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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:

説明:

補遺1:

 
 
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


評価: 0+x

 あなたはこの資料を必要としてますか?私は呪われた人々の為にこれらの文書を集めました。多分必要としている人の手に届く運命であるとは思います。
 ところでどうやってこれにアクセスしましたか?図書館ですか?もしくは排撃班が回収しましたか?それとも一夜にしてデータベースが書きかわっていたとか?まぁ、なんでもいいです。それは過程ですから。とにかく問題は運命というヤツです。それは呪われたあなたに面倒な使命をおしつけます。断ってもいいですが、やるだけの動機は十分ある筈です。それを果たせるよう私は祈っています。そしてあなたがコンタクトさえできれば、私はあなたに手を貸すでしょう。

 大浸沢の部落は昔、帝に降伏した人々が流されて生まれたといいます。当然土地は痩せていて、作物も何もとれませんでした。そこで村の若い男が一人、洞窟の奥の神様に会いにいったそうです。神様は毎年生け贄を差し出せば助けると言います。洞窟から戻ってきた男は皆に相談します。しかし村長は生け贄を渋りました。すると三日後、洞窟の中から沢山の黒い水が溢れて来たそうです。幸い、殆ど死人は出ませんでした。しかし、男の恋人が死んでしまったそうです。男は泣きながらも水の底に沈んだ洞窟へと行きました。すると水からは段々と色が抜けていき、普通の池になったそうです。これを用水にして村人は畑を耕し、村は平和になりましたとさ。チャンチャン。これが大浸沢の名の由来だそうです。え、生け贄は毎年捧げるんじゃなかったのかって?さぁ、大浸沢は如何せん閉鎖的ですから、今でもそういった風習が続いているのかもしれませんね……

「真に怖い!?日本の民話集 ~関東編~」日本恐怖民話会 著 アールジービー・パブリッシング 発行 より抜粋

自分で明かしたくないか、と言われれば嘘にはなる。でも、俺が駄目でも、誰か、誰かがいずれ辿り着くのだと、ずっと信じていた。この暗闇に潜む怪物共が、明るみの中に出る日が来るのだと。

嫌だ

嫌だ

アレを認めたくない。犯してはいけないものだと、認めたくない。嫌だ。

ああ、アレが来る。


終末アラカルト


1.

 真空の暗闇が星々のスパンコールをより映えさせる。彼女はそこで踊り続けている。
 彼女--後醍醐勾--自身の強さがどれ程のものであっても、それは人の範疇だった。普通の人間だった。しかし、普通とはなんだろうか? 少なくとも最期のその瞬間まで--それも自身の怯えを誤魔化すためでは無く、ただ誰かを笑わせるために--笑顔でいられる怪物を普通とは呼ばない。だからこそ芸能界でも生き残れたし、歪んだ暗闇に居続けることが出来た。目的のために一瞬一秒全てを演じていたのかもしれないし、あまり考えたくないがアレが素なのかもしれない。それは誰にだって、当人ですら知らないことだろう。しかし、だからこそ偶像は完成した。人の信じる人間性を忘れたくないと、たったそれだけの妄執が、彼女を模した器に流れ込む。それが彼女かどうかは奇跡の前では些細な問いだ。あり得ないなんてあり得ない。我等が常に憎む不条理の女神は、何故かその時だけ笑ったのだ。だから、彼女はそこで踊り続けている。誰かがいずれ見てくれることを信じて。

 観客はいまだ来ていない。


2.

 灰色の空の下、無数の墓が立ち並ぶ。それはまだ世界に余裕があった頃に立てられたものだ。


4.

「これで、全部ですね」
「はい、」


地獄への道

「ねぇねぇ」
気力を奮って大学まで来てみれば、教授が風邪で休講だった。次の講義まで二人は暇をもて余し、椅子に座っていた。
「なにさ」
「聞いた?」
「聞いたって、何を」
「じゃあ、知らないのね。話してあげる」

「三香子……三香子ってのはまぁ、私の知り合いの知り合いなんだけど……彼女が一昨日の放課後、歩いていたらね、ガサガサ、ガサガサって道端の方から音がするの」
「待った。その話、オチがあるか? 」
「嫌ね、貴方」
「長ったらしいのは嫌いなんだ」


誰が為に

 赤いアリが黒いアリに噛みつく。噛みつかれたアリは赤くなる。ケージの中の赤いアリが倍々ゲームのごとく増えていく。幾つかの赤いアリが幼虫の居る部屋を見つけた。彼等は幼虫には容赦しない。さっきまで守るべき対象だったそれが踏みにじられていく。
 これを見るのが彼にとっては最大の楽しみだった。しかも今日は同時に四つの水槽でこれを進めている。至福とはこのことだ。これからのことも、明日からのことも全部忘れて浸り続ける。
 その横で装置が作動していた。男はそちらには目もくれない。

 ジリリリ、とベルが鳴る。彼はその音で勤め人だった時代を思いだした。
 大きすぎる目標を掲げる上司、スナック菓子しか出さない社員食堂、アイデアだけは優秀な同僚、地獄のようでいて、楽しかった日々の記憶が頭蓋の中を走り抜ける。

「開けて、開けてちょうだい……」
 ノックが回想をぶち破り、スピーカーを通して声が聞こえる。
「つまらない偽装は止めろ!」
「……ちぇっ、駄目かぁ」
 ドアが無理矢理開けられる。タクティカルベストを着けた機動部隊がライフルを構えながら突入する。
「ずっと思ってたけど、これ、どうやって防いでるの」
「ワンダ一テイメソ卜博土には楽しくない言葉は聞こえないんだ」
「じゃ、一つになろ、そっちの方が楽しいよ」
「博士はね、君のような女の子と楽しく遊びたいんだ。だから玩具をいっぱーい世界中に隠してるんだよ」
「そういうの、止めたら」
「だって僕は子供を喜ばせるって、そう決めたんだもの」
「貴方が人を殺せるわけないって、私だって知ってる……だって一つになったから、貴方の同僚、上司、敬愛するワンダーテイメント博士」
「返せよ」
「無理、皆マトモじゃいられなくしてやる。貴方だって」
「あはははははははははははははははははは」
「何がおかしいの」
「そうだよ、僕が、僕が唯一の博士なんだ。財団も、ニッソのクソも、皆死んだんだ。アンタが殺した。僕だけが本物の博士なんだ。これが楽しくないわけないだろう? 」
「可哀想な人、壊れちゃったのね」
「壊したのは君だ。だから一緒に……楽しもうね!」