クレジット
タイトル: SCP-1383-JP - 永遠の魔法少女、あるいは腐食した希望
著者: ©︎AnHatoriji
作成年: 2018
アイテム番号: SCP-1383-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1383-JPは現在、サイト-81██の6m×4m×3mの特別収容室内にある30cm×30cm×30cmの透明なアクリルケースの中に収容されています。収容室内は常に喚起を行い、室温を22~24°C、湿度を45~55%に保持してください。天井の4隅及びアクリルケースの4隅に監視カメラを設置し、SCP-1383-JPに破損の兆候SCP-1383-JP-Aが発生しないか24時間体制で監視してください。通常時、収容室のドアは施錠し、実験以外の目的で職員が収容室に入ることは禁じられています。また、隣室にはテスト1383-JPを合格したDクラス職員1名を配備させてください。
SCP-1383-JPが破損SCP-1383-JP-Aが発生した場合、隣室に配備したDクラス職員1名を収容室に入れて、SCP-1383-JPが破損しないように、専用の薬品を使用してSCP-1383-JP-Aを除去させてください。収容室のドアは施錠し、室内のDクラス職員以外は部屋から離れて下さい。SCP-1383-JP-Aが完全に除去された後は、再びSCP-1383-JPをアクリルケース内に収容してください。SCP-1383-JP-Aの除去中にSCP-1383-JPが破損した場合は、破損確認後、約10分経過したら収容室に入り、SCP-1383-JPをアクリルケース内に収容してください。
説明:SCP-1383-JPは高さ20cmのUV樹脂製の人形です。20██/4/██~20██/3/██に放映していた児童向けアニメ██████に登場するキャラクター、████の姿を模っています。
SCP-1383-JPは、2~3週程度の周期で、「両目」に該当する部分よりSCP-1383-JP-Aを発生させます。SCP-1383-JP-AはUV樹脂が錆色に変色したものであり、他の生物や物質が触れても特に異常は発生しません。SCP-1383-JP-Aは発生すると約0.6cm2/秒の速度でSCP-1383-JPの表面上を広がります。SCP-1383-JP-Aはステロイド、プロスタンディンを含ませた特殊な薬品を使用することで除去することが可能です。
SCP-1383-JPが物理的に破損、もしくは表面積の約80%がSCP-1383-JP-Aに覆われると、消失イベントが発生します。消失イベントが発生すると、SCP-1383-JPに最も近い位置の人物(以下SCP-1383-JP-1)が新たなSCP-1383-JPへと変容します。SCP-1383-JP-1から変容したSCP-1383-JPはすべての部位がUV樹脂で構成されており、それ以外の有機物は見られません。また、SCP-1383-JP-Aは完全に除去された形になります。
以下に消失イベントの様子を示します。
経過時間(分:秒) |
SCP-1383-JP |
SCP-1383-JP-1 |
0:00 |
破損する |
頭痛の発症を訴える |
1:00 |
変化なし |
全身の痛みを訴える
(特にSCP-1383-JPが破損した部位の痛みを訴える) |
1:30 |
変化なし |
激しく痙攣する
同時に、皮膚上にケロイド状の炎症が急速に広がる |
3:00 |
発泡現象と共に溶解する |
身体・骨格・頭髪等が溶解、集積し、粘度の高い物質に変容する |
6:30 |
溶解と同時に乾燥していく |
徐々に縮小しつつ、形を成型していく |
10:00 |
完全に消失する |
新しいSCP-1383-JPになる |
SCP-1383-JPは収容当初、異常性は破損時の消失イベントのみと考えられ、Safeクラスとして分類されていました。しかし、後述する事案1383-JP-1の発生により、SCP-1383-JP-Aが発見され、Eucridクラスオブジェクトとして再分類されました。それに伴い、特別収容プロトコルが現在の形に更新されました。
実験記録1383-JP-1 - 日付20██/05/10
対象: SCP-1383-JP、D-42154
実施方法:SCP-1383-JPとD-42154を同じ部屋に配備する。D-42154がSCP-1383-JPを右脚をもぎ取る。
結果: SCP-1383-JPの分解後、D-42154の身体は収縮・変形、SCP-1383-JPに変容し、元のSCP-1383-JPは消失した。変容中のD-42154は特に右脚の痛みを強く訴えていた。
実験記録1383-JP-2 - 日付20██/05/13
対象: SCP-1383-JP、D-42161
実施方法: SCP-1383-JPとD-42161を同じ部屋に配備する。D-42161がSCP-1383-JPを拳銃により破壊する。
結果: SCP-1383-JPの破壊後、 D-42161の身体は収縮・変形、SCP-1383-JPに変容し、元のSCP-1383-JPは消失した。変容中のD-42161は、特に胸部の痛みを訴えていた。これはD-42161がSCP-1383-JPを狙撃した部分と一致する。
実験記録1383-JP-3 - 日付20██/05/15
対象: SCP-1383-JP、D-42173、D-42175
実施方法: SCP-1383-JPとD-42173、D-42175を同じ部屋に配備する。SCP-1383-JPに近い位置にD-42173を、遠い位置にD-42175を配置し、D-42173がSCP-1383-JPの右腕をもぎ取る。
結果: SCP-1383-JPの破壊後、 D-42173の身体は収縮・変形、SCP-1383-JPに変容し、元のSCP-1383-JPは消失した。変容中のD-42173は、特に右腕の痛みを訴えていた。
実験記録1383-JP-4 - 日付20██/05/18
対象: SCP-1383-JP、D-42196、D-42200
実施方法: SCP-1383-JPとD-42196、D-42200を同じ部屋に配備する。SCP-1383-JPに近い位置にD-42196を、遠い位置にD-42200を配置し、D-42200がSCP-1383-JPを拳銃により破壊する。
結果: SCP-1383-JPの破壊後、 D-42196の身体は収縮・変形、SCP-1383-JPに変容し、元のSCP-1383-JPは消失した。変容中のD-42196は、特に頭部の痛みを訴えていた。これはD-42200がSCP-1383-JPを狙撃した部分と一致する。
実験記録1383-JP-5 - 日付20██/05/23
対象: SCP-1383-JP、D-42235
実施方法: SCP-1383-JPの収容室の隣室にD-42235を配備する。SCP-1383-JPの下部に火薬を仕掛け、遠隔操作にて爆破・破壊する。
結果: SCP-1383-JPの破壊後、 D-42235の身体は収縮・変形、SCP-1383-JPに変容し、元のSCP-1383-JPは消失した。変容中のD-42235は、特に下半身全体の痛みを訴えていた。
事案1383-JP-1 - 日付20██/05/23
概要: 実験記録1383-JP-5の終了後、当時新人だった██研究員がSCP-1383-JPを回収、再度収容を行う途中で SCP-1383-JP-Aが発生。██研究員はそのままSCP-1383-JP-1となった。
以下は収容室内に設置された監視カメラの記録である。当時は実験の担当者として、安藤主任研究員が収容室内を監視していた。
<事案記録>
██研究員: [SCP-1383-JPを運搬用ケースに入れた状態で持って、収容室内に入室する]
██研究員: [収容室中央のアクリルケースを開け、運搬用ケースからSCP-1383-JPを取り出す]
██研究員: [アクリルケース内にSCP-1383-JPを収容する]
██研究員: [収容室内の湿度、温度などを点検、その後、再度SCP-1383-JPを確認]
██研究員: 安藤主任、聞こえますか。
安藤主任: 安藤だ、SCP-1383-JPに何があった。
██研究員: 私の気のせいかもしれませんが、SCP-1383-JPの目元に変化があるようなんです、もう少し、ここに残って確認してみます。
安藤主任: わかった、ただし、SCP-1383-JPに破損の兆候が現れたらすぐにそこから出るんだぞ。
██研究員: [約2分間SCP-1383-JPを確認、叫び声と共に後ろに転倒する]
安藤主任: どうした、██。
██研究員: 錆……錆です!!
安藤主任: 錆?そいつは樹脂製のはずだぞ。
██研究員: 本当です!!錆が……徐々に広がってるんです!!
安藤主任: [舌打ち]██、早くそこから出ろ!!
██研究員: 腰が……抜けて……
安藤主任: ああくそ!![連絡電話を取る]こちら安藤!!SCP-1383-JPに異常発生!!大至急、Dクラス職員をつれて……
██研究員: [アクリルケースのところまで這い、立ち上がると、SCP-1383-JPを取り出す]
注: この時点でSCP-1383-JPの表面積約50%以上がSCP-1383-JP-Aに覆われていた。
安藤主任: おい██、何やってるんだ!!
██研究員: [ハンカチを取り出し、SCP-1383-JPを拭きだす]これを……拭き取れば……
安藤主任: 馬鹿!!早くそこから離れろ!!
██研究員: ……取れない……ひひ、と、取れない……
安藤主任: ██!!聞こえてるのか██!!
██研究員: だ、ダメだ……全然、取れない!!
安藤主任: ██!!聞こえてるのか██!!
██研究員: [笑みを浮かべる]
注: この時点でSCP-1383-JPの表面積約70%以上がSCP-1383-JP-Aに覆われていた。
安藤主任: ██!!██!!
[消失イベントが発生]
[Dクラス職員を連れた機動部隊が到着する]
安藤主任: 畜生!!
特記: 変容中の██研究員は全身を掻きむしっていた。本事案発生後、安藤主任は監督責任を問われ、始末書の提出、SCP-1383-JP研究から解任されました。
補遺:SCP-1383-JPが発見された切欠は、20██/04、██県内の██市で発生した行方不明事件でした。最初に行方不明になったのは██美也子みやこという当時13歳の女性です。市内の███総合病院にて、皮膚病の治療のために入院していましたが、20██/04/03に行方不明になりました。目撃情報によると、行方不明になった後の彼女に使用していたベッドの枕元にSCP-1383-JPが存在していた模様です。その後、20██/04/04~05/07にかけて██美也子の父親██昇のぼるをはじめ、██市の住民計█人が連続して行方不明・変死したため、事件の異常性から財団のエージェントが調査を開始しました。20██/05/08、██市住民の高木氏宅にて、SCP-1383-JPを回収しました。回収時に、SCP-1383-JPを目撃した者達や事件の関係者に対してBクラス記憶処理を施しました。
対象: 倉田 █(███総合病院に勤務する看護士、30代男性、美也子の担当看護師の一人)
インタビュアー: エージェント・室戸
付記: SCP-1383-JP回収の翌日に、雑誌の取材と称して行われました。
<録音開始>
エージェント・室戸: 最初に行方不明になった██美也子ちゃんとその父の██昇さんについて何か覚えてますでしょうか。
倉田氏: はい、よく覚えてます……[ため息]。美也子ちゃんの事は当然ですが、昇さんもほとんど毎日見舞いに来てましたからね、昇さんもいなくなったと聞いた時は本当に驚きました。
エージェント・室戸: お見舞いに来ている時の昇さんの様子はどうでしたか?
倉田氏: 当然ですが、常に美也子ちゃんの病状に気にかけて、焦っていたように見えました。見舞いに来るたびに、明らかにやつれていきまして、痛々しく感じましたね。
エージェント・室戸: それは、美也子ちゃんの病状が芳しくなかったから、でしょうか?
倉田氏: はい、美也子ちゃんのかかった病気なんですが、██████炎と言いまして、ケロイド状の炎症が体中に広がって、最終的に器官にも広がる、相当な難病なんです。確実な治療方法が無く、今のところ完治させることはできません。最悪の場合、死に至ります……正直、美也子ちゃんが快復する見込みはありませんでした。
エージェント・室戸: なるほど、それは……辛い話ですね。
倉田氏: 伝える側としても、辛かったですよ。それでも、美也子ちゃんはめげませんでしたね。「████みたいに、がんばるから」っていつも言ってました。後、昇さんの持ってきたぬいぐるみ、片時も離しませんでしたね。あれが心の支えになったのでしょう。ただ、いつの日からかな……昇さんの様子が少し変わったんですよ。
エージェント・室戸: 変わった?どのようにですか?
倉田氏: あくまで私の主観なのですが……何か希望を見出したようなそんな雰囲気でした。たまに美也子ちゃんに「もうすぐだよ」とか「████になれるよ」とか話しかけていたのを見たことがあるのですが、ニコニコとしてまして、何と言いますか、悲愴感が無くなったようでした。
エージェント・室戸: 何か、昇さんに話は聞きましたか?
倉田氏: いえ、雰囲気が変わったように見えただけですので、特に話は……ああ、そうだ、昇さん、前は私達にねぎらいの言葉をかけてくれましたが、様子が変わってからほとんど話しかけてくれなくなりましたね。それに、こちらから話しかけても、黙ってそそくさと帰るばかりで、見舞いの品も持ってこなくなりました。まあ、こうなったのも、昇さんが精神的にすっかり参ってしまったからだと、私は思ってます……[ため息]。
エージェント・室戸: それで、あの行方不明事件が起きた時は、昇さんの様子は如何でしたでしょうか。
倉田氏: これが妙だったんです。昇さん、そんなに悲嘆にくれた感じではありませんでした。
エージェント・室戸: どういうことでしょうか。
倉田氏: 美也子ちゃんがいなくなった後、昇さん、美也子ちゃんのベッドの傍で座り込んでいましてね、声をかけたんですが、「いや、この子を美也子の代りとして、今しばらくは過ごしますから」と言って、枕元に置いてあった人形を撫でていたのを覚えてますね。ショックのあまりの行動とも思いましたけど、その時の昇さんが穏やかな笑みを浮かべていて、すごく不気味に感じました。
エージェント・室戸: 確かに、一人娘がいなくなった人の行動としては妙ですね。
倉田氏: それで、その人形を持って帰ったのですが、後は貴方もご存知の通りですよ……あ、そういえば、美也子ちゃんがいなくなる2週間ぐらい前かな、何回か、変な男を連れて来てましたね。
エージェント・室戸: 変な男?
倉田氏: はい、真っ白な服を着た人でしてね、なんというか、胡散臭い雰囲気の青年でして、美也子ちゃんのお見舞いに来たらしいのですが、ずっとニヤニヤしてましてね。それも、美也子ちゃんの傍に行ってもですよ。
エージェント・室戸: その男について、何か詳細はご存知ですか?
倉田氏: たしか、ヒロシさんという昇さんのいとこで、海外で働いているらしいんですが、うーん、それ以外のことは……。
エージェント・室戸: わかりました、本日はお忙しい中、ありがとうございました。
倉田氏: いえいえ。
<録音終了>
メモ: 録音終了後、倉田氏にはAクラス記憶処理を施しました。
██昇の親族を調査したところ、インタビュー中にでてきた「ヒロシ」と一致する人物はいませんでした。
現在、財団は██昇の行方不明事件発生前後の行動と、「ヒロシ」と名乗った男性について調査しています。
クレジット
タイトル: SCP-XXX-JP - 私ゲジゲジ群
著者: ©︎AnHatoriji
作成年: 2018
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aは現在、サイト-81██にある標準人型オブジェクト収容室に収容されています。収容室内の気温は約27°C、湿度は約60%、照度は5~10lxに保ってください。SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aにはゴキブリ目もしくはバッタ目、鱗翅目の動物を食餌として提供してください。
依頼XXX-JPが要請された場合、レベル3以上の職員の承認を得てからSCP-XXX-JP-Aを外出させてください。また、外出時にはSCP-XXX-JP-Aには義眼をつけさせてください。
外出中は監視役として必ず機動部隊は-20"街の落とし子"をつけて下さい。外出中のSCP-XXX-JP-Aには節足動物に嫌悪感、不快感を抱く職員や害虫駆除の担当職員、殺虫剤を近づけないでください。また、職員達はSCP-XXX-JP個体を死亡させないよう、注意してください。
依頼XXX-JP遂行中にSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aが逃走及び敵対的行動に出た場合、機動部隊は即座にSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aを無力化し、再収容してください。再収容以降は依頼XXX-JPの申請は不可能となります。
説明: SCP-XXX-JPは全長約7cmのゲジ(Scutigeromorpha)の一種です。外見や習性、生態は一般的なゲジと変わりはありませんが、物質代謝、エネルギー代謝の効率は一般的なゲジの約3.1倍です。
SCP-XXX-JP単体では異常性は見られませんが、群を形成した場合、異常性が発現します。SCP-XXX-JP同士が接続状態にある場合、何らかの刺激を与えると、刺激されたSCP-XXX-JP個体の触覚及び歩脚から瞬時に神経伝達物質及び各種ホルモンを分泌し、接続している別のSCP-XXX-JPに新たな刺激を与えます。新たに刺激されたSCP-XXX-JP個体は、伝達された物質に応じて異なる反応を示します。反応によっては口腔から以下に代表される、人間の生命活動に必要な物質を生成します。
このような刺激の連鎖反応により、SCP-XXX-JP群は筋肉、頭脳、神経系、血管等の役割を果たします。SCP-XXX-JP群は人間の体内に入り込み、上記の性質を利用することで、皮膚、脂肪組織、骨格以外の内臓と置き換わり、人間に擬態することが可能です。この擬態後の姿をSCP-XXX-JP-Aとします。
SCP-XXX-JP-Aは内部のSCP-XXX-JPが栄養を確保できていれば健康状態が悪化しないため、通常の人間と同様の食事を取る必要はありません。また、どのような傷を負っても、SCP-XXX-JPの活動により、自己修復することが可能です。そのため、内部を構成するSCP-XXX-JPが全て死滅しない限り、活動停止することはありません。ただし、乾燥した気候や、寒冷な気候、強い光、プールや海などの大量の水がある場所を苦手としています。
SCP-XXX-JP-Aの口腔や鼻腔、耳孔、眼孔、[編集済]、[編集済]からSCP-XXX-JPが自由に出入りすることが可能です。また、SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPに指示し、行動させることが可能です。敵対する対象が現れた場合、SCP-XXX-JP-Aより大量のSCP-XXX-JPが出現し、対象に群がることで攻撃します。それ以外では、転倒するなど、SCP-XXX-JP-Aに衝撃や遠心力等を与えると、高確率でSCP-XXX-JPが体外に零れ出ます。
現在まで、SCP-XXX-JPが擬態したSCP-XXX-JP-Aは財団に収容されている1体以外、発見されていません。各国の財団支部の協力の下、他にSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aが存在しないか、調査中です。
補遺1: 現在、財団に収容されているSCP-XXX-JP-A個体(以下、SCP-XXX-JP-A-1)の外見は10代後半の女性と同様です。目は普段は前髪に覆われてよく見えませんが、眼球が存在していないことが確認できます。身長は174cm、体重は██kgと平均的な女性よりも高身長かつ痩身です。
SCP-XXX-JP-A-1は自身の事を「佐伯 純さえき じゅん」と呼称し、人間の女性として振舞っています。皮膚、脂肪組織、骨格以外の内臓器官は全てSCP-XXX-JP群が担っていますが、声や知能、運動能力、感情は一般的な10代女性と変わりがありません。また、娯楽鑑賞、芸術鑑賞も嗜むことができます。
SCP-XXX-JP-A-1は事あるごとにゲジがいかに素晴らしい益虫であるか、熱心に説明します。特に、初対面の人やゲジに嫌悪感や不快感を持つ相手程、熱心になる傾向にあります。これらの説明にはミーム汚染などの異常性はありません。また、ムカデ(Chilopoda)に対して強い憎悪を示し、ゲジとムカデを混同されると激しく憤慨します。
SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-A-1が発見、収容された切欠は、20██/08/12、千葉県██市にて「害虫駆除に来た女からゲジゲジが零れ出てきた」との通報が地元警察に来たことです。この通報者が利用した害虫駆除業者を調べたところ、インターネット上にて以下の広告が見つかりました。
害虫駆除ならお任せあれ!!!!
ゴキブリ、ハエ、ダニ、シロアリも!!!!
冷蔵庫の下、棚の裏、隅から隅まで根こそぎ退治!!!!
化学物質完全不使用!!環境にもとっても優しい!!
害虫にお困りのあなた!!験者組に御連絡を!!!!
広告にリンクされていた簡素なWebサイトに記載の電話番号(070-████-████)から連絡を取ると、こちらが指定した場所にSCP-XXX-JP-A-1が来訪したため、そのまま確保となりました。
インタビュー記録XXX-1 -20██/08/22
対象: SCP-XXX-JP-A-1
インタビュアー: 泉水せんすい研究員
付記: インタビュー当時はSCP-XXX-JP-A-1自体がSCP-XXX-JPと考えられていました。また、SCP-XXX-JP-A-1は常に大きな声で話していました。
<録音開始>
泉水研究員: それではSCP-XXX-JP……
SCP-XXX-JP-A-1: ちょっと待ってくださいっ。私っ、「佐伯 純」という名前でしてっ、SCP-XXX-JPと呼ばれましてもっ、まだちょーっと、むむむっ、となると言いますかっ。
泉水研究員: ここの決まりなんですから、我慢してくださいよ。
SCP-XXX-JP-A-1: せめてっ、今回だけ"佐伯さん"って呼んでくださいませんかっ。
泉水研究員: [ため息]わかりました、ちょっと聞いてみます。あー、すみません。[インタビュアーがレベル4クラス職員に確認をとっている]わかりました、失礼します……了解が出ましたよ、今回だけですからね。
SCP-XXX-JP-A-1: ありがとうございますっ、いつかきっちり恩返ししますっ。
泉水研究員: 別にいらないですよ。それでは改めまして佐伯さん、なぜ、害虫駆除業をやっていたのですか?
SCP-XXX-JP-A-1: はいっ、それはですねっ、ゲジゲジの力で皆さんのお役に立つことによってゲジゲジのイメージアップを図ると同時にっ、私の御飯を確保っ、そして生活費を稼ぐこともできるっ、という正に一石三鳥のスーパーグッドアイデアだったんですよっ。
泉水研究員: 確かに佐伯さんの意志と生態を考えると、いい考えだと思います。ただ、結局通報されてしまいましたが……。
SCP-XXX-JP-A-1: ええっ、なぜ通報されたんでしょうかっ。
泉水研究員: 多分、貴方の身体からゲジゲジが出てきたからではないでしょうか。
SCP-XXX-JP-A-1: ああっ、転んだりしたときの拍子でっ……でもでも、出てきたとしてもゲジゲジじゃないですかっ。益虫ですよっ、益虫っ。
泉水研究員: [4秒間の沈黙]やはり、ムカデなどを連想させるからじゃないでしょうか。
SCP-XXX-JP-A-1: [奇声]やっぱりムカデ共のせいですかっ。あいつらのせいでこっちも猛毒持ってるみたいに言われてるんですよっ。酷い風評被害ですっ、ムカデ滅ぶべしですっ。
泉水研究員: ムカデがいなくなってほしいのは理解できます……ところで、貴方の所属していたこの「験者組」には何人ぐらい従業員がいたのですか?
SCP-XXX-JP-A-1: あっ、私1人でやってましたっ。
泉水研究員: えっ。
SCP-XXX-JP-A-1: アイデアが思いついたら即行動に移しましてっ、手持ちのスマホでHP作ってっ、広告つくってっ、頑張りましたよっ。
泉水研究員: [ため息と10秒間の沈黙]このような害虫駆除業を営業するには資格が必要であることはご存知ですか?
SCP-XXX-JP-A-1: ええっ、害虫駆除って勝手に始めちゃダメなんですかっ。それって、すぐ取れる物なんですかっ。
泉水研究員: 防除作業監督者の資格が必要ですよ。少なくとも2年間、現場作業を経験して、講習を2回を受けないと取れません。
SCP-XXX-JP-A-1: ううっ、私としたことが気持ちばかりが先走ってしまってっ……ゲジゲジ達に申し訳ないですっ……あっ、そうですっ。
泉水研究員: うん?どうしたんですか?
SCP-XXX-JP-A-1: 特別にっ、ここ限定で害虫駆除担当として雇ってくれませんかっ。ゲジゲジ達の力で役立てたいんですっ、お願いしますっ。
泉水研究員: あー、うん、後で上の方に掛け合ってみますよ。
SCP-XXX-JP-A-1: ありがとうございますっ、ありがとうございますっ。名前の件といいっ、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ございませんっ。
泉水研究員: いいですよ、それぐらいでしたら……そういえば、駆除業を1人でやってたって言ってたけど、佐伯さんと同じように体がゲジゲジでできてる仲間はいないのですか?
SCP-XXX-JP-A-1: うーんっ、いたら万々歳なのですがっ、会った事はありませんねっ。
泉水研究員: わかりました、今回のインタビューはこれぐらいにしておきましょう。
SCP-XXX-JP-A-1: ありがとうございましたっ……あっ、ちょっといいですかっ。
泉水研究員: [ため息]今度は何ですか。
SCP-XXX-JP-A-1: [水抜きのような仕草で、耳孔から6体のSCP-XXX-JPを出す]
SCP-XXX-JP-A-1: よろしければっ、この子たちをぜひっ、研究に役立てて下さいっ。
泉水研究員: [5秒間の沈黙]検討します。
<録音終了>
終了報告書: その後、SCP-XXX-JP-A-1の検査と、SCP-XXX-JP-A-1の提供したゲジゲジ6体を用いて実験した結果、SCP-XXX-JPの本体はSCP-XXX-JP-A-1ではなく、内部を構成するゲジであると結論付けました。また、レベル3以上の職員間での協議の結果、各サイト管理人より害虫駆除の依頼(依頼XXX-JP)が要請された場合、レベル3以上の職員の承認を得たうえで、機動部隊を監視につけ、逃走や反抗したら厳罰という条件で、SCP-XXX-JP-A-1をレベル0相当の非常勤清掃職員として雇用することに決定しました。
それにしても、彼女は今までどうやって暮らしてきたのだろうか。―――泉水研究員
インタビュー記録XXX-2 -20██/11/06
対象: 佐伯 ██
インタビュアー: エージェント・久保田
付記: A-1の自称と同姓同名の「佐伯 純」が2年前の20██/9/15より失踪している事が20██/10/21に発覚しました。そこで、その母親である佐伯 ██氏に雑誌の取材という体裁でインタビューを行いました。
インタビューを行う際、A-1の写真を佐伯氏に見せると、激しい動揺と共に、娘に相違ない旨を話しました。
<録音開始>
エージェント・久保田: 落ち着きましたか?
佐伯氏: はい、取り乱してしまい、すみませんでした。
エージェント・久保田: いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。それでは、まず、純ちゃんはどのような娘だったのでしょうか?
佐伯氏: はい、あの子はシャイで大変物静かでした、それで、いつもニコニコとしてて、暗い所を見せない……子でした。
エージェント・久保田: 彼女に何かご趣味はございませんでしたか?
佐伯氏: はい……あの子はとても虫好きでして、小学の時から昆虫図鑑とか読んでいました。最初はいろんな蜘蛛の姿を面白がってまして、次第に、暮らしに良い虫についていつも嬉々として話すようになりまして……高校に入って自分で昆虫同好会を立ち上げて、ホームページも作って、私に自慢したこともありました。
エージェント・久保田: それはすごいですね、彼女がそこまで熱心になった切欠があったのでしょうか。
佐伯氏: 多分、ですけど……あの子はとても背が高くて、いつも周りからからかわれてました。それで変わった姿の虫に、なにか心をつかまされたのかもしれません……ですが……[5秒間の沈黙後、すすり泣きだす]
エージェント・久保田: どうしましたか?
佐伯氏: ……あの子の趣味は、周りに理解されなかったのです。それで彼女は年を経るにつれ、孤立していったのです……それでもあの子は微笑みをわすれなかった……私には明るく振舞って……[泣声]
エージェント・久保田: ……苦しいと思いますが、純ちゃんに何があったのか話していただけないでしょうか。
佐伯氏: [7秒間の沈黙]はい、あの子の異変に気付いたのは、体育の授業で突然倒れたと、連絡が来てからでした……あの子のお見舞いに行ったとき、あの子の友達の██さんが来て……[すすり泣き]全部、全部話してくれたんです、あの子が、遭っていたいじめの内容を[泣声]。
エージェント・久保田: ……続けていただけますか。
佐伯氏: あの子は……いきなり、周りから、「毛虫」とか「ムカデ女」とか呼ばれるようになって……お弁当の中に、虫の死骸を入れられて、笑われて……倒れた時も……水筒にムカデを入れられて、それを……!![嗚咽]
エージェント・久保田: 彼女は、何も言わなかったのですか。
佐伯氏: あの子は、私に心配かけまいと……微笑み続けて、病院でも……。
エージェント・久保田: 純ちゃんに対する仕打ちは立派な犯罪です。
佐伯氏: [5秒間の沈黙]……私は学校に訴えました、警察にも訴えました、ですが、全て無駄でした。
エージェント・久保田: 何があったのですか。
佐伯氏: いじめの主犯格は……教育委員会長の、██さんの息子と、弁護士の██さんの娘の2人でした……証拠がもみ消されていたのです……そればかりか、私も周囲から冷たい目で見られるようになりました。それで、夫と相談して、あの子の退院と合わせるように引っ越す事に決めました。それで……引っ越しの前の日に、いなくなったんです……。
エージェント・久保田: その時、彼女に何か変わりはなかったのですか。
佐伯氏: その時も、いつもと変わらず微笑んでいました。
エージェント・久保田: ……今回の取材はこの辺りで終わりにしたいと思います。本日は、非常心苦しい思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。
佐伯氏: はい、ありがとうございました……あの、1つよろしいでしょうか。
エージェント・久保田: 何でしょうか。
佐伯氏: ……その写真の子にお会いすることはできないでしょうか。
エージェント・久保田: [5秒間の沈黙]申し訳ございません、写真だけで詳しい消息は私共もつかめていないんですよ。
佐伯氏: わかりました。
<録音終了>
終了報告書: その後、佐伯氏にはBクラスクラス記憶処理を施しました。その後「佐伯 純」いじめの主犯格2名を調査したところ、現在は別々の大学に進学しており、特に周囲に異状なく暮らしていることがわかりました。
インタビュー記録XXX-3 -20██/11/10
対象: SCP-XXX-JP-A-1
インタビュアー: 泉水研究員
付記: インタビュー記録XXX-2を受けて、SCP-XXX-JP-A-1に佐伯 ██氏を写真をみせて、既知であるか確認を取りました。また、SCP-XXX-JP-A-1は常に大きな声で話していました。
<録音開始>
SCP-XXX-JP-A-1: すみませんっ、全然知らない方ですっ。
泉水研究員: [10秒間の沈黙]そうですか。
SCP-XXX-JP-A-1: お役に立てずっ、すみませんっ。
泉水研究員: いや、十分役には立ってますよ……ところで、なんでA-1は「佐伯 純」と名乗っているのですか?
SCP-XXX-JP-A-1: そうですねっ、意識が芽生えた瞬間っ、びびびーっと「私は佐伯 純だっ」って電撃が走る感じがしましてっ、それで持ってるスマホをみたら登録名も「佐伯 純」となってましたので、名乗るようになりましたっ。
泉水研究員: ……わかりました、ありがとうございます。
<録音終了>
終了報告書: インタビュー後、SCP-XXX-JP-A-1の表皮細胞とSCP-XXX-JPのDNAを調べたところ、異なることが判明。以上の結果から、SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP‐Aに擬態するとき、擬態元のDNAを何らかの方法で読み取り、頭脳を司るSCP-XXX-JP群の分布が決定されることで、知識や知能、自我を生み出すものと推測されます。
現実はドラマのようにはいかないものである。―――泉水研究員
ごめんなさい、これはちょっとしたいたずら心です。
おかあさん、ごめんなさい
私はずっと、ずっと、嘘をつきつづけていました
そして、今もついています
もう、本当のことを明かすことはできないのでしょう
それに、明かしたとしても
結局はお母さんに迷惑をかけてしまうでしょう
今は、私は人間じゃなくて、ゲジゲジの群れだからです
お母さん
ごめんなさい
きっと、もう、会えないですね
※これを見つけた皆さんへ
どうか、私の昔のことについて、もう触れないでください
私はもう、皆様の言うSCPオブジェクトなのです
私は暗い所が好きですが、生きるのは明るい方が好きなんです
よろしくお願いします
補遺2: 20██/12/30、担当職員以外の不明な人物によって、本報告書が更新されたことが判明しました。報告書内にて、編集された部分は見つかりませんでしたが、アクセスした人物について、現在調査中です。
from: 上野博士
to: 泉水研究員
件名: SCP-XXX-JPについて
泉水研究員 様
お疲れ様です。上野です。
SCP-XXX-JPの報告書を拝見させていただきましたが、いくつか疑問を感じております。
1つに、ゲジゲジ自体がSCP-XXX-JPであるならば、その起源にどこにあるのでしょうか。
野生に存在した、もしくは日創研の大馬鹿どもが創りだしたものならば、もうすでに他のSCP-XXX-JP、SCP-XXX-JP-Aが見つかっているはずです。日本はおろか、他の国でもいまだに見つかっていないのはおかしいです。
次に、なぜ、SCP-XXX-JP-A-1は「ゲジゲジの良さを普及する」という行動をとっているのでしょうか。
もし、SCP-XXX-JP、SCP-XXX-JP-Aの個体数を増やすためであるならば、秘密裏に殺人を起こした方が効率が良いはずです。A-1のやり方では、あまりにも遠回りすぎます。
それに、SCP-XXX-JP-Aは人間に擬態した姿とのことですが、それならば、A-1はなぜあれほどまでに落ち着きがないのでしょうか。A-1独自の個性であるとしてもいくら何でも危機感というものがなさすぎるのではないでしょうか。
そして、SCP-XXX-JP-A-1のパーソナリティはどこに由来するのでしょうか。
報告内ではSCP-XXX-JPの自我は、擬態元のDNAから由来されるとありますが、DNAの影響はあくまで頭脳を司るSCP-XXX-JP群の分布だけです。それだけであのA-1の妙なパーソナリティが数年で形成されるとは考えにくいです。
SCP-XXX-JPは個体では少し特殊なぐらいのゲジゲジであればなおさらです。それが組み合わさるだけで、果たして、人間同様の自我が生まれるのでしょうか。
以上を鑑みると、どうしてもゲジゲジ自体をSCP-XXX-JPであるとすることに、どうしても疑念が持たれます。まだ、当初通りA-1をSCP-XXX-JPであり、それを構成するゲジゲジ群がSCP-XXX-JP-Aだとした方がまだわかりやすいでしょう。
起源についての詳細が未解決である点を除けば、ですが。
引き続き、泉水研究員はSCP-XXX-JPの全貌について調査をお願い致します。
上野博士
クレジット
タイトル: SCP-XXX-JP - 子供時代のメトロノーム
著者: ©︎AnHatoriji
作成年: 2018
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPはサイト-81██にある標準Safeクラスオブジェクト収容ロッカー内に保管されています。ロッカーより取り出す場合はレベル24セキュリティクリアランス以上の職員の許可が必要です。また、年に1度、ロッカーから取り出し、レベル2セキュリティクリアランス以上の職員の指示に従って、機動部隊む-30"湾岸王"の監視の元、メンテナンスを行ってください。
説明:SCP-XXX-JPの外観は、██社製19██年製造の機械式メトロノームです。外観、内部構造共に一般的な機械式メトロノームと同一です。後述の条件を満たさない場合、振り子を動かしてもSCP-XXX-JPは起動しません。
SCP-XXX‐JPは以下の条件を全て満たして、振り子を動かすと起動し、通常の機械式メトロノームの挙動を示します。
- 目盛りが60~72の間に合わせてある
- SCP-XXX-JPより半径2m以内に、年齢が30歳以上の人物が1人(以下、この人物を曝露者とする)がいる。
- 曝露者の心拍数が50~70である。
SCP-XXX-JPが活性状態になると、曝露者から以下の反応が検出されます。
- アセチルコリンの増大
- 筋肉の弛緩
- α波、γ波の顕著な検出
また、SCP-XXX-JPは作動している間、曝露者は幻覚を体験します。いずれの曝露者の幻覚も、曝露者が3~11歳の間に見た風景、人物、生物もしくは理想としていた環境が出現し、曝露者にとって非常に心地よい情景であった点で共通しています。
SCP-XXX-JPは起動してから、曝露者の年齢×約30秒が経過すると、自動的に停止します。以降、24時間以上経過するまで、起動しなくなります。
SCP-XXX-JPが停止した瞬間に、曝露者の幻覚体験も終了します。曝露者からはSCP-XXX-JPに対する依存性は見られませんが、大小問わず感情的な変化が現れる点は特筆すべきです。
以下に、実験記録を示します。実験記録XXX-JP-1~5はSCP-XXX-JPの起動条件を調査したものです。
実験記録XXX-JP-1 - 日付20██/09/15
対象: SCP-XXX-JP、友田研究員(27歳 男性)
結果: SCP-XXX-JPは起動しなかった。
実験記録XXX-JP-2 - 日付20██/09/18
対象: SCP-XXX-JP、福田研究員(25歳 女性)
結果: SCP-XXX-JPは起動しなかった。
実験記録XXX-JP-3 - 日付20██/09/21
対象: SCP-XXX-JP、矢口主任研究員(36歳 男性)
結果: SCP-XXX-JPは起動。起動時間は18分04秒。
幻覚内容: 父、母、妹と共に博物館の鑑賞に訪れ、様々な展示物に全員が強い関心を示していた。
備考: 実験後、矢口主任はしきりに過去の思い出について話し続けていた。なお、矢口主任が幻覚で見た博物館は、██県██市の██博物館だと思われます。
実験記録XXX-JP-4 - 日付20██/09/18
対象: SCP-XXX-JP、渡辺 █(11歳 男性 財団傘下の学校の生徒)
結果: SCP-XXX-JPは起動しなかった。
実験記録XXX-JP-5 - 日付20██/09/21
対象: SCP-XXX-JP、戸田主任研究員(33歳 女性)
結果: SCP-XXX-JPは起動。起動時間は16分28秒。
幻覚内容: 自分がおもちゃのマイクで歌っている姿を見て、父、母、姉が手拍手しながら笑っていた。
備考: 実験後、戸田主任は顔を赤らめて、しばらく顔を抑えていた。戸田主任の昔の夢はアイドルだった。
余計なことは書かなくていいです。―――戸田主任研究員
実験記録XXX-JP-6~8は曝露者の経歴によるSCP-XXX-JPの効果の変化を調査したものである。
実験記録XXX-JP-6 - 日付20██/09/30
対象: D-54920(56歳 男性 ██組の元幹部)
結果: SCP-XXX-JPは起動。起動時間は27分52秒
幻覚内容: 幼少期の友人たち(男子3名、女子1名)と、公園で作った秘密基地に集まり、野球やカードゲーム、当時自分で考案したゲームなどで遊んでいた。
備考: 実験後、D-54920はじっと黙ったままだった。その後、D-54920の勤務態度が著しく向上していた事が確認された。
実験記録XXX-JP-7 - 日付20██/10/02
対象: D-56174(31歳 女性 違法薬物の密売者 違法入国者)
結果: SCP-XXX-JPは起動。起動時間は15分33秒
幻覚内容: 5匹の子猫たちと妹と一緒に、綺麗な居間で大量の食事をとっていた。また、傍らには母と思われる女性がいて、こちらに微笑みかけていた。
備考: 実験後、D-56174は泣き崩れていた。D-56174は元々孤児であり、幼少期には野良猫と暮らしていたとのこと。その後、SCP-XXX-JPの再使用を懇願したため、Aクラス記憶処理を施した。
実験記録XXX-JP-8 - 日付20██/10/02
対象: D-55837(40歳 男性 連続女児誘拐殺人犯 精神病質と診断されている)
結果: SCP-XXX-JPは起動。起動時間は20分01秒
幻覚内容: 複数人の女子に囲まれながら遊んでいた。全員、過去に所持していた人形の姿をしていた。
備考: 実験後、D-55837は小さな笑顔を浮かべていた。D-55837はDクラス職員になる以前は誘拐した女子児童を剥製にして飾っていた事で世間に知られていた。その後、特に態度などで変化はなかった。
補遺1: SCP-XXX-JPは元々、美尾 ██(50代女性、喫茶店経営)の所有物でした。美尾氏は、本オブジェクトの担当職員である鈴木博士の叔母にあたり
補遺2: 20██/11/05、担当職員である鈴木博士が行方不明になりましたが、同日に身元不明の男性児童がサイト-81にて発見されました。
この男性児童は自身のことを「鈴木 ██」であると主張しています。DNAを鑑定した結果、男性児童と鈴木博士で一致していることが判明しました。
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