
SCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPおよびその周辺は、監視カメラおよび巡回警備員による24時間の監視体制に置かれます。1ヶ月に1度、SCP-XXX-JP内部に発生するSCP-XXX-JP-1を全て除去してください。除去されたSCP-XXX-JP-1はサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに保管されます。
SCP-XXX-JP-2はサイト-8141の標準人型用収容室に収容されます。現在収容されている実例は1体のみですが、新たな実例が発見された場合も同様の措置をとってください。
説明: SCP-XXX-JPは██県██市山間部の旧███集落に存在する古い廃校舎の裏庭です。SCP-XXX-JPは19██年に███集落が廃村となり███小学校が閉鎖された後、20██年に異常性が認められるまで手付かずのまま放置されていました。
SCP-XXX-JP-1は、SCP-XXX-JPの地中に出現する人骨です。深夜0時に達した瞬間、SCP-XXX-JPの地下20cmから40cmの範囲に人骨1つがランダムに出現します。最初の出現から24時間後、SCP-XXX-JP-1-1が出現した場所の付近にSCP-XXX-JP-1-2が出現します。このプロセスは24時間ごとに繰り返されます。SCP-XXX-JP-1に異常性は確認されていません。
SCP-XXX-JP-1の種類は原則として重複しませんが、いずれかのSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JP内部から除去すると、そのSCP-XXX-JP-1と同じ種類のSCP-XXX-JP-1が再出現する可能性が生じます。全てのSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JP内部から除去した場合、次回の出現タイミングにSCP-XXX-JP内部のランダムな場所に1個目のSCP-XXX-JP-1が出現します。一度除去したSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JP内部に戻しても、SCP-XXX-JPの挙動に変化はありません1。実験の結果、除去されたとみなされる基準はSCP-XXX-JP-1が外気に触れることであると判明しています。
SCP-XXX-JP-1は医学的に同一人物の骨格であることが確認されています。全てのSCP-XXX-JP-1を除去した後に再出現するSCP-XXX-JP-1も同様です。頭骨の各部位が揃った段階で復顔を試みたところ、年齢40代ほどのアジア系男性であるという結果が得られました。
SCP-XXX-JPは24時間ごとに平均206個の骨のいずれか1つを出現させるという、気の長い異常性を保有している。より正確な分析のため1年以上の長期観察実験を提案する。
――研究主任 ██博士
██博士の提案は承認され、20██/██/██からSCP-XXX-JPの長期観察実験が実行されることが決定しました。
日数経過 | アイテム番号 | 部位の名称 | 備考 |
---|---|---|---|
1日目 | SCP-XXX-JP-1-1 | 右橈骨 | 出現する骨の部位の順序に法則性がないことは判明済み |
2日目 | SCP-XXX-JP-1-2 | 腰椎 | 第4腰椎と推定される |
3日目 | SCP-XXX-JP-1-3 | 鋤骨 | |
4日目 | SCP-XXX-JP-1-4 | 胸骨 | |
(中略) | (中略) | (中略) | (中略) |
156日目 | SCP-XXX-JP-1-156 | 肋骨 | 右第6肋骨と推定される |
157日目 | SCP-XXX-JP-1-157 | 左舟状骨 | |
158日目 | SCP-XXX-JP-1-158 | 左上腕骨 | 骨折が治癒した痕跡あり |
(中略) | (中略) | (中略) | (中略) |
204日目 | SCP-XXX-JP-1-204 | 右涙骨 | |
205日目 | SCP-XXX-JP-1-205 | 篩骨 | |
206日目 | SCP-XXX-JP-1-206 | 左立方骨 | 骨格の全部位出現。観察を続行 |
207日目 | SCP-XXX-JP-1-207 | 第2大臼歯 | 便宜上、以降もSCP-XXX-JP-1-nと表記する |
208日目 | SCP-XXX-JP-1-208 | 第1小臼歯 | 以降も歯が1本ずつ出現 |
209日目 | SCP-XXX-JP-1-209 | 第1小臼歯 | 虫歯治療の痕跡あり |
(中略) | (中略) | (中略) | (中略) |
███日目 | SCP-XXX-JP-1-███ | 大頬骨筋 | ███以降のSCP-XXX-JP-1に腐敗の兆候はない |
███日目 | SCP-XXX-JP-1-███ | 斜角筋 | 観察実験の延長を申請 |
███日目 | SCP-XXX-JP-1-███ | 棘上筋 | [編集済み] |
███日目 | SCP-XXX-JP-1-███ | 回外筋 | [編集済み] |
███日目 | SCP-XXX-JP-1-███ | 上耳介筋 | 観察実験の延長申請が受理される |
(中略) | (中略) | (中略) | (中略) |
████日目 | SCP-XXX-JP-2 | [編集済み] | 確認された存在をSCP-XXX-JP-2と仮称する |
SCP-XXX-JP-2は旧███集落の███小学校に勤務していた教諭の[編集済]氏を自称する人型実体です。SCP-XXX-JP-1の長期観察実験の実施中、人体を構成する全部位が出現し終えた24時間後に、SCP-XXX-JP内部の全てのSCP-XXX-JP-1が不明な方法で結合することにより生成されました。SCP-XXX-JP-2は生成直後に自力でSCP-XXX-JP内部から脱出しましたが、観察にあたっていた職員数名によって確保されました。
SCP-XXX-JP-2は[編集済]氏の人格と記憶を保有していますが、その記憶は███小学校が閉鎖される前日の19██/██/██までしか存在しません。また、SCP-XXX-JP-2の肉体年齢および自称年齢は4█歳であるのに対し、██県内在住の[編集済]氏は██歳であり、年齢に大きな差があります。SCP-XXX-JP-2の年齢は、███小学校閉鎖前日の段階での[編集済]氏の年齢と一致します。
SCP-XXX-JP-2の肉体は老化の程度を除いて[編集済]氏と遺伝子レベルで同一であり、異常性や異常構造は見受けられません。健康面での異常が発生している部位は複数発見されましたが、全て[編集済]氏本人が当時抱えていた疾病と一致していることが確認されました。
SCP-XXX-JP-2に対する聞き取り調査も行われましたが、SCP-XXX-JPの異常性に関連する情報は得られませんでした。SCP-XXX-JP-2の証言によると、普段と同じように自宅の布団で就寝した後、SCP-XXX-JP内部の土中で目を覚まして混乱に陥ったとのことです。
SCP-XXX-JP-2の出現から██日後、SCP-XXX-JP内部から除去された██個のSCP-XXX-JP-1を調査したところ、それまでのSCP-XXX-JP-1とは異なる人間の骨であることが確認されました。新たに出現したタイプのSCP-XXX-JP-1はそれまでのSCP-XXX-JP-1と比べて格段に小さく、骨格の特徴から第二次性徴期前の女児の骨である可能性が高いと考えられます。
以上の結果から、財団による収容以前から異なるタイプのSCP-XXX-JP-2が生成され、SCP-XXX-JPの外部へ脱出しているという仮説が提唱されました。現在、██市内で発見された身元不明の人物および死体の記録の精査が進められています。
注釈: 本記録は最新の調査記録を記載したものです。本調査の成果の多くは詳細な検証が完了しておらず、特別収容プロトコル等の各項目には反映されていません。
記録者: エージェント・██(以下、Aと記載)
通話先: エージェント・██(以下、Bと記載)(調査責任者および通信音声の記録責任者はAであり、B以下数名の隊員と共に現地調査を行っていました)
(再生開始)
B: 指定の座標に到着した。周辺の調査を開始する。
A: 了解。今回の調査目的は理解しているな?
B: 当然だ。財団が収容する以前にも例のオブジェクトが発生していたのなら、何体かはこの山で野垂れ死んでいるはず。その死体の有無を調査することが今回の目的だ。
A: 結構。調査を続行せよ。
B: この広い山で人骨探しとなると、おまえの鼻が頼りだな。頑張ってくれよ。
(注釈:上記のBの発言はAに向けたものではなく、Bが随伴させている特殊訓練を受けた探査犬に対するものです)
B: 人骨を発見した。パーツは一通り揃っているようだが、野犬にでも食われたのか、酷く荒らされているようだ。
A: 回収の前に写真と映像記録を忘れるな。
B: 分かっている。
(シャッター音。および三分程度の沈黙と、枯れ葉を踏み分ける音)
B: 記録完了。人骨を回収する。ただの行き倒れかもしれないがな。
A: 待て。博士からの追加注文だ。白骨死体の真下の土壌サンプルも欲しいそうだ。深さ10cm、30cm、50cmの3パターンを採取しろ。
B: 最初に言ってもらいたいものだな。折りたたみの携行スコップしか持ってきてないのに、50cmも掘るのは骨だぞ。
A: この通話は記録されている。冗談は控えるように。
B: 冗談? ……今のはただの慣用句だ。
(十分程度の沈黙。スコップで土を掘る音が記録されている)
B: クソッ、なんてこった。
A: どうした、何があった。
B: 骨の下に別の骨が埋まっていやがった。いやちょっと待て。骨だけじゃない、これは……。
A: 詳細に報告せよ。
B: 肉だ。筋肉が骨に絡んでる。腐肉じゃねぇ、ついさっきまで……掘り起こすまで生きていたみたいだ。体温の名残もある。これじゃまるで……。
A: ……了解した。それらも記録を取ってから回収せよ。
(再生終了)
現在、旧███集落周辺の大規模調査とSCP-XXX-JPのオブジェクトクラス変更が検討されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはマゴイ2(学名:Cyprinus carpio)20匹を宿主とした状態で、生物サイト-8102の隔離区域に収容されています。飼料には他の小型魚類か小型両生類を必ず含むようにしてください。脊椎動物を含まない飼料のみで飼育することは許可されません。
宿主の進行段階がフェイズ3に移った場合、宿主が分裂増殖して発生した小型生物を全て捕獲し、未感染のマゴイ20匹に飼料として与えてください。このマゴイが新たな収容対象となります。
人間がSCP-XXX-JPに感染したことが確認された場合、進行段階がフェイズ2であれば特別治療プロトコル"肉貪り"よる治療が可能です。添付資料の"肉貪り"マニュアルに従って治療を行ってください。進行段階がフェイズ3を越えた場合の完全な治療は不可能です。対抗ミーム摂取によって感染拡大を防いだうえでの収容か、あるいは即時の終了が推奨されます。
説明: SCP-XXX-JPは脊椎動物のみに発生する一連の感染性異常現象です。その基本性質は"寄生虫のよう"と形容され、本報告書においても一部の用語が寄生虫学から借用されています。SCP-XXX-JPが非物質性の寄生生物なのか、物理的干渉によって伝染する特異な認識災害・異常ミームなのかは今もなお判明していません。
SCP-XXX-JPは物理的実体を持たないため、収容サイト内で異常性のサイクルを完結させコントロールすることで収容に成功したと判断されています。SCP-XXX-JPの異常性のサイクルは以下の4つのフェイズで構成されています。
フェイズ1:感染
SCP-XXX-JPの感染経路は、未感染の脊椎動物がSCP-XXX-JPに感染した脊椎動物(以下、宿主)を摂食することに限られます。感染確率は「一度の摂食で摂取した質量が、宿主の有機体組織の何パーセントに相当するか」の数値に比例することが確かめられています3。有機体組織の半分以上を摂取した場合は100%感染し、20%を摂取した場合は40%の確率で感染します。この性質上、草食性の動物や完全な昆虫食の動物など、脊椎動物を捕食しない動物に感染する事例は比較的稀です。
フェイズ2:幼虫期
新たに感染した宿主は行動様式が変化し、天敵から捕食されることを強く回避しようと試みるようになります。ただしこの行動は宿主が有する知識と本能の範疇に限られ、生物学的な限度を超えることはありません。これは一部の寄生虫4が未熟な幼虫期に捕食されることを防ぐため、寄生対象の行動を制御して実行させる自己防衛手段と類似しています。また、宿主は食物に対する認識も変化し、脊椎動物を優先的に捕食しようと試みます。宿主が脊椎動物を捕食する肉食性の場合は目立った影響がありませんが、雑食性の場合は極端な偏食として顕在します。脊椎動物を捕食しない動物が何らかの理由で感染した場合は、本来の食性を無視して脊椎動物の捕食を試みますが、多くのケースでは充分な養分を摂取できずに死亡します。
実験により、これらの脅迫的認識異常はミーム異常によって引き起こされていることが判明しています。
フェイズ3:変異
SCP-XXX-JPの最も特徴的な異常性は、フェイズ2に移行してから一定期間5経過することで発現します。フェイズ3に移行した宿主は不明な方法によって大規模かつ不可逆の細胞転換を引き起こされ、DNAレベルで別種の脊椎動物に変異させられます。変化先の生物はフェイズ2の間に最も多く摂食した種になります。またフェイズ3への進行を目前にした宿主は、変異先の生物の生息環境へあらかじめ移動しようとすることが確認されています。原因は不明ですが、この変異には質量保存の法則が適用されます。このため、変化後が宿主よりも大型の生物の場合は質量相応に相似縮小され、小型の生物の場合は相似拡大された姿になります。ただし、変化先の質量が宿主の半分以下の場合はこの限りではなく、複数の個体に分裂することで保存法則を満たします。実例としては、体重300kgのハイイログマが感染後に平均9kgのサーモンを摂食し続けた結果、フェイズ3に移行した際に33匹のサーモンに分裂増殖したことが報告されています。分裂した個体は全てフェイズ4の感染段階にありました。
なお、感染から変異までの間に脊椎動物の有機体組織を一切摂食していない場合、宿主は急性の細胞融解を引き起こし、全身の液状化に伴うショック症状により死亡します。救命の手段は発見されていません。
フェイズ4:成虫期
変異を終えてすぐに、宿主は異常性サイクルの最終段階であるフェイズ4に移行します。この段階ではフェイズ2で見られた危機回避行動と食性異常が消滅し、代わりに天敵から狙われやすくなる行動を積極的に取るようになります。これもまた一部の寄生虫の生態と類似しています。フェイズ2と同様、この異常行動はミーム異常によって引き起こされています。SCP-XXX-JPはフェイズ4に至った宿主が捕食されることで別の生物に感染し、フェイズ1から再度異常性サイクルを繰り返します。それ以前の段階の宿主を捕食しても感染性は発揮されません。
また、フェイズ4に移行したSCP-XXX-JPは軽度かつ限定的な認識災害を引き起こします。宿主の姿、もしくは宿主が発生させる音、臭い、フェロモン物質などを知覚した捕食者は、優先的に宿主を捕食しようと試みます。自然死した死体も感染性とこの特性を有しますが、分解が進むに従ってそれらの効力は低下していきます。
フェイズ4への移行後に顕在する異常性は、移行から約720時間後に全て消失し、感染性も失われます。これはフェイズ4に移行したSCP-XXX-JPの"寿命"が約720時間であるためだと考えられ、消失限界が近づくにつれて宿主の異常行動と認識災害は強度を増していきます。なお、自然環境下においては宿主の99%が720時間以内に捕食されると推測されます。
フェイズ2とフェイズ4で発生する認識異常は、対抗ミームの摂取によって打ち消すことができます。しかしフェイズ3への進行はこれらと無関係に生じるものであり、フェイズ2の宿主に対抗ミームを投与して行動を正常化させても一定期間の経過でフェイズ3に移行します。フェイズ進行そのものを阻止する手段は発見されていません。
フェイズ3で発生する肉体変異およびフェイズ2と4で発生する異常行動への対抗手段として、特別治療プロトコル"肉貪り"が策定されています。"肉貪り"は主に2回の対抗ミーム摂取とその間に行われる食餌療法で構成されています。未収容のSCP-XXX-JP宿主から感染した人間が発見された場合、それの進行段階がフェイズ2であれば"肉貪り"によってSCP-XXX-JPの影響を封殺することが可能です。
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したイエイヌ(品種:柴犬)
実施方法: フェイズ3に進行するまでの間、一体のウシ(品種:レッド・アンガス)から採取された牛肉を加工した餌のみを与え続ける
結果: 体重10kgのウシに変異。体高は体重相応の相似縮小。遺伝子分析によりレッド・アンガス種であると同定されたが、餌の原材料となった個体の遺伝子とは一致しなかった
分析: 捕食した生物のコピーとなるわけではないようだ
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したチンパンジー
実施方法: SCP-XXX-JPによってイエイヌ(品種:柴犬)から変異した 体重10kgのウシ(品種:レッド・アンガス)のみを動物性蛋白質として与え、それ以外の栄養素は非動物性の食物によって強制的に摂取させる
結果: 体重57kgのウシに変異。体高は体重相応の相似縮小。遺伝子分析によりレッド・アンガス種であると同定されたが、餌になった個体の遺伝子とも、更にその餌になっていた個体の遺伝子とも一致しなかった
分析: 変異した個体はSCP-XXX-JP自身からも変異後の生物とみなされるようだ
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したイエネコ(品種:スコティッシュフォールド)
実施方法: 複数の品種のウシ・ブタ・ニワトリの肉をランダムに配合した飼料を与え続ける
結果: 体重4.3kgのウシに変異。体高は体重相応の相似縮小。品種は特定不能。複数の品種が交雑した状態であると推定される。ブタとニワトリの遺伝的影響は一切確認されなかった
分析: 摂食量が最大の種のみが変異先に影響を与えるが、その種の中での品種の違いは変異後の姿に影響を与えるようだ
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: 同一の遺伝子を持つクローン個体の雄ハツカネズミ2匹
実施方法: ハツカネズミAには雄のイエイヌ(品種:シベリアン・ハスキー)の肉のみを、ハツカネズミBには雌のイエネコ(品種:メインクーンとラグドールのミックス)の肉のみを与え、変異の違いを観察する
結果: ハツカネズミAは雄のイエイヌ(品種:シベリアン・ハスキー)に変異し、ハツカネズミBはメインクーンとラグドールのミックスと推定されるイエネコの雄に変異した。どちらも体重は20gで身長は体重相応の相似縮小相応。知性は著しく低いが、ハツカネズミとしての本能は消滅し変異後の生物の本能を備えていることが観察された
分析: 本能は変異後の生物のものを獲得するが、性別や後天的学習は変異前のものを継承する可能性が高い。特に記憶と人格については追加の実験が必要だろう
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したヒト(D-1599)
実施方法: 動物性蛋白質を欲する要求に対して、ニシローランドゴリラの肉を加工した食品のみを与えて変異させた後、記憶および人格の継承の有無を確かめる
結果: 変異前から敵意を抱いていた博士に攻撃的態度を取る、愛用していた物品に愛着を示すなどの行動が見られた。また、手話の習得による意思疎通も短期間で可能となった
分析: 記憶と人格は変異後も継承されると見ていいだろう
実験記録XXX-JP-█ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したヒト(D-5643)
実施方法: 動物性蛋白質を欲する要求に対して、ハツカネズミの肉を加工した食品のみを与えて変異させた後、記憶および人格の継承の有無を確かめる
結果: 同一の遺伝情報を有する3500匹のハツカネズミに分裂増殖した。知能はハツカネズミとしてはかなり高い水準にあったが、変異前の記憶および人格の継承は観察されなかった
分析: 記憶と人格の引き継ぎの程度は、変異後の生物の脳機能に依存するようだ
実験記録XXX-JP-██ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したイエイヌ(品種:セント・バーナード)
実施方法: イエイヌ(品種:チワワ)を加工した飼料のみを与え続ける
結果: 外見的にも遺伝的にも変化なし。フェイズ4への進行は通常通り発生した
分析: 興味深い結果が得られた。自身と同一種と定義される生物を最も多く摂食した場合、変異そのものが起こらずフェイズ4へ進行するようだ。しかもこのとき、品種レベルの差異は無視される。SCP-XXX-JPの収容に大きな変化をもたらす成果かもしれない
実験記録XXX-JP-██ - 20██/██/██
対象: フェイズ2に進行したヒト(D-4411)
実施方法: 動物性蛋白質を欲する要求に対して、ヒトの肉を加工した食品のみを与える
結果: 外見的にも遺伝的にも変化なし。フェイズ4への進行は通常通り発生した
分析: 予想通りだ。この結果に基づけばSCP-XXX-JPへの対症療法を確立することができるだろう
(補足: 特別治療プロトコル"肉貪り"はこの実験の成果を基に策定されました)
実験記録XXX-JP-██ - 20██/██/██
対象: フェイズ4に進行したヒト(D-4411)
実施方法: D-4411を収容サイト内で自由に行動させ、どのような手段で天敵からの被食率の上昇を試みるのかを観察する
結果: D-4411はサイト内で最も高い建物の屋上に移動し、廃材を利用した原始的な構造物を組み上げた。この構造物に合理的用途は見いだせない。その後、D-4411は構造物群に囲まれた状態で、胸の前で手を組んで空を見上げる、両手を上げた状態で座り込み上半身を幾度も前後に倒す、中空の構造物を棒で殴打して長時間に渡って音を鳴らしながら声を上げるなどの行動を取った
分析: 奴は一体何に食べられようとしているんだ?
実験記録XXX-JP-██ - 20██/██/██
対象: フェイズ4に進行したヒト(D-4411)
実施方法: 上記実験から継続し、D-4411の行動を観察する
結果: [データ削除済]
分析: [データ削除済]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは██県██山地の山中に存在する仏教寺院の廃墟です。寺院として使用されていた頃の記録は残されておらず、放棄された時期も明らかになっていません。SCP-XXX-JPの内部には製造方法が不明なオブジェクト(SCP-XXX-JP-A)が複数存在します。SCP-XXX-JP-Aは不定期に増減を繰り返しますが、その総数が20体を越えることはありません。
SCP-XXX-JP-Aは人間の死体を材料とした人形状のオブジェクトです。頭部が異様に肥大化し、首から下は「座禅を組んでいる」と称される姿勢で固定されています。顔は一体ごとに異なりますが、服装は禅僧が着用する僧衣で統一されています。関節の可動性が失われているため、姿勢を変更させることはできません。頭部は中空構造に作り変えられ、外部からの物理的刺激に対応して揺れ動きます。これ自体は異常な機能ではなく、張り子の首振り人形やバブルヘッド人形などに類似した純粋に物理的な機構です。またSCP-XXX-JP-Aには高度な防腐処理と乾燥処理が施されており、質感は硬質で重量は生体の数分の一にまで軽減されています。
SCP-XXX-JP-Aの出現と消失のプロセスの解明は全て失敗しています。プロセスの進行中はSCP-XXX-JP-Aの開放部分に黒い障壁のようなものが発生し、いかなる手段によっても内部の様子を観察することができません。SCP-XXX-JP内部に取り付けた記録装置は一時的に機能不全に陥り、音声映像ともに記録が途絶えた間にSCP-XXX-JP-Aの増減が完了します。また、SCP-XXX-JP内部での待機と増減プロセス中の侵入を指示されたDランク職員は、その全員が未帰還に終わっています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは生物サイト-8102の小型生物用収容室に収容されています。収容室の四隅にはカント計数機が一つずつ設置されており、収容室内の空間中のヒューム6濃度およびSCP-XXX-JPの内部ヒュームを自動的にモニタリングしています。いずれかのカント計数機がヒュームの著しい不均衡を検知した場合、即座に無臭性の鎮静ガスが噴出されSCP-XXX-JPを無力化します。
上記以外の基本的な取り扱いは標準的小型ネコ科生物取り扱いマニュアルに従ってください。SCP-XXX-JPを発声によって呼び寄せる必要が生じた場合は、より効率的な取り扱いを行うために「アナ」という単語を使用することが許可されています。同じ職員が一週間以上連続して飼育を担当することは推奨されません。飼育担当の連続勤務は最長でも一週間まで、なおかつ前回の勤務から一ヶ月以上のインターバルを挟んで担当するようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPはヒューム変動能力を有する雌のイエネコ(学名:Felis silvestris catus)です。年齢は1歳から2歳であると推定されています。SCP-XXX-JPのいずれかの感覚器で知覚可能な領域内のヒューム濃度は、常にSCP-XXX-JPの内部ヒュームと同じ値7に保たれます。SCP-XXX-JPがヒュームを変動させるメカニズムは不明8ですが、ヒューム濃度の固定に伴う各種の空間パラメータの変動は、スクラントン現実錨を用いて同じ値のヒューム濃度に固定した場合と一致します。固定されたヒューム濃度を人為的に低下させる試みは現在のところ成功していません。
SCP-XXX-JPは特定の条件が満たされた場合に自身の内部ヒュームを変動させる性質があり、それに伴って固定されるヒューム濃度の値も変動します。最も多く確認されているケースは、ヒューム濃度固定領域内にその時点での固定数値を上回る内部ヒュームを持つ実体が侵入した場合です。このとき、SCP-XXX-JPはただちに自身の内部ヒュームを対象の内部ヒュームよりも僅かに高い値に変動させます。正確な変動上限は不明ですが、実験では██Hmまでの上昇が確認されました。この性質のため、ほとんど全ての現実改変者はSCP-XXX-JPの周囲で能力を行使することができなくなると推測されます。
また極めて希少なケースですが、SCP-XXX-JPが非常に強いストレス下で極度の興奮状態に陥った場合、上記の固定的な変動とは大きく異なる現象が発生します。このときSCP-XXX-JPの内部ヒューム濃度分布に著しい乱れが生じ、0.██Hmから██Hmまで無秩序に入り混じった、マーブル状と形容されるような様相を呈します。この乱れはすぐさま周囲へ適用され、空間中に極度の高ヒュームポイントと極度の低ヒュームポイントが隣接して密集した状態になり、ある種の現実断層と呼ぶべき現象9が無数に発生するとみられています。この現象は世界オカルト連合の排撃斑一個分隊が収容前のSCP-XXX-JPと接触した際に一度だけ発生が確認され、これによって分隊構成員13名全員が死亡しました。回収されたヒューム表示機能付き映像記録装置の解析と事後の現場検証の結果、分隊構成員はいずれも超常的な原因で死亡したことが確認されました。
死亡者数 | 死因 |
---|---|
3名 | 互いの肉体の部位が無作為に入れ替わり、急性拒絶反応で死亡 |
1名 | 心臓を嘔吐 |
2名 | SCP-XXX-JPへの掃射直後、ランダムに空間転移したライフル弾に被弾 |
1名 | 肉体が裏返る(財団エージェント到着時点では生存) |
2名 | 正中線に沿って壁に埋め込まれ、血流不全で死亡 |
1名 | 頭部が天井と結合した後、頸部がちぎれ胴体のみ落下 |
1名 | 横隔膜よりも下が床と結合(財団エージェント到達時点では生存) |
1名 | 四肢の末端からほぐされるように分解 |
1名 | 肉体の60%が虫食い状に消滅 |
現実改変者とのクロステストおよび他のオブジェクトの収容への利用に関しては、各部署からこれまでに合計██回の提案がなされていますが、現時点では個体喪失の懸念および自己防衛のための現実断層の発生の恐れから、全て却下および保留とされています。
補遺1: 第██回目の研究班ミーティングにおいて、SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスをEuclidからSafeに変更することが提案されました。理由としては、現在の特別収容プロトコルに基いた収容が容易かつ確実的であると考えられることに加え、現実断層の発生条件が極めて特殊であり脅威度が低いと判断されることが挙げられています。ミーティング出席者の反対多数で正式な変更申請は見送られましたが、反対者の三分の一は将来的な変更が充分ありうるとの意見を表明しています。
アナが……もとい、SCP-XXX-JPが現実断層を発生させることは恐らくあり得ないだろう。発生のファクターとなる実体はもう存在しないのだし、特別収容プロトコルが順守されている限りは代わりになるものが見つかるとは到底思えないからな。 ――研究主任 ██博士
SCP-XXX-JPが収容されたのは、GOCがKTE-████-White-Breadと呼称していた、要注意団体[編集済]の関係者と目される財団未収容の現実改変者の隠れ家です。KTE-████-White-Breadは民間人とGOCエージェントを合わせて███名以上を殺害あるいは消滅させたことでGOCの現実改変者粛清作戦の対象となり、█年間の潜伏の末に頭部を狙撃銃で撃ち抜かれて終了させられました。狙撃成功後、排撃斑の制圧分隊が隠れ家に突入して要注意団体に関する証拠物品の回収を試みましたが、現地で遭遇したSCP-XXX-JPが発生させた現実断層によって全滅しました。
その後、協定により後方待機していた財団の調査チームがKTE-████-White-Breadの隠れ家に踏み込み、SCP-XXX-JPと一冊の日記帳を回収しました。この日記帳はKTE-████-White-Breadの私有物とみられ、粛清作戦前日までのおよそ400日分の出来事が記述されています。
34ページ目下段
「近頃、壊し屋共も来なくなって張り合いがない」と██10に相談してみたら、██の奴、妙な提案をしてきやがった。ネコを飼えだって? 気まぐれで退屈しないからだと言っていたが、疑わしいものだ。
オレ達の思い通りにならないものなんてない。オレ達はそういうものだ。言うことを聞かない動物だって反射的に念じてしまったらそれまでだ。退屈しのぎにもなりはしない。██の奴、閉じ込め屋と壊し屋に追われ過ぎて遂におかしくなったんじゃないだろうか。
35ページ目上段
[前半は無関係な内容のため省略]
ふと浮かんだアイディア。オレの力で、言うことを聞かせられない生き物を作ってみるのはどうだろう。全能のパラドックスの実演だ。全知全能の神は自分でも持ち上げられない石を作れるか。急に興味がわいてきた。明日にでも試してみよう。
35ページ目下段
結論から書くと、狙い以上のモノができた。言うことを聞かせられないなんてレベルじゃない。あいつが近くにいるだけで力を使うことすらできなくなるくらいだ。オレの力は思っていたよりもずっと強力だったみたいだが、正直言ってあまりにも不便だ。力が使えないと日常生活にも困ってしまう。
こんなことになるなら処分方法を考えてからにするべきだった。捨てるか殺すか保健所か。どれが一番閉じ込め屋に気付かれにくいのだろう。奴らは手下をそこら中に送り込んでいるはずだから、保健所に持ち込んだら足がついてしまうかもしれない。
疫病神め。
36ページ目上段
[前半は無関係な内容のため省略]
それにしても██め、他人事だと思って好き勝手いいやがって。何が責任もって世話をしろだ。
だがまぁ、殺すと何が起こるか分からないから止めておけ、というアドバイスは納得だ。殺してただの死体になってくれたらいいが、そうでなかったらもっと面倒なことになるかもしれない。下手に捨てたら閉じ込め屋に目を付けられるかもしれないから、しばらくは飼い続けて様子を見るしかなさそうだ。
37ページ目上段
あいつもようやくオレに慣れてきたらしい。気が付いたら足にすり寄ってきている。かと思ったら、しばらく触っただけで隣の部屋に行ってしまう。本当に気まぐれで自分勝手な奴だ。
[後半は無関係な内容のため省略]
38ページ目下段
あいつがずっと膝の上に乗っている。これを書いている今もずっとだ。最近冷えてきたからオレの体温で温まっているんだろうか。下ろしても下ろしても戻ってくるから、どけるのはもう諦めた。
そういえば、今年は暖房が必要かもしれない。いつもは力を使って寒さを防いでいたが、今年はこいつがいるからそれができない。寒いのは嫌いだし、凍死されるのは迷惑だ。明日にでも調達しよう。
40ページ目下段
大事なことを忘れていた。あいつに名前を付けていなかった。なんて名前を付けようか悩んだが「アナ」と呼ぶことにした。A、N、N、Aでアナ。パッと思いついた名前だがあいつにピッタリだ。
45ページ目上段
██がアナの処分方法を考えてきた。普通のネコとして他の誰かに譲ってしまえばいいというのだ。言われてみれば簡単な話だ。よく会う知り合いは大体みんな力を持っているので、アナを押し付けようという発想が浮かばなかったんだろう。赤の他人に譲ってしまえば済む話なのに。
だけど、アナを他人にやるつもりは今のところない。外に出たがらないから大人しいものだし、ヒマなときに毛並みを弄ってやるのは意外と楽しい。何より退屈しないのがいい。飽きるまではこのままでいいだろう。
███ページ目上段
アナが来てくれてから明日で一年になる。記念日を心から祝うなんて本当に久しぶりだ。つくづくオレは人生に飽きていたらしい。何もかもが思い通りになることに飽き飽きして、そのくせ飽きていたことにも気が付かなかったんだ。けれどアナのおかげで何もかも変わった。不自由な暮らしがこんなに幸せになるなんて思わなかった。
明日はいつもの奴よりも高価な猫缶を買って帰ろう。ああ、そういえばいつの間にか、アナのごはんを力で調達しなくなっていた。アナが「そんなことをするな」と言っているような気がしてならないんだ。昔のオレが見たら引っくり返るだろうな。
アナは今もオレのヒザの上でノドを鳴らしている。なんて幸せなんだろう。
編集注: この記述の翌日にGOCの粛清作戦が実行されました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8141の隔離型人型収容室に収容されています。隣接する収容室にはDクラス職員1名を常に配置し、該当職員がSCP-XXX-JPに最も接近している人間である状態を維持してください。
SCP-XXX-JPが死亡した場合、隣室のDクラス職員をSCP-XXX-JPと認定し、以前のSCP-XXX-JPを収容していた収容室に新たなDクラス職員を配置してください。
説明: SCP-XXX-JPは不随意の高速運動を続ける人型実体です。SCP-XXX-JPのあらゆる行動は本人の意志に関わらず高速化されており、████fpsのハイスピードカメラによって撮影することで通常の人間の運動と同じように知覚されます。無意識の身体の揺れも高速化され、静止状態でも激しいぶれが発生するため、肉眼による容貌の正確な視認は不可能です。またSCP-XXX-JPの発声は可聴域を越えた超音波として発せられます。これは声帯の振動が高速化したことで音波の周波数が増大するためです。
SCP-XXX-JPの高速運動によって、その周囲には風速██m/sから██m/sの風が発生し、気温が平均して█℃上昇します。これによってSCP-XXX-JPの肉体がダメージを受けることはありません。しかしながら着衣の長時間の維持は困難であり、収容中のSCP-XXX-JPは基本的に全裸で活動しています。
SCP-XXX-JPの生理的周期も同様の倍率で加速しており、SCP-XXX-JPの1日のサイクルは通常時間における██分に相当します。これは即ち約█日の経過でSCP-XXX-JPが1年分の加齢をすることを意味しており、を長期間に渡って収容し続けることは困難であると考えられます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは火葬炉11と合成ダイヤモンド生成器12が連結した大型複合装置です。本報告書では装置全体をSCP-XXX-JP-1、火葬炉部分をSCP-XXX-JP-1A、生成器部分をSCP-XXX-JP-1Bと表記します。SCP-XXX-JP-1Aに入れられた人間の死体はおおよそ60分ほどで焼却が完了し、遺灰は自動的にSCP-XXX-JP-1Bへ送られ、24時間の過熱圧縮過程を経て合成ダイヤモンドに加工されます。生成された合成ダイヤモンドはSCP-XXX-JP-2と表記します。
SCP-XXX-JP-1は稼働に燃料や電力を必要とせず、一連の行程を外部からのコントロールなしに自動的に完了させます。またSCP-XXX-JP-1Bは、通常のダイヤモンド合成過程が数ヶ月の加熱圧縮を必要とするところ、不明な原理によって所要時間を大幅に削減しています。SCP-XXX-JP-1本体の異常性は上記の内容のみであり、SCP-XXX-JPの際立った異常性は生成物であるSCP-XXX-JP-2にあります。
適切なカットおよび刻印を施されたSCP-XXX-JP-2を人間(以下、対象者と表記)の肉眼で覗き込むと、対象者の視覚野が未知の視覚情報を認識します。この現象は対象者の主観では「視界が別の映像に切り替わった」と感じられ、SCP-XXX-JP-2を物理的に視界から移動させることで消滅します。この映像はSCP-XXX-JP-2の材料となった人物の生前の記録であると考えられ、カットと刻印によって映像の時期や内容の指定、一人称視点と三人称視点の切り替えなどの制御が可能です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが発生する島全体はサイト-81██に指定され、情報操作によって無人島であると偽装されます。一般人の上陸は認められず、住民は外部の情報から完全に遮断された状態を保たれます。住民はこれを自然な状態であると認識していることが望ましく、この島に閉じ込められているという自覚を抱かないよう、あらゆる手段を講じて認識操作を行ってください。穏健な手段による対応が困難な場合は、記憶処理や終了措置などの強硬的手段も認められます。これによるSCP-XXX-JP-1の発生可能性は必要最低限のリスクとして許容されます。
説明: SCP-XXX-JPは東京都島嶼部に位置する█島で発生する異常現象です。SCP-XXX-JPが発生すると█島全体が深い霧に覆われ、過去に死亡した人物に酷似した人型実体1体(SCP-XXX-JP-1)が霧の中から出現します。SCP-XXX-JPの発生周期に規則性はありませんが、これまでに確認されているSCP-XXX-JPは全て夜間に発生しています。SCP-XXX-JPが発生することで副次的に霧が生じるのか、それともこの霧がSCP-XXX-JPの発生源であるのかは、現在のところ明らかではありません。
SCP-XXX-JP-1は死亡時点の年齢と外見で出現しますが、生物学的に極めて健康的です。精神状態は安定しており、財団の聞き取り調査にも論理的かつ常識的な受け答えをすることができます。記憶の正確性については基本的に原型となる人物が死亡しているため検証が困難ですが、SCP-XXX-JP-1自身および周辺人物は記憶の正確な継承を証言しています。生殖も可能で、20██/██/██時点で█島の非SCP-XXX-JP-1住民の██%は両親の片方あるいは両方がSCP-XXX-JP-1となっています。なお、死亡したSCP-XXX-JP-1をオリジナルとする新たなSCP-XXX-JP-1の発生は確認されていません。
SCP-XXX-JP-1が出現する人物の条件は、肉親など生前を良く知る第三者がSCP-XXX-JP発生時点で█島に在住あるいは滞在していることだと推定されます。財団が194█年に複数のSCP-XXX-JP-1実体の周辺人物に聞き取り調査を行ったところ、調査対象はただの一人の例外もなく「SCP-XXX-JP-1は間違いなく故人そのものである」と証言しました。この結果を受けて195█年から196█年にかけて多角的な追加調査が行われましたが、いずれの調査対象からもミーム汚染、認識災害、精神操作などの兆候が検知されず、本人の意志のみに基いて証言をしたことが確かめられました。
SCP-XXX-JPは█島においては古くから知られており、島への入植が始まった明治時代初期には既に「黄泉還りの御霧」として認知され、島の宗教的秘密とみなされて情報流出が妨げられていました。財団は194█年にSCP-XXX-JPの存在を把握し、出現したSCP-XXX-JP-1の島外への拡散が封じ込め違反に相当すると判断して、島全体をサイトに設定した大規模な収容プロトコルを策定しました。
財団がSCP-XXX-JPの存在を把握したきっかけは、財団エージェントが潜入先の精神病院で█島出身の男性と遭遇したことです。男性は徴兵を受けて太平洋戦争に従軍し、復員して█島に帰還したところ、ごく最近に蘇ったというもう1人の自分(男性をオリジナルとするSCP-XXX-JP-1)が本人の代わりに家族と生活を営んでおり、更には配偶者との間に新しく子供を設けていたと証言しました。後の調査で、復員の1年前に男性の戦死を伝える誤った連絡が█島に送られており、その直後にSCP-XXX-JP-1が発生したことが確認されました。財団職員が男性とSCP-XXX-JP-1の双方に個別面会したところ、両者は酷似しているものの完全に同一とは言い難く、性格や外見に細かな相違点が観察されました。これらの事例から、SCP-XXX-JP-1は厳密には死者が蘇生したのではなく、█島に居住する第三者が「その人は死亡した」という確信を抱いたことをトリガーとして、該当人物が対象者に関して抱いていたイメージを元に再現された実体であると推測されます。
サイト-81██新規配属職員オリエンテーションにおける訓示より抜粋
特定の人物に対して他者が抱くイメージは、決して正確ではありません。外見の記憶は無意識に補正され続け、人格面の認識は極めて一面的です。それらの総和から人物像を再現すれば当然のように不正確なものにしかなりませんが、SCP-XXX-JP-1を取り巻く人々がそれを認識することはないでしょう。なにせ、そこにいるのは彼らが思い描き続けてきた人物像そのものなのですから。多少の違和感は大切な人が蘇ったという甘い喜びに打ち消されてしまうのです。
対象: SCP-XXX-JP-1-A13
インタビュアー: エージェント・ブラウン14
付記: SCP-XXX-JP-1-Aは強い訛りのある現地方言で、A.ブラウンは英語で受け答えをしています。実際のインタビューでは、英語と標準日本語の米国人通訳に加えて現地方言と標準日本語の日本人通訳を挟んで対話を行っていますが、本記録では通訳の過程を省略し双方の発言を標準日本語に修正しています。
<録音開始>
インタビュアー: それでは、よろしくお願いします。
SCP-XXX-JP-1-A: ええと、御霧のことについてお話すればいいんでしたか。
インタビュアー: あなたは御霧
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
インタビュアー: [会話]
SCP-XXX-JP-1-A: [会話]
<録音終了>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
SCP-XXX-JPに伴う濃霧の発生範囲は年月の経過とともに拡大し続けています。█島の文書によると、明治初期の植民当時は霧の発生は島の中央に限られていました。SCP-XXX-JP-1の出現条件も現在とは異なり、濃霧の夜に身内を失くした人物が島の中央で一夜を明かすと故人が蘇るとされていました。財団による発見当時の194█年時点では霧の発生範囲およびSCP-XXX-JP-1の出現範囲は█島全体に及び、20██年現在はサイト-81██の沖合█kmにまで濃霧が到達しています。
海上でのSCP-XXX-JP-1の出現は観測されていませんが、濃霧が別の島に到達した場合にSCP-XXX-JPの発生範囲が拡大するか否かについては、現在のところ仮説の域を脱していません。これまでと同様の比率で濃霧の範囲が拡大し続けると仮定した場合、█年後には最寄りの有人島に到達し、██年後には東京都特別区に到達すると見込まれています。
濃霧の拡大に伴うSCP-XXX-JPの発生範囲の拡大という事態を想定し、新たな特別収容プロトコルの策定が急がれています。
我々はもっと早く気付くべきだったのだ。彼らが人間であるという根拠が何一つなかったということに。
――サイト-81██管理人 ██教授の述懐
197█年に行われた遺伝子解析の結果、SCP-XXX-JP-1の遺伝情報は人間のそれと大きく異なっていることが判明しました。これを受けて、SCP-XXX-JP-1から採取した体細胞を特殊な条件下で培養したところ、異常膨張した細胞がアメーバに類似した運動機能を獲得し、人体の細胞とはまるで異なる振る舞いを始めました。男女のSCP-XXX-JP-1の間に生まれた人物もSCP-XXX-JP-1と同様の性質を示し、SCP-XXX-JPの対象となりません。
両親のどちらかがSCP-XXX-JP-1であるか、直系祖先に1名以上のSCP-XXX-JP-1が存在する場合、その人物は一定割合の体細胞がSCP-XXX-JP-1と同様のものに置換されています。置換割合はSCP-XXX-JP-1との近縁性の高さに依存し、両親の片方がSCP-XXX-JP-1であれば全細胞の50%が、2世代前に1名のSCP-XXX-JP-1が存在する場合は25%が置換されます。これに該当する人物をSCP-XXX-JP-2に指定します。SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JPの対象となり、該当実体を原型とするSCP-XXX-JP-1が出現します。
前述のとおり、20██/██/██時点で█島の非SCP-XXX-JP-1住民の██%は両親の片方あるいは両方がSCP-XXX-JP-1となっていますが、それ以外の住民は全て祖父母またはそれ以前の祖先に1名以上のSCP-XXX-JP-1が存在します。即ち、財団職員を除いた█島の住民は全てSCP-XXX-JP-1もしくはSCP-XXX-JP-2であり、██年後には通常住民の100%がSCP-XXX-JP-1に置き換えられると推測されています。
また、財団による収容以前に累計██名の住民が本土へ移住しており、最低でもその25%がSCP-XXX-JP-1またはSCP-XXX-JP-2であったと推定されています。このことから、日本国内には推定███名以上の未収容のSCP-XXX-JP-2が無自覚に存在し、現在も数を増やしていると考えられます。