Alex 1210

何が起きたんだ?
自分はいつも通りに会社の仕事を終え、帰宅しているはずだった。
自分の家の前まで来たときに爆音が聞こえたのは覚えている、その後だ。
何があったんだ?、気が付けば家に居た。
家に入った記憶も、あの爆音の正体も…そして…。

この惨劇の記憶もだ。
すべて抜け落ちている、なんなんだ?、駄目だまったく思い出せない。
カレンダーを見ると今は7月14日…なんだ?。
俺の覚えている記憶では7月11日だったはずだ。
何故だ?3日間の記憶が抜け落ちている。
考えれば考えるほど分からなくなる…だが…何故だろうか
記憶がないはずだ…なのにあの爆音の後、俺は見てはいけない何かを見たはずなんだ?
思い出せ…思い出せ…何故覚えていないだ?、思い出せれば何か…
思い出せればこの気持ち悪い感覚もなくなるはずだ、俺は何を見た?
何故外は血の海になっているんだ?、あの爆音の正体は?
俺は…何を…見たんだ…?
そして俺が必死に思い出そうとしている時に、どこかの扉が開く音が聞こえた
…誰だ?…この音の感じからして玄関の可能性が高い。

「だっ誰だ!!」

すぐにテーブルの上に置いてあった瓶を手に取った。
…鼓動が速くなっているのを感じる。
助けが来たのか?警察か?自衛隊か?
いや…それ以外の可能性もあるが、今はとにかく誰かに会いたい

「…頼む、出てきてくれないか?」

…誰かいる気配は感じるが、その人物は出てこようとしない。
…自然と瓶を持つ力が強くなる。
此処を曲がれば玄関だが…。
息が荒くなる、曲がった瞬間に殺されることもあるかもしれない。
だが…曲がるしかないだろう。
…行くぞ

「………っ今すぐッ!?__」

突然頭に強い衝撃を受ける、視界が少しずつ狭くなっていく
特殊部隊のような恰好をいた人達がぞろぞろと玄関から入ってくる

「は……最後の……記憶……S…P-…000の…動…財…」

何を言っているのかが分からなくなってくる、意識が完全にとだえる瞬間。
特殊部隊の隊員らしき一人がしゃがみこみ、顔を近づけ

「…良くやった」

そう、言った

・・・・
・・・

……ここは…?

目が覚めるといつもの自分の部屋の天井が見えた
何かを見ていたような気がするが…妙に変な夢を見たような気がする

「…まだ6時か」

これなら二度寝ぐらいはできそうだが、それをして遅刻した前例があるのでやめて置こう
…おなか空いたな、パンか何か食べようかな
ゆっくりと体を起こし、軽く欠伸をする。
するとその瞬間、足に突然痛みが走った

「痛った!!」

痛みで片足を上げ、バランスを崩し、倒れ込んだ

「痛ってぇ……なんだ…これ?」

拾い上げたのは何かの部品のようだった。
まるで歯車のような…

それを触った瞬間、頭に激痛が走った
声を上げそうになったが、その激痛はすぐに収まり。
そして___

「あああ…思い出した…」

この歯車のおかげだろうか、あの夢の内容…いや。
あの記憶の内容も…あの時忘れていた記憶も思い出した。
あの爆音の後に出てきた化け物の正体も…全ての記憶がよみがえってきた

「だ…だとしたら…地下室に…」

すぐに駆け出し、階段を駆け下り。キッチンの床下収納にもぐりこんだ。
壁に掘ってある奇妙な凹みに、先ほどの歯車を差し込んだ。
歯車はぴったりとはまり、その凹みから割れるように壁が左右へ開いた。

狭い通路を通り、出た場所には様々な機械が並べており、何かのカプセルの中には奇妙な物体が入っていた。
まるでアニメや映画に出てくる研究所そっくりだった。
そしてなぜか木製の机の上には書類が無造作に置かれていた。

「これじゃない…これでもない…これだ!」

一つの書類を手に取った

その書類…いや日記にはいろいろなことが書いてあったが…要約すると
・この惨劇はSCP財団によるものである可能性が高い
・地下室の鍵でもある、この一見プラスチック製の玩具に使われていそうな歯車はいわゆる
財団で言うSCPと酷似しているもの。
・そして、この惨劇は過去に一度起こったこととほぼ同じだということ

まだ所どころ記憶が混濁しているが、この歯車の作用は記憶に何らかの操作が行われた場合
その操作を打ち消すSCPらしい、どうやら財団に記憶をいじられたらしいが、これによって思い出せた
財団…あの惨劇の時、散々見た奴らの事だ。
こそこそとあいつらの後を追ったり、無線機の内容を盗み聞きしたり…
財団も焦っていたのか、情報がほぼオープンだった。
無線機の発信源を特定し、時間をかけて追っていき、やっと財団本部らしきデータベースに到達した。
そこからいくらか情報を調達した、伊達に元世界オカルト連合の研究員者無いってことだ。
…まぁ、その話は置いといて、とにかく今は情報をまとめないといけないな。
財団から盗った情報によると、あの出来事は過去にも最低一回は起ったことだという事だ。
だとすると財団は何らかのSCPを使い、あの惨劇を収めたんだろうが…
そういえば妙に厳重な情報がいくつかあったな…無理やりにでもとったほうが良かったか…

「…とにかく今やるべきことはあの惨劇の原因となるSCPを破壊することが必要か」

財団の情報によると、財団は極力破壊はしないらしい、だから原因のSCPもおそらく
残ったまんまだろう。

いくつかの書類を読みこんだ後、俺はやけにでかい機械の前に立った

「…この機械も残っているという事は、時空をいじって時間を巻き戻したことじゃないんだろうな」

だったら…いけるかもしれない

もはやこの機械もSCPかもしれないが…

この機械はSCPを破壊することだけに作られた機械だ…破壊するにはSCPの情報が必要なんだ。
とにかく情報が必要だ、だがそれにはあの時の惨劇に戻る必要がある。
だから…この記憶を維持したまんま、あの時系列に行かなくてはならない。

俺は巨大な機械についているレバーを下した、すると巨大な機会は下に降りていき。
代わりに中型の機会が現れた。

「さぁ、行かなくては、あの惨劇をこの時系列では起こすわけにはいかない」

そう決心し、俺はその機械に乗り込んだ。

財団とは違い、俺たちは失敗しない。

そして俺は機械の起動スイッチを押した。