Apathystのサンドボックス
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP感染個体は標準人型収容房に収容されます。個体の維持に必要な食事、運動、睡眠といった基本的な生活行動を依頼の体裁をとって指示してください。それら依頼の達成が確認できたら謝意を伝え、SCP-XXX-JP感染個体に低度の充足感を与えます。この一連の手順は記録した映像と音声を用いて間接的および非同期的に行われるようにします。
SCP-XXX-JP感染個体の活性レベルが標準域から逸した場合、4時間以内に活性レベルの改善が確認できなければその翌日中までに活性化または沈静化のための臨時処置を施します。活性レベルが中央基準値±5を4時間以上維持できるまで継続的に調整を行ってください。臨時処置の施策にあたっては別紙に定める標準化規則を参照してください。

説明: SCP-XXX-JPは破滅的献身性をもたらすミーム感染です。SCP-XXX-JP感染個体は援助の対象に感謝されたと認識する1ことで非常に強力な充足感を得るようになります。自身の全ての活動を援助行為に注いで依存するあまり、仕事などの社会的活動やそれにまつわる義務や権利さえも手放し廃人と化します。

感染個体の性格は柔和になり自己中心性が著しく減退します。援助を必要とする者を発見するか他者からの依頼をきっかけとして、以降は利他行為に執着するようになります。ひとたび渇望が生じると、充足感の獲得によって一時的に沈静するものの時間の経過に伴って再度渇望が生じ、当該個体を際限なく利他行為へと駆り立てます。この反復サイクルを重ねるたび感染個体の得る充足感は鈍化していき、渇望の再現周期も短縮されていきます。
この反復サイクル末期に至っては自己中心性は消失し、自身の生命活動さえも放棄されます。その一方で、感染個体は高密度に反復サイクルが満たされている内は栄養摂取・休養・排泄・呼吸などのあらゆる生命活動を必要としなくなり、なおも生き続けます。

この不死的な特異性の発現と前後して、感染個体がわずかに発光する2ことが分かっています。不明な動力源との関連性について調査が続けられています。

SCP-XXX-JPは社会性を持つ生物間で謝意をきっかけとして感染します。感染個体の利他行為に対し"謝意を表した"別の個体は、それを認識した感染個体が充足感を獲得すると同時にSCP-XXX-JPの症状を発症します。ただし、これには当事者間で認知の同期が行われなければ成立しません。一方で、同期性が保証された環境では物理的な距離にかかわらず感染することが確認されています。

SCP-XXX-JPは治療が可能です。渇望と充足の反復サイクルを断つと、やがて断続的に離脱症状3が現れ、次第にSCP-XXX-JPの作用が弱まり最終的に除去されます。治療にあたってはSCP-XXX-JPの起源や感染個体を用いない再現方法が未解明であることに留意して下さい。

補遺: