
「雑談程度なら。構いませんよ」
きちんと上司に確認してから、エージェント・前原は改めて桑名博士を見やった。
「『私』を知っているのね、別世界の桑名博士。はじめまして」
「ええ、はじめまして。……あぁ、知っていると言いますか」
桑名博士はそこで口ごもる。
「知っていると言いますか。貴女によく似た女性は――『前原博士』は、私の世界にもいらっしゃいますよ」
「博士?」
エージェント・前原は、予想だにしていなかったと言いたげに目を瞬かせる。
「それは、夫のことではなくて?」
「私の世界では、貴女が博士で、Dさんはエージェントでした」
「――まあ、それは」
ぷっと吹き出したあと、前原はくつくつと笑い始めた。
「まるであべこべじゃないの」
「ええ、その通りですよ。こちらに来てから驚くことばかりです。……本当に」
ふと何かを思い出したかのように頭を振り、消え入るように呟いて黙りこくる桑名博士を、前原は首を傾げて、結城博士は無表情に見つめていた。
【Agents "Lv.1"】 To be continued…
オチをメモ。ネタバレになっちゃうかもだから他のひとはあまり読まない方が良いヨ!
こちら側の桑名博士はDクラス世界線の結城博士が作り上げた高機能ヒューマノイドである。
通常世界線はSCPの収容が上手くいっていないことが多く、また職員にもSCP然とした者がいて野放しになっている(ブライトとか神山とか)。他の世界線への悪影響も何度か引き起こしており、Dクラス世界線の財団は、やむなく通常世界線の「封じ込め」を決定した。その準備段階として、結城博士の作り上げた「桑名博士」が様々な記憶や来歴を捏造され通常世界線へと送り込まれた(他にも各国支部に幾人かのスパイが送り込まれている)。彼/彼女の目や耳から得られた情報はDクラス世界線の財団へと24時間通達されていたのだ。
今回の時空転送は「桑名博士」のアップデート及び機能状態を観察するためのものであった。周囲の人間が桑名博士をまるで以前からいたかのように扱っていたのは、そう指示が出ていたか、彼らも結城博士のヒューマノイドだったからである。
通常世界のエージェント勢がDクラスとなっていたのは単なる偶然であったが、一連の検査や事情聴取が行われたのは桑名博士に怪しまれないようにするためだった(あの状況下で彼が「博士」としてどう振る舞い対処しようとするのかの臨時の実験でもあった)。「あのような矮小で罪深い人間たちがエージェントなどこの世界では考えられないこと、Dクラスとして雇用されて当然」と結城博士は嘲笑する。
捉えられ、アップデートと記憶処理を受けそうになる桑名博士。もう駄目かと思われたそのとき。幾刃もの閃光が走り、仮面をつけた男が桑名博士の拘束具を破壊する。ついでにばっさりやられる三島博士(ここではヒューマノイドの現場活用がより進められているため役職が上がっているよ!)。仮面男の正体を知っている桑名博士は驚きに目を見開く。彼がなぜここにいるのか?すると男のすぐそばで、空間が歪んでいることに気付く。差し伸べられる細く白い手。前原博士であった。そしてその助手のような形でひょっこり顔を出す速水。生きていてくれたのか、そう思うと桑名博士は嬉しさに身震いせざるを得なかった。研究室の騒ぎを聞きつけ駆けつけたエージェント前原と前原博士が一瞬顔を合わせたが、言葉を交わす間もなく、桑名博士は前原博士と速水に手を握られSM_Lに背中を押され、時空の歪みの向こう、通常世界へと消えた。取り残される結城博士とエージェント前原と三島の死体。
一方、通常世界。「私はあの世界の人間で、ヒューマノイドで、スパイなんですよ」肩を震わせ、自分を連れ戻したことを責める桑名博士。「ええ、そうよ、だからこそあなたが必要なの。あの世界のたくらみを知っている人として。そして何より、私たちの仲間として」前原博士の言葉にハッとする桑名博士。
彼らの世界があのDクラス世界線よりも技術などの面で劣っていることは明らかだった。しかし彼らはいずれ来るであろう、彼らの世界そのものの「封じ込め」作戦に対し全力をもって対処しなければならない。世界線同士の争いはまだ始まったばかりだ!
というのを皿洗ってたら思いついた。どうだろう。長いねそうだね。どこかで切って前後編にしてもいいかも。
Agents "Lv.1"の元になったSS。参考として保管。
「……目標を確認。ええ、[削除済]の集合体です。確認資料よりも断然大きくなっていますが」
彼女は苦々しげに唇を噛んだ。
「周囲の木々を薙倒しながらさらに丑寅へ侵攻する模様。……ああ本部、一端切ります。彼が来ました」
無線から顔を上げて彼女は振り向いた。ばらばらと頭上で鳴り響く『神鋼工業』のロゴを冠したヘリの羽根の音を聞きながら、なびく髪を押さえ、月明かりを背に歩み寄ってくる彼を視界に収める。
「エージェント・木場。おじ様、久しぶりね」
「"汀"作戦以来だな。嬢ちゃん」
彼は濃緑の改造作業着の袖を捲り彼女に笑いかけた。5階建てのビルの屋上に2人は立っている。数年前から人工知能が導入され無人となった蓄電施設であり、現在に至るまで目の前に広がる巨大な貯水ダムを制御している。周辺に広がる森林はこのダムを中心とし約20㎢、民家もないため人的被害は今の所心配なさそうだ。男は彼女の隣に並ぶと、『目標物』に視線を投げながら口を開いた。
「無事でなにより。元気そうだな」
「貴方こそ。作戦は聞いてらっしゃいますか」
「応、大体な。奴の動向は」
「見ての通り、止まる様子がありません。本部は機動部隊到着までに時間を稼げと」
「俺たちだけでか……無茶言うねえ。というか、部隊の到着が遅すぎやしないかい。何してやがんだ」
「セクター-8091は現在収容違反により駐在部隊が現場収束に動いているようです。別エリアからの派遣に頼るしか」
「収容違反ン?またタイミングの悪い……何やらかしたんだい」
「これ以上の情報が入ってきていません。悠長な話をしている場合でもないわ」
彼女は背中に括りつけていた棒状の物を取り外すと、撒かれた布を慣れた手つきで解いた。
黒光りする60cmほどの棒の一端を両手で持ち、見た目では分からないジョイント部分をかちりと捻ればそれは上下に伸び、上先端からは細身で片刃の刀身が突き出た。全長2m超、持ち主の背丈を遥かに超える。
「……相変わらず物騒な獲物だねぇ」
「色々試したのですが……やはりこれが一番性に合うのです」
「"刀"も継ぐ野郎がトンズラしたんじゃ、お前さんに頼るしかないか」
「家督に興味はありません。既に直系は絶えていますし。私の代であの家は解体するつもりです」
「そうかい。神山管理官もお嘆きだろうな」
「そういうおじ様は」
「俺は改造と援護しかできねえ、前から言ってんだろ」
「……何か仕組んだのね、工場長さん?」
彼女が悪戯っぽく微笑むと、男は豪快に笑い返した。
「まぁあくまで時間稼ぎだ。お前さんもあまり入れ込むなよ」
「引き際は弁えています」
「良し。んじゃ、行くぜ。エージェント・串間さんよ」
【Agents "Lv.1"】 To be continued…
「貴方が回収なさったもののうち1つがAアイテムとして分類されることになりました。倉庫まで運ぶのを手伝っていただけませんか」
神山さんがいつもの事務的な笑顔で言った。
「あっそう。どれ?」
「鏡ですよ、一番大きいあれです。割れやすいので、動かすときは慎重にね」
「分かってるって。誰がここまで運んできたと思ってるんです?」
事務室前の廊下で壁に寄りかかり待機していた俺は、持っていた携帯端末のメール受信画面を閉じると、投げやりな返事をしつつ部屋へと入っていった。本日付で部屋に持ち込まれた幾つかの物品――その大半は俺の"収穫"だったはずのものなのだが、こうしてあの澄ました紳士に押収されたわけだ、くそったれ――その間を抜けて、一番奥のあの鏡に近づく。触れても害はないと判明しているのでその表面に指をつけると、見知らぬ男の指先が、『向こう側』から俺の指に触れるのが見えた。
「……改めて見ても、妙な気分だな」
買収したときと変わらず、そこには俺じゃない奴が俺の代わりに映っていた。髪は同じくらいの長さだが後ろで雀の尾のように結わえ、垂れた目元は俺よりも人が好さそうな。伸ばし放題の無精髭は同じか。もっさいけどガタイが良いのがなんか腹立つな。
そいつが――俺を、覗きこんでいる。
「ええ、不思議ですね」
神山さんが俺の隣に立つ。鏡の中には彼よりも線が細くて髪が長めの、灰色スーツの男が現れた。
「"彼"を見ていると……」
そこで神山さんは口を噤む。言い淀むことの少ない彼にしては珍しいので思わず、
「見ていると?」
と促すように問いかけると、神山さんは「そうですね」と目を細め言葉を継いだ。
「……何と言いますか。とても親近感が沸きますね」
こちらの動きに合わせ、鏡の向こうでも灰色スーツが無精髭に話しかける。
「私であって私でないような。貴方も、何か感じませんか?」
「俺ぁこんな奴にシンパシー感じませんよ」
「おや、そうですか。割と似ていると思いますが……」
「よしてくれ」
思わず手を振って、すると鏡の中の無精髭も同じ動作をするのが苦々しい。
「布とかないんです?これじゃ気が散って運べねえや」
「成程、仕事の効率は大事ですね」
神山さんは言って踵を返した。
適当な被せる布を神山さんが用意する間、背を向けたままでちらと鏡を見やった。大体同じ背格好のそいつは、振り向いた俺のほうをじっと見つめ返している。
……まるで品定めでもするかのように。
「くそっ」
舌打ちして視線を外す。見れば見るほどに、自分らしくなく苛々とした不快感が胸を支配する。
『別の世界を映し出す鏡』の噂をキャッチし嬉々として買収したは良いものの、初見以来ずっとアタッシュケースに『入れ』て見ないようにしてきた。己の手を離れるとなっても、特に未練の情など沸いてこなかった。
「俺は普段こんな目をしているのかね」
忌々しい――人のふりをした獣のようだ。
「……なんて、思ってるのかもしれねぇな」
背を向けた鏡に映っているであろう男を思う。髪を結える代わりにヘアバンドをした、気障な風貌の男。こちらを見るその三白眼は毎度どうにも不機嫌そうで、もしかしたらこの男に俺は嫌われているのかもしれない。気を利かせてあまり見ないようにしてやっているのだが、この親切心は彼に届いているのだろうか。いや、あの様子だとたぶん届いてないな。
「こいつが俺の『もしも』だったとしたら……ま、ちょっとは面白いかな」
神山さんが持ってきた赤い布をばさりと被せる。別れる前にもうちょっと仲良くなりたかったってもんだ。非常に残念無念。
「面白けりゃ、何だって何でもいいや」
俺は次の骨董品えもの探しに想いを馳せながら、少々名残惜しく感じつつも鏡の片端へと手をかけた。
AI-█████-JP
説明:映るはずの対象とは別の人物を映し出す鏡。
回収日:20██/██/██
回収場所:都内の骨董品店。エージェント・██により買収された。
現状:サイト-81██低危険物収容倉庫にて保管中。
自分じゃない奴が寸分違わず同じ動きをするってのは、見ててちと気持ち悪いな。-エージェント・██
「い、いらっしゃいませ!」
初春、ある日の昼下がり。
サイト-8179購買部に、来店客を告げるチャイムの音と、次いで緊張したような高い声が響いた。
「ん?何だィ、見かけねェ顔だな」
自動ドアからのっそりと入ってきたエージェント・コールマンはレジに立つ少女を視界に捉えると、ズボンの尻ポケットに両手を突っ込んだまま、咥え煙草を燻らせた。
「おうコールマン、お前さんか。煙草かね?」
レジ奥のスタッフルームの扉が開いて、今度はコールマンも見知った顔……木場購買長が、MILD SEVENの段ボールを抱えて現れる。
「そうさァ、カートンで頼むぜ。ところで、可愛い新人ちゃんが増えてるじゃねェか?」
コールマンは煙草を噛み締めてにやりと笑いながら、レジカウンターへと身を凭れかけさせ片肘をついた。
「ああ、エージェント・砥鹿社の姪っ子さんでな。今週からバイトに入ることになった」
「く、串間です!よろしくお願いします!」
木場の紹介を受けて、少女は緊張した面持ちのまま慌てたように深々と頭を下げた。後頭部で束ねたセミロングの黒髪が軽やかに揺れる。
「ハーン、バイトねェ。そんなの雇う程忙しくなったのかィここは」
コールマンは客もまばらな店内をちらりと見やり、笑いながらそう言うと、頭を上げた彼女を覗き込むように高い背を屈めた。
「お嬢ちゃん、下の名前は?」
「えっ、あ……小豆、です」
「アズキちゃんか。よく似合う可愛らしい名前じゃねェかい」
「は、はぁ……」
「俺のことはコールマンと呼んでくれ。……きっとあと3日もすりゃ、この名前が忘れらんなくなるぜェ?」
コールマンのわざとらしい目配せに、少女は「へっ?」と目を丸くし硬直してしまった。
「あっ…あの、えっとあの、」
「オイオイ、俺の前で部下を誑かして貰っちゃ困る」木場が苦笑いでやんわりとコールマンを窘めた。「砥鹿社さんの姪だと言っとるだろうが。何かあったらお前さん、立場的に相当マズくなるんじゃあないかい?」
「ヒヒ、分かってらぁ。こいつァ俺なりの女性への敬意ってやつさ」
フーッ、とコールマンはふいに少女の顔へ煙草の煙を吹きかけた。彼女は反射的に目を瞑り息を止めかけたが、すぐに目を開け、きょとんとした表情で彼を見上げた。
「あ、あれ。全然臭わな……?」
「アズキちゃん、大学生なのかィ?」
「ふへ?はっ、あ、いえ!」矢継ぎ早な相手の質問に困惑しながらも、彼女は言葉を継ぐ。「えっと、今は17、です……」
「17?……って、え、じゃあジョシコーセーかよ!」今度はコールマンが目を丸くする番だった。「こいつァ驚いたぜ。そンで砥鹿社さんとこの子なんだよな?下世話な話だが……金に困っちゃいねェだろうに。なんだってバイトなんかしてンだい?」
「そ、それは……」
「そらぁよ、コールマン。この時期は誰だって背伸びしたくなるもんさね」
木場が笑いながら、不安気に縮こまっている少女の肩を優しく叩く。
「変な店で雇われて扱き使われるよか、父兄の目の届く範囲のが、よっぽど安心するってもんだろうが?」
「まァそりゃあ、一理あるけどよ。俺の故郷じゃガキも働くのは珍しかねェが、ありゃあ生きるための手段だからなァ……」
「日本だって、まだまだ子どもが働かにゃならん家庭も多いぞ。……まぁ、そんな議論をここでする必要はねぇやな」
目の前の2人の男を代わるがわる見ておろおろする少女に気がつき、木場は彼女に笑いかけた。
「心配するな小豆。金の為だけじゃねぇ、自分の成長のために新しいことをやってみるってのは、良いことに違いねえだろうが?」
「は……はい!」
「あ、あの。ここが国の科学研究施設なのは知ってるのですが、未成年がバイトしてるのはそんなに珍しいことなのでしょうか…」「あ、」「いやいや、最近若い子を雇ってなかったんでな。ベテランの越前でも驚いてるだけさね」「そ、そうなんだよ。悪気はなかったんだ。ごめんなぁ串間ちゃん」
「…ってわけだ。××さんの孫だし、ここはただの購買部、財団の事は何も知り得やせんよ。知られてもなんだ、便利なのあんだろ」
「記憶処理な。そうか…ま、華があることは良いことだよな」
「まったくだ。俺も息子がいりゃあれくらいに…」
「…何で例えが男なんだよ?」
「…?ん、あー、娘だな、娘」
「エージェント越前…元自衛官で成績優秀、素行も不審な点は見当たらないが、複数箇所に結城博士のオートマチックシステムを装備した実験体のひとつであり要監察対象」
「彼に会ったのか」
「ええ、バイト中に。良い人でした」
「ああ、そうだろうな。だが見かけのツラだけだ。見極めろ、全てを疑え」
「串間訓練生、報告ご苦労。引き続き任務と修練に励め」
「…はい」
「嫌そうな顔だな」
「好きでやってるわけじゃありませんので」
「相変わらず舐めた口の利き方をするガキだ。…だがそうだな、ここにいる奴らは大抵皆そうだ」
「…」
「誰だって好きで他人を疑いたくはない。…例外も多分に居るがな」
「例外…」
「お前もじきに会える。お前の実践担当教官になるかもしれない男、それから俺もお前も傅くべき保安部トップもそういう方だ。あの人らは好きでこの仕事をやってる感じだな」
「…その方々にもお会い出来るのを楽しみにしています」
「ならもう少し楽しそうに言ってくれよ」
「勘弁してくれよ!」
と悲鳴を上げたのは背のいささか小さい中年の男だった。
サイト-8181のとある低危険物保管庫前で――彼は愛用しているアタッシュケースの取っ手を引っ掴みその場から持ち去ろうと躍起になっている。
「何度でも言いますよ差前さん!その――ケースを――渡しなさい!!」
アタッシュケースのもう片端をがっちりと抑え込んで差前と呼んだ男を引きとめているのは、灰色のスーツを纏った長身痩躯の男だった。普段は澄ました顔で書類を抱え廊下を闊歩する彼が、珍しく額に汗を浮かべて歯を食いしばっている。必死の形相で互いに譲らない2人の脇を、しかし他の職員たちは気にも留めず通り過ぎていく――皆もはや見慣れているのだ。エージェント・差前と神山博士の攻防戦を。
「いい加減になさい差前さん!」と神山が怒鳴った。「調べるだけだと言っています!」
「いぃーーーやっ、嘘だね絶対嘘だね嘘っぱちだね!!おたくの鑑識に回されて返ってきたモンは今まで1つもねえんだよ!!」
「あからさまな異常物品を隠し持っていた貴方が悪いんでしょうが!!」
「これは違うから!普通のアタッシュケースだから全然やましいことなんてないから!」
「だったら調べられても構いやしないでしょう!!」
「そこは調べんでも良いだろおおおお何も異常なんざねぇって言ってんだからよおおおお!!」
「だ――から証明しろって言ってるでしょうがまったく貴方って人は本当にどうしようもない█████ですね!!」
物静かそうな普段の態度からは想像出来ない罵倒が神山博士の口から飛び出したところで、
「うるせえぞそこの2人!!」
と廊下に面した扉の1つが開いて、しかめっ面を出して怒鳴ったのは骨折博士。
「初めて綺麗に九連宝燈で上がれた最高の気分を台無しにしてくれやがって!」
「そうか!ならとっとと死ね!!」
差前が顔を真っ赤にしながら骨折に向かって叫んだ。アタッシュケースを掴む手には血管が浮き出ている。どうあっても見られたくないものが中に詰まっていることを改めて確信した神山博士は、「勤務中に麻雀とは良い御身分ですねぇ骨折さん!!」と唸りながら負けじと腰を沈めた。ミシミシとしなる音に気付かず、2人の大の男が両端から引っ張り続けた結果、
という神山と差前の攻防戦はわりと前から考えてたんだけど、書いてるうちに2人の絡みを見たいというかねてからの煩悩がスルスルと浄化して天へ消えていったんだ…(清らかな目)。
Aアイテムの名札入れのせいでひと悶着起きる鳥山研究員と鳥山博士のお話。
A.御厠や宗形研究員たちも出したい。ミヨコの話、「地酒」のインタビューで宗形が何を言ってしまったのかの補足なども入れつつ。
130-JPの話。1970年頃の地元を舞台に。エージェント砥鹿社も出したい。
私はいつも天蓋の下だった。
身体が弱かった私は外に出ることも滅多になかった。代わりにたくさんの本を読んだ。腹違いの兄が図書館で借りて来てくれる本のジャンルは毎回てんでばらばらで、けど無知な私にとっては全てが面白くて、舐めるように活字を読み耽った。通信教育の先生にも、色んなことを知ってるのねとよく驚かれた。
お父さんは嫌い。たまに帰ってきては、お母さんやお兄ちゃんのことをぶつんだもの。そういうとき、私は決まって布団の奥深くにもぐりこんで、じっとその時が過ぎるのを待った。たまに私は布団の中から引きずり出されて、髪を掴まれて、それで。…怖かった。人の顔を見るのは、だから、嫌い。
お母さんは優しくて好き。でも一日中めそめそしてて、頼りなくて、お父さんのこともあって、歳のわりに老け込んでいた。私もお母さんも、弱い。私の家では女ばかりが弱かった。私にもっと体力があって、お母さんにも、何かに立ち向かえる強さがあれば良かったのにと、ずっと思っていた。
お母さんの作るミートボールスパゲッティは大好き。けどピーマンは苦手。お兄ちゃんが部屋に持ってきて、食べろって言うからしぶしぶ食べているけど。お兄ちゃんは、自分ではあんまり頭もよくなくて取り柄がないと言ってるけれど、優しくて、私のことをいつも気にしてくれて、だからとっても好き。
……最近お父さんが怖い。前よりもずっと怖くなった。私はいつものように布団にもぐりこんで、じっと耐える。楽しいこと、私だけのあの世界のことを考えようとした。――私だけの、素敵な光の世界を。
ベッドが優しく揺れた。息を殺しながらそっと布団から顔を出すと、天蓋が見えて。――そして覗き込む、顔が、私を、覗き込む、
――お願い、私を見ないで。
やめて、いたくしないで、こわい、いやいやいや、いたい、――痛い。がらがらと世界の崩壊する音がした。私がいなくなる、閉じて、光が消える。
……静まり返った部屋で、お兄ちゃんが私を呼ぶ声がする。……お兄ちゃん、
もう、ごはんのじかん、だね。……スパゲッティが、食べたい、な……。
「世界は賊敵により抑圧され、最早崩壊の一途を辿るのみである。だが考えて欲しい。誰がそうさせた。帝国政府。否。全ての元凶はあの狡猾なるコベイ学者や受罰僧侶どもにあり――」
ち が う 。
母が宗教に嵌っていったことも兄が私をそういう目で見ていたことも父が殺されたことも全部全部知ってるこれは現実だそうだ私の生きる世界はここじゃない、私は抑制され虐げられ蹂躙される贄となるために生まれてきたわけじゃない!!
「ねぇ、そうでしょう。Gidico」
「Gidico、闇を遷ろう道化、我が手綱、座標の超越者。位相を動かし虐げられるものを祝福する鐘の音、私の幸い、私そのもの。鏡の虚像よ」
「お前、新しい『私』を探そうというのね。ずいぶん身勝手だこと」
ツイッターにて、
私:待ってwwAアイテムの2つもしかしてツッチーさんのに紅屋さんが被せてきてるwwwww
つっちーさん:これはあれか、理想のヒロインが現実化したと思い込んでいる二宮くんを失望させないために、全職員が一芝居打って且つ虚偽のAアイテムでカバーストーリーまで作ったということか?話が深くなってる…… ( ;∀;)
私:良い同僚に恵まれたね二宮君…おめでとう(慈愛に満ちた顔)
つっちーさん:同僚挙式まで開いとるし……(´;ω;`)
私:(相手のいないところへ誓いのキスでん~~と唇突き出してるのを神妙な顔で見つめる出席した同僚一同)
というのがあったのでTale書きたい。
形に出来そうな次のSCP案。
【やかん男】
やかん。蓋を開けてみると普通の水や麦茶が入ってるように見えるのに口から出てくるのは人間の血液や内臓の破片。実験の為にあるとき火にかけてみたらピーって音の代わりに男の絶叫が響いて、蓋開けて確認したら底が変形し男の苦悶の表情が浮き出ていた。男はどこか狭くて暗い所に閉じ込められていて、時折込み上げる吐血に悩まされているらしい。火にかけられていたときは顔面が焼けるようだったと証言。男の為にもこれ以上の実験は中止されていたが、あるとき火にかけたわけでも水を入れたわけでもないのに男が苦悶の声をあげた。どこか別の場所にリンクしていて、そっちで彼の吐いた血が出ているようだ。
【帰界ゲート】
空港の審査ゲートの形をしたオブジェクト。人間が通っても何も起こらないが、「元人間だった者」が通ると一時的に元の姿に戻してくれる。
【実験記録】
宇喜田→以前の姿に。
カナヘビ→戻れなかった。(理由は後述)
神山→[データ削除済](人事に登場する例のエージェントさんの企てで通らされた)
偶然中を通過したコバエ→人間に変化。その後インタビューにより、なんらかの事象に曝露した行方不明者であることが発覚。一定の時間後にハエに戻った。しばらく財団保護下にあったがある日死亡。死体は人間体に戻っていた。死因は脳梗塞(人間体の)。この出来事により、「(人間に)戻れる可能性のある者だけがこのゲートの効果を受けるのではないか」との見方が出た。(したがってカナヘビは効果を受けない)。
「私たちの身の回りにいる生物や物体がもしも同胞だったら――叩いた蚊が、食べている牛が、踏み潰した雑草が、元々人間だったとしたら。いや分かっている、喋るカナヘビやバスケットボール頭の職員が身の回りにいるというのにこのような――」
【誕生日サプライズ】
ある地域の、その日が誕.生日の人間の前にどこからともなく現れて「ハッピーバースデー!」といいながら卵を投げつけてくる南米系人種の人型SCP。投げつけられた人は日付が切り替わると、卵が当たった部位・液体が跳ねた部位に炎症を起こして死ぬ。
【断たれた頭】
帝国で斬首された者たちの頭部。
【防火用扉】
異世界からの業火を防ぎ続けている扉。けどカナヘビさんとこのカーテンとネタ被りそうだな。
【紙芝居屋さん】
見た子供への影響?もしくは子供には何もなく、むしろ昭和、1989年生まれまでの大人に作用?
それ以降の技術や文化への不適合…だと、なんかクレしん映画みたいだしな。
・平成に起こった事件のIF(バッドエンド)が紙芝居によって語られる→歴史がそうであったように思い込んでしまう…だと後半がありがちか。
・「あの戦争に勝利したぼくたちの国は今日までぐんぐん成長してきました。お国のため、陛下のため、ぼくたちはこれからも精進しなければなりません。輝かしき昭和という時代に生まれられたことに感謝して、ぼくらは生きねばなりません。」
【終わらない拍手】
あるコンサートホールで「ブラボー」と言うことがトリガーとなり発生する。観客は指揮者がもう一度舞台に上がり礼をするまでスタンディングオベーションを辞めることができなくなる。
当時酷評されたクラシックの曲?とか。
・バッハの賛美歌→神を讃える宗教集会と化す。
(曲ごとに「ブラボー」と言ったあとの効果が変わる?)
【ウサギのぴょこたくん】
サンリオ的なウサギのキャラクターグッズ。これを所持した12歳から20歳前後の女性に効果。女性のカワイイものへの関心が強いほど影響されやすい。
周りを可愛いもので埋めたくなる。ウサギちゃんで満たされた生活を望む。
最初は買い集めるだけだが、徐々に普段の持ち物やインテリアなどに影響、最終的に他者をもカワイイ世界へと引き込もうとする。日本的カワイイの狂気。
→親父の頭に釘で靴下を打ち込んでウサギさんにした女子高生の事例発生。「超可愛い」「ウケる〜!」とひとりで盛り上がりながらバットで釘打つのカワイイネ!
【朝まで遊び明かせ!】
SCP-XXX-JPは愛知県新城市にあるゲームセンターの廃墟です。16時〜明け方5時まで活性化し、内部に幾つかの空間異常と人型存在が確認されています。また壊れていたはずの各ゲーム機が稼働し始めますがどれも異常な性質を持ちます。侵入者は非活性時間まで脱出が不可能となります。
[ゲーム機一覧]画面向こうから実弾が飛び出してくる戦闘ゲーム/本当に噛み付いてくるワニパック/プレイヤーの数分先の未来が刻まれたコインが出てくるスロット/時速100キロで動く卓上ホッケー/財団の把握する異空間が舞台のカーレース/博士のわくわくポップコーン工場
【緊急搬送】
SCP-XXX-JPは深夜xx市消防局管轄内での人的被害の伴わない交通事故現場に出現する救急車です。内部から現れる救命隊員と見られる人型存在2名は、まったく怪我をしていないにも関わらず被害者を(複数いる場合はランダムにひとり)車内へと連れ去ります。その後SCP-XXX-JPはxx市民病院へと向かいますが、到着したときには被害者は必ず激しい身体損傷により死亡しています。
【メロンパン入れ】
開けるとメロンパン入れになってる。じゃなくて。
日常生活で特に役には立たないが知っていると得した気分になる豆知識を欲する脳型のオブジェ。泉の真ん中に真鍮の柱があってその上に乗っている。
知識を与えて満足させると、開いて中のメロンパンをくれる。中のメロンパンをもらうためだけに財団職員が入れ代わり立ち代わりで知能を持つ金の脳に向かってトリビアを披露する実験記録。…を思いついたけど、なんで財団がそんなにメロンパン欲しいのかという肝心なところが思いつかない…。
→「対象が報酬として自身の内から提供する物体『メロンパン』は、メロンであるのにパンでもあるという矛盾をはらんでいるため、調査用サンプルを定期的に採取する必要があります。職員はセキュリティレベルに関係なく『無駄な豆知識』を思いついた時点で対象に披露しその成果を記録に残してください」
【キリトリ線】
SCP-XXX-JPは通常のマッキーペンに見えます。SCP-XXX-JPを使って物体に「キリトリ線」「山折り線」「谷折り線」を書くと、その部位を見た者は線に沿ってそれを切り取らなければならない/折らなければならないという強迫観念に取りつかれます。ちんちんちょきちょき!
【アルファベットビスケット】
口にする言葉が全てビスケットとして具現化し周囲に振ってくる男。彼の考える言葉の「重さ」に比例してビスケットの大きさ、重さも変化する。恋人をビスケットで圧殺してしまったトラウマで失語症になっている。
【ぷちぷちにんげん】
ぷちぷちに体が変わっていく
そのうちぷちぷちしてほしくなる、自分でしちゃう
ぷちぷちのなかには液が入っててそれに触れるとそこからぷちぷち肌になってく
ぷちぷちが全部ぷちられるとしぬ
【来たる死とのコンチェルト】
ピアノの鍵盤数88と同じ人数だけこの世に一定数いる人型オブジェクトと、それを操ることの出来るピアノ。同じ音たちでひとつの家族だったり、不協和音のペアは仲が悪かったりするのかも。歌詞のない曲を奏でるときはそれぞれの音に対応して「ah〜」とハミングするだけだが、歌詞のある曲を弾くとその通りに声を出す。これだけなら害が無かったのだが、この世の何処かにいる選ばれし「奏者」が「聖なる曲」を弾くことで何かが起こる(なんだろう((
2015/12/04追記: この鍵盤人間ども、帝国の聖歌隊だった者たちの転生した姿とかどうだろう。光芒のための讃美歌を歌わせると洗脳効果を発揮するとかそういうの。ゲルグルゴが楽団長(指揮者/演奏者)?
【清らかなる光翼の為の晩課(全6曲)】
ad-capellaumから構成されるレスポンソリウムの序曲と終曲の他、4つのmotetosが収められた曲集。Hipa神官の聖務日課のため、啓朒院の若き楽団長gelgrgoが作曲した。Gaba書簡、Idna書等から詩篇された歌詞を主に用いる。
歌詞は伝統を踏襲しつつ新たな解釈で語句を継ぎ足したtroptchel様式であり、通奏低音を指定しながらも自ら型破りな即興伴奏を取り入れた事で保守的なMich官僚から批難の的となった。gelgrgoはその後しばらく光宮の宮廷楽長を務めたが、自ら志願し作曲したヴェンロータイを鼓舞する為の軍楽で、ようやく名声を獲得するに至る。
・SPCシリーズポスター(昭和のB級臭)
以下はごちゃごちゃ考えたまとめきれてない色々。
今は何もなくってよ。書きたい欲がわきわきと。
・厠さんの大冒険。
・投票モジュールをオマージュしたJoke記事
【「クラスD」世界線のお話案】
・エージェント串間とエージェント木場の活躍劇
・オブジェクトとして収容されている神山と結城
・エージェント前原とドクターDの話
(これらを1つにして中編Taleにするかも?)
定型文。
ここにタイトルをいれるのだ!
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter
特別収容プロトコル: バケツに入れときゃ何とかなる。
説明: なんかほら、あの、すごいやつだよ。
補遺: (・ω<)❤
使えるような使えないようなアイデアの掃き溜め。
通常たまごをそのままレンジで加熱すると爆発するが、どうしてもそれがやりたくなってしまう衝動、もしくはそうさせる電子レンジ。爆発も、通常の何倍かの威力に膨れ上がり、レンジ前でたまごの加熱を待つ被験者は爆発のさい重度の火傷を負う。
ツイッターで呟いていたネタ。元は自分が見た夢。
脇の下に挟むと、30秒以内にアラームが鳴り、ランダムで-100~100度までの温度が表示される。その後1分以内に、体温がその数値まで変化する。身体の他の部分での検温なら通常の使用が可能だが、防水機能はないので口内検温もできず。他の部位での検温は無論正確さに欠けるため、サイト内医療室での活用は見送り。
説明書には「脇下以外での検温はしないでください」と書いてあるのだがね。-担当研究員
人の生命に関わる実害はないが、原作者の社会的名声を奪い、ファンを阿鼻叫喚に落とし、単行本のみならず出版社やその他関連企業を巻き込んだ経済的損失に繋がる可能性。原作の露骨な同人的展開は嫌われるのが常だな。
・定期的に舞踏会を開催しないと、「大正時代」が周囲の地域へ浸蝕拡大するお屋敷と、そこに住まう家主の『彼』。
・屋敷が活性化状態となると、普段はただの重要文化財な建物(もちろん財団のカモフラ)だったのが一変、豪華絢爛な舞踏会会場へと変化する。同時に『彼』も姿を現し、家主として周囲の家々へ招待状と無人の馬車を送って、舞踏会へといざなう。
・財団は周囲の土地を買い取って一帯を歴史公園とし、昼間は観光地として開放。屋敷が活性化する夜間に、職員を舞踏会に参加させて家主を満足させる。活性化は半年に1回。
・Dクラスを参加させることは、『彼』を傷つける振る舞いなどが考えられるため推奨されない。教養と態度に関するテストを受けたC級以上の財団職員を参加させるべきである。
・『彼』は様々な人との交流を望む。そのため舞踏会に参加する職員は定期的に入れ替えることが望ましい。
・家主である『彼』は財団に協力的であり、「時代に取り残された自分」を気遣い交流してくれる財団の人々に感謝の念すら抱いている。『彼』は孤独であり、舞踏会以外の時間は誰とも時を共有することができない。
・『彼』自身は屋敷の外へ出ることができない。しかし外界の生物・物品は屋敷内へ入ることができ、その際に外見は「大正時代らしく」変化する。
例)人間は旧時代の燕尾服や軍服、ドレスといった、「舞踏会をするにふさわしい」服装になり、言葉づかい、態度、倫理観や科学観も大正時代のそれとなる。ただし当人に元の時代の記憶は残っているため、自分自身の違和感に気づくことができる。 貨幣は、例えば100円玉は100円札へと変化する。500円玉は当時なかったので100円札5枚に。文書は当時の書式(右書きカタカナ多用)に変化する。当時なかった機械類は、主にスチームで動く「何か」に変化。など。
【活性化状態の屋敷へ入った職員の変化(20XX年活性化時の最新報告)】
・大和博士→服はドイツ皇族の軍服に変化。態度が若干大仰になった。
・餅つき→服は女学生の制服に変化。読みかけでポケットに入れていた文庫本はゲーテの詩集に変化。
・差前→服はインバネスコートと古ぼけた燕尾服に変化。彼が持ち込んだ中古の懐中時計(大正X年製造)は新品同様の状態へ変化。『彼』が興味を示し、値段交渉の末購入された。
・前原→服は当時流行っていた舞踏会用のドレスへ変化。性格がつつましやかになり周囲を困惑させる。
・カナヘビ→どこかへいなくなる。代わりに凛々しい姿の青年将校がどこからか現れる。彼に素性を問うと「帝国陸軍少尉XXXX」と京訛りで名乗る。カナヘビ関連のことについて訊いてもまったく知らない様子で、その場の状況にも困惑していたが、「自分はこの舞踏会に参加しなければいけないような気がする」と言って最後まで参加。不活性化後に姿を消す。カナヘビは屋敷外で昏睡しているのが発見される。
・屋敷の活性化が終わると、会場だった部屋は元の部屋へと戻り、部屋内の人々の服装なども元へと戻る。『彼』は不活性化と共にその場から消える。『彼』いわく、不活性化のときは「ひとりきりの屋敷」で孤独な時を過ごしているらしい。
・活性化中に屋敷から持ち出されたものは、不活性化してもそのまま残る。また、活性化中に屋敷内へ侵入した人や物は、その間に屋敷外へ出ても変化が持続し、その状態で不活性化した場合、元に戻ることができなくなる(このせいで「大正っぽく」なってしまった職員が数名)。
・『彼』へのインタビュー記録などが残っているが、舞踏会の最中に記録し活性化途中に持ち出したものであるため、旧文法書式となっている。
・財団(の前身組織)がこのSCPを認知し活性化時の記録を残しているのは18XX年からである。ちなみに大正時代は1912年から。
・20XY年、舞踏会に参加した財団職員Y女史に『彼』が非常に興味を示し、他の参加職員に素性を問う。既に彼女に婚約者がいると知った『彼』はショックを受けた顔で数度頭を振り、屋敷は不活性化。その後も舞踏会は定期的に開催されているが、『彼』の表情は毎度芳しくなく、今後なんらかの異常事態が起こる可能性がある。
・『私だけ、置いていかれてしまった。私だけが、この時代に。』
SCP-XXX-JPは文字列中に存在する魚の顔文字です。主に日本語カナの「ゆ」を元にして.*・゜ゅゆ作られます。SCP-XXX-JPは無害ですが文章中を自由に泳ぐことができ、繁殖もするため書類がSCP-XXX-JPで.。*・゜ゅゆゅゆ埋まることが*・.。:*・゜ゆゅゅゆゆゅありゆ
※このSCPの種は神山博士のロッカーに収容されました(ロッカーさん記事化ありがとうございます!)※
「帝国」の人買い。丑三つ時に馬車を走らせ、売られた人間の顔の皮を剥ぐ。皮と名を奪われた人間は「帝国」の人間に売り飛ばされる。昔そんな小説を書いたのだがどこかに行ってしまった……発掘したらそれを元に書きたい。
同名の童謡のオチが怖かったので。複数の色がかけているクレヨンのセット。描いた物がその色に変わる。例えば、Aさんを描こうと思いながら絵を描くとして、その際に肌色がなくて緑色を使った場合、Aさんの肌が緑色に膨張する。カエル肌~~。
フォロワーさんの田嗣様が書かれたSCPを、より記事らしくなるよう、私なりに推敲させていただきました。
不足していると感じた部分は私の想像で補完しています(勝手にすみません!)。
あくまで例というか、「串間がアレンジするとこんな感じか~」程度に思っていただければと。参考になれば幸いです。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準型倉庫に収容されています。収容する際は床へ直接接触させてはいけません。対象の通風穴へロープ(50kg以上の重量に耐えられるもの)を通す形で天井から吊るしてください。収容室の床と対象の距離は常に1m以上の高さを設け、対象が落下した際に備え、床から50cmの高さに床と並行になるよう金網を張ってください。使用・実験する場合はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。現在、SCP-XXX-JPの実験に関わった職員は、接触から13日以内にクラスA記憶処理を受けることが義務付けられています。
説明: SCP-XXX-JPは日本国内で使用される一般的なマンホールの蓋に見えます。直径75cm、重さは50kg、鋳鉄製で、素材自体に異常性は見られません。SCP-XXX-JPは水平な地面に設置してから13分経過すると活性化状態となります。
活性時のSCP-XXX-JPは、表面上に開いた合計22個の通風穴から定期的な金属の消費を必要とします。48時間以内に13kg以上の金属消費がされなかった場合、未知の方法で周辺の金属を無差別かつ強制的に引き寄せます。引き寄せられた金属はSCP-XXX-JPと接触すると即座に融解状態となり、穴へと吸収されます。金属の吸収から数分~数時間が経過するとSCP-XXX-JPの設置された地面直下に空間が形成されます。この空間が出来るまでの時間と中身は、消費した金属の種類により異なります。
実験記録XXX-1 - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象に鉄13kgを消費させる。
結果: 約2時間で独房に似た空間を形成。
実験記録XXX-2 - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象に純金13kgを消費させる。
結果: 約1時間半で毛皮の絨毯、大理石の床などを備えた「高級ホテルのような」空間を形成。メイドと執事の服装をした人型存在が確認されたが、DNA鑑定の結果、身体は未知の物質で出来ていることが確認された。2体は人型収容室に収容済み。両者共に摂食・排泄・呼吸などを必要とせず、日本語・英語での会話が可能。話しかければ丁寧な言動で応対するが、個人名や経歴に関しては解答を拒否している(インタビュー記録XXX-2を参照)。
実験記録XXX-3 - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象にマグネシウム13kgを消費させる。
結果: 約15時間で空間を形成。中を確認するためDクラス職員に開孔させたところ内部の気体が爆発。Dクラス職員および、傍で実験を監督していた██研究員の2名が巻き込まれ、火傷・全身打撲などの原因により死亡した。
付記: 以降マグネシウムを使ったSCP-XXX-JPの実験は禁止する。 -██博士
実験記録XXX-4 - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象に、ヒトの血液などから精製した鉄13kgを消費させる。
結果: 約██時間で生物の内蔵内に酷似した空間を形成。中では強酸性の液体が確認された。DNA判定の結果、空間はヒトの体組織で出来ていることが判明した。
実験記録XXX-5 - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象に金属を消費させなかった場合の反応を観察する。
結果: 実験開始後48時間が経過した時点で地面直下に空間を形成したものと推測されるが、直後[編集済]。実験班員およびサイト内の職員を巻き込み死者6名、重軽傷者34名を出したため実験は中止された。
付記: 以後SCP-XXX-JPを水平な地面に設置したまま48時間以上放置することを禁止する。 -██博士
補遺: SCP-XXX-JPの実験に参加した職員██人が実験から13日後に同時刻での錯乱(例として記憶の混濁、支離滅裂な言葉を叫ぶなど)を起こしていたことが判明しました。クラスA記憶処理で回復可能であることが確認されたため現在は全員復職していますが、以降のSCP-XXX-JP研究チームからは除外されました。
・記事には「オブジェクトクラス」「収容プロトコル」「説明」の項目(必要ならば「実験記録」「インタビュー記録」「補遺」なども)が必要です。改稿にあたり、どの文がどの部分にあたるのかを整理してみました。
・「収容プロトコル」はご存じのとおり、財団がオブジェクトを収容する際の手順書です。この部分は収容スペシャリストたち(要は技術者さんたち)が読むので、彼らが収容室や収容器具を作りやすくするためにも、極力詳しく書く必要があります。彼らは基本的に「説明」の部分(どんなオブジェクトなのか)を読まないで作業するので、なおさら分かりやすい記述が求められます。
田嗣さんの原稿では「スタンドに立たせる」ということになっていましたが、落下して収容室の床下に空間を形成してしまう危険性があると感じたため、天井から吊り下げる方法に変更してみました。もっと安全な収容方法があるかもしれません。ぜひ考えてみてください。
・最後の「実験に関わった職員が13日後に錯乱してしまった」→「けど記憶処理で一応どうにかなった」という部分を収容プロトコルにも反映させました。記憶処理にはいくつかのレベルがありますが、今回は暫定でクラスA記憶処理としています。
・オブジェクトの素材について加筆。ウィキペディアの「マンホールの蓋」の項目などを参考にしました。ネットでも文献でも良いのですが、こうした下調べは記事のリアリティに繋がります。
例えば私の書いたSCP-332-JP(生理用タンポン)では、実際に薬局へ行ってパッケージがどうなってるか確認したり、製品のHPを検索して各部分の名称などを確認しました。子宮に関わる病気なども調べた憶えがあります。おかげで自分の教養も深まりました。やったね!
・「実験の結果約48時間に1回13kgの金属を消費することが確認されました」という部分が読みづらく感じたので、私なりに想像を膨らませ、「48時間以内に13kgの金属を消費させないと、自分から手当り次第に周りの金属を吸収しはじめる」性質を付加しました。これで実験記録5の大惨事に説得性を持たせられると思います(要は人間の体内金属を吸収しちゃうので、職員たちはその犠牲になってしまったのだと、読者は想像できるはずです。たぶん。)。
・メイドと執事の記述を詳細にしてみました。彼らへのインタビュー記録なども追加すれば、記事により深みが出るかもしれませんね。彼らはオブジェクトに関して何か知っているのか?それともただそこにいるだけなのか?読者は気になることでしょう。もちろん、あえて書かないのも手です。
・マグネシウム実験で被害者が出てしまったことにしました。どの程度の爆発だったのか、読者が想像しやすくなったと思います。
・最後の実験の被害者数ですが、40名の実験班は少し人が多すぎる気がしたので、サイト全体を巻き込んで収容違反させちゃいました。ちなみに収容室のある「エリア████」を「サイト-81██」に変更してありますが、サイト-81群は日本国内の財団施設に宛がわれるナンバーとされています。
他にも細かい記述の追加や、表現の変更をしました。逆に不必要と感じたため削除している文や単語もあります。
何度も繰り返し出てくる単語は重複を避け、オブジェクトの形状や性質、実験記録はなるべく詳細に、そして分かりやすく書くことを意識してみてください。作者の考えるものと同じものが、読者の脳内でも想像できるような記事が理想です。
また、「この記事の魅力はなんなのか?」作者自身が把握していることも重要です(そこを明確に設定していなかったがために改稿するたび迷走してしまい、削除されてしまった記事を日本支部でも時々見かけました)。本記事の場合、「金属を飲み込み空間を形成するマンホールという不思議さ」「人にも被害を及ぼしかねない恐ろしさ・危険さ」が見どころでしょうか。他にどんな魅力を付加できるか、田嗣さんの腕の見せ所です。
ツイッターでも書きましたが、勝手に手を加えたりとかなり厚かましいことをしてしまっていますね…申し訳ないです…!アイデア自体は非常に魅力的だと感じたので、ぜひより良い記事になればと思っています。長文失礼しました!
SCP-366-JPとして投稿したお(・ω・)!
以下ボツ案。しばらく残しとく。Taleにするか人事に移すか迷い中。
インタビュー記録XXX(1960/10/26)
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: Dクラス職員(日本人 男性)
付記: このインタビュー記録は実験記録XXX-06としてもナンバリングされます。インタビュアー(挑戦者)には録音装置と発信機、無線を取り付け、ひとりでSCP-XXX-JPへ上らせました。SCP-XXX-JP-1はインタビュアーの幼馴染である女児の姿で出現しました。
<録音開始>
インタビュアー: [短い悲鳴] びっくりさせるなよ!
SCP-XXX-JP-1: ご、ごめんね、███(インタビュアーの本名)くん!
インタビュアー: お前……██(女児のあだ名)ちゃんか?ほ、ほんとに、こんな。SCP-XXX-JP-1: そうだよ。久しぶりだね、えへへ。
インタビュアー: いや、[悩むように唸る声]あの研究員どもの言ってたことが本当なら……お前は██ちゃんじゃねえはずなんだ。ああ、そうだ。
SCP-XXX-JP-1: ███くんがそう思いたいなら、それでいいよ。けど、あたしは知ってるんだ。
インタビュアー: な、何をだよ。
SCP-XXX-JP-1: 例えば、███くんが5年生のときおねしょしちゃったこと。お母さんに知られないようにお庭でお布団干してたの、うちの2階からこっそり見えちゃったんだ。それから、机に給食のパンしまってカビさせちゃって、██(2人の共通の友人)くんのせいにしたこととか。██くん泣いちゃって、あたし後で怒ったの、覚えてる?
インタビュアー: そ、それは。
SCP-XXX-JP-1: 全部2人だけの秘密。誰にも話してない、あたしたちだけの内緒の話。だから、あたしはあたしだよ。信じてくれないの?
インタビュアー: くそ、こええよ……なんなんだよ、ちくしょう![階段を駆け下りる音] ……は?
SCP-XXX-JP-1: ああもう、そうやってすぐ逃げようとして。[ため息] ███くんの悪いクセよね。いつも都合の悪いものは隠そうとするんだもん。
インタビュアー: くそ、階段が……終わらねえ、なんでこんなに長くなって……ちくしょう!おい先生、これマジでおかしいって!!助けてくれよ!!
源口研究員: すまないが、これは実験だ。対象と可能な限り会話を続けたまえ。大丈夫、君は無事に戻ってこられるよ。これまでの被験者もそうだった。
インタビュアー: くそっ……こんなの██ちゃんじゃねえ、顔もうまく見えねえし。こええよ……。
SCP-XXX-JP-1: 大丈夫だよ。あたしのこと、信じて。
インタビュアー: くそっ、くそっ。
SCP-XXX-JP-1: 下品な言葉使わないの、もう。ねえ、███くん。一緒にグリコしない?ほら、学校の帰りに、一緒にやったじゃない?
インタビュアー: 分かったよ……ああ、覚えてるよ。そいつをやったら、帰してくれるんだな?
[以降約15分間、ゲームが行われる。途中女児とインタビュアーの幼少期の思い出話などを含む雑談があったが割愛]
インタビュアー: 本当に██ちゃんみてえだ。なんだか怖いのも収まってきたぜ。
SCP-XXX-JP-1: ふふ、よかった。さ、次いくよ。じゃんけんぽん。
インタビュアー: お、俺の勝ちだな。パ、イ、ナ、ツ、プ……よし、あがりだ!
SCP-XXX-JP-1: ああ、負けちゃった!███くんは相変わらずじゃんけんが強いなぁ。すごいや。
インタビュアー: ははは、そうだったっけか?さて……てっぺんまで無事上がってこれたな。俺はようやく解放してもらえんのか?
SCP-XXX-JP-1: うん、その前にね。勝ったご褒美に、今の███くんが秘密にしておきたいものを1つだけ、あたしが隠してあげる。
インタビュアー: 秘密にしておきたいもの?
SCP-XXX-JP-1: うん。「おまじない」で、なんでも叶えてあげられるよ。さあ、言ってみて。
インタビュアー: [30秒ほどの沈黙] それは、どんなもんでも隠せられるのか?お前は、そういう妖怪か何かなのか?
SCP-XXX-JP-1: あはは、妖怪じゃあないよ。あたしは███くんのための、あたしだよ。
インタビュアー: [80秒ほどの沈黙] 分かった。じゃあ、「俺」を隠してくれ。このくそったれな財団から。この世の中から。
SCP-XXX-JP-1: ……うん、いいよ。それが、君の望みなら。
<録音終了>
終了報告書: インタビューの後、SCP-XXX-JP-1は「おまじない」を唱え消失。インタビュアーが目視出来なくなりました。無線、発信機の通信も途絶したため、すぐさま現場周辺の探索が行われましたが今日まで発見されていません(1982/08/22追記)同県██市内の森林で近隣住民により死後数週間ほど経過した遺体が発見され、検査の結果、実験記録XXX-06のインタビュアーであると確認されました。付近には洞穴を利用した簡易的な住居が作られ、使い古された日用品、少量の食糧などが置かれており、インタビュアーが長期的に生活していたと推測されます。-源口博士
他職員様の裏設定、小ネタなどをメモしておく場所。
・育良の吸ってる銘柄はアメスピのメンソールライト。大和はセブンスター。
腐女子とは意地汚くしかし節操を持ちつつラフレシアのようにむせ返るような腐臭を恥じらいながら群がる蠅を手懐けるが良し。
蠅もまた我が貪欲なる意志の末端なり。
わなざわから教えてもらったからここに貼っとく。
見出しを作る(+++ [見出し文(記事タイトル)])→見出し文の位置にh.ttp://(記事アドレス)#toc(数字)というアドレスのアンカーが出来る
料理長が言ってたコードすげえ。
消えるかな
消えると良いな
くまさんが言ってた「前のページに戻る」ボタン。
わなざわが言ってた下げるやつすげえ。
[[div style="position: absolute; bottom:-10000px;"]]テキスト[[/div]] で囲むと一番下から10000px下に表示されるようになります 一ページで記事のレイアウトを見せたい時便利かなって
最近なんだかおかしい。俺が関わる事案、派遣された仕事、行く先々で災難に見舞われる。それも決まって「トイレ」に関することで問題が発生するんだ。なにがどうなってやがる。-エージェント・厠
エージェント・厠をトイレの存在する施設へ派遣することは許可されていません。エージェント・厠を該当施設へ派遣した場合、98%以上の確率で、致命的ではないにせよ屈辱的事案が発生します。-████博士
じゃあ俺はどこで用をたせばいいんだ?-エージェント・厠
世の中には非常災害用の簡易トイレというものもありますよ-物部博士
物部教授はSCP-███-JPに対するエージェント・厠との共同作戦中、屈辱的事案に遭遇しました。追って通達されるまでの間、物部教授が泣いていても、理由を尋ねることは禁止します。-████博士
簡易トイレでも事案発生の報告がされています。およそトイレとつくものは彼に支給しないように-虎屋博士
なんだよ、ひと稼ぎできるかと思ったのに-エージェント・差前
オーケー、簡易用も含めてトイレは諦めたよ。だがな、せめて紙をくれ、紙を!-エージェント・厠
現在、臨時設立した対策班("紙の裁き")によって、エージェント・厠にちり紙などの衛生用品を支給するかどうか話し合いが行われています。本人の協力も得ていくつかの実験が行われ、数日以内に結果が通達される予定です。-████博士
※厠さん、全てのトイレで事案になるのはさすがにお話書くとき動かしづらいので、洋式トイレを使おうとすると必ず何かが起こる謎の呪いにかかった不憫野郎とかだといい。
帝国まとめは、原作者様が記事を削除されたため、この砂場のものも見えないようにしました。
※もう一度見たい方、情報が欲しい方は、ページのソースからご覧になれます。
販売員ミヨコとイワナガ美容組合
販売員ミヨコとイワナガ美容組合について。
他の方が砂場で考えて下さっていることや、記事やTaleで書かれたこととも辻褄を合わせつつ、まとめてみました。
もちろんより面白い案があれば、ぜひ出していただけたらと思います。また、今後の関連記事・Tale執筆の参考になれば幸いです。
【ミヨコ関連オブジェクト・Taleまとめ(2016/02/22時点、串間が把握している限りで)】
332-JP 串間の記事
187-JP 串間の記事
896-JP boatOBさんの記事
924-JP boatOBさんの記事
437-JP to2to2さんの記事異海観航 soilenceさんのTale
ビジネスの時間 kidonoiさんのTale
化粧い桜に紅を差す to2to2さんのtale
【販売員ミヨコ】
・「販売員ミヨコ」とだけ名乗り、コスメティック商品などを勧めてくる販売員。顧客の前では「イワナガ美容組合」に所属していることをほのめかしている。
・ドラッグストアやデパートの化粧品売り場で自社製品の宣伝をしていたり、個人宅を一軒ずつ訪問し販売する昔ながらの方法を取ることも多く、日本全国での出没が確認されている。またboatOBさんの記事では、彼女の足取り、活動などは、彼女とメールや電話にてやりとりを行った顧客の残存データから端々を読むことができる。
【ミヨコの販売する商品の共通点】
・主に女性をターゲットに、化粧品・美容製品・食品サプリメントなどを販売している。
・基本的にピンクのパッケージである(男性向け商品はこの限りではないのかもしれない)。
・販売元や成分表示などはない。
「ブランドや成分などで判断していただきたくはないのです。商品そのものの効能で、お客様に満足していただける自信がございましてよ。」 -ミヨコ販売員
私自身はこれまでに332-JP、187-JPを執筆していますが、いずれもあくまで「女性のためを思って」製造された商品として書きました。ミヨコ関連オブジェクトを考える際は、女性の気持ち、あるいは使用者の気持ちに立って考えてみると良いかもしれません。
「生理は煩わしい!なくなっちゃえばいいのに!」「肌荒れなんて我慢ならない!美人になりたい!」それらの使用者の願望を、ミヨコなりに汲んだ結果があれらのオブジェクトです。というかメタ的なことを書くと、どちらも私が普段考えてることを、ちょっぴり歪ませてホラー仕立てにした結果があれらです。
そしてもうひとつ共通することは、生理用タンポンのように、「消費者の願望は叶えていても、結果的には不幸をもたらす」商品が多いことです。彼女らが作るのはあくまで「消費者の願望に応えるための商品」なのであって、「役に立つ商品」ではないのです。
「生理なんてうざい、なくなればいい」「恋人に理想の容姿になってほしい」などの願望・欲望は叶えてくれる。けれど、それが本当にその人のためになるのかは考慮されていない。「貴女がそう望んだことに私たちが協力してあげて、その通りにしてあげた。ほら幸せでしょ?」というスタンスです。
極端な「歪んだ善意」によって、イワナガ美容組合の製品は成り立っていると考えられます。そして顧客側はミヨコに唆されるがまま、今まで胸の内に隠してきたドロドロとした欲望や異常性癖を次第に解放させてしまいます。提供された商品を欲の赴くままに使うことで、ある人は大切なパートナーを傷つけ、ある人は己自身を破滅に追い込んでしまうのです。
【イワナガ美容組合】
・名前はkidonoiさんが提案してくれたもの。イワナガヒメの伝説が元ネタ。
・その規模、従業員数、会社の所在地、どれもこれも不明。ただ従業員は全員「ミヨコ」を名乗る(男も女も。ただし容姿はバラバラなので、社員同士はそこで同僚の見分けをつけている)。これはto2to2さんのTaleから。187-JPとも整合性が取れますし、私はとても良い設定だと思います(もちろん他の名前の社員を出すのも構わないと思います。私の中では、ミヨコの上司として”ヨモツ課長”などを考えていました)。
・社員の服は(商品開発部などの研究員以外は)標準的なスーツ姿だと思われるが、女性社員はピンクのネッカチーフ、男性社員は水色のネクタイを共通して身に着けている。
【裏設定】
裏設定というか、今までぼんやり考えてはいたけれど記事にもTaleにもしてこなかった内容を、この際なのでまとめました。執筆に役立ちそうなことから、どうでもよさそうな小ネタまであると思いますが、参考までに。
・本物(オリジナル)のミヨコの本名は「磐長 美与子(イワナガ ミヨコ)」です。
「そのまんまじゃねえか!」 -エージェント・俺
「いいじゃん、安直なほうが覚えやすいさ。」 -俺研究員
→名前は当初、「黄泉」を逆読みしてコを付けただけの安直なものでしたが、上記のとおり今は彼女らしい漢字を当ててあげるのが良いかなと思っています。・彼女は1970年代に20代を過ごしています。30前後で外見年齢は止まっています。私が考えている外見は、70~80年代前半のアイドル風の髪型(聖子ちゃんカット的な)で、ピンクの逆三角形型スーツ(肩の張ってるアレです)にタイトな同色のスカート、水色のスカーフを纏った30代前後の美しい女性です。常に笑顔が接客業の基本、彼女もきっと笑みを絶やさないことでしょう。
・彼女の実家は愛知県豊橋市の小さな製薬会社「磐長製薬」です(豊橋にしたのは単に私の地元に近いからです。かつては海軍工廠があった隣市の豊川と共に「軍都」と呼ばれ、WW2末期には空爆被害もありました。現在は東海道新幹線が通り駅前は開発されているものの、そこから外れれば田畑や山林も残る典型的な地方都市です。しかし作中で明確に実在地名を出すのが憚られるなら黒塗りや架空の市町村でも構いません。この地でなければならない理由も今のところありません。ただ戦後の三河地域は、海軍所有地が民間企業や自衛隊に買い取られ、そのまま現在まで発展してきた工業地帯でもあるので、小さな製薬会社が発展するのには良い立地かもしれません)。
・美与子の両親は共に薬剤師の免許を持っていました。父が社長。化粧品の開発・販売を取り入れたのは母の発案です。2人の姿を見て育った美与子は、家業を手伝い化粧品販売員として働くようになります。これが前述の20代頃。(このあたりの設定は私の中でも未だ漠然としているので、soilenceさん作の異海観航などを参考に発想を広げていただけたらと思います)。
・その後、空白の期間があります。恐らく父に代わって彼女が社長となり、製薬会社の方針が変わっていったのであろう時期ですが、何があったのかは分かりません。異常性を持つ化粧品の数々を製造する技術も、この時期に手に入れた(ないし開発した)可能性が高いですが、もしかしたら父の代で既に予兆はあったのかもしれません。
・現在。会社は経営形態を変え、名を改めました。「イワナガ美容組合」。助け合いと慈善の精神を持ってお客様のご要望にお応えするのが使命であると「ミヨコたち」は固く信じています。本社の場所は移転したのかもしれませんし、依然豊橋市のどこかにあって、見つからないよう対策がされているのかもしれません。そして本物のミヨコは社長(組合長?)として、依然指揮を執っているのだと思います。
・拙作187-JPで使用し、boatOBさんの896-JPで使っていただいたキャラクター、鳥山研究員と源口博士はミヨコ関連オブジェクトに携わることが多いようです。特に鳥山は、ミヨコを追いかけることに執念を燃やしているかも(と作った私は思っています)。

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▼サイト-81██内託児所
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