クレジット
タイトル: SCP-XXXX-JP - 家に帰るまでが
著者: ©224P
作成年: 記事作成年
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: カバーストーリー「不審人物の徘徊」などを適用し、児童・生徒及び学生が下校の際に、██学区を通ることを阻止して下さい。財団警備員は「パトロール」と称し、██学区内の巡回を行ってください。近隣の教育機関は、児童・生徒及び学生の家庭環境の把握に努めて下さい。
説明: SCP-224-JPは石川県██町██学区に出現する異常存在です。SCP-224-JPの外観的特徴は、眼球の付いた赤色のハートに天使の翼が生えたものだと報告されています。SCP-224-JPは██学区を通学路とする、小学生・中学生・高校生・高専生・大学生・専門学校生(以下、学生と呼称)の前に出現します。SCP224-JPの出現する時間帯は、彼らの下校時間帯(16:00〜19:30)と重なりますが、その正確な出現時刻は不明です。また、学区内のあらゆる場所で出現するわけではなく、とりわけ人気のない場所を、学生が一人で下校している場合に出現することが確認されています。
SCP-224-JPは、対象の学生以外からは認識されません。これは、カメラなどの撮影機材を通した場合でも同様であり、その姿を記録に残す試みは失敗しています。
出現したSCP-224-JPは、学生の頭上を飛び回ります。これにより、多くの学生は恐怖感を覚えることが報告されています。一方、実験記録224-JP-1の結果から、SCP-224-JPに対して、親近感を抱く学生が存在することも示唆されています。SCP-224-JPが出現した場合、下校中は学生に付きまといますが、学生にとって十分に安心できる「家」に帰宅したタイミングで、消失することが確認されています。また、SCP-224-JPが完全に消失した場合、対象の学生の前には再度出現しないことが確認されています。
SCP-224-JPを視界に捉え、その眼球を正視した場合、学生は重度の自閉的症状に陥ることが確認されています。この状態となった学生は、SCP-224-JP-Aとみなされます。SCP-224-JP-Aに対する有効な治療法は発見されておらず、記憶処理剤を用いた治療も効果が見られないことが、財団内の医師から報告されています。
SCP-224-JPの性質は未だ多く解明されていません。財団はSCP-224-JPを、認識災害系のオブジェクトとして考え、調査を進めています。しかし、これが(学生以外には認識することはできないが)実体を持つ存在なのか、あるいは、(██学区の異常性によって引き起こされた)学生の幻覚なのかは不明です。██学区そのものに異常性がある場合、██学区をSCPに指定することも検討されています。現在のところ、██学区以外でのSCP-224-JPの出現は確認されていません。
補遺: SCP-224-JPの発見経緯は次の通りです。██学区付近の幾つかの病院で、███人の学生が相次いで精神疾患で入院する事象が発生していました。それらの学生の精神疾患は、同一の自閉的症状を示すものでした。この現象に注目した██研究員により、調査が進められた結果、これらの学生は██学区を通学路としていることが判明しました。そこで財団Agt・飯塚により、██学区付近の小中学校での調査が行われた結果、生徒の証言からSCP-224-JPの存在が発見されました。以下は、SCP-224-JPを見たという、████████中学校の生徒へのインタビュー記録です。
インタビュー記録224-JP - 日付2013/1/16
対象: ████ (████████中学校 2年1組 女子生徒)
インタビュアー: Agt・飯塚
<録音開始>
Agt・飯塚: ████さんですね?
████: はい、2年1組の████です。
Agt・飯塚: 新学期が始まって学校はどうでしょう?もう慣れましたか?
████: はい、学校の方は、みんな優しくて楽しいんですけど.. この前、怖い思いをしちゃって..
Agt・飯塚: ええ、今日はその怖いことについて、お聞きしたいのです。話していただけませんか?
████: はい、下校の時に、寒気を感じたんです。そしたら、隣に赤色のハートのようなものが見えて、それが私の頭の上をぐるぐるしだしたんです。
Agt・飯塚: 頭の上を飛んでいたんですか?
████: はい、天使の翼のようなものが生えていて、それで飛んでました。あと、よく見えていませんでしが、目も付いていた気がします..
Agt・飯塚: なるほど。それについての印象をもっと教えて下さい。
████: それは… とても怖い感じがしたんです… なんか、見ちゃいけない気がして。反応すると、何か恐ろしいことになるぞって気がして。ずっと、下を向いていました..
Agt・飯塚: それは怖かったですね。それはずっと████さんの周りにいたんですか?
████: 下校中は.. でも家に着いた時、すっと消えました..
Agt・飯塚: 消えた?どんな風にですか?
████: 分かりません、ただドアを開けて「ただいま」って、そしたらお母さんの「おかえり」が聞こえて..
気づいたら、いつの間にかいなくなってた感じです..
Agt・飯塚: 分かりました。貴重なお話をありがとうございます。それではインタビューを..
████: …私の友達は..
Agt・飯塚: はい? あっ、友達がどうしましたか?
████: 私の友達は、おそらくそれを見ちゃったんだと思います..
Agt・飯塚: (小声で) えっと.. ██研究員の資料によると..
[30秒間の沈黙]
Agt・飯塚:: 学年が同じなのは.. ████さん?
████: はい、いつもは一緒に帰っているんですけど。たまに一緒に帰れない日があって。
Agt・飯塚: …その時に、それを見てしまったと..
████: はい、おそらく.. 私以外には一緒に帰る人がいないので..
Agt・飯塚: 分かりました。インタビューありがとうございます。
<録音終了>
インタビュー調査を受けて、SCP-224-JPの性質を解明するために、Dクラス職員を用いた実験が行われました。実験は成田博士による指揮の下に行われました。
実験記録224-JP-1 - 日付2013/5/17
対象: D-224-JP-1
目的: SCP-224-JPの観察
実験方法: D-224-JP-1の下校時に、SCP-224-JPが出現するかを調べる。
下校ルート: ████大学の正門から、██学区を通り、██駅から電車に乗車し、███駅で下車した後に、アパートに帰宅する。
携帯品: 通信機・ヘッドカメラ・GPS・リュックサック・学生証・筆記用具・教科書・プリント・飲料水入りペットボトル・切符・ゲームキャラクターのキーホルダー
付記: D-224-JP-1はこの実験のために、██学区から最寄りの████大学に、偽名で入学している。既に大学でのオリエンテーションを済ませ、幾つかの講義にも出席している。また、アパートは財団により用意されており、4/2から入居している。
以下は実験開始時の通話記録である。
<通話記録>
[16:10]
成田博士: 念のため、実験における注意事項を、再度説明しておきます。
D-224-JP-1: お願いします。
成田博士: 出現したSCP-224-JPへの反応は、極力控えてください。実験中はなるべく下を向いて歩き、SCP-224-JPを視界に捉えないようにして下さい。SCP-224-JPが出現したことは、ヘッドカメラに手のサインを映すことによって伝えてください。
D-224-JP-1: はい、このサインですね。
成田博士: その通りです。なお、██学区に侵入後、通話は切断されます。通話内でSCP-224-JPに言及することが、SCP-224-JPの反応を引き起こす可能性があるからです。
D-224-JP-1: わかりました。
[16:28]
成田博士: あの標識を超えたら██学区です。それ以降、通話は切断されます。
D-224-JP-1: わかりました。
成田博士: 健闘をお祈りします。
<通話終了>
通話が切断された後、映像による観察が続けられた。
<映像記録>
[16:30]: D-224-JP-1が標識を横切り、██学区に立ち入る。
[16:32]: 注意事項の通り、視線を地面に落とし、道なりに歩いている。
[16:34]: しばらく道なりに歩いている。
[16:35]: 突然歩みを止める。
[16:35]: 視界の左上を気にするような、素振りを見せている。
[16:36]: 何かを考え込んでいる。
[16:37]: 正面に向き直り、歩みを再開する。
[16:38]: 手でサインを作り、SCP-224-JPの出現を伝える (映像にはSCP-224-JPは映っていない)
[16:40]: 俯いたまま歩いている。
[16:55]: ██学区を抜ける。
[17:00]: しばらく道なりに歩いている。
[17:04]: 犬がD-224-JP-1に向かって、異様に吠える。
[17:07]: ██駅に着く。
[17:07]: D-224-JP-1が駅の内部に入る。
[17:08]: 突如立ち止まる。
[17:08]: カメラの視線が揺れ、何かを気にするような素振りを見せている。
[17:08]: 何かを考え込んでいる。
[17:09]: 今まで俯いていた顔を上げる。
[17:10]: 駅構内の僅か上方を直視したまま、放心状態となっている。
[17:11]: D-224-JP-1の放心状態が続く。映像には駅を行き交う人々が映っている。
[17:12]: D-224-JP-1の放心状態が続く。
[17:13]: D-224-JP-1の放心状態が続く。
[17:14]: D-224-JP-1の放心状態が続く。
[17:15]: D-224-JP-1の放心状態が続く。
[17:16]: 突然我に帰ったかのように視線を床に戻す。
[17:17]: 歩みを再開する。
[17:18]: 駅の改札を抜ける。
[17:18]: 電車に乗り込む。優先座席以外の席は空いていない。
[17:19]: トイレ近くの窓際の手すりに捕まる。
[17:20]: 電車が発車する。
[17:22]: 窓の外の景色を眺めている。既に月が出ている。
[17:24]: 窓の外の景色を眺めている。
[17:25]: リュックサックに付いた、ゲームキャラクターのキーホルダーを凝視する。
[17:27]: 窓の外の景色を眺めている。
[17:28]: 窓の外の景色を眺めている。電車は大きな川の河原の側を通っている。
[17:30]: 電車が███駅に停車する。
[17:31]: D-224-JP-1が電車から降りる。反対のホームからも電車が到着しようとしている。
[17:32]: D-224-JP-1は駅のメロディに聴き入っている。
[17:35]: 駅の改札を抜ける。
[17:37]: 駅の外に出る。
[17:40]: すすきの生えた道なりを、俯いたまま、アパートを目指して歩いている。
[17:45]: アパートに帰宅する。
<記録終了>
D-224-JP-1がアパートに帰宅後、通話が再開された。
<通話記録>
[17:47]
D-224-JP-1: 只今、帰宅しました。
成田博士: 「お疲れ様」です。
D-224-JP-1: 「お疲れ様」です。
成田博士: 映像では確認できませんでしたが、SCP-224-JPは出現しましたか?
D-224-JP-1: はい、██学区をしばらく歩いていたら、隣に現れました。
成田博士: 出現したSCP-224-JPに対して、どのような印象を受けましたか。
D-224-JP-1: それが.. 聞いていたような恐怖感は、あまりありませんでした。
成田博士: 恐怖感がなかった?
D-224-JP-1: はい、むしろ親しみやすさを感じていました。
成田博士: 親しみやすさ.. それによって、ついSCiPに反応することは..
D-224-JP-1: いえ、していません。親しみやすさを感じても、SCPには反応していません。
成田博士: (小声で) 駅での放心状態はなんだったのか..。 では、帰宅した時にSCiPは消失しましたか?
D-224-JP-1: それが.. 帰宅した時ではなく、駅に入ったときに消失しました。
成田博士: (驚きの声) 駅に入ったときですか?
D-224-JP-1: はい、駅に入った時、体が軽くなるというか、視界が開けるような感じがして.. 懐かしいというか.. 不思議な感情になったんです。
成田博士: ..あの時、あなたは注意事項を破り、顔を上げていましたが…
D-224-JP-1: すみません。しかしあの時、SCPは消えていたのです。
成田博士: では、あの放心状態は? SCiPを見たからではない?
D-224-JP-1: はい、SCPの影響ではない.. 私の個人的な感情だと思います..
成田博士: ..分かりました。それからSCiPは再度出現しませんでしたか?
D-224-JP-1: はい、ここに帰るまで、一度も出現しませんでした。
成田博士: では現在も、あなたの周りにはいないのですね?
D-224-JP-1: はい.. 今も確認しましたが、いません。
成田博士: 分かりました。これにて実験は終了します。「お疲れ様」でした。
D-224-JP-1: 「お疲れ様」です。
成田博士: それでは、エージェントがあなたを迎えに行きます。飯塚くん、準備ができているだろうね?
Agt・飯塚: はい、大丈夫です。
成田博士: では、しばらくそこで待機していて下さい。
D-224-JP-1: 分かりました。
<通話終了>
実験記録224-JP-1に関する補遺 - 日付2013/5/17
実験記録224-JP-1の終了30分後、D-224-JP-1を迎えるために、Agt・飯塚がアパートに到着した。以下はAgt・飯塚と成田博士との通話記録である。
<通話記録>
[18:30]
[ピンポーン (Agt・飯塚がインターホンを鳴らす音)]
[20秒間の沈黙]
[ピンポーン (Agt・飯塚がインターホンを鳴らす音)]
[30秒間の沈黙]
Agt・飯塚: あれ、出てこないな..
成田博士: どうしました、飯塚くん?
Agt・飯塚: いやぁ、 ████ (D-224-JP-1の本名)が出てこなくて..
[ガチャ (Agt・飯塚がドアノブを回す音)]
Agt・飯塚: …鍵は空いているので、中に入ってみます。
[ギギギ (Agt・飯塚がドアを開ける音)]
[スタスタ (Agt・飯塚の足音)]
Agt・飯塚: あっ、いた、████がいました。
[スタスタ (Agt・飯塚の足音)]
Agt・飯塚: ████ ? 迎えにきたよ。悪いね、帰宅ラッシュに巻き込まれて、遅くなっちゃった..
[5秒間の沈黙]
Agt・飯塚: あれ、どうしたの.. 天井なんか見ていて..
[5秒間の沈黙]
Agt・飯塚: ████? あれ? 聞こえていないのかな?
成田博士: どうしました? 何か問題でも?
Agt・飯塚: それが、 ████の反応が無いんです! ████? ████!
[Agt・飯塚が、D-224-JP-1の体を揺さぶる音]
<記録終了>
アパートには放心状態で、宙を見つめるD-224-JP-1が発見された。Agt・飯塚の呼び掛けにも、反応を示さない様子であった。
追記: D-224-JP-1はこの後、財団のフロント病院に搬送された。意識は回復したが、SCP-224-JP-Aと同一の自閉的症状を示していた。このことから、SCP-224-JPはD-224-JP-1の前に、再度出現したと考えられている。
後日、実験結果に関して会議が開かれました。
会議ログ - 日付2013/5/19
メンバー: 成田博士 / ██研究員 / Agt・飯塚
[冒頭の重要でない会話を省略]
Agt・飯塚: しかしなぜ、駅に入った時に消失したのでしょう?このSCiPは常に付きまとうはずでは..
██研究員: 私の考えでは、駅という建物が、家として認識された可能性があるかと。
Agt・飯塚: ああ、確かに。人もたくさんいますしね。大きな家と言えそうです。
成田博士: ふむ、それは十分考えられる仮説です。しかし、SCiPが再出現した事に説明がつきますか?
Agt・飯塚: あっ、それについて、気になることがあるんです。
成田博士: お、何かね飯塚くん。
Agt・飯塚: 私のインタビューした女子生徒ですが、「おかえり」を聞いたら消えたと言ってました。
成田博士: うむ。
Agt・飯塚: それで.. SCiPが完全に消失するには、家という建物だけでなく.. 「ただいま」と言える相手も必要なのではないかと..
成田博士: ほぉ。
██研究員: 同意見です。私がSCP-224-JP-Aとなった学生を調査したところ、それらの学生には家庭環境があまり良好でないという、共通点がありました。
Agt・飯塚: ああ、確かにそれだと、「ただいま」は言いづらいですよね。
成田博士: 分かりました。このことを踏まえて、追加の実験を行うことにしましょう。
会議の結果、SCP-224-JPの性質を解明すべく、追加の実験が行われました。
(実験記録224-JP-1との主要な変更箇所を強調表示します)
実験記録224-JP-2 - 日付2013/9/12
対象: D-224-JP-2
目的: SCP-224-JPの消失条件の調査
実験方法: D-224-JP-2の下校時に、SCP-224-JPが出現するかを調べる。アパートにはAgt・飯塚が待機している。D-224-JP-2が帰宅した際に、お互いに「ただいま」「おかえり」を言う。SCP-224-JPが完全に消失したか検証するため、翌日の7:00までアパート内で待機する。
下校ルート: ████大学の正門から、██学区を通り、██駅から電車に乗車し、███駅で下車した後に、財団の用意したアパートに帰宅する。
携帯品: 通信機・ヘッドカメラ・GPS・飲料水入りペットボトル・定期券・タバコ・ライター(許可なく所持)
付記: D-224-JP-2はこの実験のために、██学区から最寄りの████大学に偽名で入学している。既に大学でのオリエンテーションを済ませ、幾つかの講義の単位を落としている。財団の用意したアパートには、8/4から入居している。また、Agt・飯塚も同時に入居し、実験日まで寝食を共にした。
以下は実験開始時の通話記録である。
<通話記録>
[16:14]
成田博士: 実験での注意事項を、もう一度確認しておきます。
D-224-JP-2: はあ。
成田博士: 出現したSCP-224-JPには反応しないで下さい。実験中は下を向いて歩き、SCP-224-JPを見ないようにして下さい。SCP-224-JPが出現したことは、手のサインで伝えてください。…覚えていますか、手のサイン?
D-224-JP-2: あーはいはい、これね、チェキ。
成田博士: はい、結構です。通話は標識を超えると切断されます。通話内でSCP-224-JPに言及すると、SCP-224-JPがあなたに反応する可能性があるからです。
D-224-JP-2: まあ、俺も’ナントカ博士’の声なんか、聞きたくはないからな。
[16:30]
成田博士: あの標識を超えたら██学区です。標識を超えると通話は切断されます。
D-224-JP-2: うーい。
成田博士 …では。
<記録終了>
通話が切断された後、映像による観察が続けられた。
<映像記録>
[16:33]: D-224-JP-2が標識を横切り、██学区に立ち入る。
[16:35]: 注意事項の通り、視線を地面に落とし、道なりに歩いている。
[16:37]: しばらく道なりに歩いている。
[16:40]: 突如歩みを止める。
[16:41]: 映像が揺れており、D-224-JP-2の動揺が伺える。
[16:42]: D-224-JP-2は徐に、ポケットからタバコを取り出し、火をつける。
[16:44]: しばらく一服している。
[16:47]: タバコを持った手でサインを作り、歩みを再開する。
[17:00]: ██学区を抜ける。
[17:05]: しばらく道なりに歩いている。
[17:09]: 犬がD-224-JP-2に向かって、異様に吠える。
[17:10]: D-224-JP-2が犬に向かって、タバコを投げつける。
[17:14]: ███駅に着く。
[17:15]: D-224-JP-2が駅の内部に入る。
[17:16]: 俯いたまま、早足で一直線に改札を目指している。
[17:17]: 駅の改札を抜ける。
[17:18]: 電車に乗り込む。優先座席以外の席は空いていない。
[17:19]: D-224-JP-2は優先座席に座る。
[17:20]: 電車が出発する。
[17:22]: D-224-JP-2は膝に顔を埋める。
[17:24]: 膝に顔を埋めている。
[17:25]: 膝に顔を埋めている。何かを呟いているようにも見える。
[17:27]: 膝に顔を埋めている。
[17:28]: 膝に顔を埋めている。
[17:29]: 電車が██駅に停車する。
[17:30]: D-224-JP-2が電車から降りる。
[17:31]: 駅の改札を抜ける。
[17:32]: 駅の外に出る。
[17:33]: 俯いたまま、小走りでアパートを目指している。
[17:35]: アパートに帰宅する。
<記録終了>
D-224-JP-2がアパートに帰宅後、通話が再開された。
<通話記録>
[17:37]
[ピンポーン (D-224-JP-2がインターホンを鳴らす音)]
[ギギギ (Agt・飯塚がドアを開ける音)]
Agt・飯塚: 「おかえり」
D-224-JP-2:「ただいま (失笑)」。おお、やっと消えた。
[スタスタ (二人が部屋に向かう足音)]
Agt・飯塚: 無事でよかったです。
D-224-JP-2: ああ。
Agt・飯塚: SCiPは消失していますか?
D-224-JP-2: ああ、これでやっと一息つける.. やれやれ、アンタもずいぶんとひどい人やね。
Agt・飯塚: えっ?
D-224-JP-2: えっじゃねえよ。あんな恐ろしい奴とずっといたんだぜ。あれにストーカーされる、こっちの気持ちも考えてみろよ。
Agt・飯塚: すみません。(頭を下げる)
D-224-JP-2: まあ、終わったからいいさ。そこのタバコ取ってくれたら、許してやろう。
Agt・飯塚: あっ、タバコ… はい、どうぞ。
D-224-JP-2: …ふう、やっぱ仕事終わりのタバコはうめえや。
Agt・飯塚: よかった.. 許してくれて..
D-224-JP-2: の…さ… だばざ . だ …
Agt・飯塚: ..はい?
D-224-JP-2: ..なんでもねえ。
成田博士: この後は、SCP-224-JPが完全に消失したかを検証する時間となります。明日の朝の7時まで待機してください。
D-224-JP-2: はいはい、分かったよ。'那由他博士' 。
[20:13]
Agt・飯塚: …あれ? あの、SCiPはずっと付きまとってたんですか?
D-224-JP-2: ああ、さっきも言っただろ。
Agt・飯塚: 駅の中でも?
D-224-JP-2: 駅だろうが電車だろうが関係ねえよ。座席に座ってても、ずっと頭のうえ飛んでたんだぜ。しつこいったらありゃしない。
Agt・飯塚: そ、そうなんですね。
[02:24]
D-224-JP-2: ああ、もうクソ、飯塚! 貧乏ゆすりすんなま、いじっかしい…
Agt・飯塚: す、すいません。
D-224-JP-2: ..随分と落ち着かない様子やね。俺より緊張してんじゃないの?
Agt・飯塚: いやぁ、はい、そうですね。
Agt・飯塚: …実は前にも同じようなことがあって..
D-224-JP-2: ああ、前の実験も担当しているんだろうね?
Agt・飯塚: ええ、でもその時の彼はあんなことに…
D-224-JP-2: あんなこと?
成田博士: 飯塚くん、あまり前の実験のことを語るのは..
Agt・飯塚: はい、すいません。
D-224-JP-2: ふーん、やっぱアンタらひでえ人やね。
[06:59]
[コケコッコ― (鶏の鳴き声) ]
Agt・飯塚: 鶏の鳴き声? 珍しいですね。
D-224-JP-2: ああ、お前の声真似だと思ったぞ。
Agt・飯塚: いや、私はそんな趣味は..
[07:00]
成田博士: 7時になりました。
D-224-JP-2: ふふ、どうやら現れなかったようやね、チェキ✌️。
Agt・飯塚: ええ、…よかったです。
<記録終了>