Appendi_Eublepharis
評価: 0+x
larva.jpg

SCP-XXX-JP幼体

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP生体はバイオサイト-66で管理されます。あらかじめ昏睡状態で医学的に低温安定させ、疑似冬眠状態に保ったDクラス職員を用いて、SCP-XXX-JPの個体数維持を行います。SCP-XXX-JPがステージ3に到達したと判断された時点で、新たなDクラス職員を用意します。SCP-XXX-JPの羽化が確認され次第、羽化したSCP-XXX-JP成体を回収し、それまで使用していたDクラス職員を焼却処分します。維持及び研究に必要な数を残して、過剰に発生したSCP-XXX-JPは焼却処分してください。

各種医療機関や陰謀論者のコミュニティなどを監視し、SCP-XXX-JPの宿主となっている人間を捜索します。SCP-XXX-JPの除去が可能な段階での発見に成功した場合、外科的手法を用いてSCP-XXX-JPを除去し、記憶処理を施してください。必要に応じてカバーストーリー 陰謀論/記憶に影響する奇病難病 が適用できます。

ステージ3によって最小意識状態に陥った一般人に対して快復の試みが続行されます。対象は医療サイト-██に収容し、延命治療を行います。収容の際には、周囲の人間に対して必要に応じてカバーストーリー 難病治療のための入院 が適用できます。

説明: SCP-XXX-JPは人間の脳に寄生し異常な影響を引き起こす、Diptera目Cecidomyiidae科に分類される未知の昆虫です。SCP-XXX-JPの生態は概ね以下のサイクルに表されます:

  • ステージ1: SCP-XXX-JP成体は人間(以下宿主)の耳道へ進入し、鼓膜付近に平均して15個程度の卵を産み付けます。卵は半日から2日で孵化し、孵化した幼体は宿主の体組織を喰い破り大脳内へ侵入します。侵入に際して、SCP-XXX-JPは麻酔効果を持つ物質1を分泌するため、この時点で宿主が寄生に気付くことは困難です。
     
  • ステージ2-1: 侵入したSCP-XXX-JPは宿主の脳組織の摂食を開始します。この時、SCP-XXX-JPによって脳組織が破壊される速度に比例して、宿主のエピソード記憶の一部が失われます。喪失現象と、摂食部位に相関は見られません。
     
  • ステージ2-2: SCP-XXX-JPが摂食を開始してから凡そ260-400時間が経過2すると、SCP-XXX-JPを内側から食い破り、新たなSCP-XXX-JP幼体が平均して10-20匹程度3出現します。これらの個体も同様に、脳組織を摂食し、幼生生殖4により個体数を増やします。
     
  • ステージ3: 宿主の脳組織の3割程度が失われた時点5で、SCP-XXX-JPは共食い傾向を見せます。また、このステージのSCP-XXX-JPは脳組織の摂食より共食いに行動の軸を置いているように見えます。個体数が凡そ30を下回った時点で各SCP-XXX-JP幼体は宿主の耳や鼻、目の周囲の組織を食い破り外界へ逸出、蛹化の段階を踏まずに成体へと羽化6します。

明確に脳組織が破壊されているにも関わらず、ステージ2においてはエピソード記憶の喪失現象を除いて宿主に異常は見られず、概ねこれまで通りの生活を送ることができます。また、喪失現象は宿主が当時強い感情を想起させられたエピソードに対して優先的に発生しているように見え、喪失時にはその感情を取っ掛かりにして宿主に「記憶が失われている」ことに気付かせることがあります。しばしば宿主はエピソード記憶の喪失により、「秘密組織によって記憶を改竄された」と思い込み、これを強く主張するようになりますが、これまでに確認されたほぼ全ての事例において、少なくとも財団が彼らに記憶処理を施した記録は確認されていません。

ステージ3におけるSCP-XXX-JPの羽化と前後して宿主は昏倒し、最小意識状態に陥ります。現段階でこれを快復する手段は確立されておらず、またSCP-XXX-JPの特性に鑑みて将来的にも快復の見込みはありません。

SCP-XXX-JPはGoI-054-JP「Seeker in The Fog(STF, 霧の探求者)」として知られる要注意団体の拠点襲撃の際に回収されました。SCP-XXX-JPは培養ビンに入った状態で保管されており、ビンのラベルにはM-041という文字列が印字されていました。

インタビュー記録抜粋: 以下は回収時に拘束されたGoI-054-JP構成員へのインタビュー記録の抜粋です。

質問者: Mina Tarumiマイナ・タルミ研究員
対象: 霧の探求者構成員"Ameliaアメリア7"(本名:君島 風音)。記憶の欠落を根拠に、2016年初夏頃に記憶の改竄を受けたことを主張しているが、実際にはこの記憶処理は行われていない8

<抜粋開始>

Tarumi研究員: さて、改めてSCP-XXX-JP─あの寄生生物について説明してください。

Amelia: 私たちの記憶が奪われていることを教えてくれる素晴らしい生き物だと先輩から聞いている。

Tarumi研究員: なるほど、ありがとうございます。

Amelia: 3年前に私から奪った記憶を返して!

Tarumi研究員: 前向きに検討させていただきます。ところで、彼らがあなたの記憶を「食べて」いたことについては認識していますか?

Amelia: えっ。

Tarumi研究員: 彼らは人間の思い出を杜撰な形で食い散らかします。結果的に寄生された宿主は「失っていた記憶」の存在に気づいてしまう形になるようですよ。

Amelia: [俯き、反応を返さない]

Tarumi研究員: 我々の調べた限りでは、あなたが2016年ごろに何らかの事件に巻き込まれ、我々によって記憶に作用する薬品の投与やそれに準ずる外科的処置などが行われたという記録は存在しません。霧の探究者に参加する以前のあなたは、紛れもなく一般人であったのでしょう。

Amelia: そんな、嘘だ……。

<抜粋終了>

GoI-054-JP構成員であった君島氏は情報収集の終了後、SCP-XXX-JPを除去し、記憶処理を施した上で解放されました。STFによる再度の接触の可能性が存在するため、監視部隊ζ-19が配置されています。