整理用
アイテム番号:SCP-543-JP
オブジェクトクラス:Safe Euclid
特別収容プロトコル:SCP-543-JPは現在エリア-8168にて、耐熱性の無機材で作られた64㎥の専用収容室に収容されています。SCP-543-JPを肉眼、またはカメラや写真などを介して視界に捉える行為は、必ずlevel3以上の職員3名の許可を取ってから行うようにしてください。なお、室内に配備されている監視カメラはSCP-543-JP本体は映していませんが、監視カメラの位置を動かすことは許可されません。室内はエリア-8168付近の気候と同等の環境を維持してください。 SCP-543-JPには常に当実験に関与したDクラス職員を室内に最低1名を配備してください。
実験の際はlevel2以上の職員2名の許可を取り、室外に職員1名を待機させた上で、Dクラス職員、またlevel4以上の職員3名以上の同意を受けた人物を用いて行われるようにしてください。SCP-543-JPに暴露した人物に何らかの異常が見られた場合、直ちにBクラス記憶処理を行い、精神鑑定の結果に問題が無ければ元の勤務先に戻してください。また他の人物との接触を要求した場合は、精神鑑定を行い、問題が無ければ面会を許可します。なお、記憶処理等の影響が見られず、SCP-543-JPに暴露した人物に凶暴性が見られた場合は直ちに終了してください。
追記:室内には常に、4つのあらゆる角度からの照射が可能な光照射機、即効性の高い3台のエアーコンプレッサー、即効性の高い2台の加湿器を配備してください。また、これらの設備に何らかの故障が見られた場合は、直ちに当実験に関与した経験のあるDクラス職員が交換を行ってください。室内の環境を常に███県██市███区に建設された███市立███高等学校の3-1と書かれた教室内と同じにしてください。また、███市立███高等学校の付近の環境は常にSCP-543-JP担当の職員が把握出来るようにしてください。SCP-543-JPの束の中で、一輪でも枯れた状態になった花が発見された場合は、実験を行った全てのDクラス職員、SCP-543-JPを視覚に捉えた事のある職員、███市立███高等学校19██年3-1卒業生に精神鑑定を行い、異常が見られる人物には、財団によるBクラス記憶処理の後、カバーストーリーを確立してください。または記憶処理等の影響が見られず、凶暴性が見られる人物は直ちに終了してください。
説明:SCP-543-JPは19██/03/01に███県██市███区の███市立███高等学校の3-1と書かれた教室にて発見された15cmの花束です。当時██市を訪ねていた職員によって確保されました。現在███市立███高等学校は廃校となっています。また███市立███高等学校を解体する試みは全て失敗に終わっています。SCP-543-JPは市販品の紙に、シレネ、ミモザアカシアの花、アスター(青)、アラマンダ、ルリタマアザミ、[編集済]が束ねられている形をしています。香りや触感はどの花も通常の花と何ら遜色はありません。また人間以外の生物に影響はありません。
SCP-543-JPの異常性は、SCP-543-JPを肉眼、またはカメラや写真などを介して暴露した際に見られます。SCP-543-JPに暴露した人物は、出生前1から現在までの全ての意識、記憶を思い出します。実験を行った全てのDクラス職員はその場で倒れ伏し、著しい知的退行の傾向が見られました。その後Bクラス記憶処理を施す事によって知的退行を防ぐ事には成功しましたが、暴露したDクラス職員へのインタビューにより、思い出した記憶は一切忘れていない事が判明しました。
以下は20██/██/██に実験を行ったDクラス職員に対するインタビューです。
対象:D-█████
インタビュアー:エージェント███
付記:D-█████はインタビューの前日にBクラス記憶処理を受けている。実験前のD-█████は精神的にも不安定で財団内での職務にも非協力的であった。
<録音開始>
エージェント███:おはようございます。D-█████
D-█████:おはようございます。
エージェント███:気分はどうですか。
D-█████:気分ですか。悪くないですね。(笑いながら)エージェント███:何か自分の体に異常はありませんか?
D-█████:異常? 全部、思い出しただけです。それ以外には何もないですよ。
エージェント███:思い出したことを具体的に教えてください。
D-█████:具体的にって言ったって…(数秒沈黙) 全部です。全部。
エージェント███:全部、とは?
D-█████:全部は全部です。母の体から生まれてきた感触も、子供の時に覚えた公式も全部。ああ、あれは悪くない思い出でした。(暫くの間沈黙) ああ、今思い返せば、なんてクソッタレな人生でしたか。
エージェント███:暴露した瞬間の気分はどうでしたか。
D-█████:あれは最悪だ!(立ち上がって) 頭の中が爆発しそうだった!
エージェント███:どうか落ち着いて。
D-█████:落ち着いています。今の私は、この人生の中で一番落ち着いています。ねぇ先生、私はちゃんと生きていますよ。
エージェント███:……インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書:その後D-█████を含む実験の後に記憶処理を受けた全てのDクラス職員は財団の活動に協力的な姿勢を見せる事が多くなった。
補遺1:D-█████によるインタビューの結果やその後の実験を行い、記憶処理を施され、精神に異常が見られなかったDクラス職員達の行動は、SCP-543-JPによって、意識、記憶全てを思い出した事で、暴露した人物に何らかの性格の変化が起こると考えられます。
現在SCP-543-JPを、精神的に不安定、またその他言動のいづれかに問題のある職員に対して故意的に用い、協力的な職員にするための考察が進められています。
補遺2:19██/01/██に、SCP-543-JPの新たな異常性が存在する可能性が発覚しました。大きな寒波が日本を囲み、例年より数度低い気温が続く日の中の一日に、監視を行っていたD-█████より、SCP-543-JPが萎れかけている、と報告がありました。担当の職員は直ぐにD-█████に他に異常は有るか調べさせましたが、D-█████は、ただ萎れかけているだけだ、としか報告をしませんでした。その直後にD-█████はSCP-543-JPの収容室の扉を開けるよう要求しました。担当職員は許可しませんでしたが、D-█████は扉を強引に開けようと扉に攻撃を始めました。室外で待機していた職員が扉を開け、D-█████を止めたことで、室内へ外界の空気が流れ込みました。D-█████がSCP-543-JPの花が色を取り戻しつつあったと述べた事を聞いた███博士は、室温を2度まで下げるように指示をしました。後にSCP-543-JPの色が完全に戻ったことをD-█████が述べました。
この日のエリア-8168の付近は陽が当たっていて暖かかった。きっとこの花束はまだ、あの教室に飾られていると思っているのかもしれない。 ―― ███博士
補遺3:20██/██/██に行われた実験によって、SCP-543-JPの新たな異常性が判明しました。
実験内容:SCP-543-JPに暴露した後に記憶処理を施し、精神に異常が無いと判断したDクラス職員によって、SCP-543-JPの束の中から[編集済]を数輪取り出します。
実験結果:D-█████が[編集済]数輪に触れた瞬間に[編集済]は萎れ、やがて塵になり消えました。その瞬間にD-█████を含む6名のDクラス職員と3名のCクラス職員と2名のBクラス職員に異常が見受けられました。
その場で倒れたD-█████は、呼吸困難の症状に陥り、その後[編集済]。その間、D-█████は体を動かさずに全身の痙攣を繰り返していました。その他10名も同じような姿で発見されました。
前述のDクラス職員6名、Cクラス職員3名、Bクラス職員2名全員が、SCP-543-JPに暴露した経験がある事が後に判明しました。
また、SCP-543-JPを用いた実験によってSCP-543-JPに暴露した職員はこの限りではありません。今実験において見られた異常性と、朽ちたSCP-543-JPの部位、被害に合う職員に関する規則性は見受けられず、未だ不明です。
その時の彼らはまるで、生きる方法を忘れているようだった。―― エージェント██
付記:実験中も室内は植物にとって生命活動をするのに不自由しない環境であった事をここに記しておきます。 当日、SCP-543-JPの収容室は全ての外界から遮断されていました。
未だ不明な点を検討するにあたり、SUP-XXX-JPをEuclidクラスに再分類する許可を要請します。―― ███博士
許可します。 ―― O5