アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
タイトル:2017年冬のある日(仮)
「この写真は?」
壁に掛けられた一枚の写真が目に留まり先を行く姿に声をかけると、金色の狐耳をぴくりと動かして振り向く御先管理員。
「北海道の職員からです。枝の上に雪うさぎができる木で1」
「なんと」
「根本に雪だるまも出来るようになって、そのうちかまくらでも見られるかもしれませんね」
狐面を少しかけ直してから写真を眺めた後、微笑む御先管理員の後に続き、低危険物ロッカーが並ぶ部屋の奥へ進む。
「雪と言えば、虎屋博士」
一緒にAnomalousアイテムの整理を手伝うことになったやや暑苦しい格好のマオが、わざとらしく声を潜めて着ぐるみの懐をごそごそ探ると
「これ、家の前で雪うさぎを作る娘です」
「ほほう、これは中々……」
寒さで顔を真っ赤にして笑っているマオの娘の写真を顎を擦りながら眺めてから、こちらも白衣のポケットを探って写真を取り出し
「そういえばこれ、真っ白な雪面に興奮して派手に転ぶ息子です」
「ははぁ、これはまた……」
わかっていますとも、と言った風で頷いてくれるマオ。
「あの、お二人とも手伝っていただけるのは有難いんですがそこでお喋りされてても」
「まあまあどうぞどうぞ」
「ですから私も作業が……あっ、かわいい……」
思わず顔を綻ばせるも、すぐにはっとなりわざとらしく眉をあげ狐耳を立てる御先管理員。笑いながら宥めつつ
「それで、私たちはなにを?」
「あ、ええと。そのリストにある番号の物品を、同じ番号のシールが貼ってある段ボールに詰めて頂ければ」
「わかりました。何か注意することは?」
「この部屋にあるものは基本的に特別気にすることはないかと。一応物品と一緒に概要の資料もロッカーに入ってるので参考にしてもらえれば」
マオは説明を聞いて頷くと
「ありがとうございます。では早速」
自分もリストをポータブルデバイスにコピーし、番号を確認して作業を行っていく。こういう地道な作業は苦手でないのか、マオはてきぱき作業をとこなしていくと、ふと思い出したように
「Anomalousアイテムと言えば、あの唐揚げの犬2は可愛かったですねぇ」
「良い子でした……。可愛くて人懐こくていい香りがして」
「虎屋博士、人一倍可愛がってましたからね」
手は休めず、懐かしむように優しい声をかけてくれる御先管理員。
「あちらから寄り添ってくれるものですから。どうか来世も幸せでありますように。アーメン」
「宗教観ばらばらじゃないですか」
しみじみ言いながら十字を切ると、後ろを通りざまにペンギンチョップでツッコミを入れてくるマオ。そのままさあ次だと言わんばかりにリストを確認してたが
「あれ、これってアンドリュー博士3が持ってたやつですか?」
「はい。一旦保管後再検査して、またお渡しするか決めるようで」
「なるほど」
マオはまじまじとサングラスを見つめていたが、ふと装着してこちらを見やり
「……耳が目立たない」
「仮面外しましょうか?」
「余計ぱっとしなくなりそうで結構です。ああ、でも尻尾は綺麗ですね」
勝手に審査を始めたマオに向かって大袈裟にポーズをとると
「何に見えます?」
「生憎猫には詳しくなくて……。でも雰囲気が狐っぽくて鮮やかで」
「成人男性の尻尾を褒められてもなんというか」
「ちょっとお二人とも」
腰に手を当てて眉間に皺を寄せる御先管理員。マオはそのまま彼女の方を向き
「……ほう」
「え、なんですか」
困惑する御先管理員の顔を見てなにやら頷くと、こちらに首を向けて
「ちょっと虎屋博士」
「なんでしょう」
「こちらへ」
手招きされるまま傍に寄り、無言で手渡されたサングラスをかけて御先管理員の方を向くと
「……ほう」
マオと同じように声を漏らした自分を見て、
「だからなんですかっ」
と声をあげる御先管理員。
「耳はやっぱりわかりにくいんですが、まあその」
「ほうほう」
「……お二人とも、もう遊びたいなら外でどうぞ」
「いや、申し訳ない」
下手に言及したら火に油を注ぎそうで、平身低頭して大人しく謝ってからさっさと作業を済ませていくことにしたのだった。
余計なことをしなければそんなに時間を要するものでもなく、気が付けばリストの殆どが埋まっていき
「あともう少しでしょうか」
「はい。ありがとうございました」
すっかり機嫌も戻り、晴れやかに笑う御先管理員
「いえいえ、遊んでばかりでは申し訳ないので」
「できれば最初から遊ばずに頂けると助かります」
「はっはっは」
マオと一緒に誤魔化すように笑い、全ての作業を終えて軽く伸びをすると
「さて、一仕事終わりましたし、これを運び終えたら夕食にしましょうか」
「いいですね。さっき生姜焼き頼もうと思ってそのままだったんで」
「あのテーブルに座ると大体生姜焼きを頼みたくなりますからねぇ。4御先さんはどうですか?」
「あ、はい。ご一緒できるなら是非」
「なんだか部活の後輩を引き連れてる気分ですね」
「確かに」
部屋の施錠をしっかり確認してから、台車を押して研究室へ向かう。今日は穏やかな一日で終わりそうなことに安堵しながら、夏になったら後輩君に水着姿の息子の写真を見せつけようと密かに決めたのだった。
一通の財団公式文書
タイトル:2017年冬のある一日。
「この写真は?」
「北海道の職員からです。枝の上に雪うさぎができる木で5」
「なんと」
「根本に雪だるまも出来るようになって、そのうちかまくらでも見られるかもしれませんね」
微笑む御先管理員の後に続き、低危険物ロッカーが並ぶ部屋の奥へ進む。事の起こりはつい先ほど。回収作業から戻っていたマオと軽食を摂っていると、段ボールを幾つか台車に乗せた御先管理員が調理室の扉から出てきて傍を通りかかった。曰く、Anomalusとして分類された物品や再実験が検討された物品の運搬作業で駆け回ってるとのこと。丁度こちらはしばらく時間も空いていたし、マオも待機指示が出ていた様なので、恐縮する御先管理員に連れ立って作業を手伝うことになった。
「雪と言えば」
なにやらマオが懐をごそごそ探ると
「これ、家の前で雪うさぎを作る娘です」
「ほほう、これは中々……」
寒さで顔を真っ赤にして笑っているマオの娘の写真を、顎を擦りながら眺めてから
「そういえばこれ、真っ白な雪面に興奮して派手に転ぶ息子です」
「ははぁ、これはまた……」
わかっていますとも、と言った風で頷いてくれるマオ。
「あの、手伝っていただけるのは有難いんですがそこでお喋りされてても」
「まあまあどうぞどうぞ」
「ですから私も作業が……あっ、かわいい……」
思わず顔を綻ばせるも、すぐにはっとなりわざとらしく眉をあげる御先管理員。笑いながら宥めつつ
「それで、私たちはなにを?」
「あ、ええと。そのリストにある番号の物品を、同じ番号のシールが貼ってある段ボールに詰めて頂ければ」
「わかりました。何か注意することは?」
「この部屋にあるものは基本的に特別気にすることはないかと。一応物品と一緒に概要の資料もロッカーに入ってるので参考にしてもらえれば」
「ありがとうございます。では早速」
リストを自分のポータブルデバイスにコピーし、番号を確認して作業を行っていく。
「Anomalousアイテムと言えば、あの唐揚げの犬は可愛かったですねぇ」
「良い子でした……。可愛くて人懐こくていい香りがして」
「虎屋博士、人一倍可愛がってましたからね」
「あちらから寄り添ってくれるものですから。どうか来世も幸せでありますように。アーメン」
「宗教観ばらばらじゃないですか」
しみじみ言いながら十字を切ると、後ろを通りざまにツッコミを入れてくるマオ。
「あれ、これってアンドリュー博士が持ってたやつですか?」
「はい。一旦保管後再検査して、またお渡しするか決めるようで」
「なるほど」
マオはまじまじとサングラスを見つめていたが、ふと装着してこちらを見やり
「……耳が目立たない」
「仮面外しましょうか?」
「余計ぱっとしなくなりそうで結構です。ああ、でも尻尾は綺麗ですね」
「何に見えます?」
「生憎猫には詳しくなくて……。でも雰囲気が狐っぽくて鮮やかで」
「成人男性の尻尾を褒められても」
「ちょっとマオさん」
腰に手を当てて眉間に皺を寄せる御先管理員。マオはそのまま声の方を向くと
「……ほう」
「え、なんですか」
なにやら神妙な顔つきになり、こちらに首を向けて
「ちょっと虎屋博士」
「なんでしょう」
「こちらへ」
手招きされるまま傍に寄り、無言で手渡されたサングラスをかけて御先管理員の方を向くと
「……ほう」
「だからなんですか」
「耳はやっぱりわかりにくいんですが、まあその」
「ほうほう」
「お二人とも遊びたいなら外でどうぞ」
「いや、申し訳ない」
下手に言及したら火に油を注ぎそうで、平身低頭して大人しく謝ってからさっさと作業を済ませていく。余計なことをしなければそんなに時間を要するものでもなく、気が付けばリストの殆どが埋まっていき
「あともう少しでしょうか」
「はい。ありがとうございました」
「いえいえ、遊んでばかりでは申し訳ないので」
「できれば最初から遊ばずに頂けると助かります」
「はっはっは」
マオと一緒に誤魔化すように笑い、全ての作業を終えて軽く伸びをすると
「さて、一仕事終わりましたし、これを運び終えたら夕食にしましょうか」
「いいですね。さっき生姜焼き頼もうと思ってそのままだったんで」
「あのテーブルに座ると大体生姜焼き頼みたくなりますからねぇ。御先さんはどうですか?」
「あ、はい。ご一緒できるなら是非」
「なんだか部活の後輩を引き連れてる気分ですね」
「確かに」
部屋の施錠をしっかり確認してから、台車を押して研究室へ向かう。今日は穏やかな一日で終わりそうなことに安堵しながら、夏になったら後輩君に水着姿の息子の写真を見せつけようと密かに決めたのだった。
アイテム番号: SCP-3097
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在SCP-3097は、標準的なAnomalousアイテムロッカーに収容されています。 SCP-3097を用いた実験は、実験地周辺や遠隔地に重大な損傷を及ぼす可能性があるため、明確な屋内で行わなければなりません。 SCP-3097は、実験後に再収容する際、管理可能な大きさに縮小させます。
SCP-3097の実験に使用される全ての犬は、財団による動物実験の対象の中から選ばれ、厳格な訓練を受けたものに限られます。万一職員の命令に従わなかった場合、長距離用麻酔銃で沈静化を行って下さい。
Special Containment Procedures: SCP-3097 is contained in a standard anomalous item locker. Testing of SCP-3097 is to take place explicitly indoors as to avoid any significant damage its effects may cause to surrounding or distant locations. SCP-3097 is to be reduced to a manageable size before re-containment after testing.
All dogs used in the experimentation of SCP-3097 are to be selected from the Foundation's animal testing subject enclosure and to have been given strict obedience training. Instances are to be subdued with long-range tranquillizers in the unlikely event of refusing to obey staff.
説明: SCP-3097は一般的なハンの木の枝木であり、収容されている時は約60cmの長さに保たれています。SCP-3097は人間によって投擲されると、空気中を推進し最終的に着陸するまでにサイズが増大します。空中にいる間、SCP-3097は投擲した人物の視点において、投擲する直前に見られた時と同じ大きさのままになるようにサイズの変更を続けます。すなわち、SCP-3097をより近くで見つめ、投擲された後の飛行距離が長くなるほど大きくなります。一度増大したSCP-3097のサイズは、誰かが投擲した人物へ向かって投擲することができれば元のサイズに縮小します。
Description: SCP-3097 is a common alder tree branch, kept at an approximate length of 60cm when contained. When thrown by a human subject, SCP-3097 will increase in size as it propels through the air until eventually landing. While in midair, SCP-3097 will continue to resize itself so that it remains the same size as it visually appeared when originally perceived from the thrower's foreground perspective; i.e. the closer SCP-3097 appears to the thrower, the larger it will grow the further the distance it travels; as such, the size of SCP-3097 will also decrease when thrown by someone towards themselves.
補遺3097-1:2016/06/27、SCP-3097の異常な性質は、投擲した後に追いかけようとする犬にも影響することが発見されました。この日いくつかの品種の犬がSCP-3097の実験に関わっており、そのすべてが影響を受けています。 SCP-3097によってサイズが増大した犬は、「フォーブス効果」と類似した影響が見られており問題なく生存し続けられます。犬は著しい成長または収縮といった、変化によってもたらされる目に見える混乱以外に、明らかな生理的変化はみられません。
Addendum 3097-1: On 27/06/2016, it was discovered that the anomalous properties of SCP-3097 also affect any dog which attempts to chase after it when thrown. As of this date, several breeds of dog have been tested with SCP-3097, all of which have been affected. Dogs altered in size by SCP-3097 continue to function with no difficulties due to an apparent condition acquired from their alteration in size, bearing similarities to the "Forbes effect". Instances of dog do not experience any apparent physiological changes after significant growth or shrinking, other than visible confusion brought on by their alterations.
補遺3097-2:20██/08/13、SCP-3097の影響により著しく成長した[編集済み]匹の犬が、実験中に発生したいくつかの混乱のために収容違反しまた。逃亡した犬(数種の███メートルのコーギー犬、以降SCP-3097-Bと呼称)の再収容は、他の品種の犬との実験を行う前に達成されるべきです。
更新:20██/05/03、SCP-3097-Bの大半は再収容されています。現在、SCP-3097の重量、サイズ、およびSCP-3097の異常な特性のために、SCP-3097-Bを管理可能なサイズに戻す実現可能な手段はありません。 SCP-3097-Bを収容するための管理不能なサイズとコストから、大部分のSCP-3097-Bを即座に終了させるよう提案されました。
補遺3097-3:財団倫理委員会との最近の協議において、SCP-3097-Bを管理する別の案が提示されました。サイトの建設における重要な建材の輸送に用いられる、メンテナンスや大量の燃料費が必要な車両の代わりに、輸送に必要とされる訓練を受けたSCP-3097-Bによる、より効率的かつ費用対効果の高い代替手段としての利用は、複数のサイトで承認されています。
Addendum 3097-2: On 13/08/20██ a total of [REDACTED] dogs which experienced significant growth from the effects of SCP-3097 were able to breach containment due to several complications which occurred during testing. Re-containment of all escaped instances henceforth referred as SCP-3097-B (several species of Welsh corgi measuring up to ███ meters), is to be accomplished before further testing with other breeds of dog.
Update: As of 03/05/20██, a majority of SCP-3097-B instances have been re-contained. There are currently no feasible means of reverting instances back to a manageable size, due to their weight, size and the functionality of SCP-3097’s anomalous properties. The unmanageable size and cost of containing instances of SCP-3097-B have resulted in the suggestion for immediate neutralization of a majority of instances.
Addendum 3097-3: Recent consultations with the Foundation Ethics Committee has lead to an alternate proposal for managing the contained instances of SCP-3097-B. Due to maintenance requirements and significant fuel costs of several on-site construction vehicles, required for the transportation of critical building materials, and the trained obedience of SCP-3097-B instances, the use of instances as a more efficient and cost-effective alternative means of transportation has been approved for several sites.